Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

湖南電源⑭追加安全性保証回路の設計

延伸線2CH走行電源と湖南2CH電源に追加搭載する安全性保証回路の設計です。 前者は2.2A、後者は2.7A動作の過電流保護を各CH1.3A動作に、かつ保護回路動作をパイロットランプ表示させる設計変更です。

これは後戻りできない、したくない筆者のある意味悪あがきで、設計プロセス開示しますが製作推奨しません、採用は自己責任でお願いします。 省スペース低コスト2CH電源コンセプトを活かす為の『露太本線の七転八倒記』としてご笑覧ください。


1.ラッチ回路
ラッチ(Latch)とは門などの錠の事、鉄道改札の意味もありますね。 ラッチ回路は1ビット、例えばON/OFFを保持する回路で、デジタルゲート利用方式が良く知られてますがここではトランジスタで構成します。

トランジスタ2個で構成される電子スイッチです、拙ブログのレイアウト制御リレードライバーの構成に似てます。 違うのは解説の様にON/OFFが相互依存してる点で、一旦ONすればONしっぱなし、OFFも同じで状態保持機能がある事です。

図ラッチ回路のキモはNPNトランジスタベース、ここに起動パルス入力すればOFF⇒ON、開放または接地すればON⇒OFFします。 電源スイッチONでラッチ回路ONするのは簡単、コンデンサ1個でできます。

電源入力とNPNトランジスタベースをコンデンサ接続するとコンデンサを充電する微分パルスが発生し、これが起動パルスとなってラッチ回路をONし回路基板に電源供給します。 保護回路動作でラッチ回路OFF時は電源スイッチOFF/ONで起動パルスを発生するリセット機能を持ちます、勿論保護回路動作の原因除去してからですが。


2.予備実験と回路設計
回路設計は頭の中でできますが、動作確認しないと部品発注もできないので、手持ち部品でバラック回路を組み実験しました、

手持ち2CHメイン基板を使い手前小型基板に実験回路を組み、設計の基本動作する事を確認しました。 半田ゴテ根元コード近くでパイロットランプが緑点灯してます。 最終使用部品到着を待って再度確認と詳細の詰めが必要です。

予備実験結果を元に設計した安全性保証回路です。 回路基板入口のポリスイッチPS91がこちらに引っ越し、追加部品で構成されてます。 基本ラッチ回路にコンデンサ2個、ポリスイッチ付きトランジスタ2個を追加した回路構成です。


3.部品選定と動作解説
どんな部品選定基準なのか?この部品は何故この値なのか?そしてどう動作するのか?参考に解説します。


①PNPトランジスタ2SB1018
予備実験はHyper-G出力トランジスタ2SA1359使いましたが、絶対最大定格電流3AではACアダプタ3A、ポリスイッチ2.7Aに対して余裕が少なく、高速動作の必要がないので別品種を使います。

決め手は十分な電流容量と電圧ロスが少ない事です。 直流電流増幅率データから十分な電流を低損失で供給するには最低70mA、余裕見て100mAのベース電流が必要です。 この時4本並列470Ω損失が0.26Wになるので1/2W品を使ってます。


②TR92ベース抵抗R94
100mAの2SB1018ベース電流を流す2SC1815直流電流増幅率は100 min、最低1mAのベース電流が必要です、R93を5.6kΩにして倍の2mAにしてます。


③起動パルス発生C91
TR92ベースGND側抵抗R94 5.6kΩと微分回路を構成するので2.2~4.7μFが適当ですが、手持ちがなく10μFを使います。 OFF/ONのリセット動作応答時間が0.1秒必要ですが実用上問題ないと思います。


④ポリスイッチPS91 2.7Aトリップ品
回路基板から移動しここに設置します、オリジナル設計では回路遮断とパイロットランプ緑⇒赤表示機能を果たしてますが、ラッチ回路が双方機能を肩代わりします。

安全上はACアダプター内蔵過電流保護回路が動作し表示LED消灯で問題ありませんが、通常見える場所には置きません、急な電源OFF状態に戸惑うでしょう。 このポリスイッチ動作でラッチ回路をOFFしパイロットランプ赤表示する目的で残してます。


