Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

倉元駅コテコテアナログ制御➊

さてArduino制御を中止し、アナログ技術で同じ機能を実現する事にしました。 『電気は見えないから苦手』と言われては身も蓋もありませんが、少なくもムカデ足のデジタルICやそれを動かす初歩的プログラム言語スケッチが不要な分だけ取り付き易いと思います。

【倉元駅舎】
デジタル庁新設と担当大臣の任命、世の中はデジタル化に進んでますが、アナログが一概に古臭いとは言えず良さもあります。 それを当社倉元駅制御で証明するとしましょう。


1.倉元駅線形と制御内容
スイッチバック駅なので停車列車は2回進行方向を変え、3運転パターンあります。 従来線笠松信号所は両渡線ポイント1個なので何とか操作可能ですが、信号機7基は動画撮影以時外は操作不能です。 駅構内2線と出発線がありポイント8個の倉元駅は一括制御が必須です。

まず倉元駅線形と信号機のまとめからです、過去記事御覧の読者から『またかよ』と言われそうですが、図表は最新条件アップデート版です。 倉元駅には本線運転用7ヶ所と駐泊所入口の計8ヶ所のポイント、8基の腕木式信号機、1基の中継信号機を設置します。

従来線笠松信号所はKATO両渡線でポイントスイッチ1個(内蔵マシン4個)ですが、倉元駅はPecoで本線直線スイッチバック再現の為にP1-P4の4個、構内線分岐と出発線追加で7個になります。 信号機は本線用だけで8基、後退運転用灯火式中継信号機1基を設置します。

ギャップとフィーダーは上図の通りで、2列車運転する為に上下本線分割、倉元駅構内でF1-F3の3ヶ所が最低必要です。 また駅構内列車交換と、出発線効用である上下列車同時発車可能にする為、1番線と引上線を従属フィーダー化し運転モードで切り替える方式です

引上線フィーダーFJHはP4開通方向により駅構内F3/本線下り方F2に切り替わり、1番線フィーダーFJ1はP6開通方向により駅構内F3/本線上り方F1に切り替わります。 1/2番線先端に補機開放/待機用ギャップをオン/オフするトグルスイッチGSW1/GSW2を設置します。


線形とポイント/信号機配置、ギャップ/フィーダーは以上の通りですが、これをどう動かすかの制御に話を進めます。 デジタルかアナログかは手段に過ぎずまだ先になります。 

➊ポイント 8ヶ所
駐泊所入口はトグルスイッチ手動式ですが、通常運転に係る7ヶ所は一括制御です。 またPecoポイント弱点と言われる線バネによる給電信頼性確保の為、補助給電を行います。
➋腕木式信号機 8ヶ所
駐泊所を省略して8基、後退運転する引上線先端に灯火式中継信号機を設置します。
➌従属接続フィーダー切替
駅構内1フィーダーでは列車交換できません、1/2番線区分の構内2フィーダー化も有効ですが、1番線/引上線を従属フィーダー化して運転モードで自動切換の方が使い易いです。

➍20度クロス接続切替・・・・裏に4本の接続選択用ワイヤーが出てる
KATO/TOMIXクロスレールにはない問題です。 Peco20度クロスはポイントではないのに進行方向により両側フログ部の接続を変更しないと通過できません。 設計思想がシングルスリップ/ダブルスリップと同じだからです、良い物は使いこなすのも面倒です。


2.リレーについて
メーカー純正スイッチのポイント切替やコンデンサ利用トグルスイッチ切替は『人力制御』です。 デジタル/アナログに係らず電子制御を行うには『電子スイッチ』が必要です。

その機能を果たすのがリレーで様々な種類がありますが、解説は混乱を招くだけなので省略します。 何をどう使えば良いか解れば十分、そこに的を絞り具体的用法を解説します。

【汎用リレー推奨品】
リレー外形は四角い箱で、推奨品の場合足が8本出てます。 5V仕様同価格同容量品もあり、Arduino制御の場合5V電源があり使えますが、消費電流が多いので12V品推奨です。 2A/30V仕様2回路入りなので従属接続フィーダー切替に使えますし、ポイントはTOMIXなら1回路1個で2個連動可、ソレノイド電流の少ないKATOなら1回路2個で4個連動可能です。  

8本足の1番ピンが電源12V、16番ピンがGNDです。 4/6/8番ピンと9/11/13番ピンが2回路スイッチになっており、電気的には6端子2Pトグルスイッチと同一です。 非通電時は4/13番ピンが6/11番ピンに導通し、通電するとコイルの磁力で8/9番ピンに切り替わります。


