Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

露太本線の照明設計について

夜景を重視する露太本線の照明設計を紹介しながら、感じた事などを書いてみます。


1.適材適所
試行錯誤の末、標準光源として3228サイズ電球色チップLEDを採用しています。
①扱い易いサイズ、半田付けが容易で熱劣化マージンが大きい
②広い照射角120度
③まとめ買いで¥25/個の手頃な価格
が選択理由で、約70%に使用しています。 サイズ・用途が適合しない30%は、「超小型チップLED数種類」「砲弾型LED」「ムギ球」を使い分けています。 ムギ球は広い照射角が必須条件の場所限定です。


2.明るさより信頼性優先
屋根裏狭小空間に立地するので、照明不良事故補修に大変な困難が伴います。 そこで高信頼性、つまり寿命優先設計をしています。 市販LED照明モジュールは、12V電源で部品推奨動作条件(例:順電流20mA)となるよう設計されています。 寿命そこそこ(常温)で充分明るい条件です。 ここに落とし穴があります、何度かの失敗を経た結論です。 推奨動作条件は寿命最大ではない事、狭い空間に設置すると発熱により寿命低下する事、基板実装前提のチップ部品をリード線半田付け使用すると、残留応力により接点不良またはクラックが入り易い事、及びその複合要因です。 LEDは、通常のストラクチャ照明には充分な明るさを持っています。 露太本線では推奨動作条件の5%~50%の順電流で使用しています。 電流1/2は電力1/4、電流1/3は電力1/9ですが、データシートによれば、明るさはそれぞれ1/2強、1/3強です。 1mA(5%)で使用しても「昭和の街灯」なら充分です。 電流を絞ることにより、発熱が減り寿命が大きく延びます。 また、ムギ球は短寿命が定評ですが、明るさを少し犠牲にして、球切れ要因の突入電流制限抵抗(33Ω)を直列に入れることで、点灯不良事故ゼロを継続しています。


3.熱を光に変える

図上が一般的使用法です。 LED順電圧は3V一定と考えて良いので、この場合は順電流9mA(9V/1KΩ)でLEDが点灯します。 消費電力の1/4が光に変換され、3/4は熱として空気中に放散されます。 図下が露太本線の使用法です。 LED3本直列で順電流が同じになる抵抗値を選びます。 同じ消費電力で明るさ3倍、発熱量1/3、配線も減り地球に優しい使用法です。 街灯は3本セット、中山平の製材所3灯もこの方式で給電1系統です。 ストラクチャ照明は1灯を前提とせず、2-3灯の分散配置を活用してリアリティ向上を図っています。 上級編として直列3灯の明るさ個別設定も可能ですが、電気工作講座になってしまうので、ここでは触れません。 この使用法の唯一の欠点は、故障時3箇所共倒れになる事ですが、1箇所切れても補修が必要なのは同じと考えています。


4.色は大切な調味料
電球色はストラクチャ照明に適しますが、「昭和の温もりがある灯り」の再現ではムギ球に適いません。 と言って相対寿命が短く消費電力が大きい(3倍前後、LED3本直列使用比較で約10倍!)ムギ球を多用することはできません。 そこで、LED電極表面に薄めたオレンジ色水性塗料を塗ってチューニングしています。 フィルタ類も試しましたが、電極表面塗装が一番効果的でした。 また、灯りの色を統一せず多少ばらつきがあった方が、街らしさを演出できると感じています。

改修前の機関庫、白色LED+フィルタx2灯の初期仕様照明です。

標準光源+色チューニングに換装した改修後です、格段に雰囲気が良くなりました。(後刻、下の詰所も明るさ半分、かつ赤っぽく改修しました) 私見ですが、実際の色より赤味を増やした方が、より昭和の灯り感が出るようです。
[2020.01.02追記]標準光源化による改修と記載しましたが、初期仕様砲弾型白色LEDを直列抵抗ディレーティング、発光面色差し、角度変更改修でした、訂正します。


5.照明過多に注意
ストラクチャに照明を組み込むと、つい点灯状態を強調したくなるのが人情です。(上の詰所が好例) しかし、40年前の街灯りは現在ほど煌々としていませんでした。 また夜間、建物すべての開口部が明るいのも現実的ではありません。 明るさをセーブして、ポツポツ灯る懐かしい夜景再現を目標にしています。


6.遮光法あれこれ
壁が透けたり、足元から光漏れするとリアリティを大きく損ないますので、すべての照明組込みストラクチャに遮光対策をしています。 遮光材は、黒色絶縁テープを主体に、アルミ箔テープ、ボール紙(キット包装箱)を使い分けています。 塗装は失敗リスクがあるので使っていません。 アルミ箔テープは加工性が良く、反射板機能があるので重宝していますが、外部から見える部分はギラッと光ってしまうので注意しています。


7.照明系の配線

脱着可能なギボシ端子で給電しています。 基台下へ潜り込んで仰向け半田付けする危険回避と、故障時の補修性確保が目的です。 走行系・12V系・照明系・AC電源が集中する生野駅基台下部はご覧のようになっています。 ねじ込みフックとクランパーで束ね、粘着テープで留めて作業中の引っかけ防止をしています。


8.番外編:KATOキハ181系は部分最適設計?

