Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

KATOスタンダードSXの性能評価 その2

前回の続きです。 読者の皆さんは正直です、専門的な電源設計は結果に興味お持ちでもプロセスは難解で敬遠され、サッパリだったOUTポイントとアクセス数がスタンダードSX性能評価で一気に回復しました。 でもその割にINポイントは増えません(笑)


3.16V仕様の性能評価
12V仕様評価と同じくKATO純正17V電源がないので16V/3.75A電源を使用し、0.68A/16Vのダミー負荷接続で評価します。


3-1.発振周波数
12Vから大きく変化するとは思えませんが何事も確認、出力電圧7Vで計測しました。

7Vにしたのは12V仕様で4割強5Vで計測したのに倣っただけで深い意味はありません。 結果は12V仕様5Vより少し高い109kHzで波形は同じ、ピーク電圧16.9Vでした。

安定出力下限は0.71Vでした、こちらも12V仕様よりわずかに高い119kHz、波形の傾向もピーク電圧が15.0Vに落ちるのも同じでした。


3-2.内部回路ロス
12V仕様評価と同様に速度調整ボリュームMaxで入力/出力電圧を計測しました。

予想が当ってました、16V仕様の方が内部回路ロスが少なくなる様です。
★12V仕様:0.5A/42%負荷で内部回路ロス0.42V(実測値)
      定格1.2A時の内部回路ロス、約1.0V(推定)
★16V仕様:0.68A/57%負荷で内部回路ロス0.47V(実測値)
      定格1.2A時の内部回路ロス、約0.8V(推定)

この結果からすると、純正ACアダプタ使用時は17V入力で16.2V前後の出力が得られると思います。 それにしても0.5V差を付けるなんて、KATOの設計技術者は神経質(笑)


3-3.速度調整ボリューム制御特性
12V仕様で速度調整有効範囲が狭かった制御特性を16Vでも確認します。

速度調整ボリュームMaxから徐々に下げると10段階目盛8.7で電圧低下開始しました。 12V仕様の8.6とほとんど差がありません。

走行開始電圧2.0V(16番の走行開始電圧知りません)が出力されるのは、12V仕様の目盛3.0から2.0へ下がりました。 それに伴い速度調整有効範囲が2.0~8.7に約20%拡大します、この差小さくありません。 もしかしてと疑問が湧いたので後で確認します。

更に出力波形を確認しながら下げてゆくと目盛1.0、出力0.71Vが安定出力下限値、その下目盛1.0~0.5は不安定な微電圧出力があり、目盛0.5~0は0Vの不感帯でした。


12V/16V双方の仕様で目盛0~0.5及び8.7~10の18%と微電圧出力で実用域外の目盛0.5~1.0を加えると23%、1/4近くが死んでます。 調整工程なしで部品許容差吸収する設計と解りますが、使い易いユーザーフレンドリー設計とは言えません。


3-4.常点灯性能評価

16V仕様は出力電圧1Vからピーク電圧低下が始まります、ピーキーな波形は12V仕様と同じです。 LED応答速度は10nsec、横軸1目盛の1/100なので十分常点灯可能です。

ピーク電圧は少し落ちますが0.71V/4.4%まで常点灯可能な性能です。 設計回路同仕様の0.95V/5.9%より常点灯域が広く、制御可能デューティー比範囲は少し負けましたが、理想波形に近い矩形波出力により常点灯輝度は圧勝で1勝1敗の引き分けです。 と言うよりKATO常点灯設計を褒めるべきだと思います。


4.回路解析
4-1.基本回路構成
KATOがスタンダードSXの性能をどう実現したのか個人的興味を持っています。 例えばパワーMOS FETだった最終段は?とか、ポリスイッチトリップ電流は?とかです。

【TOMIX N-1001-CL】
TOMIX N-1001-CLはケースを空けると部品実装面が見え、かなりの事が解りました。 また設計検証が目的だったので更に分解し基板反対面の確認もしました。

スタンダードSXは両面基板片面実装、ケース空けてもパターンしか見えません。 性能評価目的だし多分筆者とoomoriさん以外、中身の達成手段に興味ないと思うので、これ以上の分解調査を中止しました、面倒だしキズ付けたりするの怖いしね(笑)


4-2.速度調整ボリューム制御特性
ただし速度調整ボリューム制御特性は使い易さに直結する重要項目なので評価しました、回転角と電圧上昇に違和感を覚えたからです。 出力2Vが12V仕様は目盛3、16V仕様は目盛2と大きく違うのも引っ掛かりました。

最初は常点灯調整を容易にする為、通常のB特性でなくA特性ボリュームを速度調整に採用したかと疑いました。 しかし変化の様子がA特性ともB特性とも違います。

【『電源製作④』より転載】
速度調整ボリューム回転角と電圧変化を正比例(B特性)させるには、通常方式速度制御の使い方をします。 この時、速度調整ボリューム両端抵抗値は一定です。

