Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

湖南電源 常点灯は二重丸

新安全性保証回路を何とか完成に漕ぎ付け基本動作確認が終わりました。 しかし検収試験で要改善点が見つかって返送されてから1年近くなります。 以降のドタバタ経過を約15回記事公開し、最終的に安全性保証回路再設計再製作になりましたが詳細を覚えてません。

【小川を渡る急行】
先日誕生日を迎え72歳になりました、平均余命は10年ほどありますが、平均健康寿命は72歳、記憶力低下の自覚があり気を付けなくてはです。


1.検収試験要改善点レビュー
まずは本案件スタート点の確認と現状の整理から始めます。

【過去記事より転載】
改善要望点は以上4点で、筆者が発見したモーターに悪影響を与える可能性がある軽負荷時に発生する20V前後のヒゲ問題を加え5点になります。


1-1.各ノッチ加速特性
この問題は筆者ケアレスミスと確認不足で完全解決しました。

【過去記事より転載】
送品仕様はノッチ1-2が最新型電車加速率になっており、『gaou』さんにノッチ3以上は不要と言われた通りの高加速率になってました。

【過去記事より転載】
確認実験含めて2度改修し、最終仕様は旧ノッチ1がノッチ2.8、旧ノッチ2がノッチ4.5相当になりました。 その結果最高速到達時間は1分半から2分、小レイアウトなら2-3周です。   急加速不能ですが、旧型車/DC/重量貨物等ノッチ1-5フル活用可能な仕様になりました。


1-2.蒸機常点灯範囲&速度計不一致
二つの問題の原因は同じでした。 Hyper-G電源は市販電源の不満足点、テープLED室内灯常点灯性能改善目的でシャープな発振波形、後方HLチラツキ防止に低逆起電力設計をしましたが、コアレスモーター蒸機には双方が裏目に出る結果になり、奥の手を使いました。 

【過去記事より転載】
Hyper-G電源設計情報収集で読み漁ったスイッチング電源動作解析学術論文(今となっては出典不明)にToff改善策として触れられてたショットキーダイオードを使う方法です。

【過去記事より転載】
効果は劇的でToffが1/4、解り易く言えば最低安定出力電圧が、コアレスモーター蒸機走行開始電圧に近い0.7Vから0.2V未満に改善しました。 Toff短縮の出力電圧低下は常点灯域で4-5倍、低速域で倍、次第に減り最高速でゼロになります。 従って検収試験で指摘された『速度計25km/h表示時の速度感45km/h』問題も解決します。 ただし蒸機常点灯性能はその後色々変更してるので、N-1001-CL比較で再出荷前性能確認が必要です。


1-3.安全性保証回路動作&ヒゲ問題
この二つの問題は表と裏の関係にあります。 元はと言えば2回路入りコンパレータに出力回路と操作系追加で低コスト2CH電源可能判断の誤りでした。 2CHは無理と気付きHyper-G製作記事を1CH限定に改訂した時、湖南電源製作は既に後戻りできない状態でした。

【過去記事より転載】
正面強行突破を図りましたが、《安全性保証回路追加》⇒《金属皮膜抵抗/ポリスイッチGND側挿入》⇒《ヒゲ問題発生》の泥沼に嵌り、もがき苦しんだ末に、Hyper-G特長の高速スイッチングをトロくするスピードダウンコンデンサ追加で何とかヒゲ退治できました。


安全性保証回路でトランジスタ焼損等重大事故は保護されてますが、ヒゲ対策で感度が落ちてます。 前回組立完了後試験で動作しましたが、軽負荷常点灯時ショートで確実動作する自信はありません。 考えられる手を打った新安全性保証回路で結果待ちの状況です。

【KATO旧キハ58急行ろふと号】
以上がこれまでの経過レビューですが、筆者自身がが次から次に発生する問題に翻弄されて頭が混乱し、100%回路動作を理解できてないのが偽らざる実情です。 手を打ち尽くした現状で使っていただくしかないかもと、納入先の『gaou』さんと調整を開始しました。


2.蒸機常点灯性能
まずはヒゲ対策や安全性保証回路置き換え前に確認した蒸機常点灯特性再確認からです。 検収試験ではTOMIX N-1001-CLに劣る性能でした。

昨年計測したN-1001-CL結果は以上で、常点灯ダイアル2・3でコアレスモーター蒸機常点灯が可能な実用性能を有してます。 今回は電圧と出力波形含めて湖南電源と比較します。 上記計測は初夏、今回計測日は2月下旬真冬日、期せずして温度特性計測になりました。


2-1.N-1001-CL
試験始めようとしたらアレッ、速度/常点灯ダイアル0でディレクションスイッチオンしたら薄っすら常点灯、微小電圧が出力されてます。 低温時に出力電圧が高くなる特性の様で、望ましくはありませんが精密機器でなく一般機器、それも趣味用なので仕方ありません。


