Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

生野街歩き-1 生野駅前

生野駅前の建設立地条件と現在の風景を紹介します。

レイアウト基台工事完成時の生野駅前です。 構造鉄骨前面に背景を設置するのが着工前の計画原案でしたが、駅前が壁では味気ありません。 そこで、DIYで鉄骨奥の空間に街並みスペース増設の計画変更をしました。

2x4材で床面鉄骨間に桁を渡し、柱を立てて街並み基台枠を製作しました。

天面に9mmコンパネを、背面に背景用4mm合板をビス止めして、600x900の敷地を造成しました。 基台から天井まで手前側で70cm奥は40cmの狭小空間です。 前面鉄骨すき間と右側面からしかアプローチできない劣悪な作業環境なので、ユニット分割した街並みを、完成状態で設置する工法を選びました。 ユニット厚補正と地形造形の為、増設エリアは生野駅基台より4mm低くしてあります。 写真下部に見えているように、線路は全線に渡り2mm厚コルクマット上に敷設して、騒音防止を図っています。

線路敷設、ストラクチャ仮置きの姿です。 駅舎がハの字鉄骨の中央付近なので何とかなりそうだと、鉄骨処理の工夫後回しの見切り発車でした。 生野町はジオコレ中心に、KATO、GM、トミックス製の時代設定に合うストラクチャ主体で構成しています。 好みによりモディファイしていますが、大多数はウェザリングと小物を追加して照明を組込んだ状態です。 贔屓目に見ても人並みの工作力しか持たない筆者が、市販品活用で製作した街並み事例としてご笑覧ください。

生野駅前広場を北側から眺めた現在の風景です。 ローカル駅舎の階段をそのまま使い、一段高い場所に駅舎が建っています。 駅前は一方通行のロータリー広場になっており、タクシー乗場、ペーパーキット利用のバス停、バス待合所があります。 生野町では放置自転車や放置バイクが、まだ問題になっていません。 南側の鉄骨根元に駅前交番、1番線跨線橋裏手に造り酒屋倉庫を配置し、立木を植えてカムフラージュしていますが、隠し切れるものではありません。 撮影アングル工夫である程度誤魔化せるので、壁よりは余程良いと割り切っています。

夜景です。交差点の交番向かい角は劇場、その奥に映画館があります。

映画館はこの様な駅の近くで少し入った場所にあったものです。 クリント・イーストウッド主演のマカロニウェスタン「夕陽のガンマン」を上映中です。

生野駅降車専用出口から駅前広場への階段降り口からの眺めです。 右奥に見えている駅前ビルが、もう一方の鉄骨処理の工夫です。 駅前角地に似合い、隠蔽工作に使えそうなストラクチャとして選びました。

物流会社事務所兼倉庫の想定で、2セットを繋いで縦長ビルにし、肉厚を削いでピッタリ鉄骨を囲んでいます。 もっとも、屋根上空はなす術がなく、低い視線の風景に割り込んでこない事でヨシとしました。

駅前大通りから駅前広場を眺めた風景です。 駅前大通りは並木道になっており、広い道幅で歩道と植え込みがあり、商店が建ち並んでいます。 生野駅と峠温泉を結ぶ動輪マークシンボルを付けた国鉄バスが走っています。 駅前交差点は線路沿いに南北に走る道路、大通り、駅前広場一方通行出口の十字路になっており、交通信号機が設置されています。 点灯化手段が決まらぬまま放置した挙句、信頼性優先の安全確実な方法で製作しました。 しかし、人間目線で許容(老眼に限る)できても、カメラ目線では配線がリアリティを大いに損なっています。 作り直さなくてはと思いながら、ついつい後回しになっています・・・。 電気的には歩行者用を含めて6灯を3本直列2系統にし、推奨動作条件の10%(2mA)弱の電流で駆動しています。

夜景です、生野駅1番線に急行が停車中です。

駅舎出口から大通りを眺めた風景です、大通り突き当りは生野町役場です。 大通りは一方通行出口を直進できないので、右左折レーンに別れています。 駅前に行くには一旦左折し、駅前広場入口専用レーンから右折する形になります。

