Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

半世紀前のTMS 1967年7月号➌

TMS1967年7月号紹介最終回です。


6.その他の製作記
6-1.EF90製作記
鉄道模型歴3年、TMS200号からの読者の作品です。 ブログもYouTubeもない当時、自作品のTMS誌上掲載は鉄道模型を趣味にする者にとって目標であり夢でもありました。

子供にせがまれて作ったプラキット『べんけい号』がキッカケ、3年間で蒸機3両、電機2両、ペーパー車体電車30余両、貨車10余両製作されたそうですから、毎月3両の驚くべき製作ペースです。 この作者もTMS掲載が決定した時には大喜びしたと思います。

図面なし・ぶっつけ本番・現物合わせ・運転本位雰囲気重視の製作、また地方在住で部品入手が困難(地方在住ハンデが大きい時代でした)、何でも自作と書かれてます。 EF90の複雑な前面形状を図面なし現物合わせは無謀に見えますが、大過なくまとまってます。

車体/屋根は0.3t真鍮板、エアーフィルタに市販波板使ってますが、記事/図面から車体補強がなく、剛性が低かったと想像されます。 特に床板は1mm真鍮板が手許になく0.5mm使ったとあり、更に剛性を下げてます。

手で持ち上げれば多少ベコベコしてもレールに乗せれば立派に見える、鉄道模型は昔も今も自己満足の世界ですから、作者が満足すればOKです。


6-2.南武線の4両編成
東急東横線沿線で生まれ育った筆者には馴染み深い路線で、諏訪転居前勤務先は南武線武蔵溝ノ口にありました。

当時の南武線や横浜線は後の飯田線の様に旧型国電展示場の様な様相で、雑多な車種編成が走行してました。 作例はその中からリベット打ち17m3扉中間車モハ10、サハ17とリベットなし17m3扉先頭車クハ16、20m4扉先頭車クモハ73の4両編成のモデル化です。

リベットは0.1tケント紙に謄写版点線引きで打ちサーフェーサーで固め、ペーパー製車体に貼り合わせる方法で製作してます。 外板/窓枠共に0.3tペーパー、目を90度に貼り合わせて反り防止してます。 またドアに市販真鍮プレス部品を採用し、組合せて使用してます。

リベット打ちに出て来た謄写版をご存じない方も居るでしょうね。 1980年代末にワープロ+プリンターで文書作成できる様になるまで広く普及してた印刷物作成ツールで、ヤスリ状鉄板の上にロウを塗った版下を置き鉄筆で原稿書き、通称ガリ版と呼ばれてました。

当時の16番電動車駆動系が良く解る写真です。 縦型モーター(窓越しに車内に見えます)から13:1ウオームギアで1軸へ、3枚のギアでもう1軸への2軸駆動です。(台車DT13)

【17m3扉クモハ11】
筆者が武蔵溝ノ口へ通勤し始めた1975年に17m車は姿を消してたと思いますが、73系20m4扉車はまだ活躍してました。 山手線のお古101系が南武線に姿を現したのはその数年後、『南武線50年振りの新型車投入』がニュースになったのはJR化数年後の事でした。


6-3.C51用水槽車
筆者も全く知らない昭和初期90年の遠い昔の話です。 この号発売の55年前には35年前で『ああ懐かしいね』と仰る方も居たと思われます。

本文と東海道本線年表から判断すると、次の様に使われてた車両です。 東京-熱海間電化完成が昭和3年、特急『燕』運転開始が昭和5年、丹那トンネル開通が昭和9年ですので、昭和5-9年の5年間だけ国府津-名古屋間で『燕』本務機C51次位に連結された水槽車です。

東京始発の『燕』は国府津まで電機牽引、国府津で本務機C51、後補機C53に交替、次の停車駅は名古屋(静岡/浜松通過!)、約250kmを石炭は何とか足りても水が絶対的に不足、それをこの水槽車から補給し、長距離無停車蒸機運転を可能にする手段に使われました。

水槽車の役目を終えた後はタキ20として余生を送った様です。 それにしても不思議なのはノンストップで補機C53解放をどうしたかです、連結区間最後の駅で客扱いしない運転停車して解放が一番ありそうですが、でなければC53前部に解放掛乗務が必要になります。


7.新製品紹介
TMS新製品紹介は信頼性の高い情報でした、広告主製品だからと提灯記事になる事なく、ユーザーの立場で駄目な部分は駄目、要改善点をハッキリ指摘してたからです。

この号ではカワイモデル11系/113系を取り上げてます。 モノクロ写真でも奥が湘南色、手前がスカ色と解ります、サロ含め4形式の発売です。

製品紹介記事ですが、2両ユニットモハの連結法注意点(使用法)や111/113/115系相違点(改造情報)なども解説してあります。 従来カワイ製品からの改良点として、ドア側板一体プレスから別部品半田付けにして立体感が向上した事を好評価してます。

一方でボディ下部絞りの曲げは、窓とドア上に光線の加減で目立つ小さな歪みがあると苦言を呈してます。 この写真から解る様に固定編成車種なので連結器はドローバー式です。

ドローバー水平維持に板バネ採用しており使い易いと好評価、編成クハは1両ドローバー付き、1両ピンのみが必要の注意もあります。 写真左は通常連結、写真右先端穴を使えば急カーブ通過可能だったと思います。

新製品紹介には走行試験結果も含まれており、1M4T5連では勾配区間で力不足、4連に抑えるかウエイト積み増しが必要の評価結果でした。

気になるお値段は5連で¥11,490、現在の通販サイト115系4両増結セットと同価格帯です。 サロ抜いた4両比較で0.9倍、物価上昇係数7倍して6.3倍です。 つまり現在6-7連編成物1.6万円が10万円になり、車両を次々買い集める事は庶民にはとてもできない相談でした。

裏表紙は連載『陸蒸気からこだままで』に加筆した特集シリーズ『陸蒸気からひかりまで』の広告、新幹線開業3年弱の世相を表してます。 ¥1,100は7年後1974年初版の『シナリーガイド』¥950に比べ高価です。 ¥180のTMSは6倍千円強でしょうか?知りません。


ではまた。

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