Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

フィーダー設置に関する計測結果まとめ

今回は一連の計測結果をまとめ、具体的な事例で解り易く解説します。

【本シリーズ表紙画像】
計測は全て完了?、いえ一つだけ残ってます。 KATOフィーダー配線はメーカーデータ引用で、当社幹線配線半分弱の芯線数で同じ配線抵抗は変です、確認するしかありません。


6-1.KATOフィーダー配線抵抗(cont.)
本シリーズの熱心な読者『PIN』さんから下記情報提供を受けました。

【本シリーズ記事より転載】
コレは全く疑う余地なしです、有効値3桁ですから、当社使用テスター100倍精度の抵抗計で計測したスタティック(静的)データです。 しかし実際の使用条件に近い本シリーズ計測法、20kHz PWM電源1A負荷電流の条件で同じになる保証がないのが電気の世界です。

で、またまた無駄な買い物、送料無料のヨドバシさんで助かります。 ちなみにTOMIXフィーダー延長コード1.5mに対しKATOは0.9mです。 KATOがケチなのではなく、フィーダーは矢鱈と延長する物ではないのメッセージ、KATO企業姿勢の表れと理解してます。

コネクターハウジング切開手術で電極チップを取り出しました。

TOMIXと同じ計測法、電極チップ抵抗半田付けで10.80Vに合わせます。

テスタークリップを電源側電極チップに繋ぎ替えると0.15V高い10.95Vになりました。

配線抵抗計算すると0.17Ω/mになりました、0.2mm芯線24本の当社幹線配線の1.8倍、半分弱の芯線数11本なので好成績です。 この結果によりTOMIXはKATOの1.7倍(0.29/0.17)と解りました、ただし販売フィーダー延長コードの配線抵抗は2.9倍(0.43/0.15)です。


8.計測結果まとめ
ここまで実施してきた計測の結果をまとめます。 それがどの様な意味を持つのか解り易い(を心掛けます)解説を付け加えます。


8-1.レール抵抗
N用には各社洋白製の高さ約2mm(80番)のレールを使っており、断面形状が違います。

KATO/Pecoを計測し同じ結果、未計測ですがTOMIXも同等だと思います。 0.345Ω/mの意味はフィーダーに12.0V給電した場合、そこからジョイナーもポイントもない2m離れた線路上の1M6連室内灯付き列車(消費電流0.5A)に0.345V低い11.655Vが給電されます。


この差を感知できる人はまず居ませんが、ジョイナー/ポイント接触抵抗とその経年劣化で電圧低下は次第に増大し、2M12連室内灯付き列車(消費電流1.0A)では2倍になります。


8-2.ユニジョイナー接触抵抗
ユニトラックは62mm整数倍、ファイントラックは70mm整数倍のレールシステムで、ジョイナーで接続して使用します。 ジョイナーは金属と金属の篏合で接触抵抗があります。

ユニジョイナー新品時はレール75mm相当の0.076Ωですが、3.2倍/8年、3.7倍/30年に増加してました。 3.2倍はレール240mm相当なので、S248 10本の直線の見かけの長さは2.48mでも、給電抵抗や補助フィーダー必要性考える場合は倍近い4.88mになる事を意味します。


またレール塗装やバラスト撒布は、ジョイナー接触抵抗劣化にほとんど影響しないと解りました。 ジョイナー接触抵抗は、多分最初の約2年で2倍、4-5年で3倍に達し、以降緩やかに増加する特性だと8年/30年データから推定されます。 なおTOMIX未計測ですが、KATOよりパチンと嵌るので初期値は小さいかもしれませんが、経年劣化は同じと推定されます。

この8年経過と30年経過の計測値は単純に比較できません。 挿抜やジョイナー材質変更の影響が不明だからです。 しかし計測結果が示す様に、敷設後8年でジョイナー1ヶ所がレール240-280mm相当の接触抵抗を持ち、電気的には倍以上の長さになる事は確実です。


8-3.ポイント内切替SW接触抵抗
Pecoは大昔の16番ポイントと同じで、適切にギャップを設置しないと切替時にショートが発生します。 TOMIXは開通方向のみ給電する完全選択式、KATOは非開通内側レール開放式でこの問題を回避し使い易くしてますが、その為のSWがポイントに内蔵されてます。

【KATOポイント内切替SW】・・・本シリーズ記事より転載
ポイント切替レバーでトングを直進/分岐どちらの内側レールに接続するかSWを切り替えてます。 基板銅箔とSW接点は電気を良く通しますが軽い接触で、接触抵抗を無視できるほど接触圧を高くする事ができません、小型で非力なソレノイドで動作させてるからです。

