Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

湖南電源 完成送品

足掛け4年に及んだ大仕事『湖南電源製作』がいよいよ完結です。

【小川を渡る急行】
この表紙替わり画像も今回が最終回です。


7.送品に係る作業
7-1.ケーシング
検収試験NGで返送されてから湖南電源メインCHの蓋は開けっ放しでした。 設計意図通り動作しない安全性保証回路をあーでもないこーでもないと弄り回してたからです。 空いた蓋がらプレッシャーを受けてました、ようやく閉める事ができ感慨深いものがあります。 

ピークホールドコンパレータ方式パッチ回路は安全性保証回路基板とほぼ同じサイズで5本の配線で接続されてます。 2階建て実装する為に安全性保証回路基板止めネジを外し10mmスペーサーを取り付けました、長ければ3mm前後短縮する前提で考えてました。

前写真からパッチ回路基板を180度回転させて乗せナットを締めました。 特に癖付けしなくても5本の配線は基板間に収まってくれました。

2階建てになった追加基板は電源ケース内で速度計と完全オフセットし、ブレーキVRと対向してます。 寸法計測すると5mmほど余裕がありましたが、写真上電源出力ジャックコードに干渉気味で、ケース組立に支障はありませんが、逃げた方が良いと判断しました。 

スペーサーを一旦外し10mmを7.5mmに切断、基板間隔が狭くなるので念の為絶縁テープを貼って再組みしました。 電源出力ジャックコードの抵抗感なく組める様になりました。

サブCH6Pコネクタを挟み込み、ビス6本で裏ブタを締め完成した湖南電源メインCHです。 速度計下のロゴプレートは客先から提供された画像データを元に作成してます。

背面右に12V電源入力ジャックとその上に電源SW、中央下に電源出力、左にディレクションSWを経由しない電源出力ジャックがあります。 湖南総合運転所にはリバース線が2ヶ所ありますが、いずれも一方通行なのでディレクションSWなし出力で運転可能な制御設計をしてます。 なお背面上部に14個、底に28個の放熱穴が空けてあります。


7-2.出荷前検査
本来なら拙レイアウト上で試験運転するべきですが、レールクリーニングだけで1日仕事、それにトンネルも多く連続して走行状態観察もできず、感覚的評価しかできません。 個別要改善項目確認は済んでるので、メイン/サブCH差を中心に出荷前検査を行いました。

無負荷では実使用条件とかけ離れてしまうので、確認の意味も含めてディレクションSWを経由しない電源出力ジャックコードの先に47Ω/10Wセメント抵抗をダミー負荷に接続しました。 12Vで0.26Aですから機関車単行運転より若干少ない消費電流に相当します。

通常モーターのEC/DC想定で常点灯1.2Vに調整しました、両CHで波形に若干の違いはありますが、共にパルス幅3.5μsecの綺麗な出力でした。

これが常点灯1.2V調整時の両CH、常点灯は停車中なので速度計はゼロのままです。 双方の常点灯ダイヤル位置は0.3目盛りしか違わずOKです。 ここでブレーキオフしノッチオンで速度計上昇と出力電圧が揃ってるか確認します。 新型EC想定でノッチ4にしました。

両手でブレーキオフ、ノッチ4切替してから一呼吸して10秒セルフタイマー撮影なので最初の計測は20秒後でした。 約70km/hに達しており3.5km/h/秒は最速EC並みの加速です。

次はその15秒後ノッチ4オンから35秒後です。 更に40km/h増速、加速率は鈍ってますが2.7km/h/秒は最新型EC並みで、高加速車両でも発進はノッチ3までだと思います。 蒸機/やDLはノッチ1発進、DCやELはノッチ2発進で次第にノッチアップする使用法になります。

次の15秒は飽和に近付き加速率1.4km/h/秒とグッと緩やかになります。 両CHの速度計動作が揃ってる事はこれで確認できましたが、その後もダラダラと速度上昇が続きます。

