Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

TMS蒸気機関車の製作から 後編

Nゲージが主役になって以降、鉄道模型の楽しみ方から車両製作の楽しみが大幅に低下し趣味の性格が変化しました。 裏を返せば作れなくても走らせて楽しめる、鉄道模型ハードルが下がり大衆化が進んだ訳で、それはそれで良い事だと感じてます。

【前編より転載】
前編では『蒸気機関車の製作』に収録され、筆者が特に感銘を受けた作品群を紹介しました、今回はその続編です。

戦時型D52です、作者はTMS41号(1952年)の表紙を飾ったOJゲージ戦時型D52に魅了され、いつかは16番でと思い定め、10年近く経過して実現したと述懐されてます。

部品図でパーツとして入手できたのは動輪/車輪/コンプレッサー/発電機/安全弁/気笛/HL程度です。 蒸気機関車製作は技術と根気が必要なのは勿論ですが、金属加工設備や材料調達など資力も必要で、気軽に取り組める物ではありませんでした。 

堂々たる出来栄えです。 蒸機を自作し製作記がTMSに掲載されるのは一流マニアのお墨付きで、マニアなら誰でも夢見る、でもウデ/カネ/ヒマのハードルが高く、99%は夢で終わる、筆者もその一人でした。

発表された1958年当時大学生作者の処女作蒸機です。 1953年に16番乗り換え時からの構想で、授業サボって上野駅にC57見に行ったという記述に時代を感じます。 秀作ですが、ゴッドハンドとも言える既紹介作品との差は写真にも表れてます。

これも習作を経た作者準処女作蒸機、製作都合でスケールより1.5mm長くなってしまったと書かれてますがそれを感じさせません。 むしろランボードとキャブ下白線が平行に見えない(キャブが少し前のめり?)のが気になります。

チョッと寸詰まりなC58タイプの自由型蒸気です、作者第一作、1958年製作で製作回想録記事になってます。

作者はレイアウト特集シリーズに収録された能呂井鉄道製作者で『蒸機製作はそれほど難しくない』というTMSメッセージ発信編集方針の要請で執筆された様です。

カワイ完成品ベース改造で、前編で紹介したD62に比較すれば改造範囲が狭く、これならできるかもという気持ちを後押しする役割を果してます。

この編集方針に従いシナリーガイド著者のK氏もエッセーを寄稿されてます。 でもね、誰でも作れる程易しくないのは確か、Hyper-G電源とは桁違いです(笑)

タンクロコ秀作も掲載されてます。 これは摂津鉄道製作者の第三作目、C10なら蔵元村に似合うと思い記事を読むと、8620/9600と大正期テンダー機の次はタンク機と決めたが、大正期には4110しかない、明治の2120か昭和のC10か悩んだ末に選択でした。


作者が英国スタイルに好感を持ってた事に加え、C10適合サイズ動輪が市販されてない事が決め手になった様です、キーパーツが製作に与える影響は今も昔も変わりません。

蒸気機関車スタイルブックの最初に掲載されてる最古の民間会社製国産蒸機230型製作記も掲載されてます。 筆者がこの特集シリーズを入手した目的は蒸機製作の意図があったからでなく、もっと現実的な目的でした。

筆者所有蒸機は宮沢模型製C58、お年玉や小遣い貯めて5千円の初蒸機入手でした、本当は天賞堂9600が欲しかったのですが1万円では手が出ません。 C58は廉価モデルで細部はあっさり、キャブ下スカスカで追加工したくとも資料が全くありません。

例えパイピング工作記事があっても蒸機形式が異なれば真似できず、基礎になる各部名称や装備品と機能を理解してないと役立ちません。 中学生の筆者は蒸機のイロハを学ぶ教科書としてこの本を入手しました。

現在はワンクリックで情報入手できますが、当時は図書館でも鉄道関連情報はまず手に入りませんでした。 そんな中で欲しい情報満載のこの本は実にありがたい存在でした。

半田ゴテ、真鍮線、割りピン、挽物パーツをコツコツ買い集め、C58はリムーバーで塗装剥離、パイピング追加工、TMS掲載の発煙装置取付と進め一旦完成走行試験OKになり、残りは再塗装だけになりました。