⑤PS92/PS93とTR93/TR94
オリジナル設計で回路基板GND接続の電源出力マイナス端子は、安全性保証回路の1.3Aポリスイッチ(または0.47Ω金属皮膜抵抗)を介してGND接続します。 PS92/PS93の一方がトリップする(または金属皮膜抵抗両端電圧が0.6Vを超える)とR95/R96によりTR93/TR94 ONしてラッチ回路OFFし、パイロットランプ赤表示状態を保持します。

保護素子はポリスイッチ前提で考えてますが、ロスが少ないメリットの半面、過電流発熱動作デバイスなので常点灯域出力ショートで動作しない傾向が予備実験で見られました。 追加部品手配に金属皮膜抵抗を加え、両者比較の上最終決定します。


TOMIX N-1001-CL/KATOスタンダードSX(ポリスイッチ併用)共に0.47Ω/1W金属皮膜抵抗を過電流検出に使用してます、1.28AでトランジスタON可能な0.6Vになるからで、秋月は100本単位販売なので一回り大型の3W品を手配しました。


以上の様に、部品特性データから確実に動作する様に必要なマージンを見て部品選定するのが回路設計の定石で、それぞれの部品の値には意味と裏付けがあります。


4.設置場所と方法の検討
当初計画になかった追加安全性保証回路なので設置場所・方法が課題になります。

湖南電源メインチャンネル内部です。 穴空け直して基板移動、または底板作り直しは避けたいので使えるのは左端のスペースだけです。

採寸するとブレッドボードタイプユニバーサル基板を切った下半分サイズなら幅が収まると解りました。 ただし6Pコネクタがあるので全長は使えず2/3までです。

部品数は少なくても複雑接続なので部品配置設計しました。 部品リード線の半田付け端子化や10μFコンデンサ空中配線などの方法で目標サイズに収まる見通しが立ちました、右上にφ3.2穴を空けて右側切断、両側にスペーサ取り付けて収納します。


部品到着(今月何度目?)を待って基板製作・安全性保証回路動作確認と設計改修・電源完成・最終確認・納入の順番になります。 まだ先が見えない部分もあります。『がおう☆』さん、もうしばらくお待ちください。


ではまた。

雪崩覆い周辺の製作 その5

雪崩覆い周辺の製作が続きます。 やはり自分は運転より鉄路のある懐かしい時代の風景製作が好きなのだとつくづく思います、ウデは別にしてですがね(笑)

雪崩覆いユニットを前へ引き出し、梱包用布テープで地表面を貼りました。 ここは擁壁汚すのでプラスタークロス使わず最低2層、多い場所4層で強度アップしてます。 貼り終えて現場へセットし様子見してます。

再び手前へ引き出しボンド水に浸した新聞紙を5-7層重ね貼りしました。 擁壁に垂れ跡残らない様に際に貼る新聞紙は浸さず、置いてから筆でボンド水を塗りました。

一昼夜で完全乾燥、プラスタークロス使わなくても多層化したので地面ベースとして十分な強度になりホッとしました。

半乾きで風景基準板はみ出し部分をラフカットしましたがまだはみ出してます、風景画との隙間は雪崩覆い位置ズレになるので、写真撮影後に小型ハサミで綺麗に切りました。

地面下地にフラットアース塗装、また半日乾燥待ちです。 次は地面加工です、そこそこ強度あっても斜めに傾けボンド水垂し工法は無理、始めての方法を採用しました。

中性洗剤数滴垂らした少量の水を用意します。
水の量の3-4倍のボンド投入、高浸透性高濃度ボンド水を作ります。
これを太筆で地表に塗ると濃度が高いので流動性が低く、擁壁上に溜りはできますが流れ落ちず全面に塗布できました。
散布するのは4種混合、リアルサンドブラウン・ナチュラル(上)各1、カントリーグラス(左下)2、コーヒー滓(右下)2の割合にしました、混ぜて様子見して追加するアバウト法です。 なお好物キムチ容器は素材保管用に重宝してます。