8本足なのに16番ピンがあるのは右側足配列図にある様に、足ピッチがブレッドボード基板ピッチ2.54mmの整数倍で空き番にしてるからで、ピン間隔は2.54mmの2倍と3倍です。

リレー使用時の重要な注意点があります、逆起電力保護ダイオードが必要です。 リレーはモーターと同じくコイル(誘導性)負荷なので周辺回路保護用に設置が必須です。

逆起電力保護ダイオードはコレを使います、利用範囲の広い汎用品です。 KATO/TOMIXのユーザーはここまでで十分ですが、Pecoはそうは行きません。Pecoポイントマシンは大昔の16番ポイントマシンと同じ3端子に加え消費電流が大きく2A容量では不足するのです。

【Pecoポイント切替用リレー推奨品】
以前は使えるリレーが12V/25A 1回路の自動車電装用しかなかったのですが、秋月で小型パワーリレーを調達可能になりました。

本体が大型なので長手方向取付穴が更に2.54mm広くなってます、リレー推奨品とピン配列はご理解いただけたかと思います。 次にデジタル/アナログ制御の違いに移ります。


3.デジタル(Arduino)制御の場合
今回の方針転換前のArduino制御入出力回路は以下の通りでした。

【過去記事より転載】
B01信号機リセットボタンは、倉元駅発車上下列車最後尾がポイント通過前でも出発信号機を停止表示にする為に設置した物で、通過後切替でOKならB00で代用可能です。 デジタル制御は何でもできるので制御ピンが余ってるとつい詰め込みたくなる弊害の典型例です。

それはさておき入力側はこんな形になります。 モード選択ボタンを押した瞬間にArduinoが仕事を始めます。 入出力端子にプルダウン抵抗を入れないと端子配線にノイズが乗り、確実に誤動作します。 プルダウン抵抗はArduino端子の対GND抵抗を約1/100にする効果がありますがまだ不十分で、配線を束ねて誤動作発生事例をoomoriさんが報告されてます。


筆者使用時は入出力端子にパスコン設置予定でした、直流電流を増やさずノイズ成分の対GND抵抗を更に1/100にする効果があるからです。 1ボタン当たりArduino2端子4部品、40or44部品、半田付け約150ヶ所です。

さて出力側ですが、制御出力が全部で18本もあります、プルダウン抵抗とパスコンは同じ、一見部品数が少なく見えるのはリレードライバーをブラックボックスにしてるからです。

そのリレードライバー回路がコチラ、リレー駆動に必要な電流増幅とArduino5V制御出力をリレー駆動12Vに電圧変換する役割です。 4部品ですが3端子のトランジスタ登場、これが18セット必要、プルダウン抵抗/パスコン合わせて半田付け箇所考えると寒気がします。


4.アナログ制御の場合
では5連プッシュロックスイッチ使用のアナログ制御回路はどうなるでしょうか。 デジタル制御から信号機リセットと回送モード削除で、9プッシュボタンとの比較になります。

デジタル制御の9プッシュボタンに対し、アナログ制御は5連プッシュロックボタン2個で10ボタンと1個増えます。 N0/K0のリセットボタンの電気的機能は同じでも、上下それぞれの選択モードをリセットする機械的機能が異なり重複するからです。 その替わりにモード選択表示LEDが不要です、押してツマミが凹んでる場所で視覚的に解りますからね。

良い物見~つけたと喜び勇んで買ってきたのに、まだどんなスイッチなのか未確認です。 次回のテーマでそれにより最終回路が変わってきます、ただ確実に言えるのは・・・。

N0/K0を除く8個のボタンを押した時に12Vを供給すれば、8本の制御信号で7個のポイント、8基の信号機(+中継信号機1基)、2ヶ所の従属フィーダー、20度クロス全てが制御可能になります。 ただし上下制御ボタンで切替操作が重複する赤字場所は工夫が必要です。

P2/引上線フィーダーを例にすれば、重複するN2/K4制御信号をリレー電源入力でダイオードオアするだけです、リレー電圧は11.3Vに落ちますが9Vまで動作可能でOKです。 これにより信号機異常動作を防げます。(実際はP2と引上線フィーダー切替リレー2個です)


