Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

会員が選ぶ2023年TOP10

拙ブログは何でもネタにしており、4年前に第2の趣味として始めた俳句についても『旅・鉄道関連句』を紹介してます。 興味のない方はスルーされるので、アクセス数が少ないのは当然ですが、それでも興味を持っていただける読者が少しはいらっしゃる様です。


所属俳句結社機関誌1月号に会員が選ぶ年間TOP10が掲載されました。 150余名の同人が12-11月号1年間掲載の350余名の会員入選句約2万句から『私が選ぶ年間TOP10』を発表するイベントです。 今回から参加資格ありましたが、目が悪く読めず不参加にしました。

【雪化粧の八ヶ岳連峰】
自分以外の10名の各1句を選ぶ訳で、選者数と対象者の単純算術平均では4句選ばれる計算になります。 しかし句歴30年以上や全国大会特選受賞のハイ・アマチュア俳人がゴロゴロ在籍するので、これまで拙句が選ばれ掲載されたのは1句か多くて2句でした。 ド素人から4年で同人末席に加えられた身として至極当然、選ばれただけ上出来と考えてました。


ところが、ナナ何と今回算術平均を大きく超える8名の選者が拙句を年間TOP10に選んでくれました。 『旅・鉄道関連句』以外も含まれますが、自句自解と共に紹介します。

【八ヶ岳連峰から昇る年末の満月】
俳句は最も短い詩形で『省略の文学』と呼ばれてます。 技術的な巧拙はありますが絶対的な評価の物差しはありません。 作者の手を離れた瞬間から作品は独り歩きを始め、鑑賞者は自分の経験や感性を通して作品を味わう共同作業『共創』で佳し悪しが決まります。


従ってある人が感激し高く評価しても、他の人には句意が通じず心に響かない事も良く起こります。 前置きが長くなりました年間TOP10に選ばれた句を作句順に紹介します。 なお選者名と他の選句は個人情報・著作物(拙句も著作物です)ですのでマスクしてます。


選1.2022年12月

2004-2010年の6年間東京へ単身赴任し、金帰月来生活した体験句です。 18時半頃夕食を摂り就寝は0時過ぎ、小腹が空いた時の為にソース焼ソバを常備してました。 冬場湯切りするとシンクがボコンと鳴ります、寒さと一人暮らしの侘びしさを象徴する音でした。


選2.2023年1月

この句は『旅・鉄道関連句』として紹介してます。
◆昔の東北駆け足旅と句-05

【画像出典 風太郎のPな日々】・・・過去記事より
会員の平均年齢は高く戦争体験をお持ちの方も多く、蒸機時代の句は理解され易い様です。 逆にご高齢の方が終戦前後を詠んだ句は、共有体験がなく理解できない事があります。


選3.2023年1月

前句と一緒に紹介したこの句も選ばれました。

【画像出典 風太郎のPな日々】・・・過去記事より
ストーブ列車を含めた当時の時代背景をご存じの方は、『ストーブ周辺を占領する女性達は、顔見知りで毎日同じ列車を利用する行商ではないか』と、説明がなくても想像を膨らませて鑑賞してくれます。

【画像出典 風太郎のPな日々】・・・過去記事より
1月掲載入選句の中で結社主宰の先生から通信句会年間賞をいただいたのがこの句ですが、会員が選ぶTOP10に入ってません。 弟子は師の指導を受けますが、師の評価に従う訳ではなく、各人が俳句作家としての感性や評価軸を大切にしてるのでこんな結果になります。


俳句はスナップショットだと感じる筆者は、サッと読み下してリズムが良く、鮮やかに情景を思い浮かべる事ができるのを選句時の第一条件にしてます。 そして書かれてない部分に隠れた情景や感情が奥深いほど、つまり余白が広いほど佳い句だと考えてます。


4.2023年3月

字を書く事を覚え始めた3歳児は両親に絵手紙を書いて送ります。 褒めて欲しい気持ちもあるし、自分はこれだけできる様になったと自信も持ちたいのでしょう。 でもまだ知識が十分でなく一部の文字が鏡文字になってたりします。 我家の娘は『す』の字がしばらく左右反対でした。 『菫(すみれ)』が3月の季語で娘と重なり『す音』で韻を踏んでます。


5.2023年5月

3人の子供達が成人し家を出てから10年少々になります。 3人で15平米、3段ベッドと勉強机が並んでた子供部屋は使われておらず、物置の様になってます。 子育てが終わった安堵感と寂しさ、自分の親もこんな気持を味わっていたのだろうかと思います。


6.2023年5月

子供達に代々引き継がれたクマのぬいぐるみ、ボロボロで孫が遊ぶ訳でもないのに、何故か捨てられません。 前句と季語『子供の日』を使ってます、季語の力を信じ季語に語らせるのです。 物置然とした部屋は子供が巣立った子供部屋、ぬいぐるみは昔子供が遊んだ物と鑑賞者が推察してくれるのです。 選者も似た経験をお持ちで共感されたと思います。


7.2023年7月

カギ括弧に入れた話し言葉に状況を語らせ映像を想起させる手法の句で、特選獲得句です。 短いトンネル毎に蒸機列車窓を慌ただしく閉めたり空けたりしてる都会から来た若者に、長いトンネル手前で乗客の地元ご老人が掛け声指示した実体験を詠んだ句です。

【2023.12.30更新より転載】
この句は何処かで紹介済と調べたら、年末の振り返りでした。


8.2023年8月

広島への原爆投下は1945年8月6日8時15分です、毎年この日この時間に茅野市内にはアナウンスに続き1分間平和の鐘の音が流れ、黙祷を捧げます、長崎忌の日も同じで、解説不要ですね。 余白の少ない直球勝負句で入選掲載された物の、TOP10に選ばれて驚いてます。

【時雨が過ぎて虹】
今回8人の選者が拙句を2023年TOP10に選んでくれた事は、大きな喜びであり驚きでもあったのですが、更に驚いたのは選ばれた8句が全て異なる事でした。 俳句は作者と鑑賞者の共創であると改めて感じました。 鉄分なし話へのお付き合いありがとうございました。


ではまた。

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