Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

Wさんレイアウト⑦KATO転車台は顧客視点欠如


昨年末からWさんの依頼を受けレイアウト設計のお手伝いをしてきましたが、残る電気設計サポートは転車台制御のみになりました。

【小川を渡るキハ】


★転車台の制御
KATO転車台は湖南総合運転所で採用しており一通り動作理解してましたが、今回は電気が苦手なWさんサポートなので再度仕様を精読しました。

【KATO製品紹介ページより】
そしてこの製品はKATOにしては珍しくユーザーフレンドリーな設計になっておらず、非常に使い難い仕様だと解りました。 何故そうなったかを含め後ほど種明かしします。

KATO転車台にはターンテーブルコントローラ(TTC)が付属され転車台の回転操作を行います。 転車台にはフィーダーFTTが設置されており、ここには7番線F7を接続し、F7選択キャブA/Bで運転します。 転車台は図の様に主桁開通両方向のみに給電します。 TTCはディレクションSWを装備してますが、この機能と操作法については別に解説します。

FTT(F7)は主桁両方向に給電するので、転車台進入線対角に駐機機関車があると、転車台進入機関車と同時走行してしまいます。 この問題を防止する為にギャップGK1/GK2を設置し、その両側をON/OFFする出庫用3PトグルSW2個を制御盤に設置しました。

KATO転車台は180度回転でフィーダー極性が反転します。 転車台進入機関車が方向転換するとレール極性が逆転し上図の様にショートしますので、転車台進入線2本にギャップGT1/GT2を設置しました。

入庫後方向転換しすぐ出庫する場合、極性反転によりTTCディレクションSW操作不要ですが、F7選択キャブのディレクションSWを逆転しないとGT1/GT2で車輪ショートが発生します。 TTC前進/後退はレイアウト他部分の前進/後退と関係なく転車台操作室方向で決まるからです、つまり操作室反対側への走行が前進、操作室側への走行が後退で、同じ方向に走行させるには操作室向きによりディレクションSW操作が必要なのです。

180度毎極性反転は主桁両レールにFTT±端子を固定した電気特性です、転車台に回転制限はないので、実際には固定せず何らかの機構か回路でこの機能実現してます。 最初に書いた様に設計ミスとは言えませんが、ユーザーへの配慮に欠けた設計だと筆者は考えてます。

FTT給電の一番単純で低コストな構造は上図の様に回転する主桁両レール接点とFTT±端子のバネ接触給電で、主桁両方向レール給電もこの方式だと思われます。 そしてこの場合は180度回転しても極性反転しません。 と言う事はKATOは意図的に追加コスト掛けて主桁両レールとFTT接続を一定にする機能を付加してます、何故なのでしょう?

『見てきた様な嘘』という言葉がありますが見なくても解ります、100%上記ロジックです。 リバース線は走り抜けるだけ、一方奥に扇形庫がある転車台は停止前後進があり使い難い仕様です。 極性反転しなければディレクションSW不要で走行方向に迷いません。


★もう一つの転車台
そう言えば某玩具メーカーも転車台発売してたと電気仕様調査しました。

【通販店製品紹介ページより】
KATO駐機線10度刻みに対し15度刻みなのがいかにもこのメーカーらしいと思わずニヤリ、KATOの頑張った複線間隔33mm(これでも広過ぎ)に対し37mmでお茶を濁してるのと同じです。 専用扇形庫の扉自動開閉は噴飯物、プラレール発想でKATOと差別化ですか?

【同社用法解説より】
アッ、やっぱりTTCにディレクションSW付けてる!、発売時期後先知りませんがKATO設計パクったのかもね。 コンセプトだけ素晴らしい(品質は評価対象外)完全選択式ポイントメリット活かして使い易さで差別化するのが本筋でしょ!。 エッ、どうしたら良いか解らない?、顧客の声を聞く耳持たぬ相手に教える義理ありません、自分で考えなさい(爆)

【同社用法解説より】
180度回転時進入線でショート発生、KATOと全く同仕様です。 電気が苦手な人を食い物にするメーカーですから、使い易さは別にしてマニュアル通り繋げば動く、両ギャップ専用レールまで付属し抜かりありません。


