Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

建設中の露太本線➍

建設中写真を使った続編です。


2-4.北東の山
ループ線の山は急峻な岩山、対角お寺の山は針葉樹植林の山、中間北東コーナーの山はなだらかな草原状の山にしました。 それが可能な条件が揃っており、風景変化と様々な地形製作の楽しさを両立した選択です。

【北東の山-1】
この山は信号所と峡谷鉄橋間のトンネルを隠してます。 線路標高が高くトンネルポータル位置も高いので、山頂との標高差が少なく傾斜を緩やかにできます。 また手前が低地水田ではないので、階段状に低くなる地形にして、それがなだらかな山にできた要因です。

【素材見本市】
左端峡谷鉄橋対岸の山はプラスタークロス貼ってますが、この山は使ってません、スイッチバック奥斜面に使ったレイアウトマット製です。 キット箱紙と梱包用テープ併用の下地に、裏にボンドをたっぷり塗ったレイアウトマット貼り付けるだけで草地地面が完成し、風景製作を効率化できたからです。 緑色の百均紙粘土をここでも複雑地形に使ってます。

【北東の山-2】
お寺の山と同じく天井梁の手前を山頂にして梁側面に空パネルを貼ってます。 異形の空は天井裏当社の宿命で、峡谷に向け空が梁を乗り越え奥に続いてます。 風景撮影時のカメラアングルや照明の当て方で目立たなくするなど、あの手この手で誤魔化してきました。

【北東の山-3】
なだらかと言っても相対的な話で線路奥は急傾斜になってしまい、、擁壁と雪崩止めを設置して辻褄合わせしてます。 擁壁は0.8t板紙製の自作で、トンネル入口の傾斜が強く、次第に緩くなる形状です。

【北東の山の擁壁】
近くで見るとその形状が良く解ります。 市販素材では平板な擁壁しか作れず風景も平板になってしまいます、紙製ですから簡単に作れます。

【植樹中の北東の山】
草原に灌木が生え広葉樹が点在する風景の山で、幹付き樹木は手前を高く、奥を低く思い切り差を付けて遠近感を意図的に強調してます。

【峡谷近くの北東の山】
プラスタークロス剥き出しだった峡谷側は、風景連続性を言い訳に、上からレイアウトマットを貼りました。 その上をどうするか、北東の山と同じでは詰まらないので、麓に中山平製材所がある事に関連付けて伐採跡地とし、切株を配置しました。 安易ですね。

【完成形】
地上面から北東の山を見上げると草原状風景効果なのかなだらかな里山に見えます。 実寸換算距離120m、標高差45mの山頂が、少なくとも倍以上に見えるから不思議です。


2-5.信号所下トンネル
ループトンネル入口と並び製作やメンテ都合で自然地形に無理をしてもらったのが信号所下のトンネル付近です。

【『線路敷設』より転載】
両渡線先本線脇のコルクマット部が信号所建屋予定地、その手前に踏切を作り鎮守様から上る道と中山平へ下る道が通う設計で、下の本線はトンネルに入る地形造形の場所です。

【トンネルポータル位置決定】
基台を斜めに横切る本線のトンネル内レールメンテは、現在延伸線建設中の隣の屋根裏から行う設計で、手が届く限界位置から信号所に近くするしかない状況でした。 またこのトンネルだけ背が低いGM非電化用トンネルポータルを使い、風景の破綻を回避しました。

【複雑形状の擁壁-1】
先に決まる道の位置と標高を基準に有り得る地形を考えた結果、トンネル出口付近はポータル付属擁壁を使い広くて急傾斜、その先は線路際まで土地がせり出して来る地形にし、ポリスチレンフォームを削って地形のコアを製作、非常に複雑形状擁壁が必要になりました。


この擁壁はグラマラスな擁壁として以前紹介してますが、コピー紙で型紙を取り、0.8t板紙に切り込みを入れて整形した物で、切り込み部を補強縦横帯部にして継目を隠してます。

【複雑形状の擁壁-2】
低目線で見ると形状が良く解ります。 トンネル出口付近擁壁が85度になったのが残念な点で、形については更に複雑形状擁壁が実在するので問題にしてません。 擁壁反対側はポリスチレンフォーム地形コアです。