4種混合素材を小型スプーンでサラサラと振りかけます、ボンド水の浸透性で固着する物は固着する、半分無駄になっても良いくらいの気持ちでタップリ振った処です。

再び一昼夜放置乾燥後、指で擦って落ちる定着の甘い物を含めて余分を掃除機で吸い取った地表面拡大です。 コーヒー滓が良い仕事してると思いませんか(笑)

現場に置き台座ネジ仮締めして先の工程考えました。 次は一括敷設区間ベース/路盤製作ですが、赤丸部から右の風景製作どうする? 幅が広がり擁壁ないだけで同じ事、写真上が暗いのはすぐ上にある梁の影です。 何はともあれまずはR718ベースから。

ユニトラックR718/15度レール(25mm幅)からコルクシート切り出しケガキに便利なR718/20度27mm幅型紙を0.8t板紙で作成、5度毎にラインを入れてます。

25‰用240mm長を5.5mm材から2枚切り出しました。 カーブ外側は築堤になるので2枚の余分寸法が違ってます。 下りカーブのベースは平面でなく勾配と曲率に合わせ捩れてないと線路が水平になりません、従って2枚の接着は台座固定時になります。

次に150mm緩和勾配と44mm水平区間を足した194mm長を2枚切り出しました。切り分けず44mm位置裏側に切れ込みを入れ、台座取付時に撓ませる作戦です。 

現場で台座と合わせをしたらアリャリャ、緩和勾配150mmなのに台座が180mmもあります、25‰と水平台座から16‰勾配角度確定の為に寸法取り過ぎました。

25‰勾配台座を短縮しようと鋸入れたのですがチョッと待った!、30mm角材が接した基準点切ったら勾配狂ってしまいます。
25‰勾配台座は基準点下の出っ張りを3.2mm下駄と一緒に短縮しました。
水平台座は下駄出っ張りだけ切る予定でしたが、それだけでは足りません。
30mm角材/キューブ材もろとも下駄まで切り落として寸法を合わせました。

加工を終えた2台座を突き合わせると緩和勾配150mm、勾配傾斜も計算通りピタリ合います。
R718型紙を当てたこの位置で2台座を固定すれば一体化できます。
寸法計ってケガいて5.5mm端材から台座連結材を切り出しました、台座を一体化すると共に風景基準板との連結にも使用します。
25‰勾配台座下駄上位置、基台床面上3.2mmにボンド/瞬着併用で接着しました、天面は床面上8.7mmになります。

一体化した台座に緩和勾配/水平区間ベースを取り付けます、1枚目は両区間各2ヶ所、ネジ頭が出ない様ザグって木ネジで締めます。 ベースは左から右へごくわずか反時計回り方向へ捩れてます、でないと路盤が水平にならず逆カントが付いてしまいます。

2枚目は先にネジ穴を空け、ボンドを塗って6本の木ネジで締めます、2枚がわずか捩れた状態で接着され、水平な下り勾配曲線ベースができます。 従来線にはなかった工事で、正確性を優先すると非常に面倒な作業です。

【『雪崩覆い周辺の製作 その3』より転載】
やってみて始めて文明の利器の便利さが解りました。 線路1本の下りだけでこの騒ぎ、5-6本の線路がコーナーに集中するレイアウトはこれなしじゃ作れませんね。 建設時の線路ベース水平出し数値計算負荷をほぼなくしてくれます。

一体化した台座と取り付けたベース、及び25‰勾配区間ベース(載せただけ)を基台にセットしました。 これで台座固定・線路敷設したら奥の風景製作が非常に困難になる事が実感として解りました、ここまでユニット化するしかありません。

設計図で北基台東端から932mmのR718終点は約20mm短いハズです。 雪崩覆い角度5度振った戻しの5度を、41mm/R481から62mm/R718にしたからです。 連結面が広がるカーブは緩くしたいし、フレキなら先で何とかなるの確信犯でやりました。

