Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

露太本線式フィーダー設置基準

フィーダー設置基準と言うと偉そうに聞こえますが、当社失敗事例と安物テスター計測結果を基に、建設時にこうすれば後でアリャリャとならないよのノウハウ集的にまとめます。

【本シリーズ表紙画像】
この写真こんなに長く使うとは思ってませんでした。 オハニ/オハユニ連結の蒸機牽引鈍行列車、50年以上昔の想い出です。


9.フィーダー設置基準
電気関連基本知識がある筆者でさえ、露太本線建設時フィーダー設置に関する情報皆無で、KATOエンジニアから聞き出した最大4m、できれば3m以内を頼りに暗中模索しました。

【本シリーズ記事より転載】
今にして思えば最後のQ&AでKATOエンジニアが言葉を濁したの良く解ります、筆者もそうしたでしょう。 ユニジョイナーがレール1本分とかポイント内部SWがレール2本分の接触抵抗なんて外部に漏らせませんし、ヒント与えたら突っ込まれて立ち往生するからです。


今回誤差を含むラフな計測ではありますが、経年劣化込みの概略特性が解りましたので、レイアウト寿命を10年以上と想定し、建設時のフィーダー設置をこうすれば良いの方法論をまとめます。 信じる信じない、採用するしないは皆さんのご判断にお任せします。 危険はないので情報提供者責任を回避しませんが、生存してればの話です、あしからず。


9-1.新しい指標《給電レール長》
ジョイナーやポイント内部SW接触抵抗が大きく、それがフィーダー設置を考える際に非常に大きな影響を与えると解った以上、実レール長とは別の何か新しい指標が必要です。

筆者造語《給電レール長》を使いフィーダー設置基準を考える事にします。 面倒な電気の公式不要、目に見える情報の掛け算と足し算で答えが出るので誰にも解り易い指標です。


9-2.電圧差許容範囲
フィーダーからの距離が伸びるに従い電圧が低下し速度も低下します。 フィーダー設置基準を考える際にはどの程度の電圧差(速度差)まで許容するかが重要な要素になります。 

筆者経験によれば、キャブコン電気区間境界部電圧差10%は速度差を検知できません(鈍いだけ?)。 15%になると検知可能でチョッと躓いた印象ですが、気にしなければ我慢できる程度、20%になると明らかな速度段差発生でNGです。 エンドレスの場合はフィーダーから最遠点まで緩やかに速度低下するので、15%でも気付かないかもしれません。


9-3.走行列車と電圧差の関係
電圧差は走行列車消費電流で変化します、電流2倍で電圧差も2倍になります。 そこで下記3種類の消費電流が異なる走行列車で考えます。

御覧の様にレイアウトで運転される列車はほぼ消費電流1Aに収まります、北海道内北斗星やカシオペアDD51重連列車も重負荷列車です。 TOMIX制御装置の1.2A容量は、アクセサリー端子使用時の余裕です。(アクセサリー負荷重いと重負荷列車運転時に保護回路動作)

走行列車・電圧差と給電レール長の関係を図にしました、検知可能な15%以上を補助フィーダー必要領域としました。 気付かなくてもエンドレス速度変化は押さえたいからです。


軽負荷列車なら15%で10.5m、1周21mエンドレスにフィーダー1ヶ所でOKを表してます。 縦軸は給電レール長なので使用レールによりますが実レール長7-8m、重負荷列車ならその半分のエンドレス長になります。


9-4.提案フィーダー設置基準
以上の基礎データに基づき露太本線式フィーダー設置基準を提案します。

レイアウト種別は2種類にしました、重負荷列車乗り入れ不能なレイアウトへの厳しい条件適用は無駄です。 しかし最大4両編成の小型レイアウトでも混成キハが2Mになると、室内灯なしで中負荷列車になります。 小型レイアウトにも余裕設計をお薦めします。


最大給電レール長目標値は切り良く4m/6mにしました、電圧差11.5%以下に相当します。 限界値はその1.2倍の4.8m/7.2m、電圧差13.8%以下相当です。 この基準で補助フィーダー設置必要性を判断し、次項フィーダー設置位置選定法に従えば電圧差最小化が可能です。


