制御の基本と応用技法 その10
前回の続きです。
【詰所前のキハ】
第七章:デルタ線と地下ヤードの制御
7-1.デルタ線とは?
拙レイアウト通過型スイッチバックは全国百ヶ所近くありながらレイアウト作例がわずか数例なのはスペース効率の悪さが原因です。 それより少ないとは言え、実在したデルタ線の作例がないのは、スペース効率に加え制御が難しいからだと思います。
湖南総合運転所地下ヤード出口、第2本線接続部がデルタ線になってます。 どんな機能があるか確認します。
デルタ線はギリシャ文字Δと形が似てる事から命名され、三角線とも呼ばれます。
デルタ線通過列車は向きが反対になりリバース線と同じ、つまり線形は違っても電気的にはリバース線です。 実際のリバース線存在は定かでなく、筆者は遊園地アトラクション列車以外の国内事例を知りません。 デルタ線はそれよりありふれた存在でした。
国鉄3等級時代の1等展望車を連結した特急「つばめ」「はと」は東京・大阪で編成そっくり方向転換する三角線回しが行われてました、60年前の話です。 同時代の地方軽便鉄道ではターンテーブルよりコストが安いデルタ線が使われていた様です。
ちなみに筆者は昭和33年夏、青大将「つばめ」に遭遇経験があり、おそらく現役時代を知る最後の世代だと思います。
【デルタ線跡】・・・『た625』さん提供情報
和歌山にお住まいの『た625』さんから、紀勢本線紀和駅近くにも痕跡残ってますよと情報を頂戴しました。 確かにデルタ線跡です、それより阪和線が分岐する複雑な線形に感嘆、立体交差あり、野中ポイント(信号所扱い?)ありでレイアウト的線形です。
7-2.デルタ線の制御
デルタ線制御を考える為に、まず進路パターンを確認します。
最初は地下ヤード進路非開通の第2本線内周り/外周り直進パターンです。
次に地下ヤードから外周り本線への出庫パターンです、内周りには出庫できません。
3番目は内周り本線からの入庫パターンで、ここまでは第1本線と本線連絡線接続部モデル線形と全く同じです。
デルタ線にはもう一つ進路パターンがあります、外周り本線入庫パターンです。 全部でデルタ線ですが、説明の都合上外周り本線からの入庫線をデルタ線と呼びます。
ポイント3個で構成される外周り出庫/内周り入庫部は、中点付き2回路トグルスイッチによる進路選択と、外周り本線乗り越し部従属接続フィーダー切替で制御します。
デルタ線進路選択にトグルスイッチを使うと、デルタ線非選択時のみ外周り出庫/内周り入庫部が機能する回路構成が簡単にできます。 しかし操作性が良いとは言えません。
電気的にリバース線と等価なら、第1本線/支線リバース線と同じプッシュロックボタンスイッチの方が解り易く、また操作系設計思想統一観点からもそうすべきです。
そこで制御回路簡素化より使い易さを優先し外付け部品で回路構成します。 デルタ線非選択時はトランジスタONで進路選択スイッチ有効ですが、デルタ線選択時は図オレンジライン配線がトランジスタをOFFさせ、進路選択スイッチ操作を無効にします。
7-3.地下ヤードの制御 その1
デルタ線と地下ヤードを結ぶ連絡線は双方向通行です、変形リバース線のデルタ線にはこれまで解説したリバース線技法が使えず、ディレクションスイッチが必要です。
電源ディレクションスイッチは1個です、これは変えません。 制御盤上に地下ヤード用ディレクションスイッチを「入出庫切替スイッチ」として設けます、出庫/停止/入庫の3切替です。 また地下ヤード独立フィーダーACH/BCH選択スイッチが必要です。
6線地下ヤード番線選択は押しボタン式が解り易いです。 リバース線用と異なりロック機構なしプッシュスイッチを使い、Arduino制御でポイント切替を行います。
これでデルタ線と地下ヤード制御は完了と思ったら思わぬ落とし穴が待ってました、その話は次回へ続きます。
ではまた。