Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

半世紀前のTMS 1967年5月号➊

立春までもう少しの今が寒さの底、倉元駅アナログ制御はまだ完結してませんが、チョイと一休みして半世紀前のTMSネタです。

【TMS1967年5月号】
表紙写真は前月号に製作記事第1回が掲載されたK氏の木造機関庫です。


1.見開き天賞堂広告
天賞堂はライブスチーム運転会を頻繁に開催してた様です。 勿論製品販売目的もあったでしょうが、数十万の上の方の価格、鉄道模型の裾野を広げる意図もあったと思われます。

前月号に2月12日交通博物館開催運転会の様子が紹介されてましたが、今月広告は銀座三越屋上、GWに交通博物館での開催予告が入ってます。

GWの交通博物館ライブスチーム運転会と同時に、同館レイアウトで車両持ち込み運転会が開催された様です。 貸レイアウト屋などない時代、さぞや盛況だったと思われます。


2.作品グラフ&製作記-1 東武1710系
この号の巻頭を飾ったのは東武特急用車両1710系2連です。

東京-日光間の国鉄vs東武の乗客争奪戦は『日光戦争』と呼ばれ、国鉄のキハ55投入に対し特急用5700系、国鉄日光電化スピードアップ対抗策として登場したのが1710系でした。

作品は全真鍮製フルスクラッチ、広窓化・エアコン装着改修後の姿を再現してます。 ドア脇窓がオリジナル窓幅、広窓化後選択理由が解ります。

作者は東武沿線在住で、スッキリしたデザインでありながら薄命に終わった1710系に愛着を持たれた気持ちに共感を覚えます。 筆者もこの車両が好きで乗車経験があるからです。

写真では20m車に見えますが実は19m(1/80で225mm長)の珍しい全長です。 薄命と書いたのは2-3年後に登場して30年東武車両の頂点に君臨した1720系に座を奪われたからで、1700/1710系は1720系に改修されており、元形式での廃車がありません。

【1720系】・・・通販模型店サイトより
コチラが「きぬ」「けごん」として活躍した1720系、ケバいお面は好みではありません。

東武1710系/1720系を見ると、登場順番は逆ですが国鉄キハ81系/キハ82系を連想します。 151系こだま型亜流の屋根上運転台車両の成功例は少なく、構造は異なりますがデザイン的に成功したのは小田急NSEだけではないでしょうか。 閑話休題、工作記に戻ります。


屋根の曲げ、裾の絞り、図面はあっても指先感覚頼りの工作、場数を踏まないと勘所習得は難しかったと思います。

市販パーツ買って来て取り付ける訳ではありません、エアコンも床下機器も全て手作りです、Nが鉄道模型の楽しみ方を大きく変えたと改めて思います。 そうそう筆者乗車経験書くのを忘れてました、1962年です。

【1963年9月時刻表復刻版】
当時の東武時刻表で日光線『D特』表示が1720系、所要時間1時間45分、料金300円は国鉄遠距離急行と同じです。 特急/急行が1710系だったと思われます。 筆者乗車経験は下段伊勢崎線急行、母の実家館林まで浅草からノンストップ、料金100円は国鉄準急券と同じでした。 1710系2連+2連で伊勢崎への分割・併合運転してた事が時刻表から解ります。


3.作品グラフ&製作記-2 ナロー森林タンク
作品グラフ2番手はHOn3、1/87スケールの森林タンクロコ小編成です。

HOn3の意味は3フィート762mm軌間鉄道のHO1/87スケールなので、普通は軌間9mmレールを使いますが、このモデルは10.5mmです。 作者はすでにナローレイアウトを製作されてる様で、本文中に記載ありませんがモーター収納条件での10.5mm選択かもしれません。

2軸サドルタンクロコにフラットカーとカブースの小編成です。

筆者は無煙化時25歳、蒸機に間に合いましたが、軽便鉄道には今一歩間に合わなかった世代です。 昭和30年代後半、道路網整備、バス路線拡充時代に大半が姿を消しました、空前のマイカーブームが到来する前夜の事です。(興味があればまだ存在してましたが・・・)

動輪はφ8.5mm既製車輪を分解し、ギアを嵌め込んで再組みする手間をかけてます、ナローファン読者も居ると思いますので図面を掲載します。

当時の小型機や床下駆動専用とも言えるDH10をこの様に収納してます。 キャブ内一杯をモーターが占領せず、外観の軽快さを保っています。

ヘッドライト点灯式で、模型にダイオード使えない時代なので小型セレン整流器を一部切って収納してます。 煙突にはガーゼをラッカーで固めた火の粉除けが組み込まれてます。