【完成形-1】
トンネル掘削技術未発達の当時は、トンネルは可能な限り短くしたので、切通し奥に入口のあるこの風景は昭和のローカル線らしいと思ってます。

【完成形-2】
キハの奥に見える鎮守様から信号所前まで標高差50mm、畑を拓き階段状になった地形を、線路は水平に敷設されてトンネルへ、道はうねりながら上り線路の上を越えます。

【完成形-3】
トンネル上の道も違和感がない曲りと傾斜で実在感のある風景にまとまり、難しい問題解決した結果の地形と満足してます。

【『スマホでレイアウト散歩➋』より転載】
トンネル上の道から人間目線で見た風景があり転載します。


ではまた。

建設中の露太本線➌

好評に付き蔵出し写真を使った製作プロセス紹介の続編です。


2-3.お寺の山
線路敷設の項で最初の自作ストラクチャは融雪溝だったと書きましたが、最初に製作し照明組込みを行ったのはお寺本堂でした。 地形製作の前に配置ストラクチャの話からです。

【お寺本堂と鐘楼】
キットですので組立は簡単、照明組込みで苦労しました。 当時は遮光必要性の認識もなく土台と建物下部からの漏光に手を焼きました。 レイアウト照明関係のネット情報から遮光法を学び、何とか抑え込めました。

【お寺本堂と鐘楼 夜景】
足元からの漏光対策完了時の状態です、まだ窓周辺の壁から漏光してます。 レイアウト照明は一般に明る過ぎる傾向があり、『照明付けました』の意識がそうさせる様です。 時代設定が昭和なら灯りは暗く、お寺は仄かな灯りが似合うので遮光追加と減光をしました。

【お寺山門】
他に選択肢のないお寺山門は立派な2階建てです、キットを組み『八海山慈照寺』の扁額と消火器を追加しただけです。

【お寺山門 夜景】
山門前に街灯設置予定でしたが山門下を照らす事ができないので照明設置しました。 最初砲弾型LED使ったらビーム光で全くダメ、山門屋根に空けた穴にムギ球入れたら良い具合、遮光不要でした。 なお突入電流による球切れ防止に68Ωを入れ9年間不良なしです。

【東基台南部と南基台】
お寺建設予定地は東基台南部、基台高が50mm低い場所です。 左下の台が信号所へ向かう本線180度カーブを敷設した50mm高路盤で、お寺の位置はこの台のほぼ中央です。


お寺の下を線路が潜る訳ではありませんが、周囲180度がトンネル内線路の山地で、お寺の設置標高を高くしないと風景バランスが取れません。 そこでお寺は谷のドン詰まりの高い位置に建設し、本堂と鐘楼を同一面に、大型の山門を一段下げて配置する事にしました。

【お寺の建物配置】
谷奥を切り崩した土を盛土して本堂と鐘楼を建設、階段を下りた低い場所に山門と付属の手洗場(?)を建設した想定の設計です。 周囲地形は境内作成元地形との整合性に留意して製作しました。 コンパネ骨組み、梱包テープ下地、プラスタークロス、ボンド水新聞紙の構造は同じです。 本堂左松の大木と階段前後の石畳は既製品、階段や樹木は自作です。

【多段配置のお寺建物-1】
山門はレール面より30mm高く、本堂境内は32mm高階段で62mm高くなってます。 高さを変えたので本堂が山門に隠れる事がなくなり山のお寺らしくなりました。 背後の山は峡谷鉄橋で邪魔になった天井梁手前に山頂を配して、風景の違和感が出ない様にしました。

【多段配置のお寺建物-2】
今見返すと山門をもう少し高く階段を2-3段増やし、背後の山の傾斜を緩くする選択があったと思います。 もう一つ残念なのはこのシリーズの庫裏が発売されてなかった事、あれば地形を工夫して建設できました、現状では住職が住めず通勤するしかありません。


