Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

私鉄特急ロマンスカーの系譜 その2

前回国内初の私鉄特急ロマンスカーが登場した1947年から、初の専用設計車小田急1700系が登場した1951年まで4年余の各社の動きを追ってきました。 筆者が生まれる前後の知らない事ばかり、戦後の混乱から立ち上がった鉄道史として興味を覚えます。


3.専用設計車両の登場(cont.)
小田急1700系は少し遅れて1951年10月に登場した東武の特急ロマンスカー専用設計車5700系に影響を与えたと言われてます。

東武5700系は流線形2枚窓の特徴的な顔付きです。 運転席後方両側と連接面片側の珍しい3扉車で、連接面は1両毎千鳥配置です。 片扉にする事で2座席増やしたと思われます。

5700系には日光行/鬼怒川行併結利便性を考慮した貫通扉付き先頭車もありました。 貫通扉付きだけがが増備され多数を占めました。

京成初の特急ロマンスカーは扉の少ない専用車両1600系で1953年5月から運転された特急『開運』号です。 乗客用扉は1両に非対称片側1ヶ所のみで、車内にテレビを設置したり、私鉄初の簡易リクライニングシートを採用するなど意欲的な車両でした。


4.車両軽量化の取り組み
戦後復興が軌道に乗り、バス事業成長の危機感を受け、私鉄各社は新製費と運転経費が安くて済む新型車両開発に1952年頃から取り組み始めました。 鍵は軽量化で、新製費の高い特急専用車両から適用されました。

近鉄はアルミ合金採用で電動重量を2割軽量化した2250系を1953年8月に登場させました。 他社の様に乗客用扉を大幅に削減してないのは、新型車登場時の一般用格下げ改造を容易にする為でした。

小田急は1700系3編成では足りなくなり、旧式1700系増備は芸がなく、と言って開発中新型(SE車)は間に合わず、短命を承知で1955年に軽量車体・直角カルダンドライブの2300系を登場させました。

東武は1956年2月、車体を半張殻構造で軽量化し平行カルダンドライブの1700系を登場させました。 リクライニングシートを装備し、翌年の増備車には外国人観光客用 に洋式トイレを採用しました。

【東武伊勢崎線急行時刻表】
この1700系は筆者が初めて乗車した別料金を徴収する優等列車です。 乗車したのは1960年頃で東武伊勢崎線浅草-館林間の急行でした。 同区間75kmをノンストップ68分運転ですから、表定速度も高く、特別な列車に乗車できたとという実感が記憶に残ってます。

普通運賃210円に対し急行指定料金100円は十分高価で、母実家の法事の時だったと思います。 普段の里帰りでは別料金不要の準急で、所要時間1時間半か『杉準』、日光線分岐駅杉戸(現東武動物公園)まで準急、伊勢崎線内各駅停車で、1時間45分でした。

丁度その頃、軽量特急用車両の決定版とも言うべき小田急SE車が151系に破られるまでの狭軌最高速度記録を樹立しました。 その話しに移る前に、もう一つ忘れてならない存在があります、関東3社、関西2社の大手と並び特急ロマンスカーを運転した長野電鉄です。

軽量特急車の最後を飾り1957年3月に登場した長野電鉄2000系は、半張殻構造車体に転換式シートを配した車両だったが、真打SE車登場の陰に隠れほとんど注目されませんでした。


湯田中温泉・志賀高原の観光地アクセス機能があるとは言え、大手5社しか運転してなかった特急ロマンスカーを、地方私鉄に過ぎない長野電鉄が独自設計新製車両で運転したのはスゴイ事です。(2000系は2012年に休車扱いとなった同社唯一のオリジナル在籍車です)

SE車デビューの陰に隠れた事に加え、外観が似てる事から名鉄モ5000系のイミテーションと受け取られたのも不幸でした。 これに懲りたかどうか解りませんが、後年は大手特急ロマンスカーの譲渡を受け、現在は元小田急10000系(HiSE)で運転されてます。

1957年7月に第一編成、1959年3月までに第四編成を増備した小田急3000系SE車は、それまでの特急ロマンスカーの常識を覆しました。 その本質は軽量・高速・高性能であると言え、小田急がリードしてました。

近鉄はSE車登場年に2250系冷房設置を行っただけですが、特急ロマンスカーデラックス化に目を背けてた訳ではなく、次の飛躍に備えた助走期間、いわば小田急2300系の様な繋ぎであった事が後にハッキリします。


私鉄特急ロマンスカーを語る上で小田急SE車登場は大きなターニングポイントであり、その登場をもって今回はここまでにします。


ではまた。

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