Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

ローカル駅線形考 後編《7/23追記》

前回の続編で3線駅の線形です。 ローカル線3線駅は2線駅より少なく、その多くは支線分岐駅や始終発列車がある拠点駅でしたが、そうとばかりは限りません。

【鉄橋のキハ】


第二章:ローカル3線駅
2-1.本線+貨物待避3線駅
最初は本線有効長12両以上と長く運転密度が比較的高い亜幹線に良く見られた3線駅で、対向式ホーム上下本線間に貨物列車専用待避線を挟んだ線形です。

貨物列車専用待避線なので本線に列車待避し優等列車が通過線として使用する事はありません。 上下兼用で駅出口が安全側線側に通じてる事、待避列車が邪魔にならないホーム端踏切または跨線橋が特徴です。 日本海沿い小駅の記憶が残ってます。

【2019.01.08更新より転載】
脱線ですが筆者実家最寄駅東横線祐天寺駅が、中央通過線3線駅に生まれ変わりました、常に国鉄/JR競合した私鉄他社に比べ、殿様商売してきた東急も湘南新宿ラインと競合して特急運転を開始し、遅れ馳せながらスピードアップに取り組み始めた一環です。


2-2.副本線3番線の3線駅
最もポピュラーなローカル線3線駅で、1/2番線が上下本線、3番線が副本線、対向式ホーム2線駅の奥に1線追加した線形になります。

名も知られない小駅から特急停車の拠点駅までこの線形の国鉄ローカル駅は多く、JR化後大規模改修を受けてない駅は現在もその姿を留めてます、2例紹介します。

【根室本線上厚内駅2011年】
2011年北海道ドライブ旅行の際に立ち寄った根室本線上厚内駅、以下調査結果です。
★1953年:駅舎改築、この時点で木造駅舎は築58年でした。
★1971年:貨物扱い廃止、簡易委託化。
★1977年:跨線橋設置、横断歩道橋転用で屋根なし、それまでは階段踏切。
★1992年:完全無人駅化。
★2017年:旅客扱終了、上厚内信号所となる。
★2018年:駅舎解体撤去、旅日記置いてあったこの駅舎はもうない!

横断歩道橋転用跨線橋から帯広方の眺めです、150m程先に安全側線と駅入口ポイントが見えます。 右が駅舎のある下り本線ホーム、足元にオフセット上り本線ホームがあり、その外側が3番線、貨物扱い停止後は使われてない様ですがレールは残ってます。 信号所化し駅舎と共にホームも跨線橋も現在はないかもしれません。

【宗谷本線名寄駅2013年】
2011-2014の毎年北海道へ行っており、2013年はディスカウントチケットで空路旭川から入りました。 翌日宗谷本線で稚内から礼文島の旅程で、高架化直後で鉄道旅風情がない旭川駅からキハ40単行鈍行で名寄まで乗り鉄しました、後続特急接続待ちです。


かつて南北を結ぶ宗谷本線から東西に名寄本線、深名線を分岐する拠点駅で、古い駅舎がそのまま残ってました。 駅前からの眺めは除雪スペース確保した広い道路に加え、3階以上の建物がほとんどない、タイムスリップした様な景観でした。

【名寄駅の線形】・・・3番線奥の側線や機関庫跡地は省略。
撤去された貨物引上げ線と貨物側線2本の痕跡が残ってました。 跨線橋やホーム上屋の違いはありますが、基本線形は上厚内と同じです。 長い引上げ線跡地沿い十数棟の倉庫群が貨物輸送全盛時代を偲ばせてくれました。

【生野駅線形】
露太本線生野駅は線形Aと線形Bを組み合わせた4線駅です。 1番線下り本線、2番線下り貨物待避線。3番線上り本線、4番線副本線です。 スペース制約により安全側線と貨物側線を省略しました、本来5番線上り貨物待避線は4番線副本線代用の想定です。