計測するとピッタリ21mm短い911mmでした、正確に敷設できてると一安心、次は背景基準板をどう延長して台座との位置関係固定をどうするか、長大化するユニット強度をどう確保するか、そして風景製作どうするか、やる事山ほどあります。


ではまた。

Hyper-Gの事後対応

前回7月20日更新でお知らせした通り、Hyper-G 2CH仕様安全性問題が判明し、その事後対応に追われてます。


1.公開情報改訂
まずは公開情報の改訂からです。

Hyper-G設計製作関連記事のまとめページに判明した事実を追記し、安全性問題のある2CH仕様と未確認の2A仕様を製作推奨から外しました。 製作情報をまとめた下記記事を除いては、開発設計プロセス記録の技術情報として修正しておりません。

Hyper-G製作必要情報を集約した上記記事を1.2A 1CH限定に加筆訂正しました。 差し替え必要図面が多く、更新日は終日公開情報改訂に費やしました。

今月はほぼ毎週の秋月部品手配になりました、配送員はご近所の方です。

郵送対応用ポリスイッチ/トランジスタの他、湖南電源で判明した常点灯ボリューム特性改善等々、必要部品が7月20日に到着しました。


2.製作サポート者への連絡
半田付けさえできれば誰でも作れます!と言ったのは筆者です。 電子工作経験が少ない方も製作挑戦され、個別サポートも二桁に及びませんが行いました。 メアドを頂戴したサポート者には7月19日事前告知しました、2例紹介します。


①Hさんのケース
先月個別サポート依頼を受け、『秋月に該当品がないので互換部品教えて欲しい』の内容で、実は筆者の商品コード記載ミスでした。 製作中解らない事があれば質問すると仰ってましたが、独力で1CH仕様を完成されておりホッと一息でした。


②Fさんのケース
サポート事例として公開したFさんは2CH仕様で当面1CH使用なので心配でした。 その後の様子を伺うと完成2週間後にショート事故でトランジスタ発煙・焼損、元は筆者責任なのにすぐ破損と言い出しにくく、ご自身の判断で正しい選択をされて、トランジスタとポリスイッチ1CH用に交換し以後快調に動作してるそうです。

本件では正直メゲましたがFさんの返信で救われました。 お子さんとN-1001-CLと2台で遊ぶ際に、いつも先にHyper-Gを取られてしまうそうです。 もう1台製作予定で部品用意もあるのでと部品郵送を辞退され、逆に感謝の言葉をいただきました。


3.湖南電源の軌道修正
この事実判明時に『がおう☆』さん報告し、問題解決の為の納期延長の了解をいただきました。 問題はどう解決するかです、巨大レイアウトトンネル内脱線ショート事故発生時にパイロットランプ表示機能がない暫定2CHでは使えません。

【湖南電源サブチャンネル】
一番安全確実な解決策は2CHから1CHx2台への変更です。 メインチャンネル単独電源化は6Pコネクタ穴を塞ぐ程度で比較的容易ですが、サブチャンネル単独電源化は流用可能なメインボードはある物の非常に大変な作業になります。


完成してるケースにDC入力ジャック/電源スイッチ/パイロットランプ取り付けの苦手なケース加工は気が重く、ACアダプターも1.5A仕様2台別調達で、感覚的にはほぼ作り直しになります。 別の事情もあります。

【自家用Hyper-G】
自家用Hyper-Gはこの箱の中に1.2A 1CH補助電源と1.2A 2CH走行電源、計3組のメインボードが入っており、この問題は筆者自身の問題でもあるのです。

【自家用Hyper-Gシステム】
この走行電源を1CHx2に改造する気力がありません、と言って放置できないので追加安全性保証回路搭載を考えてます。 「こうすればできるハズ」のアイディア段階ですが、『がおう☆』さんの了解をいただき、同じ方法の2CH仕様で進める事になりました。


折角2CHで開発した物を1CHに戻すのは敗北・撤退のイメージがあり嫌いですし、何とか正面突破して初期コンセプトを活かしたいと思います。


ではまた。