Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

湖南電源⑬物作りって難しい・・・

製造業で働いている方は良くご存じだと思いますが、継続生産製品でも予期せぬトラブルは発生する物、新製品生産開始時は事前のテストランで問題なしの判定が出ても、新たなトラブルにに見舞われるのが普通です。


湖南電源は特別仕様の一品料理、開発設計者の筆者は元電子回路設計エンジニアとは言え電源は専門外、30年前に自家用電源製作経験あるだけでPWM電源開発設計はHyper-Gが始めてですから、トラブルが起きるのは至極当然です。


◆残された課題の解決
A.出力電流容量とトランジスタ破損対策
電流容量余裕が欲しいの要望を入れオリジナル1.2A仕様の1.3A化が仇になってしまいました。 出力トランジスタ動作点変化が安定出力最低電圧、つまり常点灯性能にこれほど影響を与えるとは想定を超えてました。

『がおう☆』さんに状況説明し、オリジナル1.2A仕様に戻す了解をいただきました。 KATOコアレスモーター蒸機の常点灯ができる/できないの選択、半ば強姦ですね。

これで1.3A化の為に330Ωに変更した出力トランジスタベース抵抗(黒丸)を470Ωへ戻す事になりました。 同時に軟破壊したトランジスタ(黄丸)も交換です。

トランジスタ破損原因が最大出力ショート試験と推定してますが詳細は不明です。 電流容量強化半田付けトランジスタ交換は大仕事なので、信頼性向上の為に出力ジャンパー線(赤丸)に1.3Aトリップポリスイッチ入れる提案しましたが却下されました。 パイロットランプでショート表示ができなくなるから当然です。

電流容量強化した出力トランジスタラインの半田をソルダーウィッグ大量消費で吸い取り抵抗2本とトランジスタ2個を取り外しました。 半田吸い取りで長時間加熱した非破損トランジスタも安全を見て交換します。

さて困りました、このブレッドボードタイプユニバーサル基板はサイズ・電極数・価格の三拍子揃ってHyper-Gに最適ですが、欠点は銅箔が薄くパターン幅が狭い事です。 次に壊れたら多分パターンが持たず修理できません。

そこでトランジスタ破損時の交換を容易にする為、ICソケットを使い差し替え可能にするアイディアを思い付きました。 8ピンICソケット利用の差し替え式、誤挿入防止に一番手前端子(空ライン未使用)は半田盛りしました。


つまり[絶対壊れない様に設計変更する]から[万一壊れても簡単に交換できる]への発想の転換で、出力トランジスタは『がおう☆』さんが百個近く使用するリレードライバと共通なので問題ないと思います。

そこに新品トランジスタ足カットして挿入しました。 電源落とす様な衝撃与えると抜けるリスクはありますが、簡単に交換可能構造メリットは大きいと思います。


と、一旦は自分を納得させたものの次の常点灯試験完了後、少しグラ付き最悪点接触に1.2A流して良いか?と自問しました、答えはNO!、自分に嘘は付けません。 このアイディアを活かすもっと良い方法を考えなくてはなりません。

そこで目を付けたのが14ピンICソケット、Hyper-G設計当初4回路入りアナログスイッチ利用回路を考えて手配し滞留在庫化してた部品です。
ICソケットには丸型と挟み込み型2種類のピンタイプがあり、どちらも同じICピンを挿入できます。
丸型ピンは入口が狭くトランジスタ足は太くて挿入できませんが、プラグのオス/メスの様にピタリ嵌まり込みます。。
ならばトランジスタ足を丸型ICソケットに半田付けし、3ピンIC足に変換して丸型ICソケットに挿入すればしっかりとホールドされ接触面積も十分確保できます。 ここでは扱い易い様にトランジスタ2個1セット6ピンにしてます。(3ピンx2でも強度OK)

14ピンICソケットを6Pに切り付け直しました、今回は半田吸い取り6ピンなので簡単でしたが基板パターンはボロボロ、ICソケット足曲げとジャンパーで配線しました。

見た目は悪いですがこんな具合、根元までしっかり挿入でき、ピンセットでこじらないと外れません。 トランジスタ破損発生確率は高くないので『がおう☆』さんには交換構造と補修用ICソケットで勘弁していただきます。


B.蒸機常点灯性能確認と改善
導通試験と抵抗値測定による確認実施後、通電試験をしました。

結果は上々、安定出力最低電圧は1.1Vから0.8Vへ改善、オリジナルHyper-Gと同じになりました。 出力トランジスタオーバードライブかこんなに影響するとは意外で、容量1Aで十分な当社延伸線用は更にベース電流絞って常点灯性能向上させようと思います。