ようやく飽和したのは5分後160km/hに達しました、実用域外です。

最高速飽和時の両CH出力波形と出力電圧です、デューティー約77%PWM波で出力電圧は8V強、速度計表示に合わせ出力電圧も揃ってました。 写真省略しますが、ノッチオフすると惰行モードで次第に速度低下し、その低下の仕方も両CH同じ事を確認しました。


惰行モードからブレーキMaxで速度ゼロ、常点灯VR Minにして出力をショートします。 常点灯VRをジワジワ上昇させ保護回路動作点確認試験を行いました、最後のダメ押しです。

面白い結果が出ました、メインCHは安全性保証回路評価時と大差ない0.5V弱でしたが、サブCHは0.12V高い0.6V強でした。

配線が長いサブCHが配線抵抗で早く動作すると予測してましたが逆の結果、良く考えたら以上の様に説明可能でした。 いずれにしろ実用上問題のない差だと思います。


7-3.梱包
さて最後は梱包、送付品をパッキングします。

上がメインCH下がサブCH、サブCH側接続コード固定にしたので最大サイズ梱包です。

付属品は12V/3Aアダプターと電源出力コード2種2CHで4本です。

比較評価用に送っていただいたN-1001-CLも帰り支度です。 今回は検収試験パスして仕事完結になると信じてますが、どんなユーザー評価になるのか興味津々、ドキドキです。


ではまた。

給水塔 塗装と部品製作➊

温かい気候待ちになってた給水塔足場塗装を行い、先に進めてます。

【生野駅給水塔】


◆足場塗装
塗装したのは予想最高気温10度、しかも乾燥注意報が出た日です。

筆で水洗いし乾燥させて30mmキューブ材に仮固定して準備完了、春の陽射しと白色で露出オーバーになってしまいました。

塗色に選んだのはコレ、給水塔土台より少し明るい同系色、TS-66呉海軍工廠色です。

スプレーを吹きました、複雑形状で様々の角度から吹かないと塗り残しが出るので、少し厚化粧になるのは仕方ありません。 色を塗ると建造物としての一体感が出てきます。

ウェザリング完了状態です、駅構内はアスファルト舗装などされてなく、作業靴でズカズカ歩く場所なので土汚れを意識したウェザリングです。 当初の設計ではここで給水塔土台に固定でしたが、工程変更して一旦ここでストップし他の給水塔部品加工を先に行います。


◆タンク本体塗装
タンク本体塗色は、本記事表紙写真生野駅設置のKATO給水タンクと同じダークグリーンに決めました、屋根茶系と相性が良さそうだからです。

10数年使用した掃除機接手部品を使うのでかなり汚れてます。 汚れ落としと表面梨地化して塗料食い付きを良くすると共にテカリ消しの目的で♯600サンドペーパーで磨きました。 その後水洗いし良く乾かします。 当初計画でなしだったタンク底を作る事にしました。

➊0.8t板紙にタンク底をガイドにケガキました。
➋ケガキ線のすぐ外側をハサミで切り出します。
➌中心に径3mmの穴空けポンチで送水管支持穴を空けます、屋根ベースに送水管取り付けるアイディア廃止、パイプ材使う必要がなくなります。
➍タンク内側にピタリ嵌るサイズなので瞬着固定しました。

塗るのはコレ、AS-17ダークグリーンです。 ダークグレイの土台と茶系の屋根、絵画センスが有れば仕上がりイメージできて良いのですが生憎と・・・で、出たとこ勝負です。

嫁さんが塗料溶剤匂いに超敏感なので、いつもの様に青空塗装ブースにセットしました。

サッと吹いて塗装完了、乾燥注意報発令中の野外で乾燥させます。

乾いた処で様子見、ウーム目立ち過ぎてはいけないタンク本体はこんな物、でも屋根の色が明る過ぎる様な、ウェザリングで調整としました。


◆送水管と給水口
この給水タンクには入口が一つ出口が二つあります。 水道水や地下水をポンプで加圧してタンク上部から注水する給水管と、タンク底からスポートへの送水管、そしてタンク前給水時に使う給水口です。 給水口には蛇口に相当するバルブと給水ホースが付属します。