なお前写真から山門前街灯付き電柱が設置されてます。 通常視力だった頃の1608チップLED自作で、農家前と鎮守様前3灯直列で、配線は地中埋設で現代並みの仕様です。

【お寺へ続く道建設中】
前写真から山門前道の建設が始まってます。 平坦な場所の地形造形にはスタイロフォームより密度と強度が高いポリスチレンフォーム25mm厚を使いました。 お寺山門からの道を含め道はほぼポリスチレンフォームの削り出しで勾配を付けて製作してます。


お寺山門周辺の緑色部分は百均紙粘土製の小さな凸地です、小さな凹凸はその方が簡単だからです。 またこの写真からユニトラック道床に0.8t板紙2枚挟んだカントが解ります。

【地形と空の天井梁乗り越え】
背後の山を天井梁手前に山頂を配して梁を空にしてお寺部分の地形・風景を整合させましたが、南基台の空は梁の更に奥で、地形と空が梁を乗り越える形にしてます。 農家手前道の左側畑はこれから製作です。

【お寺へ続く道と建物配置】
鎮守様付近から見るとほぼ真っ直ぐに見える道は微妙に曲がってます、地形に合わせ道ができればればこうなってるハズの考えに基づいてます。

【完成形のお寺の山】
完成直後の撮影ですが改修してませんし、多少の植樹と樹木紅葉加工を追加しただけなので現在もほほ同じ姿です。 南東コーナー中心建造物として存在感を発揮してくれてます。

【完成形のお寺の山 夜景】
本堂は蝋燭のお灯明程度の明るさまで減光しましたが、少し暗くし過ぎたかもしれません、改修には周辺風景を壊すしかなくそのままにしてます。

【お寺の見える風景-1】
鎮守様隣の畑から農家越しにお寺を見上げた風景で、通常鑑賞では見られないアングルです。 低目線で眺めると高低差や地形が良く解ります。


なおこの農家はキットに手を加え、籾蔵を倉に置き替え、側面にハザ棒置場、裏手にプロパンボンベ、庭先に柿の木を植え、屋内照明1灯と光ファイバー式門灯を組み込んでます。

【お寺の見える風景-2】
通常鑑賞方向の低目線では、本堂と鐘楼が山門の陰に隠れ屋根の一部が見えるだけです。 前述した階段を後2-3段はこれが背景ですが、角度による見え方まで設計するのは難しく、仕方のない事と考えてます。


ではまた。

採石場ホッパーの製作➐

【摂津鉄道採石場】・・・製作シリーズ表紙

採石場ホッパー製作に必要な部品納期が遅れ停滞、穴埋めに未公開写真使って製作プロセスでも紹介するかと記事作成した処、読者の興味を引いた様で好評に驚いてます。 お客様である読者ニーズを読めない様では、元マーケティングプロの腕も錆びついた様ですな。


◆木製柵の取付
完成し塗装した木製柵をホッパー本体に取付ます。

入口と前側に3mm材土台の木製柵を、残り2辺に2mm材土台の木製柵をボンドで接着固定しました、鑑賞方向奥側の方が万一砕石が薄い場合に下地が目立ち易いからこうしました。

木製柵土台内側に0.8t板紙2枚貼り重ねました。 砕石量を減らす上げ底であると共に、トロッコライン軌道を支える土台基礎にするからです。


◆吐出し口機構設計と部品入手難
次工程はホッパー吐出し口機構の設計・製作・取付、これで骨組側が完成するのでホッパー本体をスペーサで木製柵保護して両者接着固定の計画でした。 ところが地元模型店で発注した1.2mm/0.8mm真鍮パイプが大幅に遅れ納期不明、キャンセルに追い込まれました。

摂津鉄道作例の様に前面に長い開閉レバーが並び、押すと梃子の原理で吐出し口が開閉する機構とし、φ0.8真鍮線と把手部分に真鍮パイプを使って色を変える設計をしました。 通販で再発注しましたが、取り寄せ品で納期約1週間、身動きできない状況が続いてました。

【設計記事より転載】
素材調達問題が他にもあります。 以前地元模型店にあった0.8mm真鍮角線使用前提で設計しましたが、通販含め調達先発見できず、こちらは1mm真鍮線代用を決め調達しました。

