Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

ユニジョイナー経年劣化問題その後➍

ジョイナー接触抵抗経年劣化シリーズ続編です。

【本シリーズ表紙画像】
この問題に悩まれてる方、興味を持つ方が多い様です。 何しろ実験/考察と記事更新の同時進行なので、スマートに結論をスパッと提示する事ができません。 途中の失敗も含めた右往左往・紆余曲折や思考プロセスも記事にしますので、予めご理解ご了承ください。

【10/9朝拙ブログ週間アクセスランキング】
過去記事アクセスで支えられてる拙ブログ週間ランキングが、6日前/3日前/9日前本シリーズで表彰台独占、滅多にお目に掛からない光景で、関心の高さが良く解ります。


4.ジョイナー抵抗の経時変化計測
フィーダー設置基準は電圧低下を最悪10%、消費電流1A時の給電抵抗を1.2Ω以下(理想的には1.0Ω以下)に抑える必要があります。 新品ユニジョイナー接触抵抗はレール長75mm相当、ユニトラックレールは0.345Ω/mと解りましたが、敷設後時間経過でどうなる?。


4-1.30年前のレール・ジョイナー非交換の場合
筆者ズボラさに起因した当社固有の切実な問題です。 2013年新品レール敷設区間計測も別途計画してますが、まずは悪い方から、素性不明の中古レールを入手し、そのまま使用した最悪ケースとしてご覧ください。


◆試験区間選定と準備

【従来線東基台北側線路配置図】・・・オレンジ★間で試験
試験区間はお座敷運転エンドレスレールで敷設した東基台左右180度トンネル内カーブの北側です。 北側を選んだのは計測区間脇にフィーダー設置してあり、左上中山平駅まで約1.7m給電、敷設直後試験運転では速度段差なくOKでした。 もう一つ理由があります。

【東基台北側点検口】
東基台北側には延伸線建設でメンテ不能になるこのエリア補修点検用に10mmコンパネ天板を切除した点検口があります。 頭と片手だけ入るサイズですが作業可能だからです。

仰向けで天板下に潜り込んで点検口から線路上の木材片スペーサに10.8Ω抵抗負荷を置き、ワニ口クリップジャンパー線でジョイナーから約10mm位置のレールに接続しました。

反対側に給電用ハイパーD、同じくジョイナーから約10mm位置に出力クリップを接続しました。 これで30年前ジョイナー非交換R315レール4本、実レール長972mm、ジョイナー3ヶ所の試験準備が整いました。

試験前に従来線A/Bチャンネル電源線ジャックを外して置きます、オフ状態で外部別電源から給電すると、悪い影響が出る可能性があるからです。 これで試験開始準備完了です。


◆計測-1
新品レール試験と同じく抵抗負荷消費電流1A時の電源-負荷抵抗間の電圧差を計測すれば、ジョイナー3ヶ所合計レール長換算値が解り、接触抵抗が何倍に劣化したかも解ります。 以上の理屈ですが、試験には様々な困難が付きまといそう簡単に行きませんでした。

まず抵抗負荷電流を正確に1Aに合わせる事ができません。 テスター固定場所がなくテープ固定しても薄暗く離れた場所から数値を読み取れません。 そこでハイパーD出力Max計測に変更しました、1Aを越えますが電流多い方が計測精度が上がり電源出力も安定します。 計測結果は13.05Vでした、無負荷で15V弱のハイパーD出力がかなり低下してます。

次にレール計測した新品に対し、負荷電圧をワニ口ジャンパー先の負荷抵抗バナナプラグで計測に変更です。 狭い場所でテスターレール接続が非常に困難だからです。 初回計測でジャンパー線追加Dで10.8Ω⇒10.9Ω、最小桁計測精度は疑問ですが0.1Ω計算補正します。 

計測結果は11.97V、テスターとカメラの手持ち撮影、10枚ほど撮影した最良画質でもブレてます。 右に仰向けに基台下に潜り込んだ筆者左足が写ってます。 この2つの計測は数回実施し計測信頼性を確認しました。 計測後は全て計算により目的の数値を算出します。

