Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

10年目の露太本線 着工まで

先日写真集紹介で風太郎さんと打ち合わせた際、拙レイアウトの全貌が見えないと指摘されました。 楽屋裏を極力隠したので当然で、他にも同様な疑問をお持ちの方が居ると思います。 従来線建設着手から節目の10年ですので、全体像を最初の一歩から紹介します。


1.建物構造とレイアウトの位置関係
話は38年前1985年に遡ります、自宅建設に向け土地を取得し、▲▲ホーム、★★ハウス、■■ハイムなど大手住宅メーカーモデルルームを回って研究し、積水ハウスで建てる事にしました。 決め手は鉄骨骨格の耐久性と耐震性、そしてメーターモジュールでした。

【拙宅地質調査報告書と見積書】
事前に壁長・軒長・建具類などの見積単価表を受領し、ここに出窓、ここは嵌め殺し長窓など嫁さん希望を入れて、プリント配線板設計に使用され始めたばかりのCADで設計しました。 『設計図面自分で書いて持って来られたお客さん始めてです』と言われました。

自室のある2階西側の平面図です、自室は3mx4m和室、畳は6枚ですがメーターモジュールなので実質7.2畳です。 北側に書斎とクローゼット、1mx2mで使い勝手の良い押入とごくありふれた間取りです。 寄棟屋根で、軒は1mと0.5mから1mを選択し、夏至前後は窓桟に干した布団に日が当たらず失敗だと思いましたが、レイアウト製作には大正解でした。

レイアウト製作検討を開始したのは定年退職後1年半、3人の子供が巣立った2011年夏でした。 空いた子供部屋の使用許可は取れそうにないし、作れるのは屋根裏かなと始めて押入内点検口開けると凄い熱気、温度測定すると55℃でレイアウト設置不能環境でした。 図赤線の様に東西方向2m毎と南北方向は屋根中心線と側壁に構造鉄骨が走ってました。

自室西側半分は寄棟屋根で低くて使えず、その東側東西2n間隔構造鉄骨内面1950mm+αが使えそう、南北は屋根中心線両側各2mの4m(最終的に4.1m)がレイアウトスペースに使えそうと解りここに決めました。

建物幅6m+軒1m、屋根幅8mで五寸勾配なので屋根高さ2mです。 構造鉄骨に桁を渡して12mmコンパネ床を張り、屋根厚と構造鉄骨厚を引くと屋根中央線の一番高い場所で1.65mしかありません。 2m離れた南北端は0.65mで上下方向は非常に狭いスペースです。

東西方向から見ると真中に寄棟屋根頂点支持鉄骨柱が建っており、西側が片流れで更にスペースを狭くしてます。 図右東側に同じ2m幅で中央柱も屋根片流れもない現在延伸線建設中スペースがありますが、北側は使えても、南側が嫁さん寝室なので使えません。


東西基台幅は1950mmですが、構造鉄骨間は1965mmありました。 床は板取りとコストを考え定尺4枚、1800x3600mmで設計しました。 これで建物とレイアウトスペースの相対的位置関係が理解できたと思います。


2.レイアウト設計
自室入口廊下に昇降梯子設置前提で設計開始、作りながら考える行き当たりバッタリは個別工作で使えても、レイアウトはそうは行きません。 以下を熟考して方針を固めました。
➊どんなレイアウトを作りたいのか?
➋何を重視優先し、何を捨てるのか?
➌限られたスペースにどう収めるのか?

