Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

KATO再生産C12をお薦めします

久し振りにKATO HPを覗いて来年3月のC12再生産発売を知りました。 新製品時に購入しましたが、筆者は入線記事を書かないので正確な年月は解りません。 2018年前半だったと思うので5年振りの再発売です。(12/30付記:2015年新発売と指摘がありました)

【KTO2024年3月発売予定品】・・・KATO HPより

欲しい蒸機だったので予約受付が始った2-3ヶ月前に注文し入手できましたが、発売日1ヶ月前に予約注文受付終了になってました。 非常に良くできた製品で、使い勝手の良い蒸機ですので、入線後所感を交え、入手してない蒸機ファンに是非お薦めしたいと思います。

【蒸気機関車スタイルブックより】
国鉄最小型タンクロコはB20ですが、入換用として終戦前後に少数生産され、実績を上げる事なく、1960年代には2両が機関区マスコット的に在籍してるだけでした。 従ってC12が実質的国鉄最小型蒸機と言えます。

【KTO C12】・・・KATO HPより
小型はスペース制約のあるレイアウトで大きな武器です。 製品説明最小通過曲線はR150で、森林鉄道や地方鉄道なら活かせます。 国鉄型レイアウトで20m車諦めるのは難しいので、KATOならR282、750X1200mmサイズ小型レイアウト主力機に最適です。

【1954年5月中央本線茅野駅】・・・鉄道P誌より
C12は昭和30年頃には幹線区間列車(写真は辰野発小淵沢行)本務機としても運用されてましたが、次第にローカル線や入換機に活躍の場を移しました。 昭和40年代に本務機運用されてた例をいくつかを紹介します。

矢島線旅客列車はDC化されてましたが貨物列車はC12牽引でした。 羽後本荘機関支区在籍機はC12 1両だけ、秋田や酒田在籍機も立ち寄ったと思いますが、給水・給炭の他に支区事務所・乗務員詰所・燃料班詰所が並び、羽越本線で到着した矢島線内着貨車をC12が入れ替え貨物扱いしながら矢島を往復し、線内発貨車を羽越本線へ受け渡してたと思います。

【桐生の静態保存C12】
足尾線も旅客列車DC化されてましたが、鉱石運搬路線なので桐生機関区C12 4両が貨物輸送に従事してました。 KATO編成例に記載されてますが重連運転が行われてました。

予土線開通前の宇和島-江川崎間は全線運転列車10本、区間列車6本と現在より運転密度が高く、内3本が蒸機牽引列車でした。 昨年2泊した松丸の旅館の80代女将から50数年前滋賀から嫁入りした頃、小さな蒸気機関車が走ってたと聞きましたので間違いありません。

【宇和島の静態保存C12】
6両の宇和島機関区C12がその任に当たった訳ですが、重連運転の必要もなく、両数と所要時間から推定して貨客分離が完了しており、混合列車は姿を消してた様です。 女将もそこまでの記憶はありませんでした。

【 C12編成例】・・・KATO HPより
模型の世界の蒸機人気は高いとは言え、全廃から間もなく50年、現役時代を見た記憶がある人はアラカンとあっては、編成例で使い方説明が必要なのも時代の流れでしょう。 兄貴分C11がどうだったか見てみました。

C11は両数が多いだけに本務機運用線区も多くなってます。 C12の項の羽後本荘と同じく上井(現倉吉)機関支区在籍機もC11 1両だけで倉吉線専任だった様です。 C12/C11棲み分け理由の一つは線路規格ですが、他にもあったかどうか定かではありません。

【蒸気機関車スタイルブックより】
ところでKATOはC12に先行してC11をリニューアル発売しましたが、C11再生産の話は聞いてません。 TOMIX製品と競合するから?、あるいは人気薄だったのでしょうか?。
◆KATO C11を買わなかった理由
馴染み深いC11をパスしました。 個人的好みで恐縮ですが、テンダー機になりたくてなり損なった様な中途半端で鈍重なスタイルが昔から気に入らなかったのです。 拙ブログで保存蒸機探訪記を公開してますが、C11が1両もないのは筆者の嗜好の現れです。

2013年購入のKATO D51標準型が、非PWMマスコン/ブレーキ式電源ノッチオンの瞬間、1.0V未満でロッド回転発進する姿に感動しました。 このモデルはHLが暗い欠点がありましたが、2015年増備車は改善してます。 1号機はD51 4両不要なので転出させました。