キハ181系7連にLED室内灯クリアを組み込んだところ、普通車は真っ青、グリーン車は真っ赤、食堂車は白になりました。 シートクロス色を表現する成形材料を選択した結果のようです。 おそらく、「プラ部品」「機構」「電気」「オプション品」のような分担で製品設計し、フル装備編成の完成形を確認していないと思われます。 夜間走行は「走るフランス国旗」状態です。 キロ28も真っ赤でしたのでキハ181系固有の問題ではなさそうです。 シート部品を白く塗り、LEDに色差しチューニングで赤味を加えて公開動画に出演しています。 結局、照明系電気工作講座になってしまいました。 少しでも参考になれば幸いです。


ではまた。

露太本線生野駅構内風景 後編

前回の続編です。

機関区事務所窓から3・4番線ホーム越しに1番線改札口方向を眺めた風景です。 3・4番線ホーム上屋はGM製で、KATO製待合室や1番線上屋と屋根瓦の風合いが異なりますが、塗装とウェザリングで馴染んでくれました。 なお、この角度の視界から構造鉄骨を消すことはできません。

夜景です。

機関区事務所と燃料係詰所の間に梃子小屋があります。 本線用は1番線ホームにあり、機関区エリア用はここという設定です。 情景小物の時計台セット品を使っています。

梃子小屋から留置線沿いに進むと機関庫裏に出ます。 生野駅構内の一番奥ですが、レイアウト入口の正面に位置します。資材置場はカプラー交換に失敗し廃車になったNゲージ黎明期のトキ15000です。

機関庫入口付近です。 保線区車両用側線は乗り越し型ポイントです。 できれば中山平駅オーバーラン防止線もこのタイプにしたかったのですが、リアリティと走行安定性を両立するポイント自作は工作力の限界を超えると断念しました。

生野駅1番線ホーム北端からの眺めです。 レールに映る車両や信号機の灯りが夜景を盛り上げてくれます。

生野駅下り方です。 ゆったりとした国鉄駅の雰囲気を狙って線路配置をしています。

夜景です。

振り返って上り方を眺めた夕景です。 光と影が交錯する夕景には夜景とは別の魅力があると思います。 特に動画は影が動くのでなおさらです。 夕景の魅力にハマるキッカケになった動画がありますので、よろしければご覧ください、シナリオなしの短編です。
Nゲージレイアウト国鉄露太本線01「夕焼け貨物列車」


ではまた。

露太本線生野駅構内風景 前編

露太本線のメインステーション生野駅構内風景を紹介します。

上り方から跨線橋越しの風景です。 1・2番線間は標準複線間隔33mmですが、2・3番線間は本線ポイントに6番を使用しているので40mmと広くなっており、その差を利用して幅広融雪溝を設置しています。 ホームは6両分で、中央約4両分が嵩上げされた状態を再現しています。 こうして見ると、バラスト撒布の下手さ加減がバレバレで、お恥ずかしい限りです。

夜景は見せたくない物を隠してくれる魔法の杖です。(!?)

別角度の夜景です。 低視点から見た跨線橋の光漏れ対策は困難で、古レール骨組ならこの程度あったと考えることにしています。

1番線ホームの跨線橋階段付近です。 ホーム幅は3・4番線と同じですが、跨線橋降り口はホーム奥側にあり、乗客が通行し易くなっています。 KATOローカル駅舎の降車専用出口を跨線橋側にして使っています。 付属小物類と自作看板でお化粧しています。

夜景はこんな感じです。

4番線と機廻し線の風景です。 当時、キオスクはありましたが、生野クラスの駅では待合室ホール内が普通でした。 ホームにキオスクがあったのは都市近郊駅と支線を分岐する特急停車駅程度で、時代考証的には正しくありません。 待合室ホール内では目立たず、作り甲斐がないという理由でホームに設置してあり、この辺りはアバウトです。

夜景です。 暗い場面で奥行き感を出す写真撮影は難しいです。(下手なだけ?)

機関区事務室はKATO機関区施設セットの1棟です。 アクセサリー用にトミーテック情景小物の時計塔を含むセットを購入してから、夜間使えない構内時計は意味がない事に気付きました。

で、やや強引に照明を押し込みました。


ではまた。