省略は仕方ないとしてポイント定位/反位を含め列車有効長を制限して線形にこだわったので、当時の国鉄ローカル駅の雰囲気を出す事ができたと自己満足してます。


2-3.副本線1番線の3線駅
前項とは異なる線形のローカル線3線駅で、2/3番線が上下本線、1番線が副本線、島式ホーム2線駅の手前に1線追加した線形になります。

本線優先なので地上レベル駅舎正面が踏切か、1番線中央付近駅舎の場合は跨線橋が設置されてました。 2/3番線本線路線から盲腸支線が分岐し、1番線が支線発着線の場合もありまました。 線形Bより数は少なかったですが珍しい存在ではありませんでした。


2-4.レイアウト3線駅
レイアウト3線/4線駅はほとんどが複線区間で、単線ローカル線事例は、拙レイアウト建設時に大変参考にさせていただいた「kyoshusen」さんの作例しか存じ上げません。 2列車運転しないと留置線になるだけ、2線駅よりスペースが必要で走行可能列車有効長が短くなる事が作例が少ない原因だと思われます。 個人レイアウト作例はわずかでも、組立式ローカル線レイアウトでは製作されてます、JAM2018出展から2例紹介します。

9600牽引列車やキハ05(06?)から昭和20-30年代想定の様です。 肝腎の駅構内線形写ってませんが、HOスケール1/87、12mmの機関庫がある3線駅は魅力的でした。 

【JAM2018にて】
特別展示北海道レイアウトは函館本線倶知安駅を再現してます、C62重連牽引急行ニセコが3番線通過(停車でしょ!)周回中でした。 とすると特急は北海、1番線停車すべき列車がD51重連貨物の居場所に留置中では雰囲気ぶち壊し、仏作って魂入れずです。


2-5.ローカル3線駅の設計
組み易さ走らせ易さ重視のメーカー線路敷設プランにローカル駅はありません。 線形Cから副本線安全側線を省略したローカル3線駅をKATO既製品レールで設計しました。 国鉄駅特徴で全長に対し有効長短めですが、市販品でもできますよの例示です。

本線有効長6両、ホーム有効長5両のローカル3線駅です、全長1674mmはレイアウト横幅2400mmで収まります。 248mm伸ばせばホーム有効長7両、その替わり横幅は2700mm程度必要になります。 せっかく設計したので細部説明します。

KATO4番ポイント5個とY字ポイント2個使います。 KATOの16番製品HO呼称を問題視してますがポイント呼称も出鱈目です。 分岐角15度ならフログ番手はどちらも3.7番、小型/中型ポイントと呼ぶべき製品を4番/6番ポイントと詐称してます。
《7/23追記》KATOポイントについての見解
本更新にコメントを頂戴した「かいしん」さんにご納得いただけないので、本文で筆者の考えを補足説明します。 これは筆者の見方であり、読者に押し付ける気は毛頭ありません。 またご意見は伺いますが、同意せよと迫られても困ります、考え方は多様です。

【KATO6番ポイント】
KATO4番ポイントはR481/15度に、6番はR718/15度に置き換えると直線が分岐する、非常に使い易いコンセプトの製品で、そのお陰で道床付き既製品レールで拙レイアウト建設ができました。 実際のポイントと異なり、フログ部先もカーブしており、ポイント番手の概念が当てはまらない製品です。 実際のフログ部角度は4番が約12度(4.7番)、6番が約10度(5.7番)になってます。


実際のポイントは入口の短い直線と、分岐側レール・トングレールからフログに至る長さと曲率でフログ交差角(番手)が決まり、フログから先は直線、すなわちフログ交差角=ポイント分岐角です。 模型用ポイントのフログ先直線長さは、2個使用片渡り線で複線間隔が決まるのでメーカーで異なります。

【Pecoコード55大型ポイント分岐角10度】
Pecoは実際のポイントに則して設計されてるので全体がカーブの一部になってません、実物に則す事を優先し接続にはフレキレールが必要なコンセプトの製品です。