レイアウト上で長野式集煙装置付きD51で確認しました。 常点灯可能ですがピンポイントで使い易いとは言えません、TOMIX N-1001-CL比較でも合わせ易さは同等、常点灯時輝度が少し明るい程度でキハ20系比較の大きな差はなく五十歩百歩です。

その時の常点灯電圧は抵抗ダミー負荷より0.36V低い0.4V強、またKATOコアレスモーター蒸機走行開始電圧は0.5-0.8Vと一定せずロッド抵抗等の条件で変化する様です。

【『高機能電源⑥』より転載】
そして蒸機常点灯を使い難くしてる要因がもう一つ、常点灯ボリュームに25kΩを採用し制御特性を変化させた結果、キハ20で使い易くても蒸機は敏感過ぎて使い難くしてしまいました。 当時は蒸機常点灯性能知らなかったので仕方ありません。

この図は30度毎の抵抗値計算作図ですが、不安定チラチラ点灯から蒸機常点灯0.5V付近では3倍近く違い、正に策士策に溺れるで点線通常10kΩがはるかに優れてます。 この問題発見前日に秋月調達品が届いたばかりなので電材屋へ走りました。

10kΩ小型ボリューム2個調達し早速交換しました。 効果は驚くばかり、0.3-0.5Vは3倍でも、それ未満は10倍近くの分解能差になってた様です。 多少馴れは必要ですがKATOコアレスモーター蒸機常点灯できますと言える性能になりました。

常点灯ボリュームを非常にゆっくり回し点灯確認した時の出力電圧は0.02-0.03Vで安定しません。 出力パルスがパラパラ出る状態で、常点灯としては実用外です。
出力電圧0.1Vは歯抜けのある非安定発振ですが継続的パルス出力があり、常点灯下限性能が得られます。
出力電圧0.2Vはそこそこの輝度が得られます、非安定発振なので0.15-0.3Vに電圧変動しますがチラつきはなく、気にするのはオシロ見てる筆者だけ、実用上OKです。
出力電圧0.4Vは十分な輝度が得られます。 更に電圧上げると輝度上昇し、走行開始電圧は0.5V~0.7V強で一定しません、0.8Vで確実に走行開始しました。

普段非安定発振領域波形観察しないので筆者も始めて見ました、歯抜けになって電圧下がりますが、蛍光灯またたき1回より短い時間内なのでチラつきなく十分に実用域です。 実験セットしたついでにフライホイール動力ユニット搭載DD51も確認しました。

出力電圧約0.2Vで点灯確認しました。
出力電圧0.5Vで実用レベルの輝度が得られます。
出力電圧1Vでは走行開始しないのでラフな常点灯調整でもOKです。
写真で差が解り難いですが電圧連動で輝度上昇し出力電圧1.5Vで十分な輝度が得られます、通常モーター走行開始電圧は1.8-2.0Vなので1.5Vを設計の基準値にしてます。


C.速度計表示異常
最後は正常/異常動作をランダムに繰り返す速度計表示異常、筆者が自分で解決するしかない設計課題です。 テスターで正常動作、速度計は正常と異常(マイナスオーバーレンジ)で一定しない神出鬼没トラブルです。

その様子から速度計搭載半導体の軟破壊を疑い、完成してる延伸線Hyper-Gから速度計を取り外し交換しました。 すると正常動作、やはり速度計壊したと判断し他の確認試験してたら異常表示発生、今度は全く正常表示に戻りません。 湖南電源メイン基板に原因があり速度計破損と考えるしかなくなりました。(実は違ってた)

納期に間に合わせ延伸線Hyper-G復旧するには速度計が必要と予備含め3台、実験用リレーや大容量コンデンサと合わせ急遽秋月手配し届きました。 いきなり速度計交換したら同じ事の繰り返し、まずは原因究明が先です。

異常現象発生後は安定してたので、通電しオシロスコープで一つ一つ確認した処、速度計マイナス端子異常を発見しました。 接続延長コードの半田付け不良、剥き残し被覆を介して撚り、被覆が溶けて固着してました。(黄丸部)


力の掛かり具合で芯線1本でも接触すれば0Ω(正常)、離れれば数十kΩ(異常)に接続抵抗変化する気付き難い不良モードで原因の視力低下を呪いました。 再半田付けで一発解決、速度計は破損しておらず3台の電圧計は不良在庫になりました、トホホです。


ではまた。

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