Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

半世紀前のTMS 1967年7月号➊

半世紀前の鉄道雑誌シリーズ、今回はTMS1967年7月号です。

表紙は16番庭園レイアウトです。 スペース制約がNの倍近く厳しい16番の庭園レイアウトは多数存在しても不思議でなかったのですが、TMS誌上に紹介されたのはごくわずかです、屋外環境の短寿命と、ストラクチャを配置できず実感演出困難な事が原因と思われます。


1.巻頭広告から
広告は時代を写す鏡と言われてます、同号巻頭広告からです。

天賞堂9600は一番欲しかった16番機関車です。 写真からも低いランボードと高重心ボイラー、適度なディテールのスッキリした仕上がりで、銀座天賞堂て眺めため息をついた物です、他社製品の倍近い高級品でした。

この号の6-7年前になりますが、毎年10月1日が『都民の日』で学校が休みになりました。 都電/都バス/上野動物園は無料で、渋谷から10系統須田町行都電で出掛けた事が何度かあります。 地図に記載された万世橋交通博物館(有料)、カワイモデルと並びの鉄道模型社訪問がお決りコースで、模型店は見るだけ、都電片道1時間の1日鉄道模型小旅行でした。


2.神戸高校運転会
作品グラフ前の特集扱いで神戸高校運転会の様子が紹介されてます。

5月3日文化祭の運転会に備え7ヶ月前から準備した組立式レイアウトです。 『神戸高校』の様に都市名を冠した校名は旧制一高、公立男子進学校が普通で、公立校で組立式レイアウトは親の負担が重く難しい、私立校かと調べると、兵庫県立の由緒ある公立高校でした。

3mx5mで1教室を占有するサイズです。 線路配置図掲載されてませんが、高架含めてエンドレス4本、連絡線とリバースもある様です。 気になるのが右下のパワーパック、最外周エンドレスを文化祭来訪者体験運転用に開放し、その為の電源の様に見えます。

8両編成停車可能な長いホームと8線ヤードを備えた高校文化祭とは思えない本格的な組立式レイアウトです。 主催は鉄道研究会ではなく工学研究班、電源や制御はクラブ活動目的に合致しても、全員が鉄道模型に興味がありレールや車両を持ち寄れるとは限りません。

レール/ポイント、ポイントマシン、制御装置、路盤など車両を除く材料費だけで10万円近い費用が必要だったと思われ、その工面をどうしたのか気になります。 当時公立高校生小遣いは平均2千円/月の時代です。

走行車両は多分発売直後のカワイ113系ではないかと思われます、少なくとも4連以上、お金の話ばかりで恐縮ですが、部員に富裕層子弟が居たか、鉄道模型好きのクラブ先輩が居てスポンサーになったかでもしない限り、当時の公立高校では考えにくい事なのです。

走行電源は市販品の様ですが、立派なポイント/フィーダー制御盤を製作してます。 ここに並んだ坊主頭の多くは筆者同級生(当時高校3年)、ご健在なら72-73歳の経済発展を支えた企業戦士の若かりし頃です。


3.庭園レイアウト
それでは表紙を飾った庭園レイアウト武庫鉄道の紹介記事です。

写真奥右が製作者、左が共同制作者の息子さんです。 庭園レイアウト製作のキッカケは、息子さんが凸凹の畳の上にベニヤ板を敷いて線路敷設しても脱線多発、誰かが歩けば転覆事故が発生のご難続きの走行安定性改善と、運転楽しんだ後の片付け不要が目的でした。

1期工事はループ線付きエンドレスと平面エンドレスに見えますが、実際は長大エンドレスを折り畳んだ線路配置です。 ループ線がR560一周なので、最初は10%勾配で敷設し、2期工事時に7%に改修されてます、それでも旧碓氷峠、箱根登山鉄道並みの急勾配です。