直径1m弱、長さ8mの丸太3本で一杯になるフラットカー図面です。

デッキ材料は折詰弁当容器、身近に流用可能素材があったのも時代を感じさせます。 所々穴を空けて古びた感じを演出してます。

最後に掲載されたカブース図面も添付しておきます。 今回はここまでにします。


ではまた。

倉元駅コテコテアナログ制御➌

倉元駅アナログ制御設計したので、運転操作シミュレーションで不具合がないか確認します。 後でアチャーッとならない為のステップです。

【倉元駅舎】


7.運転操作シミュレーション
ポイント/信号機制御に注記した様に、電源オフ、運転操作ボタンリセット状態でポイント定位、信号機停止です。 当社延伸線は定位/反位にこだわり直進定位ですが、レイアウトプランによっては分岐側定位もあるので、定位=初期設定とお考えください。


7-1.通過列車運転
一番単純な通過列車運転からです、上り通過列車の場合はN1ボタン選択です。 ポイント切替はなく、本線場内信号機JNaが進行表示に切り替わります、信号機設置位置がトンネル出口なので上り列車がトンネルを出る前に余裕を持った操作が必要です。

通過列車運転士は本線場内進行=スイッチバック通過進行を確認し、信号扱所短いホームでのタブレット授受に備え減速、授受後上り方へ走り去ります。 JNaはN0ボタン選択で停止表示に切り替わり、操作は機関車通過後いつでもOKです。 下り通過列車の場合はN1⇒K1、JNa⇒JKa、N0⇒K0に変るだけなので図面と解説を省略します。


7-2.上り停車列車運転
上り停車列車の場合はN2ボタン選択です。 P2反位切替で引上線に開通、引上線場内信号機JNbが進行表示に切り替わります、操作タイミングは上り通過列車と同じです。

停車列車運転士は引上線場内進行を確認し、P2通過制限速度まで減速、引上線に進入し停標位置で停止します。 JNbは引上線停止まで進行表示のままで、N0または次の運転操作N3ボタン選択で停止表示に切り替わます。 なおタブレット授受はホーム上で行います。

引上線は駅間線路と同じ扱いなので列車待避は行わず、進入停止したらすぐ折返しです。 N3ボタン選択でP2定位、P4/P5反位切替、JNb停止、SHb/THb進行表示に切り替わります。 運転士はSHb確認不能なので中継信号機THb表示で後退運転を開始し、構内上り本線1番線所定位置に停止します、停止後N0ボタンを選択しポイント/信号機をリセットします。

ホーム上でタブレット授受し発車時間になったらN4ボタン選択です。 P6/P7反位切替で1番線が出発線経由本線開通し、出発信号機S1が進行表示に切り替わります。 発車後列車最後尾がP7通過後N0ボタンを選択、ポイント/信号機をリセットします。


7-3.下り停車列車運転
下り停車列車の場合はK2ボタン選択です。 P1/P3反位切替で構内2番線に開通、構内場内信号機JKbが進行表示に切り替わります。 JKa/JKbはカーブ鉄橋渡った場所のあるので、操作タイミングは雪崩覆いを出た辺りです。 遠方信号機に色気が出たりします。

停車列車運転士は2番線場内進行を確認し、P1/P3通過制限速度まで減速、構内下り本線2番線に進入し所定位置で停止します。 JKbは2番線停止まで進行表示のままで、停止後K0ボタン選択でP1/P3定位切替と同時に停止表示に切り替わります。

ホーム上でタブレット授受し発車時間になったらK3ボタン選択です。 P4反位切替で2番線が引上線に開通し、出発信号機S2が進行表示に切り替わります。 ホーム前方の運転士はS2確認不能なので駅長/助役の合図で後退運転を開始し、引上線所定位置に停止します。

列車が引上線に停止したらK4ボタン選択です、実際は信号扱所駅務員操作です。 P4定位、P2反位切替で引上線が本線開通し、S2停止、引上線本線出発信号機SHaが進行表示に切り替わります。 発車後列車最後尾がP2通過後K0ボタンを選択、ポイント/信号機をリセットします。 以上1列車通過/停止運転でアナログ制御に問題ない事が確認できました。


7-4.2列車同時運転
倉元駅列車交換は停車列車と通過列車及び停車列車同士の2パターンで、双方楽しめる設計にします。 まず前者から、N2/N3ボタン選択で上り列車1番線停止、またはK2ボタン選択で下り列車2番線停止まで同じ、その後N1/K1ボタン選択で上下通過列車のパターンです。

