Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

俳句の話 旅・鉄道の句

先日愛読ブログの一つ団塊同世代の『イノッチ』さんがなんでも話題にしよう!という記事を公開されました。 全く同感で、高齢者は熱中できる事があり、今日する事がある、今日行く場所がある『教育(今日行く)』が充実した人生を送る為に重要だと言われてます。

【宵闇迫る生野駅】
と言う訳で今回は筆者のもう一つの趣味『俳句』の話をします。 とは言えそれでは興味を持っていただけないので、処女作を除き旅・鉄道に関する句を紹介します。


◆キッカケはプレバト
TBS系列で木曜19時から放送されてる『プレバト』をご存じ方が多いと思います。 初期から夏井先生辛口評価と劇的添削で人気の『俳句の才能査定ランキング』に加え、『水彩画』『消しゴムハンコ』『スプレーアート』等が新たに登場し、毎週楽しみに視聴してます。

【8月19日木曜日番組表より】
夏井先生はこの番組を通じて俳句大衆化に貢献したとして表彰されたそうですが、長年番組で耳学問の筆者も『なるほど俳句とはそんな物か』と感じる事が多々ありました。 と言って作句しようなどとは露さえ考えてませんでしたが、出合いがしらの事故に逢いました。

2年前の8月、高校野球TV観戦中に原爆忌黙禱があり、頭の中に17音が浮かびました。 この句プレバトに出したら『キング・オブ・ザ・凡人』の50点、夏井先生ならどう添削する?と思考ゲームし自己添削しました。


『季語を主役に』『情景描写』『語順とカメラワーク』のキーワードで推敲したのが掲句です、甲子園・高校野球を使わずに伝わり、首筋の汗から球場全体に情景を広げる工夫です。 『結構良いね、これなら才能あり70点かも』と不埒にも思い上がり、遊び半分でNHK松山局、夏井先生が講師を務める『俳句王国がゆく』に投句し、それっきり忘れ去りました。

【NHK松山入選作発表ページより】
9月末にプレバト見た後『そう言えば』と結果発表を見ると、何と処女作が佳作入選、無茶振りしたらまぐれ当たりのビギナーズラックです。 この事故とも言える結果が俳句を始めるキッカケになりました。 視力や体力が低下しても熱中できる物を探してたからです。

まぐれで終わらせず本気でやるならと、俳句を嗜む先輩に助言を求め、基礎から学ぶ参考書と歳時記を購入しました。 20週教程を1ヶ月半で勉強しました、詰め込み教育世代ですし時間はタップリありますからね。 ちなみに処女作は俳句でNGとされる季重なり、汗は夏、原爆忌は秋(8月)でしたが、原爆忌を主季語として夏井先生は認めてくれた様です。

【旧仮名文語活用表 部分】
最近は口語俳句もありますが基本は文語で旧仮名遣い、一番しんどいのがコレ覚えて使いこなす事で、今でもまだまだです。

【NHK番組ページより】
『俳句王国がゆく』にはその後4回、計5回投句して全て佳作の三等賞、『露太本線』は俳号らしくないので3回目から『ロフト』を使ってます。 次こそ秀逸の二等賞と狙ってましたが、2020年度で番組終了しました。


◆俳句結社入会とその後
2019年末から地元俳句の会に参加、女性ばかりでしたが、実習しなければ上達しません。 更にその会先生の薦めで俳句結社に2020年2月に入会しました。 全国俳句大会や俳句甲子園選者を務める著名な俳人が主宰する結社で、同人・会員300人以上、全国大会特選受賞者が多数在籍してます。 初心者がベテラン揃いの集団に飛び込むには勇気が必要でした。

以来1年半、毎月句会(昨年3月からメール)で主宰の選評・添削指導を受け毎月6句投句、最低2句-最高5句入選し月刊機関誌に掲載されます。 3句入選すれば御の字と考えてましたが、初回から4句以上入選を継続してます。 奥の深い終りのない道ですので、猛勉強の成果と言うよりは、好きこそ物の上手なれか、ナントカも煽てりゃ木に登るクチですな。