➊計測結果11.97Vと抵抗負荷10.8Ωから電流1.108Aとなりました。 12Wの発熱でテスター接続するバナナプラグがアチチでした。
➋試験区間の電圧低下と電流から抵抗値を算出します、0.9747Ωでした。
➌有効桁数の違うジャンパー線0.1Ω引くのは?ですが仕方ありません、0.8747Ωです。
➍そこから電気的レール長算出したら何と実際のレール長の2.5倍、2.525mでした。
➎&➏ジョイナー1ヶ所がレール521mm相当、初期値の約7倍、信じ難い値です。 データは嘘を付きませんし、当社はデータ改ざんしない主義です、困りました、何か変です。

この実験結果に従うとR315 4本内側1m弱が実質2.5m、両側に接続した新品レール6本とジョイナー6個加えると給電距離1.7mが実質約4mです。 給電抵抗1.4Ω(0.345x4=1.38)で限界値越えてますが、重連貨物列車0.7Aが最大負荷でOKだったかもしれません。


しかし中山平-笠松間反対側R315/180度カーブも同じ状態のハズで、もう1ヶ所のフィーダーから笠松両渡線までの給電距離は2.8m、これが計算上実質約7m給電抵抗2.4Ωになり、速度変化に気付かない訳があり得ません。 この計測には必ず見落としてるミスがあります。


◆計測-2
丸一日悩みました、興味引いといてやっぱり解らんと投げ出す事もできません。 ブログどうしようと途方に暮れてた時に目に止まったのが・・・。

ハイパーD出力とレールを接続するワニ口クリップです。 主に接触してるのはレール側面、メンテで磨く天面ではありません。 『一度も磨いた事がないレール側面に接触抵抗があれば』の仮説(確信に近く、コレだ!でした)を立て、検証再計測しました。

ハイパーD給電側レール側面を磨いたのがサンドペーパー右側、綺麗に磨け相当汚れてました。 負荷抵抗側を磨いたのが左側、ほぼ手探り作業で点検口側は磨けても奥側は???ですがこの状態で再計測です。

同じくハイパーD出力Maxで計測し、結果は13.10Vでした、

で、また仰向けに基台下に潜り込んで負荷抵抗バナナプラグで計測、舞台裏の見苦しい筆者足が写らない様に撮影、計測結果は12.28Vでした。

➊12.28Vに上昇したので電流が少し増え1.137Aになりました。
➋試験区間の電圧低下と電流から抵抗値を算出すると0.7212Ωでした、ワニ口クロップ接続レール側面磨きで低下した約0.25Ωが計測エラーです。
➌ジャンパー線0.1Ωを引いて0.6212Ωです。
➍そこから電気的レール長算出すると、計測-1より700mm以上短い1.800mでした。
➎&➏ジョイナーレール長換算値計算すると276mm、初期値の約3.7倍でした。


◆計測の評価
計測-1は電源と負荷のワニ口クリップ接続接触抵抗を含んでおり計測ミスです。 計測-2はその要素を大半除去した値ですが、結果に今一つ自信が持てません。

今回の計測は新品レールなら1Aで0.413Ωになる給電抵抗がどれだけ増加したかを計測し、増加分がジョイナー接触抵抗増加の劣化になる前提で実施しました。 結果を得るには測定精度1/100Ωが必要で、抵抗直接計測できないので10.9Ω/1Aの電圧で計測してます。


自信が持てず気になるのは以下2点です。
➊抵抗負荷接続レール奥側を十分磨けなかったが、新品レール並みになったのか?
➋計測条件1A⇒1.137Aは結果に影響しないのか?(接触抵抗は電流増で増える傾向あり)


でもこの厳しい試験環境でこれ以上望むのは無理、信頼性に疑問残りますが、今回の計測から言える結論は以下の通りです。
結論-1:
挿抜や経時変化でジョイナー接触抵抗は確実に増加する、当社敷設30年前レールで3倍前後に増加してると推定される。
結論-2:
レール表面は通電天面以外も経時変化で酸化膜が形成され接触抵抗が増加する。 従って中古レール使用時はジョイナー交換と同時に、ジョイナー接触レール面を磨く必要がある。


ではまた。

×

非ログインユーザーとして返信する