ディテールに惚れて購入したTOMIXキハ52はスローが全くダメ、ロケットスタート/急停止しかせず、KATOキハ52に低速性能が数等劣り除籍しました。 個体差かもしれませんが、モーター評価を見るとそんな物らしく、以降TOMIX電動車には一切手を出してません。

【TOMIXキハユニ26】・・・編成左端
当社在籍TOMIX車両はキハユニ26だけです。 20系DC列車にぜひ欲しい車種で、KATOはライト類非点灯の大昔製品しかなく、カプラーと室内灯を改造してKATOキハ52編成に組み込んでます。 でもHL暗過ぎ、編成最後尾にしか使えません。 話をC12に戻します。


★ユーザーフレンドリーなKATO設計
当社在籍蒸機は2015-2021年KATO製品7両ですが、性能バラツキもなく購入してないC11/C56を含め、走行性能と外観を兼ね備えた良い製品だと思います。 それは普通のユーザーが気付かない処にも及んでます。

当社新電源は速度計装備するので蒸機形式による電圧vs速度の確認実験を5年前実施しました。 左から動輪径1400mmのC12、同じく1400mmのD51、1750mmのC57の3両です。 電圧vs速度の関係がバラバラでは速度計が無意味になってしまうからでした。

結果は以上の通りで、KAIOは動輪径の異なるD51とC57のギア比を変えて電圧vs速度が同じになる設計をしてると解りました。 動輪径が同じC12とD51は同じギア比でも車体が軽い分だけ、約5%C12が高速でしたが、協調運転可能な誤差範囲と判定しました。

当社はDD51牽引夜行急行も運転するので、D51とDD51も追加試験しました。 動輪径が大きく違うだけでなく、モーター形式も異なり、期待できないと思ってたのですが・・・。

コアレスモーターの特性でD51が先に始動しましたが、電圧vs速度は同じ、EL/DL/SLに係らず、KATOは『機関車の電圧vs速度一定』の考え方で設計してると解りました。

【TOMIX機関車トーマスとパーシー】
2018年夏のJAM出展品プロジェクトに参画し、TOMIXトーマスとパーシーの電圧vs速度が動輪径差分違い、協調運転できませんでした。 同じギア比の駆動系共通化は高級玩具として当然でTOMIXを責められませんが、KATOほどトコトンやるのは珍しいと思います。


そんなユーザーフレンドリー設計のKATO蒸機にも、どうしても改善して欲しい問題が一つだけあります。


★KATO蒸機の要改善点
KATOはD51の伯備線三重連、8620の花輪線三重連、今回のC12の足尾線重連再現ができると謡ってます。 前面カプラーは外観重視のナックル型ダミーで、重連には重連用カプラーへの交換が必要です。 ところが重連用カプラーは見栄えが悪く連結性能も悪いのです。

【KATO重連用カプラー】
当社事例でループトンネルに入った重連貨物列車の前補機が単機でトンネルから出てくる事が数回発生しました。 KATO橋脚セットの2%緩和勾配付き4%勾配を使用しており、勾配変化点で連結が外れ、牽引負荷がなくなった前補機が速度を上げ先行してるのです。

【当社在籍C12】
C12は逆推進運転が当然な小型機で重連でなくても前面カプラー連結可能にするのが当然ですが、重連用カプラーに交換しなくては逆推進運転できません。 しかも重連用カプラー装着時はスノーブロワ取付ができません。 KATOらしくない設計配慮不足だと思います。

【前面カプラー改造後】
この問題に対処する一番有効な方法はZゲージ用カプラーへの交換です。 当社工場にはその技術(視力?)がないので、業務提携先へ委託し、C12と重連運転D51に装着してもらいました。 こんな苦労をユーザーにさせなくて使える様にして欲しい物です。


なお重連用カプラー写真良く見ると、2015年頃の付属品と異なり外観改善してる様です。 連結性能は使用実績がなく解りません。 改善してたらKATOさん御免なさいです。


★結論
前面カプラーの問題はありますが、KATOC12は小型レイアウトに最適、大型蒸機が活躍するレイアウトでは入換機として、走行性能・ディテール共に非常に優れた製品です。 既に予約受付始ってます、通販サイトで1万円弱、欲しい人はチャンス逃さず急げです。


ではまた。

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