そこから13mm化を思い立ち、台枠/動輪改軌は成功したのですが改軌によるコネクティングロッド引っ掛かりの課題解決できず挫折、受験戦争の波に飲み込まれ鉄道模型から離れるキッカケになりました。 半世紀前の昔話になった処でオシマイにします。 


ではまた。

湖南電源⑪ケース組立完成

自分で設定した納入期限まで1ヶ月になりました、湖南電源は基板準備が完了したので、電源組立へ進みます。


◆天面パネル
クリアアクリル天板に貼る天面パネル製作からです。

『がおう☆』さんと打ち合わせ決定した右メインCH、左サブCH原寸版下をA4サイズで作成しました。 プリンターノズルクリーニングして1stショット、ディレクションスイッチ表示赤視認性不十分で黒文字に変更し2ndショットしました。

綺麗に仕上がったと安堵しましたが、部品やツマミ外径が不要な事に気付き3rdショットで使える天面パネル出力ができました。

速度計ベズル穴は3mmポンチ、速度表示部はベズルで見切るので若干大きく、他の取付部品穴はカッター切り抜きです。 自社用製作時は天板に0.5mm精度で貼れましたが、現在の視力では切り出して同サイズ天板に貼るのは無理。工夫するしかありません。

天面パネル裏に透かしてコーナー位置をケガき、上部は速度表示部を逃げてA1/A2、中央にB、下部にCの両面テープを貼りました。
天面パネル下1/3をカッティングマットからはみ出して置き、天板を穴位置を合わせて重ねます、ピタリ合いここが貼りたい位置です。
両面テープCの台紙を起こし途中まで剥がした状態です、最後まで剥がし天面パネルと天板を接着します。
上下を入れ替え両面テープBの台紙を途中まで剥がしました、以下B、A1及びA2と台紙を剥がし天面パネルを接着します。

スケールを当て天板端面塗装を痛めない様に天面パネル余分を切り落とします。 黒色油性マーカーで端面を舐め、0.4t天面パネルフォトマット紙端面を黒色塗装しました。


◆部品取付
ここからサブGH先行で天板に操作部品を取り付け天板をケースに接着します。 先に接着してケース完成させると作業性が悪くなるからです。

写真常点灯ボリュームとブレーキボリュームには回転防止ダボが出てます、天板に逃げ穴空けないと組めないのでニッパーカットします。
常点灯ボリュームを取り付けました、10mmスパナで固く締め付けます。
続いてブレーキボリューム、これもナット径10mmです。
列車種別選択スイッチはLOCOで導通です、回転防止はワッシャに付いており、切らずに裏返して使います、これは8mmナットで固く締め付けます。

ロータリースイッチにも回転防止ダボが出てるのでニッパーカットします。
軸が長く用途に合わせ切って使う仕様なので、過去記事を調べ20mm切りました。
ロータリースイッチを13mmスパナで固く締め付けます。 ロータリースイッチOFF時にツマミ軸平面が3時方向になる角度で取り付けます。
軸とツマミの関係が固定でこの角度に取り付けないと正しく表示しません。

湖南電源ディレクションスイッチは前進/後退でなく左行/右行切替です。 設計図フィーダー向きは前進=左行です、念の為『がおう☆』さんに確認しました。
前進=左行となる向きにディレクションスイッチをセットします。
ここはナットでなくギザ付き丸ネジ、プライヤーで固く締め付けました。
防水カバーをネジ込んでディレクションスイッチ取付完了です。

最後の取付部品は速度計、左のベズルと本体で天板を挟み込みます。 天板2ヶ所の3.2mm穴にベズルネジは入りますが天板に密着しません。
良く見るとベズル根元がプラ台座になって3.2mm穴通過不能でした、延伸線用製作時にも同じだったハズですが記憶がありません。
計測すると4.2mm、3.2mmの上は3.8mmと6.2mmしか持ってないので、3.8mmに広げ、小丸ヤスリで4.3-4.4mmに広げました。
ベズルネジを速度計本体穴に貫通させ、ワッシャ/ナットで取付完了です。

天板に操作部取付作業が終了しました、段々電源らしくなってきます。


◆回路修正
従来線用高機能基板流用にはロータリースイッチ交換に加え回路修正が必要です。

従来線用は6/7/8/9Vの4ノッチ仕様、従ってR56/R57/R58がロータリスイッチに、残りは基板実装です。 湖南電源仕様は11V出力を加えた5ノッチ仕様。R54/R55ロータリースイッチに取り付けられてます。

