先日の『ナローの魅力』、沼尻鉄道訪問記と、HOn2 1/2レイアウト祖師谷軽便鉄道の紹介でしたが、レイアウトの詳細がなく、何処かで見たハズと探したら見つかりました。
前記記事から離れた号にレイアウト紹介記事がありました。 沼尻鉄道に倣った鉱山鉄道で、一般的な石灰石鉱山とし、運材列車が走ってもおかしくない樹木が生い茂った山の中の小悦道の想定にしてます。
線路配置は欲張らず、エンドレスと終端駅から双方向アクセスの連絡線が基本で、終端駅の客扱いは1面1線の短いホームだけ、転車台を組み込んだ機廻し線と2線の石灰石ホッパー積込線の必要最小限にしてます。
運転パターンは祖師谷駅を発車してエンドレス周回後、砧駅を通って逆向きで祖師谷駅に戻り、貨車入換や機関車付け替えを駅構内で楽しむ物です。 600x900mmはNでR270を一杯に敷いて、直線部が300mm、2両分しか取れない狭小スペースですが、1/87ナローではR150程度の急カーブが可能で、これだけの事ができてしまうのは何とも驚きです。
作者はHOn2 1/2は曲線半径、勾配、線路の占めるスペースにおいて16番よりはるかに有利と書いてますが、正にその通りです。 上写真のスペース感は、20m車を走らせる前提のNよりむしろ勝ってます。
駅構内以外の3個のポイントをトンネル内に設置して、野中ポイントの不自然さを避けたと書かれてます。 このレイアウトのシーナリー製作には新しい試みがあります。 標準技法の木枠組、金網、新聞紙、プラスター仕上げでも、井桁ボール紙ホチキス止め、新聞紙貼り重ねでもなく、今日のスタイロフォームに繋がる発泡スチロールを利用したのです。
完成時の強度保持骨格になる木枠組は従来と同じです。 木枠組間に発泡スチロールを砕き、細部は半田ゴテで溶かして修正し押し込みます。
詰め込んだ発泡スチロールの塊をゴム系接着剤で木枠組に接着します。 詰め込んだ発泡スチロール塊の間から木枠組が見えてるので、砕いた際の小片を隙間に詰め込みます。
この状態では直線部や平面部が多く地形として不自然で、紙粘土の喰い付きも悪いので、半田ゴテで小片を溶かして周囲と溶接すると共に、凸凹を作ります。 発泡スチロールは半田ゴテで溶かすと収縮率の違いで周辺にシワができるので、そのまま残します。 表面を紙粘土で仕上げる際に、発泡スチロールのシワや凸凹を利用して岩肌表現してます。
見事に詰まってます、従来技法より大幅に軽量化されてます。
植樹前の山肌です、植樹の際は発泡スチロールを溶かす接着剤は使用できないので、注意が必要です。 このレイアウトでは発泡スチロールを別の場所でも使ってます。
ご覧の様に築堤法面の土台にも使ってます。 発泡スチロールを半田ゴテ加工する際に発生するガスに注意と書かれてます。 健康面かと思いきや悪臭、いずれにしろ要換気です。
表面を半田ゴテで凸凹にした後、紙粘土で仕上げた築堤です。
発泡スチロールと紙粘土で作った地面の上には、『草と樹木とその材料』のA氏が試してなかった素材で草を表現してます、スチールウールです。 細い金属繊維が絡んだのを摘まみ取り、伸ばしてフワッとブロックにならない様に重ねて接着剤で貼り付けてます。
スチールウールは錆びるので、油性塗料で塗装する必要があり、塗料が乾かない内に着色済オガ屑を撒けば更に実感的になると書いてます。 スチールウールは16番には目が細か過ぎるかもしれないと書かれてますので、Nには良さそうで試してみようと考えてます。
樹木は発泡スチロールを擦り下ろした物で10本ほど製作し、その労力に挫折したそうです。 座布団に入れるスポンジクズを発見して量産可能になったそうで、スポンジクズは形状も目の粗さも様々、粗い物が適してる様で、フォーリッジクラスターの用法です。
1本立ち樹木には幹や枝がありますが、生い茂った森林にはありません。
ストラクチャの大物は石灰石ホッパーと木橋ですが、ホッパーは改めて製作記を別稿で書かれるという事で写真のみです。 木橋は長さ240mm、当時のN用直線レールを、橋梁上は枕木間隔狭くて良いのでそのまま使い、桐板で歩み板をマッチ棒で橋脚を作ってます。
この小さな小屋は保線小屋の様です、人間の大きさ変わらないのに、車両が小さくなると他も小振りになる様です。
ここにも『小川のある風景』がありました、摂津鉄道登場前です。 小川は木橋を潜って流れの向きを変え、レイアウト右端まで続いてます。
こんな風景見せられると筆者もナローの魅力に嵌りそうです。
ではまた。