Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

今後の設計⑤TOMIXポイントはレイアウトに使えない!

好評連載中(笑)の『露太本線の良く解るポイント切替電気講座』はコンデンサポイント切替動作説明、設計手法と推奨回路が残っています。 警鐘を鳴らして不正確な情報拡散をする訳にいきません。 その為の手配ツールが届くまで『今後の設計』に戻ります。


Arduinoを採用し倉元駅スイッチバックのポイントを一括スローアクション制御し、更に腕木式信号機と連動制御する計画までお話しました、その続編です。

サーボ制御変更の基礎情報を収集する為、TOMIXポイントを分解調査しました。 図赤丸5本のビスを外します、目的は下記3点です。
①サーボを取り付けるトングレール裏の構造確認
②撤去するポイントマシンの構造と電気方式確認
 連載講座の3線⇒2線化、最初から2線開発するなら別法ありと考えた検証です。
③ショートさせて通電性確保を図る完全選択式スイッチの構造確認


1.トングレール裏構造確認

トングレール先端裏は成形部材に覆われており、加工してサーボ制御に変更するのはほぼ不可能と判断しました、トングレール切替は先端からかなり離れた位置の微小ストロークで行っています。 ここで調査終了でも良いのですが、分解ついでに②、③について調査しました。 分岐側レールスイッチ接点がここにある事を覚えておいてください。


2.ポイントマシン構造
電気講座では解り易く説明する為に16番用ポイントマシンを使いました。 3線⇒2線化手法としてダイオード4本の方式を紹介しました。 既存3線式の2線化なら一番良い方法ですが、ゼロから2線式で設計するならもっと良い方法があると考えていました。

設計技術者は同じ事を考える様で、筆者が考えた通りの設計でした、鉄芯の替わりに永久磁石を使います。 ポイント制御線に電磁石ABを直列接続し、AB巻線方向を逆にするとN極S極が逆になります。 N極S極は引力、同極は斥力、ポイント制御線±を逆転すると電磁石磁極が反転し永久磁石付きスライダーが動きポイントを切り替えます。

電磁石コイルにはKATOに入っているサーモスタットはありません、通電し続けると発熱して焼損します。 モジュール化され補修部品として販売する意味が不明です、切替不良対策なら分解しスライダー周辺掃除が有効、コイル交換は効果ゼロです。 また焼損対策ならスライダーが溶けポイント昇天です、同じくコイル交換の意味はありません。


3.完全選択式スイッチ
TOMIXポイントは誰でも使い易くする為に、レールを細かく分割しポイント切替に応じて通電レールを切り替えるスイッチを内蔵しています。 通電不良の根源がどんな構造でどんな設計しているのか確認しました。(サーボ駆動条件で使えないと結論済み)

目が点になりました、トングレール側1ヶ所を含め赤丸8ヶ所で4本のレールをON/OFFしています、6ヶ所はリン青銅バネ、2ヶ所は何とコイルバネ代用です。 更に黄丸4ヶ所の完全選択式スイッチがポイント切替スライダーと連動します、バネ圧10gあるかないかの弱いバネです。 12ヶ所の接点中1ヶ所でも接触不良になれば通電不良が発生します。

一方筆者従来線使用中のKATOポイントはフログレールと選択/非選択切替を0.5mm基板ギャップをネジ締めで選択する方式、半田を盛ればこの部分の通電不良ゼロです。 建設以来4年間、塗装に起因する切替不良は数度発生しましたが、通電不良は皆無です。

TOMIXポイント12ヶ所の接点に流れる電流は、重連や2M編成で約0.5A、3重連や3Mフル編成なら約0.8Aです。 TOMIXが発注した基板メーカーはプロの仕事をしています。 通常の18μm厚銅箔でなく大電流用35or70μm厚銅箔で1mm以上のパターン幅で設計しています。 大電流を流すには基板パターンでもそれだけの厚みと幅が必要なのです。

その基板パターンに接する接点はパターン幅より狭い、しかも接触面は線に過ぎないリン青銅バネと通電部品ではないコイルバネです。 つまり1A近い電流を流せる電気的設計がされておらず、構造的にも非常に脆弱です。 以下問題点を列挙します。


①チリ・ホコリに弱い、バラスト粒などもっての外。
②狭い接点面積に大電流、しかも表面は決して平坦でなくスレッジが溜まり易い。
③水分が進入すれば接点に酸化膜が生成され通電不良原因になる。
④塗料?ボンド水?、そんなの耐えられる訳ないでしょ、自己責任で勝手にどうぞ。


筆者の結論:TOMIXポイントはレイアウトに使えない。

★レイアウトにTOMIXポイント使用中の皆様へ
筆者が元回路設計技術者であった事はブログで明かしてきました。 その後は商品企画・事業戦略・設計責任者を某メーカーで務めてきました。 経歴を誇るのではありません、元設計プロ、マーケティングプロ(今は只のオヤジです)としてお伝えします。

1.TOMIXの事業戦略
TOMIXは鉄道模型の敷居を下げ、言い換えればユーザーを『電気』から遠ざけ、誰でも簡単に楽しく遊べるレール/ポイントを発売して裾野を広げ市場を拡大しました。 その結果、初めて親に買ってもらった小学生でも、1電源リバース線なしなら複雑な線路配置でも楽しく遊べる環境を整えました、その恩恵を受けた皆さんも多いと思います。


事業拡大と利益追求する企業論理としてTOMIXの事業戦略は正鵠を得ており、功績も大きいと認めています。 しかし以下に述べる事はそれとは異なる顧客視点の話です。

2.TOMIXポイントの設計思想
TOMIXポイント設計思想は誰でも簡単に遊べる使い易さを最優先し、信頼性を確信犯的に犠牲にしています、オモチャに毛が生えた高級玩具的な御座敷運転用ポイントです。 欠陥商品とは言いません、他社とは商品開発コンセプトが全く異なるのです。 現役時代の筆者なら『お客様の事考えているのか!やり直せ!』と一喝する設計です。

3.TOMIXの社会的責任
現在のTOMIXにはレイアウト製作を推奨する資格がありません、大手メーカーとしての社会的責任を果していません。 現製品とは別にKATO/Peco並みの信頼性を備えたレイアウト組込専用ポイントを発売し、HP上で「電気区間の分け方」「絶縁ジョイナーの使い方」等のユーザー教育を行い、慢性的通電不良からお客様を解放すべきです。

それをこの様なエクスキューズでユーザーに擦り着けるのは、顧客軽視・利益優先の誹りを免れません。 これからの時代、顧客満足度を重視しない企業は生き残れません。


昨夜筆者ブログ掲示板にTOMIXからハイパワーポイント電源がリリースされたと情報がありました。(未確認です) 24Vで2倍の電流を流す仕様だそうです、切替不良対策にはなるでしょうが、ソレノイドは4倍の電力を消費します。 それだけの設計マージンがあるなら、最初から16Vなり19V駆動できた筈です。 ユーザークレームを信頼性を犠牲にして捩じ伏せる、ここにもTOMIXの企業姿勢が透けて見えます。

4.最後に
通電不良対策はレイアウト永遠の課題ではありません。 TOMIXポイント採用を決めた瞬間に通電不良に悩まされ続ける運命を背負い込んでいるのです。 TOMIX『完全選択式ポイント』をレイアウトに使用すると『通電不良完全保証ポイント』になります。


お断り:本日外出予定で頂戴したコメント開示と返信は夜になります。


ではまた。

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