①裏面に露出してる速度調整ボリューム両端抵抗値を計ってみました。
②目盛0では9.83kΩ、どうやら10kΩボリュームの様です。
③ダイヤルを回すとアレレ抵抗値が変化します、目盛5では7.5kΩに減りました。
④目盛10では2.4kΩに減りました、明らかに通常方式とは違います。


詳細は分解調査しないと不明ですが、常点灯調整ボリュームを省略し、速度調整ボリュームに兼用させる為、意図的に制御特性を変化させてます。 常点灯の微妙な調整を容易にする目的ですが、これを工夫と言うか、小細工と言うか難しいところです。

原因究明より結果確認、ハイパーDと同条件で特性比較しました。 ハイパーD用15VACアダプタ(スタンダードSXとも違う特殊プラグ)、23.5Ωダミー負荷条件です。


★ハイパーD
通常方式B特性です、目盛2.5付近から下が直線にならないのは波形鈍りの影響です。


★スタンダードSX
明らかに目盛4付近に変曲点があります、2V出力目盛は2/16V、2.4/15V、3/12Vです。 設計値は1.8/17V純正、2.7/13.5V純正と推定しますが、ユーザーが少ない16番基準設計でしわ寄せを圧倒的多数のNユーザーへ押し付ける設計は感心しません。
(非純正12Vアダプタ使用者は更に大きな影響「1/3走行しない」を受けます)


またこの計測で面白い事実を発見しました。

試験条件を揃える為、ハイパーD微調整ボリュームMinで計測しましたが目盛10でデューティー100%にならず98.8%でした。 微調整ボリュームを少し回すだけで100%になり、実用上全く問題とならず、本件に係るユーザークレームもなかったと思います。


5.まとめ
5-1.総合評価
KATOスタンダードSX評価を終えた筆者総合評価は以下の通りです。
①実用的常点灯性能と安全性を兼ね備えたコストパフォーマンスの優れた電源である。
②狭い速度調整有効範囲に難があり、この点が改善されれば万人にお薦めできる。


製作中電源の1CH/1.2A仕様、通常方式制御のコストメリットはスタンダードSXに消されてしまいました。 部品費は安くても製作工数と見栄え考えたら買った方がお得です。 従って《高性能》《高機能》《2CH化》《2A高容量》に対象に絞り込んで進めます。


5-2.非純正ACアダプタ使用について
KATO純正ACアダプタが高価な為、非純正ACアダプタをプラグ変換し使用する方が多い様です。 12V/15V/16Vいずれも使用可能で出力電圧が最大0.8V~1V低下しますが、4千円弱でこの電源を入手できるメリットは大きいので、消極的に推奨します(笑)

ただし非純正ACアダプタを使用する場合は必ず出力ショート試験を行い保護回路動作確認してください。 使用ACアダプタによりポリスイッチトリップ電流を流す能力がなく、使用者がショートに気付かないまま大電流が流れ続け非常に危険です。

KATO設計は堅実で信頼できるだけでなく、市場に対する企業姿勢がTOMIXと正反対、180度違うと感じます。


非標準電源プラグ採用は、高価な純正品を買わす為ではありません、非純正品使用による事故は法的に免責されても、道義的責任は免れないという考えに基づく予防措置です。 『壊れちゃったけど、コレ使えそうだ』という初心者誤使用防止が目的で、皆さんの様な確信犯誤使用者は自己責任で勝手にどうぞだと思います(爆)


5-3.最後にKATO設計技術者の皆様へ
厳しいコスト制約と12V/16V共通化の中でスタンダードSXを完成させたご苦労に敬意を表します。 ただ1点、速度調整ボリューム制御特性には苦言を呈したいと思います。 部品許容差吸収と社内規格クリアにはこれがベストと皆さんが言うのは百も承知です。


皆さんはどちらを向いて仕事してるのでしょうか? 例えばスイッチ付ボリュームを使い回した瞬間微電圧~1V出力する設計もできたハズです。 失礼ながらあの波形の1V未満は輝度不足で常点灯実用域外なのはご存知ですよね、これで下側0.8~1目盛救えます。


上側マージンを1目盛詰める設計も可能だったハズです、100台に1台デューティー100%出なくても苦情を言うのは品質保証担当者だけ、ユーザーは95%を切らない限り気付かないしクレームも出ません。 規格に縛られ「守りの設計」になってませんか?


今後も高性能で使い易く、手頃な価格でユーザーが喜ぶ製品を提供し続けていただける事を期待してます。 以上元石頭の設計技術者、後にマーケティングと遵法経営を担当して顧客視点の重要さを学び、現在は趣味に現を抜かす極楽トンボオヤジの放言でした。


ではまた。

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