当社ジャンクボックスAです、もう一箱あります。 未使用・使い掛け・使い終りを問わずランナーを保存してます、貴重な素材だからです。 例えば当初屋根土台タミヤセメントキャップハケ突起かに外径3mmパイプで製作予定だった送水管の素材に使います。

素性が解るアングルです、2組購入改造で生野駅跨線橋を製作したGMキットランナーが径と色が良いので送水管素材に選びました。

ランナー水平面の小さなバリを削り取りサンドペーパーで仕上げてから切り出しました。 長さはタンクに届けばOK、φ2.9mmになりました。

セットして見ました、馴染んでるので塗装不要かも、給水管と給水口部品製作してから決めます、塗装するにしてもニュートラルグレイですね。

次に給水口素材を探します。 ありました、ジオコレ駅前セットパーツのランナー、中山平駅舎の使用キットです、使うのは左上部です。

拡大すると水平面バリが良く解ります、このランナーはφ2.5mmです。 仕上げ後黄ラインでカットしタンク下部に挿入接着し、赤ラインでカットし給水ホースを付けます。 キモは赤ライン上部の突起、ここが給水バルブの想定でハンドル付けるのに都合が良いのです。

前写真で給水バルブ部突起横形状が荒れてるのとハンドル取付方向を逆にしたい理由ができ反対側を加工しました。 作業はLED照明付き拡大鏡ですが写真はボケるので実写、バリが取れてる様子が良く解ります。

仕上がり寸法はφ2.4mm、タンク本体に2.5mmドリルで穴を空け押し込む形になります。 塗装してからカット、取付の段取りです。 今回はここまで、目がショボショボします。


ではまた。

湖南電源 戦い済んで・・・

前回までで湖南電源検収試験の要改善項目全てを解決できました。

【小川を渡る急行】
結果から見れば大きな回り道をした訳ですが、何が起きてて何故こうなったか、設計者として理解し自分を納得させる為に考察しました。


6.電源製作のレビューと考察
6-1.安全性保証回路
新安全性保証回路完成後に実施したショート試験の結果をまとめます。

ショートしたらすぐ動作して欲しい安全性保証回路が中々動作しない。 動作するのはポリスイッチトリップ時と、ピークホールドコンパレータ方式パッチ回路搭載時だけでした。 動作時の共通項はラッチ回路オフトランジスタを一定時間以上オフし続ける事です。

【過去記事より転載】
つまり両CH設置のTR93/TR94はポリスイッチトリップ時だけ本来の役割を果たしますが、パルス幅が狭い場合はパルス期間だけTR92をオフする事ができても、TR91のTofにより再度オンして動作してませんでした。

【駅出口付近の点景】
この形式のラッチ回路を狭いパルスでオフするのは難しいと思い知らされました。 諸悪の根源Toffは一体どのくらいか? 3本のプローブで/外部トリガーしないと難しい計測ですが、犯人の顔見たくて計測しました。

マニュアルトリガーで30回ほどトライし捕まえました。 TR92がオフしてからTR91がオフするまで30μsecでした。 3万分の1秒ですから一瞬ですが、回路動作的には結構長い時間、PWM周期が40-50μsecなので数μsecの常点灯パルスで動作するハズありません。


ラッチ回路(TR91コレクタ)オフした後にTR92ベースが0.6Vまで上昇してます、再度オンしかねない電圧です。 これはラッチ回路オフと同時にパッチ回路コンパレータもオフし、ラッチ回路オフする仕事を止めてしまうからで、実動作OKでも波形はまだ不安定です。

【過去記事より転載】
現在の安全性保証回路は3代目、ピークホールドコンパレータ方式パッチ回路付きは3.5代目です。 初めてラッチ回路使った初代は全く動作せず、ラッチ回路オフに22msec、3代目の700倍の時間が掛かってました。