9-5.フィーダー設置位置
軽/中負荷列車運転レイアウトでエンドレス/電気区間給電レール長が6.0m/7.2mを、重負荷列車運転レイアウトで4.0m/4.8mを越える場合は補助フィーダーが必要ですが、何処に付ければ一番効果的か解説します。

上図の待避線付きエンドレスに留置線2線の例で解説します。
➊エンドレス給電レール長は一番遠回りルート、この例では待避線側で計算してください、距離だけでなくジョイナー数が多く、直線ルートより給電レール長が長いからです。
➋メインフィーダーはこの例ではポイントトング側が集中するこの位置に設置します、留置線はポイント3個通過し、内部接触抵抗だけで給電レール長1.47mになるからです。
➌エンドレス給電レール長が長く補助フィーダーを設置する場合は、メインフィーダーから左右回りの給電レール長がほぼ等しくなる位置への設置が最も効果的です。

では長大エンドレスに交換施設を組み込んだ当社の様なキャブコン電気区間の場合を解説します。 給電レール長計算したら18m、フィーダー1ヶ所では9mになり2ヶ所必要です。 そこで電気区間を3等分して2ヶ所設置し、軽/中負荷列車運転目標値6mをクリアしました、コレ正しいでしょうか? 間違いではありませんが60点です、満点回答は次の通り。

3等分でなく4棟分して1/4と3/4位置2ヶ所に設置すると、電気区間内全てが給電レール長4.5m以内になります。 この電気区間両側を繋げたエンドレスと考えれば、何故1/4と3/4が正解か理解し易いと思います。

次は駅構内線の様な短い電気区間のフィーダー設置位置について筆者失敗事例から学ぶ編です。 速度段差問題発生地点中山平駅構内線は実レール長1m未満、給電レール長2m弱です。 短い区間だからフィーダー位置無関係と1/2番線共に電気区間端に設置しました。


すると隣接する本線電気区間端の電圧低下が境界部でほぼそのまま出てしまいます。 例え短くとも電気区間中央付近階段踏切辺りに設置すれば、電気区間境界部の構内線は給電レール長1m弱分電圧低下し、より電圧差を小さくできました、短くても真中がベストです。

生野駅構内線フィーダー位置も4番線/機廻線は結果オーライの最適位置ですが、2/3番線は電気区間端設置で中山平と同じです。

最後の交換施設笠松信号所構内線はスイッチバックなので、ポイントトング側から給電原則によりフィーダー2ヶ所です。 発着線は両渡線からS字カーブで本線電圧低下と電圧差最小位置に設置してますが、引上線は両渡線近くです、発着線と同じにすべきでした。


9-6.基準の検証
自分で作った基準を自社路線に適用したらどうなるか?、とりあえず図面作成した今回計測区間とKATOレイアウトプランで検証しました。

30年前レール敷設の東基台北部です、実レール長1.70mが、30年劣化分を加算した給電レール長4.75mになりました。 中負荷列車運転なので目標値6.0mクリアでOKです。

次に問題発覚区間、中山平駅入口まで実レール長2.76mが給電レール長6.84m、目標値越えてますが限界値7.2mはクリアしてます。 問題視してなかった生野駅構内線ですが、1番線実レール長1.47mの給電レール長が4.61mと3倍強に、ポイントが多い留置線は実レール長1.83mの給電レール長が7.15mと4倍に近く、限界値ギリギリでした。

【KATOカタログ図面より加工】
最後にKATOレイアウトプランです、セット構成表から正確に計算するとエンドレス実レール長8.02mでした。 給電レール長18.12m、フィーダー給電距離9.06mで経年劣化後中負荷列車運転の速度差NGレベルです。 ちなみに新品時給電レール長は11.57mで、中負荷列車運転までフィーダー1ヶ所でOKです。 クレーム個別対応で割り切ってるのでしょうね。


以上で本シリーズ完結とします。 基礎データなので一連の記事を露太本線ブログINDEX-6:レイアウト制御にまとめて掲載しました。


ではまた。

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