➊常点灯ダイアル0(微点灯実用範囲外)

これがその時の状態、出力電圧は0.03V、良く見れば薄っすら点灯なので評価Xにはできませんが、全くの実用範囲外です。

オシロスコープで波形観察するとピーク6Vの鈍ったパルスが出てました、LEDは3V以上で点灯するのでわずかに点灯し検知できた訳です。


➋常点灯ダイアル2(微点灯実用下限値)
常点灯ダイアル1にすると点灯がハッキリ解りますが輝度不足で実用範囲外、ダイアル2にすると前回計測と同じく実用下限値になりました。

実用下限値なので評価は〇、出力電圧は0.23Vでした。

波形観察するとピーク12V出てますので、これならD51牽引旧客がテープLED室内灯採用してても輝度は???ですが点灯確認できるハズです。


➌常点灯ダイアル4(微点灯実用上限値)
前回計測ではダイアル2・3が常点灯実用域、ダイアル4でピクピクしダイアル5で走行開始でしたが、今回はダイアル4でピクピクせず常点灯実用域でした。 N-1000-CLは低温時出力電圧が高目になると同時に、速度調整に対する出力電圧上昇がゆっくりになる様です。

ダイアル3・4では輝度十分評価◎の常点灯します、ダイアル4出力電圧は0.58Vでした。 ダイアル5で出力電圧約0.8Vになり走行開始します。

波形観察するとピーク12Vの綺麗なパルスが出力されてました。 設計には問題のあるTOMIX制御機器ですが、実用性能は十分確保されてます。


2-2.湖南電源
さて、優れた常点灯性能がセールスポイントのHyper-GがN-1001-CLに負ける訳にはいきません、湖南電源の蒸機常点灯性能確認です。


➊N-1001-CLダイアル4相当出力電圧
湖南電源評価はダイアルステップ可変しかできないN-1001-CLに試験条件を合わせ、1対1比較できる様に高電圧側から逆の順番で行います。

N-1001-CLダイアル4相当の出力電圧0.57Vでは評価◎の十分な輝度で常点灯します。 湖南電源は速度/常点灯ゼロ調整時に電圧出力がない様に常点灯VR下側に遊びを持たせてますが、低温時に遊びが増える温度特性(今回判明)で、常点灯ダイアル6.4/10でした。

ヒゲ対策効果で14V以下に収まっておりモーターへの悪影響はありません、N-1001-CLよりパルス幅が狭いのは、湖南電源約25kHz、N-1001-CL約18kHzの発振周波数の違いです。


➋N-1001-CLダイアル2相当出力電圧
続いてN-1001-CLダイアル2相当出力電圧0.23Vの評価です。

輝度は落ちますが落ち方は緩やか、N-1001-CL写真と並べても差があり評価◎にしました。 常点灯ダイアルは5.4、0.57V出力から1目盛30度、連続可変できるメリットがあります。

波形観察すると0.57Vの幅を狭くしたパルスが出力されてます。 N-1001-CLより常点灯が明るいのは、パルス面積に占めるLED点灯に有効な3V以上成分が大きいからです。 テープLED室内灯使用時は3本直列+ブリッジダイオードで10V以上有効なので差が拡大します。


➌湖南電源常点灯実用下限値
0.23V出力で評価◎なので、更に下げて感覚的実用下限値に常点灯VRを合わせました。

筆者の主観で下限値と思われる位置に調整すると、ダイアル5.0、出力電圧0.10Vでした。

波形観察するとパルス幅は狭くなってますがピーク12Vは変わらずHyper-Gの強みです。


➍湖南電源点灯確認下限値
最後にどこまで点灯確認できるか更に常点灯VRを下げてみました。

ダイアル4.8まで点灯確認できます、N-1001-CLダイアル0よりは明るく、これ以下は発振が間欠的になりチラチラします。 昨年初夏評価時はダイアル3.5付近でこの状態でしたので、ダイアル1.3分の温度特性です。

波形確認するとピーク9.3Vの尖ったパルスが出力されてました。 さすがにこの領域ではピーク12Vパルス出力は無理な様です。


2-3.蒸機常点灯評価まとめ
今回の蒸機常点灯評価でN-1001-CLが結構良い性能なのに驚かされました、以前の評価では常点灯域出力波形がもっと鈍ってた印象がありました、寒いと調子良いのかも(笑) 戯言はさて置き、常点灯ダイアル2-3ヶ所でコアレスモーター蒸機常点灯可能な性能です。

Hyper-G湖南電源は常点灯VRダイアル5.0から6.4、ツマミ確度42度の範囲で調整可能、かつN-1001-CLより低電圧出力時輝度が優れており、検収試験指摘要改善点が解決されてる事が確認できました。 第一関門は突破、いよいよ本丸の安全性保証回路動作特性です。


ではまた。

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