➊特選句
入選句の中から特選句が選ばれ、1年半で3句選んでいただきました、1句がテーマです。

『夜の秋』は晩夏7月の季語で、夜になると涼しい秋の気配、少し寂しい気分を含んでおり、主宰の『季語が利いてる』(=残り12音と響き合ってる)という選評がありました。 なお、レイアウトは業界用語で一般の人には意味不明なのでジオラマとしてます。


➋入選句
俳句には臨場感を高める目的なら、昔の出来事を今の事として表現して良いというルールがあります。 コロナ禍で自宅蟄居の昨今、昔の旅を題材にした句を数多く詠んでます。

蒸機列車をホームで待ってる時の情景です。 停車する為に減速しながら進入して来ますが、目を瞑ってたとしても音だけでなくボイラーの熱気で通過が解ります。 これは経験者でないと理解不能かもしれませんね。

『着膨れ』が冬の季語です。 映画高倉健さんの様な渋い二枚目でなく、初老で太目の小駅駅長か助役が単線ローカル駅でカンテラ振ってました、夜行列車から見た一コマです。

『スチーム』が冬の季語、実体験は11月(暦の上では冬)の夜行日帰り山行で利用した新宿発23:45発長野行鈍行列車です。 入線してドヤドヤ乗り込み座席確保して寝仕度してると、前方マヌ34が暖房バルブを開け、『カンッ、カンカン』という蒸気が通る音が遠くから次第に近付き、音が止む頃ホンノリと温かくなり、やがて眠りに落ちるのでした。

『山瀬』が夏の季語、農作物に冷害を齎す冷たい風です。 拙ブログで旅行記を紹介した道南旅行で目にした光景を詠みました。 7・7・5ですが俳句上の句の字余りはOKです。

札幌から夜行急行で釧路に到着した朝の光景です。 ホームで洗面し、ふと顔を上げると鏡に北の大地の夏空が広がってました。 

9音8音、全部で17音の破調の句です、『驟雨』が夏の季語、軽く降る夕立です。 前句の日は納沙布岬往復してステーションビバーク、翌日摩周湖・硫黄岳を見て網走に向かう途中で仮乗降場原生花園駅に下車しました。 勿論無人駅で目的は浜小清水原生花園でした。


次の汽車まで2時間、30分で見終り浜風に吹かれオホーツク海を眺めてる間にウトウト、C58発車合図汽笛で目覚め乗り逃がしました。 数人で満杯の待合所で持参コンロでコーヒー飲もうと湯を沸かしてると、シトシト雨が降り始めました。 その体験を詠みました。

浜小清水ではありませんが北海道旅行で見た、古レール骨組みに古枕木ホーム踏面、廃車貨車の車掌車が待合室のこれ以上粗末な駅はない小駅を詠みました、下車はしてません。


➌落選句
特選句と入選句だけでは自慢話になってしまうので、このテーマ落選句も紹介します。  毎月15句前後作句し、その中から句会提出句を選んでますが、力不足で出来不出来の振れ幅が大きく、また自句の評価『自選』はベテランの方も仰りますが非常に難しいのです。


鑑賞者は17音に表現された作品を各自の経験や感性に照らして解釈し味わいますが、詠み手には原体験と感動への思い入れがあり、得てして独りよがりに陥り易いからです。 句意が伝わらなかったり、違う解釈されたり、最悪『何だかわからない』となってしまいます。

50年前の7月、松本駅で見た中央西線鳥居峠越えに向かうD51重連貨物列車の光景を詠んだ句です。 他の入選句より好きな句で、イ音ゴ音で韻を踏みリズミカルにするなど工夫した句ですが落選でした。 何故ボツになったか解らないのが未熟さの証明だと感じてます。

中山道奈良井宿に静態保存されたC12を詠んだ句です。 形としては整ってますが事実報告臭が強く詩情が薄く落選になったと理解してます。


今日8月22日(日)は松山で『俳句甲子園』が開催されます、高校生の新鮮な感覚の句が楽しみです。 今回は毛色の変わった更新になりました。


ではまた。

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