Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

湖南電源 やっぱりこんな物?

結果見るのが怖くて放置してた湖南電源安全性保証回路の動作確認です。

【小川を渡る急行】


3.安全性保証回路動作確認
3-1.筆者のジレンマ
過電流検出にヒゲ対策で金属皮膜抵抗使えないと判断した時から、安全性保証回路動作にはずっと以下のジレンマが付きまとってました。

抵抗は常点灯から最大出力までパルス幅が違うだけで同じ様に電圧上昇し、安全性保証回路を動作させる0.7Vに達しますが、ポリスイッチは過電流による自己発熱で高抵抗にトリップするデバイスなので、パルス幅が狭い低出力電圧では発熱量不足で動作しにくいのです。

安全性保証回路(以下同じ意味の保護回路と表記します)の目的は、破損防止とショート事故発生告知です。 筆者所有KATOハイパーDは敏感過ぎて回路実験電源使用時は、電源ライン電解コンデンサ充電電流で保護回路が動作し、非常に使い難い保護回路特性でした。

【KATOハイパーD左側面リセットボタン】
ハイパーDの過敏な保護回路は評判が悪くクレームが多かった様で、後継パイパーDXは感度を落としリセットボタンを廃止してます。 『oomori』さんとコラボ企画したスタンダードSX性能評価時に、保護回路動作確認だけで感度測定を行わなかったのが悔やまれます。


3-2.予備実験
前回、蒸機常点灯試験時に、N-1001-CLと湖南電源の蒸機常点灯上限電圧0.6V弱で出力ショート試験を行い、両電源共に保護回路は動作しませんでした。 つまり、蒸機が正しく線路に乗ってないショート状態で常点灯ダイアル回しても、保護回路が動作しないのです。

N-1001-CL常点灯ダイアル5でD51は走行開始します。 どこまで出力電圧を上げれば保護回路動作するか計測しました、常点灯ダイアル7、1.4V出力でも動作しませんでした。

常点灯ダイアル8、1.6V出力で保護回路動作し、4-5回計測して同じ結果でした。 これまでN-1001-CL保護回路動作感度を計測した事がなく、金属皮膜抵抗電流検出方式のTOMIX制御機器は、0.5V程度の出力電圧で保護回路動作すると考えてたので意外な結果でした。


微小出力電圧で動作すれば『線路への乗せ方ダメだよ』と報せる事になり親切です。 電源に悪影響がなければ、常点灯/速度調整ダイアル回してから『ショートしてるよ』と報せても実用性に大きな差はなさそうです。 この発見は少し気を楽にさせてくれました。


3-3.本実験 その1
鬼が出るか蛇が出るか、何しろ逃げ場がほとんどない状況での計測なので緊張しました。 比較対象にN-1001-CLも計測しました。

【スイッチバックで特急通過待ちのKATOキハ20系】
最初の実験は走行中脱線ショートを想定し、電圧出力状態でショートし、保護回路動作/非動作の感度を計測します。 負荷により変化する可能性があるので、2M8-110連相当(消費電流約1.1A)の重負荷、1M5-6連相当(同約0.6A)の中負荷、無負荷3条件の計測です。

N-1001-CLは負荷条件に係らず、出力電圧1.4Vでは5/5保護回路非動作、1.6Vでは5/5動作、その間が非動作/動作混在のグレーゾーンで予備実験と同じ結果になりました。 湖南電源は出力電圧1.5Vでは5/5保護回路非動作、1.9Vでは5/5動作、その間が非動作/動作混在のグレーゾーンが広い結果でした。 また無負荷では動作点がそれぞれ0.2-0.3V上昇しました。


3-4.本実験 その2
次の実験は車両が正しく線路に乗っておらずショートに気付かず走行させようとした場合を想定し、出力ショート状態で保護回路が動作する出力電圧を計測します。 前実験は急激な電流増加に対する保護回路感度ですが、本実験は徐々に電流増加させた場合の感度です。

【離れながら高度差を増す引上線】
N-1001-CLは実験その1と全く同じ結果で1.6Vで動作しました、金属皮膜抵抗に流れる電流を電圧変換してるので動作感度が安定してます。 湖南電源はマスコン/ブレーキ制御方式なので保護回路動作点を正確に計測できません。 実験その1で確実動作した1.9Vより高いのは間違いなく、2.0-2.5Vと推定されます。 保護回路動作感度はTOMIXに負けてます。


3-5.実験結果の考察
結果が出ました、恐れてた悲惨な結果ではありませんが、満足できる結果でもありません。 どうするか決める前に頭の整理をします。

金属皮膜抵抗電流検出方式採用時の回路系電源/GNDの波形です。 PWM波出力時の瞬時電流は10.8Ω負荷で約1A、0.47Ω金属皮膜抵抗でGNDが0.5V上昇してます。 瞬時電流1.3A時にGND0.65Vとなりトランジスタオンして保護回路動作しますが、PWMオンオフ時のGND電圧変動が、出力波形に改善が必要な20V前後のヒゲを発生させる原因になってました。

金属皮膜抵抗をポリスイッチに置き換え、PWMスイッチング速度を少し遅くするスピードダウンコンデンサ追加でヒゲ対策した現状の波形です。 GNDの急激な電圧変動がなくなってます。 また0.3V上昇してる事からポリスイッチ非動作時抵抗約0.3Ωと解ります。

【過去記事より転載】
現状回路は動作感度向上策を実施してます、R95/R96の抵抗値変更です。 ポリスイッチは動作/非動作の完全2値でなく、素子抵抗が温度で変化するグレーゾーンがあるからです。

ポリスイッチ特性概念図で説明すると、変更前は素子抵抗1.9kΩが保護回路動作点でしたが、変更により素子抵抗69Ωに下がり感度が向上しました。 その一方で、1.9kΩと69Ωの素子温度差はわずか4-5度、急峻な特性が動作/非動作バラツキが大きい原因になってます。 またこの特性概念図で常温素子抵抗は約0.1Ωですが、実測値は約0.3Ωでした。

検収試験で指摘された脱線ショート時に保護回路が動作しない問題は一応解決しました。 必ず常点灯調整してからノッチオンする条件付加すれば実用上の問題起きませんが、今一歩スッキリしません。 特に広いグレーゾーンが気に入りません、もう少し考えます。 


ではまた。

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