【通販ページより】
トロッコラインはZゲージフレキで敷設と考えてましたが、部品調査してませんでした。 ついでに調べてみると 有るにはあるも何と道床付きです、これでは使えません。

【通販ページより】
救いの神はPECO、倉元駅用ポイント一式を英国ハットン社に発注する際に加える事にします、現在は超円安で最悪タイミング、¥120/$前後に戻ったらになりそうです。


◆吐出し口開閉レバーの製作
通販発注の真鍮パイプが届いたので採石場ホッパーの製作を再開します。

➊最初に0.8mm真鍮線から部材を切り出します。
➋40mm長12本を切り出しました。
➌真鍮線切るのに何使います?、ニッパーでは先が潰れます、金切鋸や糸鋸では刃が引っ掛かります、当社は大型カッター転がし押し切りです。
➍バリは出ませんが、軽くヤスリで先端を舐めて置きます。

➊0.8t板紙から18mm幅、22mm幅、36mm幅各1枚を切り出します。
➋36mm幅に砕石吐出し口開閉レバー位置をケガキました。
➌レバー交点下側に穴開けポンチで穴を空けました。
➍36mm幅の裏に18mm幅と22mm幅を並べて貼り付けます、組立治具を作ってます。

➊板紙2枚重ね位置決めを両端に貼りました、シュモクザメ型治具です。
➋長手方向上下に両面テープを貼り、40mm長真鍮線12本をケガキ位置に仮止めします。
➌ホッパー骨組み189mm長の0.8mm真鍮線を切り出します。
➎切り出した真鍮線を位置決めの間に挟んで仮置きします。

真鍮線交点をポンチ穴側から12ヶ所半田付けします。 眼が悪いので半田付確認に加え写真撮影して拡大確認を行い、半田量が多い場所はソルダーウィッグで吸い取ります。 ポンチ穴は半田コテ先逃げです。

➊半田付け終了後は入荷した1.2mm/0.8mm真鍮パイプ加工です、従来線街灯ポールに使用したサイズで、延伸線では1.0mm/0.6mmの細いタイプと双方を使い分ける予定です。
➋パイプ表面を♯400サンドペーパーで荒らしました、質感変化と塗料乗り改善目的です。
➌穴を0.9mmドリルで広げて0.8mm真鍮線に被せて把手にする設計ですが、0.8mmドリルでバリ取りしようとしたら入りません。
➍0.7mmドリルに替えて試すと多少の抵抗で根元まで入りました、公称内径0.8mmの実寸は約0.75mm、他の4本も精度が高く(苦笑)0.9mmに広げて被せるのはとても無理です。

それにしても困りました、把手付けないと次工程へ進めません。 入荷時に確認し把手部の真鍮線細く削る手もあったと考えても後の祭りです。 打開策を考えるしかありません。 極細の熱収縮チューブがないだろうかなどと悩む事1日、ある物が目に止りました。

➊コネクター使わず切って配線した残骸です、このビニール被覆使えないかの着想です。
➋外形計測すると1.2mmで真鍮パイプと同じです。
➌ワイヤーストリッパーで被覆を剥き0.8mmドリルで揉むと入ってきます、芯線穴径は0.6mm前後ですが弾力で伸びるのです。
➍ドリルを抜き0.8mm真鍮線で試すと、キツイですが入ります、広げながら入るので1.2mmが1.4mm程度になりますがヨシとします。

ビニール被覆を0.8mmドリルでほじっては騙し騙し0.8mm真鍮線1本1本の先から送り込み約3.5mmで切断、12本レバーの把手にしました。 フリクションで止まってますが、設置後に万一抜け落ちると修復不可能です、金属とビニールの固定、さてどうしたものか。

迷った挙句、被覆を押し込んだ真鍮線部に瞬着を垂らしました。 先まで進める予定でしたが思わぬ回り道、1ヶ月近く待った真鍮パイプが設計通りに使えない事態に遭遇、一寸先は闇で何が起こるか解らない、工作も人生みたいな物と思うしかありませんね。


ではまた。