【Pecoコード55小型ポイント分岐角10度】
Pecoはトングレールの長さ・曲率を変え同じ分岐角10度でも全長が異なる製品も用意しており複線間隔は実感的な27mmになってます。 TOMIX/KATO/Pecoそれぞれ設計思想が異なり、ユーザーは自分に合う物を選べば良いと考えてます。(品質は別ですか)


筆者は商売下手で真面目な製品作りのKATOを高く評価し恩恵を受けてますが、製品品質と命名は別問題です。 16番製品を確信犯的にHOと称したり、中型またはR718/15度ポイント、小型またはR481/15度ポイントと命名すべき製品を6番/4番と称して販売するのは、ユーザーに誤解を与えるメーカーとしてあるまじき誤用、出鱈目だと思います。
【以上追記】


KATOユニトラックは基準寸法62mmの整数倍でレールが規格化されてます。 両渡り線310mm、直線248/186/124/62mm、6番ポイント186mmですが、4番ポイントは124mmでなく2mm長い126mm、Y字ポイントは2mm短い122mmです。 なおS64はポイント分岐側に15度傾けて使用すると0度換算62mmになります。

【ユニトラックS60レール】
4番ポイント付属のS60レールです、道床の切り欠きで長さ調整と複線間隔33mm(コレでも広過ぎ)を実現しておりKATOの良心と言えます。 おもちゃメーカーTOMIXは基準寸法70mmで間に洗車台だけでなく幅狭ホームまで置ける37mmを採用してます。

駅端に4番ポイントとY字ポイントを組み合わせ安全側線にします、図は端数レールS29ですが50mm車止めレールでもOKです。 Y字ポイントが2番線で3番線を分岐します、R481の間にS64一本入れると、2/3番線に26mm幅ローカルホームが、二本入れると42mm幅近郊型ホームが適合する様にKATOストラクチャは設計されてます。

反対側は左右対称でなく上下反転しY字ポイントが1番線で貨物側線を分岐します、駅出入口の本線は33mmオフセットします。 2番線から3番線分岐にはS60を挟む必要があります、オレンジ部3線の道床切り欠き加工すれば駅全長を60mm短縮できます。

線形は規制線路で組めますがストラクチャは加工が必要です。 駅舎に何使うかによりますが、貨物側線が割り込む1番線ホームは改造前提です。 貨物側線部はローカルホームの26mm幅、他ホームは跨線橋設置の為に近郊型42mm幅で作図してます。

図面はKATOローカル駅舎で、跨線橋位置に合わせ降車専用出口と便所位置逆転して使います。 駅舎一体ホーム(ローカルホーム)縁石部を切除し近郊型ホームと一体化する、筆者が生野駅で実施した改造が必要になります。 ホーム別体駅舎なら楽です。

2/3番線ホームはKATO近郊型島式ホームとホームエンドがそのまま使える設計です。 248x3本で有効長5両です、跨線橋は各社の製品が使えると思います。

KATOローカル駅舎に近郊型ホーム屋根は似合わないと不満な方へのお薦めがコレ、GMローカルホーム上屋の転用です、筆者生野駅採用の組合せです。


今回はローカル駅線形から始まり、最後はローカル3線駅設計内容解説のまとまりのない話になりました。 と言うのも何が読者にとって価値ある情報なのか未だに良く解らないのです。 皆さん当然ご存知とサラッと流し、後日具体的に説明すると、始めて知ったの意外な反応、では前回理解されてなかったと解る経験が何度もあったからです。


露太本線線路配置は何度も出してますが、TOMIXレール付き信号機を除き全てユニトラック既製品で構成してます。 生野/中山平でのポイント用法が参考になるかもしれないと考え、当初予定外のローカル3線駅設計まで発散してしまいました(汗)


ではまた。

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