3期工事で中間駅のある右側部分とヤードが増設されてます。 二つの列車交換施設のある長大エンドレス2列車運転線路配置で、方向転換可能なリバース線はありません。

屋外環境は厳しく泥ハネ防止に全線32mm塩ビパイプにべニヤ2重塗装で高架敷設した路盤は1年持たずに腐食し、対水べニヤで再敷設したそうです。 耐水ベニヤの対候性は高が知れており、果たして何年持ったのでしょうか、息子さん成人までは難しかったのではと。


4.アシュピット
この号にシナリーガイド著者K氏が『アシュピット』を執筆されてます。

蒸機は石炭を燃やし水を沸騰させた蒸気圧でピストンを押し、往復運動を回転運動に変換して推進力を得てます。 石炭の燃えカスを沿線に撒き散らすと火事の原因になるので、アショパンに貯め、停車駅や機関区給水作業中に捨てる設備がアシュピットです。

【横手機関区内アシュピット】
K氏は機関区内給炭給水設備がある場所には必ずアシュピットが設けられてると解説してます。 すると当社延伸線倉元駐泊所給水塔付近にもアシュピット設置が必要になります。

【奥羽本線院内駅】

院内は新庄から雄勝峠越え補機の解放駅で機関車駐泊所がありました、1線式転車台の奥に単線機関庫があったと記憶してます。 あやふやですが左駅舎のあるのが1番線下りホーム、2番線上りホーム先スポートが蒸機後部、その先火室下にアシュピットがあります。

【木曽福島駅】

灰は灰置場に保存し路盤流出等災害復旧に使用されます。 保存した灰を積み出す専用側線を有する駅もあった様で始めて知りました。

これも始めて知りました、ピットのない灰捨場で、枕木が燃えない様に短いコンクリート枕木で敷設し、線路間に灰を落とす方式です。 頻繁に灰掃除をしなくてはなりませんね。


ではまた。

娘の里帰り

娘と言っても実の娘ではありません、手塩にかけた娘の様なHyper-G Evo湖南電源がマイナートラブルで一時帰宅したのです。

マイナートラブルとは常点灯調整範囲が不足し、調整Maxで走行開始しない通常モーター車両の存在です。 速度計は常点灯電圧と走行電圧差の演算表示方式なので、調整Maxでノッチオンすると速度計10km/h前後で走行開始します。 調整Maxで走行開始しないと速度計精度が落ち、構内回送運転を常点灯VRで行う事もできないので改修する事になりました。

【関西圏在住だとJoshinがメイン調達先になる様です】
今回の改修は設計ミスと言うより何を優先するか考え方の問題であり,、連載中Hyper-G Evo製作にも関係しますので詳細に解説します。

【後述する様に更に変更します】
常点灯調整はVR51の300度回転角に0-10の目盛りを振ってます。 最終仕様は25kΩに33kΩ並列ですが、湖南電源は10kΩで並列抵抗なしになってました。 0.7Vで走行開始するKATOコアレスモーター蒸機常点灯調整をやり易くする為の部品選択でした。  なおVR52 20kΩは基板実装部品で、VR51調整範囲を平行移動させる機能を持ってます。

常点灯調整特性を計測すると、3月末出荷検査時に1.5目盛だった下側不感帯が2.0目盛に、2.05Vだった最高出力電圧が1.89Vに変化してました。 計測時外気温度差10度による温度ドリフトが原因で、2V超えればOKの筆者判断が甘かった訳です。 なお蒸機常点灯は3.0-4.0目盛で可能、目盛10付近の飽和は回転角約270度/300度/が抵抗変化領域だからです。


点線で示したのは3月上旬VR52調整ポイント決定時の計測で、冷間電源オン時の微電圧出力を避けて決めました。 温度ドリフトは高温ほど常点灯域出力電圧が低くなる傾向で、結果的には左側ドブに落ちない様に気にして右側ドブに落ちた形で、つまり道幅(調整範囲)が狭く、冷間電源オン時の微電圧出力を許容しない限り調整範囲を広げるしかありません。