夜景です。 町役場は半分以上の窓に灯りがあり、多くの職員が残業中のようです。 右手前ビル3階は、駅前に必ず1軒はあった麻雀屋になっています。


これまで『我道を行く!』でレイアウト製作を進めてきましたが、『これからどう進む?』を考えたくなりブログを開設しました。 拙レイアウトに関する、ご感想ご意見などございましたら、ご遠慮なくコメントを頂戴できれば幸いです。


ではまた。

露太本線の照明設計について

夜景を重視する露太本線の照明設計を紹介しながら、感じた事などを書いてみます。


1.適材適所
試行錯誤の末、標準光源として3228サイズ電球色チップLEDを採用しています。
①扱い易いサイズ、半田付けが容易で熱劣化マージンが大きい
②広い照射角120度
③まとめ買いで¥25/個の手頃な価格
が選択理由で、約70%に使用しています。 サイズ・用途が適合しない30%は、「超小型チップLED数種類」「砲弾型LED」「ムギ球」を使い分けています。 ムギ球は広い照射角が必須条件の場所限定です。


2.明るさより信頼性優先
屋根裏狭小空間に立地するので、照明不良事故補修に大変な困難が伴います。 そこで高信頼性、つまり寿命優先設計をしています。 市販LED照明モジュールは、12V電源で部品推奨動作条件(例:順電流20mA)となるよう設計されています。 寿命そこそこ(常温)で充分明るい条件です。 ここに落とし穴があります、何度かの失敗を経た結論です。 推奨動作条件は寿命最大ではない事、狭い空間に設置すると発熱により寿命低下する事、基板実装前提のチップ部品をリード線半田付け使用すると、残留応力により接点不良またはクラックが入り易い事、及びその複合要因です。 LEDは、通常のストラクチャ照明には充分な明るさを持っています。 露太本線では推奨動作条件の5%~50%の順電流で使用しています。 電流1/2は電力1/4、電流1/3は電力1/9ですが、データシートによれば、明るさはそれぞれ1/2強、1/3強です。 1mA(5%)で使用しても「昭和の街灯」なら充分です。 電流を絞ることにより、発熱が減り寿命が大きく延びます。 また、ムギ球は短寿命が定評ですが、明るさを少し犠牲にして、球切れ要因の突入電流制限抵抗(33Ω)を直列に入れることで、点灯不良事故ゼロを継続しています。


3.熱を光に変える

図上が一般的使用法です。 LED順電圧は3V一定と考えて良いので、この場合は順電流9mA(9V/1KΩ)でLEDが点灯します。 消費電力の1/4が光に変換され、3/4は熱として空気中に放散されます。 図下が露太本線の使用法です。 LED3本直列で順電流が同じになる抵抗値を選びます。 同じ消費電力で明るさ3倍、発熱量1/3、配線も減り地球に優しい使用法です。 街灯は3本セット、中山平の製材所3灯もこの方式で給電1系統です。 ストラクチャ照明は1灯を前提とせず、2-3灯の分散配置を活用してリアリティ向上を図っています。 上級編として直列3灯の明るさ個別設定も可能ですが、電気工作講座になってしまうので、ここでは触れません。 この使用法の唯一の欠点は、故障時3箇所共倒れになる事ですが、1箇所切れても補修が必要なのは同じと考えています。


4.色は大切な調味料
電球色はストラクチャ照明に適しますが、「昭和の温もりがある灯り」の再現ではムギ球に適いません。 と言って相対寿命が短く消費電力が大きい(3倍前後、LED3本直列使用比較で約10倍!)ムギ球を多用することはできません。 そこで、LED電極表面に薄めたオレンジ色水性塗料を塗ってチューニングしています。 フィルタ類も試しましたが、電極表面塗装が一番効果的でした。 また、灯りの色を統一せず多少ばらつきがあった方が、街らしさを演出できると感じています。