とりあえずArduinoデジタル制御から、5連プッシュロックスイッチ使用アナログ制御変更で省ける物を列挙します。 何故筆者がアナログ制御に乗り換えたか良く解ると思います。
◆Arduinoなし
Arduinoとスケッチ参考書価格だけではありません。 スケッチ習得勉強時間や上手く動作せず原因解析・スケッチ修正・コンパイル・動作確認のサイクルが全て不要になります。
◆配線大幅減
機能絞り込んでも入力18ピン、出力18ピン計36本のArduinoに対したった8本で済みます。
◆部品数大幅減
Arduino入出力のプルダウン抵抗/パスコン不要です、増えるのはダイオードオア6部品です。 リレードライバーも不要です、18セット全て省ければベストですが、別の理由で3セットだけ必要です。 そのお話は次回という事で今回はここまでにします。


ではまた。

Arduino制御や~めた!

昨日1月18日は-2℃でした。 大した事ない?、最高気温がですよ!

【倉元駅舎】
これまで延伸線倉元駅ポイント/信号機制御をArduinoで一括制御する前提で進めてきましたが、この度Arduino制御中止の見直しをしました。

【倉元駅制御はこうする!より転載】
本線系だけでポイント8個と信号機8基、スイッチバック通過/停車の上下列車に対し、全て手動切替は面倒で楽しめないので、可能な限り一括制御の設計方針を立てました。

【過去記事より転載】
その結果、使用頻度が低い場所はトグルSW3個切替とし、11個のLED付きプッシュボタンで運転モード切替を行う方式になりました。 11個のボタンはArduino入力端子に接続され、必要なポイント/信号機制御信号と選択ボタン表示LED点灯信号を出力します。 この様な複雑な制御を行うにはArduinoが最適デバイスであるのは間違いありません、しかし・・・。

【過去記事より転載】
Arduinoの11本入力、16本出力全てに誤動作防止用プルダウン抵抗、理想的にはパスコンを追加する必要があり回路規模が大きくなります。

2年前は『スケッチ設計参考書買ってそろそろ勉強』と考えてましたが、現在はその気力が失せました。 倉元駅制御だけで先に活かせないし、そもそも先がないですから(苦笑)

それにこんな多ピン狭ピッチ基板に細かな部品半田付けするなんて、現在の視力では考えただけで寒気がします。  つまりは視力低下とスケッチ勉強の手間を惜しんで、逃げ手がない物かと知恵を絞る事にしました、『頭は生きてる内に使え』と言いますからね。

【過去記事より転載】
実際の制御盤を模した操作系配置案です、運転モードを整理すると。
➊本線通過:上下
ポイント操作なし、本線場内信号機のみ操作、信号機通過後停止表示用B01設置。 でもよく考えたらB01はB00で代用可能。
➋停車:上下
進入/出発各3モードに合わせポイント/信号機切替操作。
➌補機単機回送:上りのみ
2番線から直接上り方へ運転する特殊モード用にB14設置。 停車モード使用で本線引上げを許容すれば省略可能。

前記➌のを許容すれば、上下共デフォルト含めて1/5モード選択です。 スマートなデジタル制御から時代逆行のアナログ制御への転向は1年前に思い付きました。 困った時ほど知恵(悪知恵?)が出るものです。 しかし必要な部品が中々見つかりませんでした。


その部品とは40年前のラジカセモード選択に使われてた多連プッシュロックスイッチです。 1つのボタンを押すとその回路がオンし、それまで選択されてた回路がオンからオフする、ガチャンガチャンと切り替えるスイッチです。 電子機器スイッチも小型薄型化されて今時流行らない数世代前の部品で、ネットやメーカー当っても発見できませんでした。

【5連プッシュロック選択スイッチ】
それがいつもの電材屋さんに寄ったついでにダメ元で聞いた処、4連ならあるとの事、必要なのは5連と半ば諦めながら言うと『チョッと待って』と出て来たのが売れ残り最後の2個でした。 5連でサイズもピタリ、値札¥1500は少し高いと思いながら千円札3枚出すと怪訝な顔、¥150で2個¥300でした。 これで倉元駅アナログ制御可能になりました。

ツマミがないのが玉に瑕ですが、正に天祐の巡り逢い、1回路使用なら基板不要です。 Arduinoと聞いただけで拒否反応の方が多く、参考になると思いますので、延伸線倉元駅のアナログ制御を別にまとめます。