運転上は全ての組み合わせで問題ありませんが、停車列車常点灯は下り2番線は可能ですが、上り1番線はできません、F3からP5開通方向にしか給電されないからです。 この問題はArduino制御でも見落としてました、夜景停車列車非点灯はNGで要改善です。

次に停車列車同士のパターンです、N2/N3ボタン選択で上り列車1番線停止とK2ボタン選択で下り列車2番線停止はどちらが先でもOKです。 その後上りN4、下りK3/K4ボタン選択で同時発車も可能ですが、倉元駅停車中2列車で常点灯可能なのは一方だけでNGです。 また2番線停止が先だとN3ボタン選択時に2番線列車常点灯ができません、これもNGです。


7-5.構内ギャップ/フィーダー修正
念には念を入れてですね、倉元駅ホーム列車交換、1番線停車列車奥を駆け抜ける通過列車の画を台無しにしてしまう処でした。

この問題解決の為には操作が煩雑ですが、1番線FJ1従属フィーダーを廃止してFK1独立フィーダーに、2番線にギャップとFK2を追加しするしかありません。 でもエンドレス+1駅でフィーダー5ヶ所は操作性が悪い、何か良い方法はないかと考えたら閃きました。

面倒な操作は自動化すれば良い、F3は1/2番線入口なので出入りする側に従属させれば操作不要になります。 引上線含めた接続はどうなる?

従属フィーダー化するF3はFJkに名称変更です。 引上線は孫従属フィーダーになり、運転操作ボタン選択によりF2/FK1/FK2から給電されるカメレオンフィーダーになります。

運転モードと操作をまとめると以上の通りで、上下フィーダー選択が1対1対応になり非常にスッキリ解り易くなりました。 F3を従属フィーダーFJkに変更したのが大正解でした。 この変更で確認済み運転制御全てに問題がなく、常点灯問題の解決を再確認しました。


さて、デジタル(Arduino)制御では補機単機回送ボタンを設置し、下り停車列車到着モード(K2ボタン相当)でSKb停止、S2進行表示で逆走可能制御を予定してました。 アナログ制御ではこんな事無理です、アナログ制御での補機運転について検証します。

補機開放から駐泊所入庫、出庫から1番線回送待機までは、入出庫時に2番線出発信号機S2進行表示の不具合があると解りました、デジタル制御でも見落としてた点です。 単機回送は直行でなく、引上線/本線経由なら信号機表示を含め全く問題ない事が解りました。

P8駐泊所開通でS2進行表示は変です、駐泊所入出庫画像撮影に出発信号機が写り込んでしまいます。 そこで対策、P8コンデンサ切替トグルスイッチに2回路6Pを使用し、S2を進行表示にするK2制御信号をこの様に配線すればP8切替時はS2停止表示になります。 どうやらデジタル⇒アナログ方針転換の出口が見えてきました、脳味噌が液状化しそうです。


◆グッドニュースとバッドニュース
1月26日には良いニュースと悪いニュースがありました。 大相撲初場所で優勝を果たした御嶽海が大関昇進しました。 長野家出身大関は雷電為衛門以来227年振り、ほとんど初と言える快挙です。 一方で県内感染者数は何処がピークか見えない高止まり、ついに初の蔓延防止等重点措置適用が決まりました、身動きできなくなります。


ではまた。

倉元駅コテコテアナログ制御➋

アナログ制御にする事で大幅な時間節約と配線/部品減が可能な事が解りました。 具体的な設計を開始する前に、まず5連プッシュロックスイッチの電気特性を調査します。

【倉元駅舎】
お断りして置きますが筆者はArduino有用性を否定する気は毛頭ありません、サーボ駆動や複雑な制御はArduinoが最適です。 『がおう☆』さんから請け負った湖南総合運転所制御開発はArduinoなしに不可能でした、デジタル/アナログ良いとこ取りハイブリッドです。


5.5連プッシュロックスイッチの電気特性調査
このスイッチは40年ほど前のラジカセに使われてた「巻き戻し」「オフ」「ポーズ」「再生」「早送り」の1/5選択スイッチだと思われます。

現在中央選択状態ですが、他ボタンを強く押せばロック、軽く押すと全ボタンオフのメカになってます、必ず1ヶ所選択しなくても良い仕様です。

スイッチ1個に18本の足が出てます、単純な2端子押しボタンでないのは確実、3端子トグルらしいのですが18端子なら6回路、しかも摩訶不思議なパターン配置、謎が深まります。

