Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

湖南電源⑯安全性保証回路 その後-1

設計意図通り動作せず見直しが必要になった安全性保証回路記事に対し『おじさんK』さんからコメントを頂戴しました。

素人考えと謙遜されてますが、コメント内容から安全性保証回路の設計意図と動作を100%理解されてる事が解ります。 しかも上手く動作しない推定原因として、筆者が疑った起動コンデンサのトランジスタオン抵抗時定数に目を付けるのはタダモノではない証拠です。


URL添付がなく、ネット検索でも引っ掛からず解りませんが、熟練のハイアマチュアか電気で飯を食った元プロと推定してます。 ブログでこれまで片手で数えられるくらいしか電気的素養をお持ちの方に出会っておらず、嬉しいと共に気が引き締まる思いです。

【始発列車】
少々専門的になりますが、筆者自身備忘録、頂戴したコメントへの回答、『がおう☆』さんへの「進めてますよサイン」の目的で経過報告します。

【前回記事終了時の試験回路】
コメント指摘を受けた起動コンデンサC91は、手持ち部品がなく10μFを使いました。 R94との微分パルスでラッチ回路オンには十分過ぎで、過電流時TR93でラッチ回路オフ、青丸TR92ベースを0Vにする際は0.7V余分に充電する必要があります。


トランジスタが抵抗ゼロのSWなら問題ありませんが、C91が大容量だと狭いパルスでオフするのは難しいのでは?と指摘され、ここから見直そうと考えてた図星を指されました。 とりあえず動けばOK選択(TOMIXみたい・・・爆)の10μF適正化からスタートしました。

C91のTR92ベース側半田付けを外しました、起動パルスがないラッチ回路はオフのまま、パイロットランプ赤点灯で電源入りません、実験と言うより動作確認です。
1μF前後の小容量コンデンサがないので、TOMIX  N-1001-CL  PWM改造時の残材、0.22μFフィルムコンデンサ試すと問題なく起動します。(電源系には信頼性問題でフィルムコンデンサは使えません) ならばと0.1μF(104Z)にするとこれもOKでした。
動作マージン確認の為、0.1μF2個直列で0.05μFを確認しOK、C91を0.1μF変更に決定しました、ちなみにTR92をオンさせる起動パルス幅は1/10秒から1/1000秒になりました。

前回実験時に赤丸R91に触りアチッとなりました。 ラッチ回路損失を減らすには十分なベース電流が必要でこの選択しましたが、設計値100mAに対し実測値107mAでした。 損失1.14Wで3W定格抵抗はOKですが、推定60-65℃発熱で別の問題発生が懸念されます。


一つは右上TR92、絶対最大定格150mAで常時71%負荷、近くのヒーター(金属皮膜抵抗)で加熱されては信頼性余裕がありません、TR91ベース電流減らしてマージン確保したい処です。 もう一つは左下ポリスイッチ、熱動作部品が加熱されては具合が悪いのです。

そこでTR91損失を確認した上、R92を100Ωから150Ωにへ変更する事にしました。 基板部品配置への配慮も必要なので、この基板は実験用とし本番用再製作を決定しました。

TR91損失確認を補足するとトランジスタデータシートで行います。 ベース電流減で最大出力1.2Ax2CHの損失が0.25Vから0.3Vに増えます。

R92変更用150Ωがなく470Ω/0.5W抵抗3本並列にし、発熱影響が及ばぬ様浮かせて実装し、ベース電流実測値は72mAになりました。


以上2件の見直しで気になってた部分が解消しましたので、ショート時の1/100万秒単位の時間に何が起きてるか波形観察します。

出力電圧1.2V通常状態の0.47Ω金属皮膜抵抗=TR93ベースと、過電流時TR93がオフするTR92ベース波形です。 前者はPWM出力H時のみ0.15V、後者はTR91ベース電流を流し常時オンなので0.8V弱一定です。

同条件ショート試験時、『おじさんK』さんご指摘の確認項目です。 0.47Ω金属皮膜抵抗両端電圧は前回0.88Vより高く1V強、瞬時電流は2.1Aを越えてます。 パルス期間でTR93が黄丸の様に瞬時オンし、コレクタ=TR92ベースは飽和電圧0.07Vに低下してます。


しかしラッチ回路はオフしておらずベース電圧は一旦マイナスに振り込んだ後、定常時の0.79Vに復帰してます。 徐々に復帰するのはC91の充電が抜ける時定数の影響です。

R92ベースプローブをコレクタに繋ぎ電圧レンジを10倍にしました。 TR92オフでTR91ベース電流が遮断されればTR91がオフしラッチ回路はオフ状態を保持するハズです。 しかしTR92コレクタ12VでオフしてもTR91はオフしてない様です。 TR92はC91放電でベースが0.79Vに上昇するタイミングでオンしTR91のベース電流を流してます。

困りました、筆者は元電気設計技術者でも専門はTV関連、電源は30年前の従来線電源製作とHyper-G開発経験しかありません。 電源プロなら「アーアレね」とすぐ答えが解るでしょう。 まっ、言い訳は役立たず結果が肝心、波形観察結果から以下の推論をしました。

起動コンデンサC91はこの問題に関係ない様です、外せば解ります。
常点灯域の狭いパルス幅も直接原因ではない様です。 破損防止で実験できませんが、フル出力12Vでやっと動作と推定してます。
ラッチ回路予備実験時に1.3Aポリスイッチ、出力電圧3Vで動作、1.2Vで非動作でした、何が違う?と考えて辿り着いた仮説がコレです。

トランジスタのオンは一瞬、オフは少し時間(Toff)がかかります、ベース電流増やしオーバードライブすると更にオフし難くなります。 Hyper-G出力回路設計ではシャープな出力得る為にベース電流絞りました。


ラッチ回路予備実験はスイッチング速度が速い(ft=100MHz)Hyper-G出力用2SA1359をベース電流40mAで使いましたが、本番用は遅い(ft=10MHz)2SB1018でベース電流が多いのが結果相違原因と考えました。


★推論の検証-1
C91をラッチ回路が起動し通電後に外しショート試験しました。

この波形観察時間軸で問題となる時定数がなくなりましたので、TR93ベースとコレクタ=TR92ベース波形は1:1で応答してます。

TR92のベースとコレクタも1:1応答、C91はTR92オン時間を長くし、安全性保証回路を動作し易くする働きがあると解ります。 100倍の10μFでも動作しなかった事実と合わせパルス幅が主因でないと物語ってます。


★推論の検証-2
さてTR91がオフし難い推論の検証です。 これまでTR93をパルスでオンしても安全性保証回路が動作しなかったので、オン状態保持でラッチ回路がオフ=安全性保証回路動作までの応答時間をTR94で計測します。

ここまで1CH試験でしたのでTR94ベースは接地してました、ここにスイッチを付けオフするとR96でTR94がオン状態保持します。

驚くべき結果!でした、TR94オンからラッチ回路がオフして電源遮断しPWM出力波が出なくなるまで22msec、1/45秒も掛かってます。 デジタルサンプリングの結果でPWM出力波表示は正しくなく、実際は横軸1目盛りに100パルス発生してます。


この応答速度では動作するハズありません。 でもこれでネズミの尻尾捕まえ原因特定できました、後はどう料理するかです。


ではまた。

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