【湖南総合運転所N-1001-CL】
比較評価用N-1001-CLは速度調整VRゼロ、常点灯ダイアルゼロの冷間時オンで微電圧出力があり蒸機HLがチラチラ微光点灯し、1分弱で無出力になりました。 20℃前後で使用すると常点灯ダイアル2ステップまで不感帯なのでHyper-G Evoと同傾向の温度ドリフトです。


精密計測機器等では温度ドリフトしない回路方式や部品選定をしますが、安価な模型用電源はコスト優先で、市販電源全て確認した訳ではありませんが温度ドリフトがあります。

PWM波発生源発振回路周波数は抵抗とコンデンサの時定数で決まり、温度上昇すると主にコンデンサ温度特性で発振周波数が若干上昇します。 すると三角波の振幅が若干小さくなり、三角波中心値は1/2電源電圧なので上限値が少し低く、下限値が少し高くなります。 文章説明ではイメージ掴むのが難しいと思われますので図解します。

青が低温時、赤が高温時の模式図です。 高温時は三角波下限値が上昇し、周波数上昇で周期が少し短くなってます。 PWM出力は三角波とVcompのコンパレートで発生するので、図上の様に高温時はパルス幅が狭く、つまり出力電圧が低下します。 三角波上限値が下がる高電圧側でも同じ事が発生しますが、11.0Vが11.15Vになっても影響はわずかです。


さて常点灯調整範囲を広げるにはVR51を大きくすれば良いのですが、パネル取付小型VRの10kΩの上は25kΩで、上限電圧OKでも蒸機常点灯調整範囲が1.0目盛から0.4目盛に1/2.5になり調整困難になってしまいます。

そこで25kΩVRに33kΩ並列接続し、VR MAX時約13.2kΩで使用する旧設計に戻す方法を選択したのですが、回転角vs抵抗値特性の立ち上がりが急で、蒸機常点灯調整範囲が0.5目盛/15度と狭くやはり使い難いのです。

【ボリューム抵抗値変化特性】
困りました、変更前10kΩも変更後25kΩも回転角vs抵抗値がリニアなB特性で、並列抵抗によりC特性に近くなってしまうのです。 オーディオ機器に使われるA特性25kΩが調達可能なら常点灯上限電圧と蒸機常点灯調整範囲を両立できます、秋月HP探して見ると・・・。

A特性は10kΩ/50kΩしかなくダメでした。 ところが見落としか追加か以前10kΩの上は25kΩと思ってたのに20kΩがありました。 20kΩに100kΩ並列接続すれば少しは使い易くなります。 湖南電源と延伸線用に予備加えて5個¥200、送料は¥500、仕方ありません。

➊入荷しました、表示B20Kは抵抗変化特性と抵抗値です、実は前出25kΩ+33kΩは取付/取外し/再取付3回の半田付けで散発的接触不良が発生、端子の過度加熱が原因と思われます。
➋並列100kΩを左/中央端子へ通し、中央端子から右端子へ通します、抵抗足にリード線半田付けして加熱による接触不良リスクを避けます。
➌念の為に端子金属部に半田ゴテ熱逃がしクリップを付けて3端子を半田付けしました。
➍延伸線用を含め20kΩVR4個に100kΩを取り付けました。

20kΩと100kΩ合成抵抗計算値は16.7kΩですが、加工した4個は15.5kΩ~17.0kΩ、VR抵抗値許容差±20%ではこんな物、蒸機常点灯調整がやり易い低い物2個を湖南電源に使います。 一番合成抵抗値が低い15.5KΩ品をメインCHに取り付けました、写真品はサブCHです。

20℃環境常点灯調整Maxで電源オン直後の出力は約2.8V、すぐに下がり始め約5分で2.40Vに安定しました。 温度ドリフト(起動ドリフト)は結構大きく、電源オン後5分以上ウオームアップした方が良さそうです。