テスター試験で1ボタンに3端子2Pトグルスイッチ6個入りと解りました。

パターン追ってくと上記配線になってました、何でこのスイッチ接続が必要なのかサッパリ解りませんが、面白い事に気付きました。

基板除去するかパターン切断すると連動トグルスイッチ6個です、1個制御信号に使い残り5個はリレーと同じ働きをします。 しめたと思ったのも束の間、利用可能はごく一部です。
➊ポイント切替:瞬時電流3A以上で接点容量解らずに使うのは危険。
➋信号機切替:瞬時電流約1.5Aで使える可能性あるが止めた方が無難。
➌従属接続フィーダー:低速運転かつ配線が短い1番線に2回路利用
➍20度クロス:高速通過(電流が多い)で、配線が長いので使わない。
➎中継信号機:2-3mAで使えるが2m配線1本⇒4本ではメリットがない。


勿体ないので、ツマミをプラ材で製作しLED照明組み込みを考えてます。 制御端子非選択側はオープンです、数十Ωのリレーコイルで接地されてるのでプルダウン不要です。


6.制御信号による動作
6-1.信号機

TOMIX腕木式信号機制御検討結果は拙ブログで公開中です。

推奨回路からリレードライバー除去が採用回路です。 TOMIX制御機器サイドコネクタ出力はポイントにはアンダーパワーでも、腕木式信号機には推奨回路2倍のオーバーパワーです。 24V/4倍パワー化したハイパーポイント電源使用はポイントにもお薦めできませんが、ポイント3倍価格の腕木式信号機には絶対禁物、破壊試験に等しい用法になります。

Arduinoデジタル制御前提の時は中継信号機切替回路を、連動する引上線構内出発信号機切替リレー残り1回路使用し上図回路の予定でした。

でもケチらずリレーもう1個使えば部品数減るので変更しました。


6-2.ポイント切替
Pecoポイント切替についてはポイント切替電気講座で詳説してます。

【過去記事Peco推奨回路】
『がおう☆』さん実験によると、12V/2200μFでは配線太さにより切替可能/不能が変わり、PL-13マウントすると切替不能で2200μF⇒4400μFで切替可能になってます。 この情報を基に、コンデンサ充電エネルギーは1/2CV自乗の公式で推奨回路を決定しました。
★『がおう』さん実験結果:0.044x12x12=6.34(単位はジュールだったかな?)
★推奨回路: 0.022x18.1x18.1=7.21(上記より14%大きい分が動作マージン)

自分で推奨したのに倉元駅には違う回路使います。 2010年-2020年に使用してたノートPCのACアダプタ16V/3.75Aを流用したいからです。

コチラがその回路です。
★倉元駅採用回路:0.033x16x16=8.45(全ポイントPL-13マウント)
推奨回路より17%ハイパワーですがまあ誤差範囲です。 ポイント切替用小型パワーリレーは2回路、残り1回路でフログ補助給電すればPL-13不要ですが、配線が複雑で長くなるので、自己完結型PL-13を使う事にしました。 費用より解り易さ優先の選択です。

さて倉元駅運転モードにはN3のP4/P5、N4のP6/P7、K2のP1/P3のポイント連動反位切替があります。 反位⇒定位はコンデンサが放電して仕事するだけですが、定位⇒反位は充電で電源が仕事しなくてはなりません、16V/3.75Aではポイント2個同時切替できません。

【過去記事より転載】
Arduinoデジタル制御では各ポイント制御信号出力タイミングを個別にし問題回避する計画でした。 アナログにこんな器用な真似はできません。

そこでP3/P5/P7ポイント3個のリレー電源に遅延回路を追加します。 回路はリレードライバーにコンデンサ1個追加するだけ、実験で容量決めますが10μF~100μF程度です。 充電が完了する0.02秒が最低値、カチッカチッというタイムラグ操作音も面白いと思います。


6-3.20度クロス
Pecoコード55の20度クロスは走行方向により接続切替が必要です。

2回路リレーで上図の場合左下⇔右上方向、リレーを切り替えると左上⇔右下方向が走行可能になります。 4方向ポイントなので片側ギャップ、反対側ポイントからの給電です。


6-4.従属フィーダー
引上線と1番線を従属フィーダーにします。

引上線はN2/K4制御信号のダイオードオアでリレー切替、1番線は制御盤前なのでN4制御信号をN4選択ボタンのトグルスイッチ2個で切り替えます。 これでアナログ方式制御の設計完了です。 次回運転操作シミュレーションで考え落ちや誤動作がないか検証します。


ではまた。