基板側でロータリースイッチに移設されたR54/R55のタップ回路2.7kΩ2本をショートすれば良いので、図赤丸ジャンパー線追加で黒丸抵抗2本をショートしました。


◆ケース組立
天面パネル操作部品取付が完了したので天板をケースに接着し一体化します。

糊代と強度アップを兼ねて5mmプラ角棒を前面(下)は全長に、背面(上)は速度計を逃げて取り付けました。 こんな事なら両側面も3mmL材でなく5mmプラ角棒にして、骨格で強度持たす方法もあったと気付くのは、工作下手の証です。

天板をケースに接着し一体化しました。 操作部ツマミも取付、列車種別選択スイッチツマミカバーも黒にしました、これが完成外観になります。

同じ事の繰り返しなので途中経過を全部省略してメインCHもケース組立完了です、相違点はDC入力ジャック/パワースイッチ/パイロットランプ有無だけです。


ではまた。

TMS蒸気機関車の製作から 前編

数ヶ月前、何かの記事で触れた半世紀以上前のTMS特集シリーズ『日本型蒸気機関車の製作』を紹介します。 蒸機模型が欲しければ作るしかなかった時代のお話です。

この特集シリーズはTMS89号から152号に掲載された蒸機製作記をまとめた物で、発表は1955年-1961年、表紙はハンドメイドC50です。 動輪自作必要な時代よりパーツはありましたが、ベースキットもほとんどなく蒸機模型はマニアの高根の花でした。

特集シリーズの中でも地味な存在で重版されたか知りませんが、筆者所有本は1963年12月発行の初版、57年前です。 どんな蒸機製作記が掲載されてるか目次ページです、製作記発表TMS号数が付記されてます。

一番古い製作記がC62、1955年発表です。 作者はOゲージから16番転向組で2年掛けて製作されており、表紙C50もこの作者の作品です。 写真を見ただけでも卓越した工作力は歴然と解り、只々ため息をついて眺めた物です。

この作品はTMS作品コンクールで一等を獲得してます。 市販パーツは動輪と先従輪(カワイ製)とモーター/ギアボックス程度、後は真鍮材加工です。

この作品は別の特集シリーズでご覧になった方も多いと思います、摂津鉄道製作者の作品だからです。 発表は1959年、第一作8620に続く二作目でディテール、造形の確かさ共に文句なしです。

動輪はイコライザー付きで20両近い2軸貨車を牽いてまだ余力があったそうです。 完全艶消し塗装が蔵元村の風景にマッチすると思います。

上記9600と同じ年に発表されたのがD62、ほぼ100%自作が普通の時代に発売されてた鉄道模型社製C62キットベースの作品です。

巻頭グラビア/掲載記事共にトップバッターで、TMSは近代型蒸機製作のスタンダードになり応用範囲が広いと評価してます。

キット加工と言っても下回りは100%新造です。

当然動力ユニットも自作、従輪台車はキット流用せず自作されてます。

上回りもキャブを密閉式から解放式へ、キット改造と言ってもボイラー/キャブ/テンダーの使える部分だけ使う80%手作りの作品です。

初期型D51のスクラッチモデルです、カツミから標準型D51が発売される前の発表です、作者は他に作例を見ない事を製作動機に挙げてますが、その気持ち良く解ります。

このモデルもイコライザー付き、ロッド1本毎製作が必要な手間のかかる工作で、重い16番客貨車牽引力向上が目的です。 プラ貨車に脱線防止用鉄板ウェイト積んでる現在のNでは想像できない世界でした。

これも素晴らしい出来のC56、作者は軽快なスタイルと後方視界確保のテンダーに魅力を感じ、これ以前に16番C56/C12を製作されてます。 C56/C12で3作品、共通部分が多いとは言え思い入れの強さが窺われます。

筆者には忘れられない写真です、13mmのC56と16番のC12、この写真で13mm狭軌感の虜になり、木製道床レールをホチキス針でスパイクし13mmに転向しました。 まだまだ紹介したい内容がありますが今回はここまでにします。


ではまた。