蒸機常点灯調整範囲は0.6目盛/18度に20%改善しました、数字にするとわずかですが感覚的にはかなり蒸機常点灯調整がやり易くなりました。 一方常点灯調整最高電圧は、改修前10kΩVR時Maxが6.0目盛、最大2.4Vなので通常モーター車走行開始に十分になりました。

サブCH常点灯VRも交換、合成抵抗値が15.77kΩと若干大きいので、常点灯調整Max時安定電圧がメインCH2.40Vに対し2.46Vになりました。 基本動作確認して梱包、嫁ぎ先へ帰り支度です、『もう里帰りするなよ』と良く言い聞かせました(笑)

最後に最終回路図を掲載して置きます。 なお本記事作成中の5月20日にHyper-G Evo製作情報を先行して改訂してあります。


ではまた。

水門ハンドルの再製作

『oomori』さんから頂戴したセキハンドルの加工は何とかできた物の、現在の視力では扱える下限サイズと解り、別用途に使用する予定です。


ハンドル捜索中に給水ハンドル軸紛失の1mmビス2本を発見しました。 照明+拡大鏡で何かあるのが解り、更に拡大して正体か解る現状です。

水門ハンドルを再製作するに当たり現物確認をしました。 用水路分岐点の標準的水門ハンドルです。 上下刻印してありますが、ハンドル回すと水門が上下し水量が変わります。

ハンドル直径50cm、Nスケール3.33mmです、1.3倍オーバースケール許容して4.5mm以下です。 一方ハンドル把手部分はザッと33mmと華奢で、スケール0.22mmは真鍮板エッチングでない限りとても無理です。

水量管理なし開閉だけの水門もあり、右持手上が開、左持手下が閉です。 双方が同一所有者水田用水路の場合に使われてる様で、水利権に関係なく流路を決めるだけだからです。 写真持手は四角ですが、軸線を逆三角形に曲げただけのタイプもあり、製作が容易です。

給水塔ハンドルはφ6mmからφ4mmを打ち抜いて整形しましたが、水門ハンドルはφ5mmからφ3mmを打ち抜いて整形し、4.3-4.4mm径に仕上げました。 また整形後素材の0.5tプラ板を削り約0.35mmに仕上げてます。

スポーク部分を薄くする為、0.3tプラ板加工を試みましたが強度不足で加工不能でした。 給水塔ハンドルと同じ0.5tプラ板4方向に2.5mm穴を空け、ヤスリで加工しました。

厚さ計測すると穴空けメクレにより0.65-0.7mmで厚過ぎます。

メクレを削り落としてから更にゴシゴシ、0.3-0.35mmに仕上げました。 この厚さではハンドル軸の0.5mm真鍮線固定が困難なので、ハンドルに台座を取り付ける事にしました。

➊2mmプラ丸棒を40mmほどに切ります。
➋一端をドリルレースで径1.6mmに削りました、最近耳にしませんが50年以上昔のモデラーが砲弾型ヘッドライト等の丸い部品を、素材をドリルに咥えヤスリで削り出す技法です。
➌1.6mmに削った部分を目分量約1mmにスライスします。
➍これをスポーク部中心に接着してハンドル台座にします。

➊スポーク部中心に0.6mm穴を空けます。
➋木片に1mmの深い穴を空け、台座が嵌る様に浚い、部品セットした状態でハンドル位置合わせをして接着します、悲しいかな穴位置偏心です。
➌ハンドル軸0.5mm真鍮線を通し瞬着スポイト滴下で固着します。(撮影後に滴下です)
➍スポーク部余分をカットすれば水門ハンドル外形完成です。

少し残ってた黒鉄色スプレーを吹きました。 現状品と比較すると外形が小さく形状がハンドルらしくなっており、従来線用としてOKにします。

単体では細部のアラが目立ちましたが、実際に取り付けるとこの通り、サイズが小さくなっただけでなく立体的造形の効果があり、ハンドル持手が浮き上がり存在感が増しました。


ではまた。