当社延伸線に敷設し非通電新品同様4番ポイントの計測結果は0.12Ωでした、レール350mmに相当し、126mmの4番ポイントが給電抵抗としては476mm相当になります。 この接触抵抗も経年劣化があり、8年経過従来線4番ポイントは1.4倍のレール490mm相当でした。

【TOMIXポイント内接点と切替SW】・・・本シリーズ記事より転載
完全選択式は外側レールも切り替える必要がありSW2個(黄丸)、これだけで接触抵抗2倍です。 KATOの丸ポツ接点回転式に対し、長スパン板バネスライド式の貧弱構造は耐久性の低さと度外視します。 更にKATOは半田付けのレール接続8ヶ所がバネ接点です。


6ヶ所はリン青銅板バネで接触圧を確保できますが半田付けより高い接触抵抗があります。 酷いのは中央のコイルバネ、バネ材はリン青銅より導電率が低く細くて長い、この2ヶ所だけで0.1Ωありそうです、従って新品でもKATOの3倍以上、経年劣化も大きいハズです。

TOMIXポイント内部接点/SWの接触抵抗を控え目にKATOの3倍と仮定すると、140mmのポイントが給電抵抗としては1190mm相当になります。 経年劣化をKATOの1.4倍に対しコレも控え目に1.6倍と仮定すると、140mmのポイントが1950mm相当になってしまいます。


ポイント開通線だけ運転可能で補助フィーダー設置不能な大型ヤードが経年劣化すると、KATOよりジョイナー接触抵抗低くても、ポイント1ヶ所が2m以上相当になり、通過毎に速度低下する現象が発生してるハズです、思い当たる方はポイント内部抵抗が原因です。

【『TOMIXの電気設計は出鱈目です!』より転載】
そう考えるとJAM2017に出展されてたこの装置、切替動画からソレノイドに過大な負荷を与えてるのではと疑問符コメントしましたが、内部SWをリレーに置き換えてるので、KATOより切替SW接触抵抗が低いスグレモノです。 ただし4ヶ所のSW接点を引き出すと同時に、バネ接触の8ヶ所全て(特にコイルバネ2ヶ所)のジャンパー線半田付けが条件です。


8-4.フィーダー配線抵抗
単線フィーダー1ヶ所、複線フィーダー各1ヶ所の場合はOKですが、キャブコントロールで電気区間を区分する場合や長大エンドレスに補助フィーダーを設置する場合は、フィーダー延長コード配線抵抗に留意する必要があります。

外観や手触りで解りますが、太いKATOに対し細いTOMIXは1.7倍の配線抵抗でした。 またフィーダー延長コード市販品はKATOの0.15Ω/0.9m、レール435mm相当に対し、TOMIXは0.43Ω/1.5m、レール1.25m相当で2.9倍になってました。 これかなり影響します、電圧低下による速度低下改善目的で設置する補助フィーダーが配線で電圧低下するからです。

KATOはフィーダー分岐コネクターと延長コード方式です。 電源近くのメインフィーダーは直接、遠い補助フィーダーは延長コード1/2本使用接続が一般的用法ですが、長さ的に不要でも赤丸延長コードで配線長を揃えると補助フィーダー効果が100%発揮できます。


当社はこの考え方せずに3mも差があり、使用配線の低い抵抗に助けられて0.3Ω、KATO延長コード2本分に収まってますが、決して望ましい状態ではありません、面倒放置です。

【TOMIXフィーダー分岐コード】・・・通販店製品紹介ページより
TOMIXのフィーダー分岐コード方式はユーザーフレンドリーです。 分岐側各1.5m、共通側約0.3mで配線抵抗0.52Ωになりますが、メイン/補助両フィーダー給電抵抗が同じなので問題が起きません、3mあれば届くしね。 ただし補助フィーダー2ヶ所以上は要注意です。

例えば補助フィーダー2ヶ所で赤丸延長コード使えばメイン/補助間の給電抵抗差0.09Ωで許容内ですが、延長コードがないと0.52Ωで補助フィーダー設置効果の1/3を失います。 仮に配線2本分違えば多少マシな程度、3本分違えば効果ゼロになるのでご注意ください。


以上計測結果のまとめでした。 次回最終回で補助フィーダー必要性をどう判断するか、どこに設置し配線をどうすべきかについてまとめます。


ではまた。

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