ではまた。

半世紀前のTMS 1967年4月号➌

前回の続編、同号掲載その他の記事Part-2です。

【TMS1967年4月号】


7.レイアウトセクション
ローカル駅の現代風に言えばモジュールレイアウトが掲載されてます。

500mmx1500mmサイズにローカル駅を再現したセクションです。

交換施設のある対向式ホーム駅で、階段踏切が設置されてます。 駐泊所がなくても給水を行う駅があり小型のタンクが設置されてます。

反対方向には貨物側線があり木材積込中です。 作者は浪人生で受験勉強息抜きに毎日1時間、3ヶ月でこのセクションを完成させたそうです。

樹木は生け花用の実植物使用、この時代のローカル駅は摂津鉄道の影響が色濃く現れておりコレもその一つです。 バランス良くまとまってます。


8.古典ロコ三題
今から百年前は当時から見れば50年前、古典ロコ製作記はTMS誌上で良く見ましたが、コレは何とNゲージの自作蒸機製作記です。

作者の故郷山陰地方昔のローカル線風景をスペース節約で再現したいとNスケールを選び、いつ発売されるか解らないので自作したと書かれてます。 製作された形式は50年後の今日でも発売されてないと思いますが、パーツも満足にない中でスゴイと言う外ありません。

最初は6250型、動輪を旋盤加工で自作、16番と同じくリム部で絶縁(と書いてあるがどうやって?)し、スポーク部は糸鋸加工との事です。

モーターも10mm径7mm厚ローターで自作しテンダー内に収めてます。

2両目は2-6-0軸配列の8550型です、動輪自作は同じです。

自作モーターがテンダーから少々はみ出し、搭載石炭で隠す予定です。

貨車も自作です。 工作法は基本的に16番と同じでも、コンマ何ミリ精度が求められ、ドリル刃は0.3mm-2.0mmの0.1mm刻み、ヤスリは時計用10本組油目が必要と書かれてます。 でもね~、使用工具は解っても使いこなすウデがなければどうにもなりませんよね。

3両目はDタンクロコ4030型、レイアウト急勾配区間用の製作で、このロコ用に回転軸が90度異なる縦型モーターを自作されてます。

0.1mm分解能の視力が必要なロッドピン製作方法です、少なくも筆者には猫に小判です。

N黎明期に真鍮板加工自作蒸機があったとは驚きですが、精密成型技術により細密な蒸機が低価格で販売されてる現在は隔世の感があります。


9.客車を楽しむ
TMS編集部N氏執筆の連載シリーズ記事です。

この回の作例は展望車、この時点で廃止されたオールドタイマーです。 市販品の雰囲気を損なう形状修正と室内製作が中心です。

この時代プラ製室内パーツが市販されてましたし、紙と木で製作可能かつボロが目立たないので、16番箱物では室内製作は普通でした。 作例はかなり細かく作り込んでます。

点灯式テールマークも取り付けられてます。

完成形は3体構成になってます、3等級時代の1等車は特別な空間、恰幅の良い紳士のフィギュアでも配置したいところです。


10.運転会グラフ
★TCC運転会(東京)
1967年1月29日開催のTCC運転会の様子が掲載されてます。

鉄道模型に夢中の大人と夢見る子供、筆者も小学6年生の時に夢見る子供として横浜日吉で開催された運転会を見に行った経験があります。

この組立式レイアウトは以前TMSで紹介されてます、2列車同時運転だったと思いますので運転席に座る順番待ちは大変だったでしょうね。


★模型鉄道運転退会(大阪)
1967年1月22日開催のマッハ模型店主催運転会の様子です。

500人のファンが集まったそうで、独立エンドレスを多数重ねた配置です。 同時に多人数楽しめる様にこうしたのでしょう。

手前は学生、その奥は中年サラリーマン、運転列車を見ながら指先のスロットルに全神経を集中する、昔も今も変わりません。


★ライブスチーム試乗会(東京)
1967年2月12日に交通博物館で開催された、この号見開きページ掲載の3.5インチゲージライブスチーム試乗会で、発売元天賞堂の主催です。

米国グレートノーザン鉄道0-8-0テンダーロコで、天賞堂が生産委託されたと思います。

スロットルを握るのは当時の衆議院副議長、国会議員に鉄道マニアが居ても不思議でありませんが、富裕層しか手が出ない価格だったと思います。

補助煙突装着で強制吸気して火力を上げ、蒸気圧を上げているところです、自然燃焼だけでは中々走行可能にならなかった様です。 以上TMS1967年4月号紹介でした。


ではまた。