改修前の機関庫、白色LED+フィルタx2灯の初期仕様照明です。

標準光源+色チューニングに換装した改修後です、格段に雰囲気が良くなりました。(後刻、下の詰所も明るさ半分、かつ赤っぽく改修しました) 私見ですが、実際の色より赤味を増やした方が、より昭和の灯り感が出るようです。
[2020.01.02追記]標準光源化による改修と記載しましたが、初期仕様砲弾型白色LEDを直列抵抗ディレーティング、発光面色差し、角度変更改修でした、訂正します。


5.照明過多に注意
ストラクチャに照明を組み込むと、つい点灯状態を強調したくなるのが人情です。(上の詰所が好例) しかし、40年前の街灯りは現在ほど煌々としていませんでした。 また夜間、建物すべての開口部が明るいのも現実的ではありません。 明るさをセーブして、ポツポツ灯る懐かしい夜景再現を目標にしています。


6.遮光法あれこれ
壁が透けたり、足元から光漏れするとリアリティを大きく損ないますので、すべての照明組込みストラクチャに遮光対策をしています。 遮光材は、黒色絶縁テープを主体に、アルミ箔テープ、ボール紙(キット包装箱)を使い分けています。 塗装は失敗リスクがあるので使っていません。 アルミ箔テープは加工性が良く、反射板機能があるので重宝していますが、外部から見える部分はギラッと光ってしまうので注意しています。


7.照明系の配線

脱着可能なギボシ端子で給電しています。 基台下へ潜り込んで仰向け半田付けする危険回避と、故障時の補修性確保が目的です。 走行系・12V系・照明系・AC電源が集中する生野駅基台下部はご覧のようになっています。 ねじ込みフックとクランパーで束ね、粘着テープで留めて作業中の引っかけ防止をしています。


8.番外編:KATOキハ181系は部分最適設計?

キハ181系7連にLED室内灯クリアを組み込んだところ、普通車は真っ青、グリーン車は真っ赤、食堂車は白になりました。 シートクロス色を表現する成形材料を選択した結果のようです。 おそらく、「プラ部品」「機構」「電気」「オプション品」のような分担で製品設計し、フル装備編成の完成形を確認していないと思われます。 夜間走行は「走るフランス国旗」状態です。 キロ28も真っ赤でしたのでキハ181系固有の問題ではなさそうです。 シート部品を白く塗り、LEDに色差しチューニングで赤味を加えて公開動画に出演しています。 結局、照明系電気工作講座になってしまいました。 少しでも参考になれば幸いです。


ではまた。

露太本線生野駅構内風景 後編

前回の続編です。

機関区事務所窓から3・4番線ホーム越しに1番線改札口方向を眺めた風景です。 3・4番線ホーム上屋はGM製で、KATO製待合室や1番線上屋と屋根瓦の風合いが異なりますが、塗装とウェザリングで馴染んでくれました。 なお、この角度の視界から構造鉄骨を消すことはできません。

夜景です。

機関区事務所と燃料係詰所の間に梃子小屋があります。 本線用は1番線ホームにあり、機関区エリア用はここという設定です。 情景小物の時計台セット品を使っています。

梃子小屋から留置線沿いに進むと機関庫裏に出ます。 生野駅構内の一番奥ですが、レイアウト入口の正面に位置します。資材置場はカプラー交換に失敗し廃車になったNゲージ黎明期のトキ15000です。

機関庫入口付近です。 保線区車両用側線は乗り越し型ポイントです。 できれば中山平駅オーバーラン防止線もこのタイプにしたかったのですが、リアリティと走行安定性を両立するポイント自作は工作力の限界を超えると断念しました。

生野駅1番線ホーム北端からの眺めです。 レールに映る車両や信号機の灯りが夜景を盛り上げてくれます。

生野駅下り方です。 ゆったりとした国鉄駅の雰囲気を狙って線路配置をしています。

夜景です。

振り返って上り方を眺めた夕景です。 光と影が交錯する夕景には夜景とは別の魅力があると思います。 特に動画は影が動くのでなおさらです。 夕景の魅力にハマるキッカケになった動画がありますので、よろしければご覧ください、シナリオなしの短編です。
Nゲージレイアウト国鉄露太本線01「夕焼け貨物列車」


ではまた。