【過去記事より転載】
電源ラインノイズ除去に設置したアルミ電解コンデンサ充電がラッチ回路オフを妨げてたのが原因で、ショットキーダイオード追加の2代目になりました。 損失増加覚悟で金属皮膜抵抗を採用し、ショート時にTR93/TR94が確実にオンする様に改修しました。

【過去記事より転載】
2代目ラッチ回路応答時間は0.4msecに改善され、中高電圧で動作する様になりましたが不安定、結局金属皮膜抵抗をポリスイッチに戻し改善、2.5代目になりました。 ショート期間のみラッチ回路オフTRオンする金属皮膜抵抗より、トリップして一定時間状態保持するポリスイッチが良かった理由が、今にして正しく理解できました、遅いですが・・・。

【跨線橋を潜って 昼】
この2.5代目を『gaou』さんへ送品して検収試験落第返送、Hyper-G高速動作が原因のヒゲ問題も発覚し大いに悩まされした、電源製作で一番凹み逃げ出したい気分の時期でした。 ヒゲ対策と損失低減、安全性保証回路動作確実性向上を目的に3代目に移行しました。

【過去記事より転載】
2代目から2.5代目への性能改善検討過程で電圧比較ピークホールド方式構想がありましたが、設計全面変更の踏ん切りが付かず見送りました。 この構想が今回のパッチ回路になった訳で、それでヨシとするしかありません。 やっと長いトンネル抜けられました。


6-2.1CH Hyper-Gは?
2CH欲張り安全性保証回路追加したから泥沼に嵌ったと考えてましたが違う様です。 湖南電源は走行出力だけ、Hyper-Gは全回路まとめて1.3Aポリスイッチなので動作点は低い可能性ありますが、1V以下では動作しないと思います、常点灯域評価の記憶がありません。

【跨線橋を潜って 夜】
つまり、安全性保証回路追加が泥沼でなく、慣れないラッチ回路使いこなしの泥沼で、3代目でポリスイッチ1個のHyper-Gと同等になったと考えるのが正しい理解だと思います。 Hyper-Gは出力トランジスタ焼損する事はありませんし、ショート検出と保護回路動作感度はN-1001-CLとほぼ同等(少し劣る)なので、自作電源性能としては十分だと思います。


6-3.好奇心満足目的の追加試験
パッチ回路追加で目標仕様達成したのでこのまま送品すべきです。 ポリスイッチトリップ時しか動作しないTR93/TR94は不要ですが外しません、二重安全回路で外すメリットないからです。 でもどうしても確認したい事があります。 パッチ回路付ければ損失になってるショットキーダイオードを外せないかです、約0.2Vですが確実な効果があります。

このバカデカイ部品のリード線をワニ口ジャンパーで接続するだけで簡単に試験できます。 電源ラインアルミ電解コンデンサ放電時間は部品変更で1/20になってますし、コンパレータ電圧か下がりオフするまでピークホールド回路は動作し続けるから不要と考えた訳です。 結果は惨敗、蒸機常点灯上限電圧0.6Vで動作せず、2倍の1.2Vでも動作しませんでした。

試験結果は期待に反しましたが、無駄なステップではなかった証明になっただけでヨシとします。 となるともう一つ試験したくなりました。

現状湖南電源はラッチ回路オフと同時にコンパレータオフですが、電源変えるとラッチ回路オフ後も一定時間コンパレータオンしてダメ押しします。 ラッチ回路オフ時過渡応答にはバタつきがあり、この変更で安全性保証回路動作安定性が上がればやるべきだからです。

パッチ回路電源線接続をショトキーダイオード先に変更しました。 ショート試験結果は0.40Vで動作せず、0.45Vで5/5動作で変更前と同じです。

Toffを計測すると30μsecで同じ、ラッチ回路オフ後TR92ベース電圧上昇が消えてます。 回路系アルミ電解コンデンサ充電でパッチ回路コンパレータがオンし続けてるからです。 高安定度のこの回路採用します。 この試験は筆者将来計画の基礎データになります、その話はまた別途、今は出荷準備して送品し『gzou』さんとの約束を果たすのが優先です。


ではまた。