Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

JAM用一括転換モジュール「電気班」報告

鉄道模型界のビッグイベントJAM2018まで1ヶ月を切りました。 出展を予定されてる方は最後の追い込みに入っていると思います。

「今年のJAMどうする?」
「何かやりたいね~」
「去年は時間足りなくてインパクト今イチだったし」
「じゃ何か考えよっか」


『た625』さん、『親爺ぃ』さんと筆者の間でこんな会話が交わされたのは正月明けの事でした。 って誰が考えるの?、筆者です、電気班兼企画班なんです。

【JAM2018出展コンセプトシート】
と言う訳でドーンとばかり大花火を打ち上げ、「去年は1ヶ月、今年は8ヶ月もある」と早目の着手、連休前までは順調に進んでる様に見えました。

2月末には線路配置仮決定、三人寄れば文殊の知恵、ところが個性派三人寄ると(爆)
「鉄橋は見栄えするトラスにしよう」
「って~と奥に手が届かないからカーブ変えて」
「親爺ぃさんが開発した自動踏切も組込みたいね」
「鉄橋トラスにしたから効果音も欲しいね」
と、ドンドン風呂敷が広がり、最終線形どうなってるか解りません(汗) ちなみに効果音製作も電気班担当になってますが、試運転が終らず半分もできてません(滝汗)


かくしてついに「残り一ヶ月」、今年も地獄プロジェクトになりそうです。 JAM2017終了時1,000通、現在1,800通のメールボックス、2,500越えは確実です(笑)


その1:自動運転用電源回路
今回のモジュールは一括転換と共にArduino制御による自動運転がテーマです。 ところが困った事に使える機能は約1kHzと500HzのアナログPWM出力だけです。

そのまま使うと「ピー」か「ブー」と盛大にモーター唸ります。 「会場うろさいしオレ難聴だから」なんて混ぜっ返しを聞き流し、何とかするのが電気班の役割です。

で、こんな回路を設計しました、動作を解説します。
①R01とC01で300Hzローパスフィルタを構成し、1kHzPWMを直流化します。
②R02プルダウン抵抗により、0-255/255に対しIC01初段に0~4.84Vが入力されます。
③IC01オペアンプ初段はバッファで前後段を分離、出力電圧は同じです。
(バッファなしでも動作しますが、余ってる1回路に仕事させました)
④IC01後段は2.2倍の非反転増幅回路、0~10.6Vを出力します。
⑤2SC5100で電流増幅し0~9.9Vの走行電源を供給します、ただしトランジスタベース・エミッタ損失により0-37/255は出力0Vのままです。
つまりPWMを直流化してArduino制御の非PWM走行電源を構成した訳です。

【『親爺ぃ』製作所評価レポートより】
設計は電気班ですが実験とボード製作は制御班の担当、ローパスフィルタで直流化されたArduinoアナログPWM出力波形です。 このArduino制御直流電源で走行性に難のあるTOMIXトーマス君が無事走行したと、工作班兼テスト班からOKサインが出ました。


その2:開発秘話
って書くとスンナリ格好良くできた様に聞こえますが、実は危ない橋を渡ってます。

【燃えた最初の回路】
『親爺ぃ』さんへ最初に送った倍電圧回路です、重大なヘマをやらかしました。 1/255から出力を得られますが、出力ショートすると大電流が流れます。 レール給電に不適切なフェールセーフならぬフェールデンジャラスな設計でした。


加えて動作確認してから保護素子付ければ良いと甘い考えのダブルミス、『親爺ぃ』さんも配線ミスで出力ショートさせた様で電源入れたら燃えました。 第1報でトランジスタ過電流熱破壊かと思ったらドバッと火を吹いたそうです、その後のメールやりとり。


「どんな具合になってる?」
「配線も全部燃えちゃったから解らない」
「どんな電源使ったの?、電流容量は?」
「自動販売機用の12V電源使ってる、エート容量は18A


つまり、2人のミスが重なり216Wの化け物電源が熱破壊どころか一瞬にして灰にしたのです。 『親爺ぃ』さんは大は小を兼ねる、筆者は2A-3Aだろうと考えてた意思疎通の悪さもあり、得意分野が異なる者同士の《遠隔地メール共同開発》は難しいです。


その3:PWMは高効率
表題の反語になりますが非PWM電源は非効率というお話です。 JAMモジュールはプッシュプルのトーマス君を走らすだけ、消費電流は0,5A程度です。

なのに電源トランジスタ2SC5100は8A、Pc75Wの重量級、何故でしょう? モーターは抵抗の様に電圧2倍で電流2倍、電力4倍ではありません、電流はほぼ一定です、12V/0.5Aなら6W、ではトーマス君高速走行8Vと低速走行4Vで何が違うのでしょう?


★高速走行8V時
トーマス君消費電力:8(V)x0.5(A)=4(W)
トランジスタ損失:Vce 4(V)x0.5(A)=2(W)
★低速走行4V時
トーマス君消費電力:4(V)x0.5(A)=2(W)
トランジスタ損失:Vce 8(V)x0.5(A)=4(W)


12V電源消費電力は6Wでほぼ一定、トーマス君が低速でメシ食わないと、その分トランジスタが頑張るしかなく、JAM用走行電源はヒートシンク付きです。 この様に非PWM方式電源は損失が大きく、パルス動作でお休みできるPWMは非常に高効率なのです。

【従来線用1A/2CH電源出力トランジスタ】
露太本線従来線用の非PWM方式電源電圧を9Vにしたのは、高速走行不要も理由ですが、出力トランジスタ損失軽減も大きな目的でした。


以上、JAM用一括転換モジュール「電気班」の中間報告です。


ではまた。

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