★KATO転車台仕様の問題点
問題指摘しましたがKATO設計者を責められません。 欠陥製品ではなく良かれと思った事が結果として裏目に出る、厳しく言えば顧客視点欠如ですが、思い込みの罠に嵌り抜け出せなくなった典型です。 では極性反転仕様問題点を一番単純な転車台例で解説します。

【『駅をレイアウトするその2』より転載】
旧柘植機関支区転車台は進入線1本だけで駐機線なしです。 転車台は様々な用法含めた設計なのでFTT、進入線ギャップ、対角駐機線ギャップと出庫SWは必要です、では現KATO極性反転する場合としない場合の入庫から方向転換して出庫までの運転操作を比較します。

KATO転車台は入庫前に電源と機関区内電源極性を合わせ進入線ギャップで車輪ショートしない様に転車台回転またはディレクションSW操作が必要です。 主桁操作室手前でTTCディレクションSW前進ならOK、でも操作室奥でディレクションSW後退でもOKなのです。


そして②運転③回転、④ディレクションSW逆転は進行方向逆だから当然ですね、⑤出庫で一連の運転操作終了です。 では極性反転しない場合の運転操作はどうなるでしょうか?

-

一目瞭然、面倒な①の手順が全て不要で他は同じ、TTCディレクションSWも不要ですし、転車台/機関区内と本線の前進/後退同じです。 180度毎極性反転機能は、独りよがり設計にユーザーを付き合わせ使い難くするだけでメリットほぼゼロ、全くバカげた設計です。


ほぼゼロと書いたのは小さな差があるからで、現KATO仕様は進入線1本、駐機線35本が可能です。 極性反転廃止して走行方向揃えるには駐機線18本に制限され転車台角度に注意して設置する必要が出てきます。

例えばWさんレイアウト機関庫は転車台奥16線なので主桁レール極性切替点を上図の狭い範囲に合わせないと機関車前進/後退が揃いません。 でもマイナス面はそれだけ、簡単操作メリットが大きく上回ります。 

KATOが極性反転機能廃止改善設計したと仮定したら、どんなユーザーメリットが得られるでしょうか、上記の様に格段に使い易く低価格化も期待大です。 現在運転目印の操作室は単なるアクセサリーになります。


筆者はアンチTOMIX、KATO信奉者ではありません。 ダメな物はダメ、良い物は良いの是々非々スタンスで、KATO両渡線ギャップには苦言を呈してます。 この転車台はKATO電気設計痛恨のエラーだと思います。

KATO転車台設計者の思考論理に誤りはありません、一種のリバース線の理解からスタートすればこの通りの設計になります。 惜しむらくはリバース線でない前提でスタートしたらどんな設計になり、どちらが使い易いかユーザー視点で比較する検証を怠った事です。 


★KATO転車台防衛的操作法
仮に筆者がKATO転車台使うなら分解調査し極性反転機能を殺します。 と言ってWさん転車台改造請け負えませんので、せめてミスが起き難い運転法を提案するしかありません。 主桁方向とディレクションSW双方が走行方向を決めるので原則決めて解り易くします。


最初原則1として扇形庫前向き駐機を考えましたが、梅小路博物館なら兎も角、上下運転のある『生きた機関区』らしくありませんし、画一的風景も気に入らず考え直しました。 

原則1は入出庫作業開始時の転車台向きをルール化する事です。 入庫なら操作室手前、出庫なら奥、機関車が前進運転か後退運転かに係らずこのルールを適用します。

次にTTCディレクションSWは前進を基準位置にします、前進で原則1入出庫作業開始すれば、進入線ギャップでの車輪ショートも扇形庫裏の壁を突き破る事故も起こりません。

そして入出庫作業中転車台で機関車向きを前から後ろ及び後ろから前へ変えたらTTCディレクションSWを後退に切り替え、入出庫作業完了まで保持、完了後前進に戻します。 練習繰り返し体に覚えさせるしか暴走防止法がなく、毎回考えたら頭がウニになります(笑)


転車台用法については次回操作方法解説で詳しく図解予定です。 でも思い込みって恐ろしい!、リバース線発想でこうなってるのは知ってたけれど、よ~く考えたら落とし穴に嵌ってる実態が見えた面白い経験でした。


ではまた。

×

非ログインユーザーとして返信する