レイアウト製作を思い立った2011年夏から約1年間、悩みながら行きつ戻りつ、書いては消しを繰り返し、一つ一つ課題を解決しました。

最初から車両走行場所製作意図はなく、若い頃の旅で見た懐かしい日本の風景再現が目的でした、唯一スペース効率を犠牲にしてでも通過型SB信号所製作に強くこだわりました。 少しでも線路密度を下げる努力をしましたが、作るとなると欲が出て悩み抜きました。


風景設計と基台サイズと配置をキャッチボールしながらの気の遠くなる様な作業でしたが、少しも苦になりませんでした。 時間が自由になる定年退職後だからできた事ですが。

風景重視ですからストラクチャ配置、地形標高など線路を含む風景全体の一括設計です。 通過型SB信号所で本線有効長930mmが決まりました。 非現実的風景NGの条件で苦戦し、折り畳んだ本線を複線状配置するアイディアを思い付いた時は自分自身を褒めました。

【東基台南部設計図】
この様に線路とストラクチャ配置、水田・農道・用水路とその標高を記入した設計図です。 初のNレイアウト設計で詰め込み過ぎを警戒し、このエリアの風景ポイント鎮守様は図面にありません、製作時にバランス考慮し追加しました。 北町商店街も2軒追加してます。


また風景製作重視には井桁組みオープントップ台枠ですが、屋根裏台枠加工の地形製作作業は困難と考え、高さの異なるフラットトップ基台組合せ方式を採用しました。 線路より低く広いスペースが重要だったからで、峡谷部は基台なしで高低差を稼ぐ事にしました。

【敷設誤差の吸収】
いつら正確に設計しても基台上150-200mmしかない場所に設計通り敷設するのは至難の技で、ユニトラック既製レール使用前提から敷設誤差吸収手段が必要でした。 ダブルループトンネル内の見えない場所の0度と60度にスライドレールを使用し、敷設誤差を吸収する設計にしました。 御覧の様に廃トンネル跡設置を設計時点から計画してました。


3.環境改善
レイアウト設計と平行して過酷な環境改善策を検討しました。 真夏に表面温度70℃に達する屋根下の密閉空間では打つ手がありません。

そこで築26年目、2012年末に予定してた屋根リフォーム時に棟換気口設置を決めました。 更に書斎に換気扇を設置し、窓を開けて外気を屋根裏へ送り込みます。 棟換気口の効果は大きく自然換気だけで屋根裏温度は38℃前後に、換気扇運転で33℃前後に下がりました。


4.レイアウトルーム床と基台分割
ここでレイアウトルーム床張りと基台設置、及び昇降梯子取付工事を依頼する友人大工さんと屋根裏現場で打ち合わせました。 まず基台設置には全面床張りが必要、床は桁が1尺5寸(454.5mm)間隔なので、長手方向4.0mでも4.1mでも材料変らず同じと言われました。 そこで北側を100mm延長し、4100x1950mmの床と基台を設置する事にしました。

最終的に上図の基台配置に決めました。 180度回転させるとレイアウトルーム出入りが楽にできますが、東基台南北トンネル内180度カーブレールメンテがほぼ不可能になるので、これしか選択肢がありませんでした。


基台高は照明やフィーダー配線で下に潜り込み可能限界サイズ400mmと450mmの2種類、図薄緑色の南基台と東基台南側半分弱が線路より低い部分です。 なお設計時点に含まれず、着工後に増設を決定した生野町張出しスペース基台(DYI)も併記してあります。

側面図に基台を書き加えました、床に座って天井に頭が触れない900mm以上高エリアは、薄黄で示した屋根中央線から南北各1.2mのエリアです。 100mm延長した北端は屋根までの高さ不足で、基台上敷設の東基台で活用し、高架の西基台では活用できませんでした。

東西方向は鉄骨柱と西基台間が500mmしかなく、台枠に取り付けた手摺を掴んでここを通ります。 鉄骨柱と東基台間は250mmで、通り抜け不能の死にスペースになってます。


これまで紹介する機会のなかったレイアウト建設構想から用地選定と設計プロセスは以上の通りです。 設計がほぼ固まった2012年秋から使用ストラクチャ前倒し製作を開始し、レイアウトルーム設置とそれに付随する電気工事が始まったのは2013年3月初旬でした。


ではまた。

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