Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

摂津鉄道S氏の貨車入換講座 後編

前回、山崎駅の事例から上下1方向のみ貨物取扱駅の解説に話が飛び火しました。 しかしコレを理解してないとS氏解説が解り難い部分があるのでご容赦ください、本題です。

【前回記事より転載】
吹田操車場発、梅小路操車場着解結貨物列車実例での貨車入換解説です。


◆茨木駅の貨車入換作業
吹田操車場を発車した上り解結貨物列車は、茨木駅の本線を塞がない貨物線に到着しました。 着貨車5両を解放し、発貨車を連結するのが茨木駅での貨車入換作業です。

最初に茨木着と摂津富田着貨車間の連結解放し、前緩と着貨車6両を引上げます。 ポイントを貨物1番線(または2番線)に開通して後退、着貨車5両を解放します。 そのまま前緩を伴い貨物3番線の発貨車4両を連結して貨物到着線に戻ると編成はBの形になります。


Bの編成は茨木発貨車が先の駅で邪魔になるので別の方法を取ります。 前緩を伴って元の編成に連結、後部緩を残した13両を引上げてから貨物3番線に後退し発貨車4両を連結します。 17両引上げて貨物到着線に戻り後部緩を連結するとCの編成になります。

以上が筆者が知ってた貨車入換作業基本形-1です。 線路配置図と実際の茨木駅写真を見ると、この駅は上り貨物取扱駅だった様です。 つまり下り方面は梅小路で折返しです。

文章表記した貨車入換作業を機関車動作毎列記すると8行程になります。


◆摂津富田駅の貨車入換作業
茨木駅を発車した上り解結貨物列車は、次の摂津富田駅貨物線に到着しました。 茨木駅と同じ行程でもOKですが、別の貨車入換作業をします。

最初に後部緩と茨木発貨車5両を残し13両引上げ、貨物3番線に後退し発貨車2両を連結します。 次に前緩と着貨車1両を引上げ、貨物1番線に後退し着貨車を解放します。 前緩だけ引上げ貨物3番線で13両連結、貨物到着線に戻り5両に連結するとBの編成になります。

機関車動作毎列記すると同じ8行程になります。 茨木駅との違いは着貨車解放と発貨車連結の順序だけで結果は同じ貨車入換作業基本形-2です。

【当社中山平駅】
茨木駅、摂津富田駅の貨物線は3本でしたが、ローカル駅には貨物線1本の駅が多く存在してました。 発着貨車双方がある場合は、先に発貨車連結しないと着貨車解放ができず、貨車入換作業基本形-2しか使えません。 ローカル駅では本線引上げが行われてました。

着貨車解放、発貨車連結の順序で2種類の貨車入換作業がある事が解りました。 どちらの方法を取るかは発着貨車両数や引上線有効長などの要素で決まります。 誰が決めるのか?、乗務員でなく駅長が決めます。

【茨木駅入換通告券】
名前を聞くのも見るのも始めてです、本職S氏ならではで、茨木駅長発行の現物です。 4行に書かれた作業指示を読み解くと、1行目が前緩と着貨車5両を引上げて貨物1番線に5両解放する2行程、2行目が前緩を引上げて到着線に戻り12両と連結する2行程です。


3行目が13両引上げて貨物3番線で発貨車4両を連結する2行程、4行目が17両引上げて到着線に戻り後部緩と連結する2行程の全8工程になってます。 S氏はレイアウトでこの様なカードを作り、貨車入換ゲームを楽しんだらどうかと提案されてます。


◆高槻駅の貨車入換作業
高槻駅では貨車入換作業応用問題事例が紹介されます。 積荷を降ろした着貨車がすぐ積荷して発貨車になる事もあれば、当面留置あるいは積荷が発生した近隣駅回送されるなど様々なパターンがあった様です。

その結果往々にして上図の様に発貨車と留置貨車が混在してたそうです。 この場合は貨車入換前作業としてBの様に発貨車と留置貨車の仕分け作業を行います。 その後貨車入換作業基本形-1または2で着貨車解放と発貨車連結作業を行います、結果の編成は同じです。


◆神足駅の貨車入換作業
山崎は下り貨物取扱駅なので通過し神足駅貨物線に到着します。

【神足駅京都方】
神足(こうたり)は運転密度の高い京都-大阪間の駅ですから、貨物到着線と引上線は備えてますが発着貨車用貨物線が1本しかありません。

従って先に発貨車連結する方式で貨車入換作業するしかなく、結果はBの編成になります。 しかし引上線有効長が短い場合や向日町着貨車が多い場合は、図矢印の本線引上げを避ける為に、前緩次位に発貨車連結の変化技を使い、Cの編成にする場合もあったそうです。 なお向日町駅の貨物入換作業は次が終着なので発着貨車解放連結だけなので省略します。

【神足駅貨物ホームと上屋】
前写真と逆方向からの神足駅貨物線です。 架線柱がなければローカル駅に見え、大都市近郊と思えないほど空が広く、大きな建物はありません。 現在は長岡京駅に名前が変わり、複々線高架駅に様変わりしてます。 神足駅駅名標が公民館に保存されてるそうです。


◆ローカル線の上下貨物取扱駅
最後に筆者知見によるおまけ、1960年代末ローカル線の貨物取扱駅線形についてです。

幹線と亜幹線を結ぶローカル線、例えば北上線のイメージです。 始点終点を除き12駅、50-60kmの路線で、中ほどの日に1本の準急停車駅には給水施設があり、11駅が貨物取扱駅でした。 現在は途中駅全て無人駅化され、各停のみワンマンカーが走ってる路線です。

【駅をレイアウトするより転載】
前号に書いた様に約9割が貨物取扱駅で、そこには貨物側線と貨物ホーム、そして貨物上屋があり、手小荷物取扱もしてたので駅員常駐でした。

運転密度が高くないので、交換施設を持つ駅は半分前後で、後は本線に貨物側線1線の線形でした。 この様な駅で、線路に対するホームと駅舎の方向は地形や道路、乗降客利便性でほぼ決まりますが、貨物側線の向きはかなり自由度がある事に注意してください。

交換施設を持つ駅の線形は対向ホームか島式ホームのどちらかで、貨車入換に本線引上げが必要なので、貨物側線側はスプリングポイントにできません。 作業性条件から貨物ホームは駅舎側ですが、対向ホームの場合、貨物側線開通方向に自由度があるのが解ります。


ローカル線の場合ほぼ全駅が上下いずれかの貨物取扱駅なので、上記11中間駅例の場合、上り貨物取扱駅と下り貨物取扱駅の数がほぼ等しくなる等に貨物側線が設置されてます。 上下貨物列車の運転時間をバランスさせ、ダイヤを組み易くする目的でそうなってました。


ではまた。

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