Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

N車両消費電流を計る その3

N車両の消費電流を計る最終回です。


★小さな春Vol.1

枯れた芝の中にまだ緑にもなってない葉、気の早い芝桜が陽だまりに咲いてました。


2-6.緩急車消費電流
貨物列車最後尾緩急車の消費電流が不明なのでKATOヨ5000で計測しました。

ヨ5000白ステップ側はダミーカプラーで連結方向が決まってます。 従ってTL点灯片側と思ったら両側点灯仕様になっており室内灯/TLを分離計測できません。

計測結果は驚きの75mA!、小さな車体で室内灯+TL計29mAキハ52の2.5倍です。 一体何が違うのか調べます、ワフ29500を使います。

オリジナルはTLのみ、自作室内灯を組込み点灯化してます。

ダイオードブリッジを使わずLED2個構成の1個点灯回路で、設計消費電流は1.5mA/12Vです。 最初にディレクションスイッチを逆転し室内灯のみ点灯させます。

計測結果は1.6mA、設計値通りです。

ディレクションスイッチを正転し室内灯/TL点灯の計測結果は35.5mA、室内灯分を引くと33.9mA、キハ52TLの倍以上です。


要因として、水平面左右分配だけのキハ52TLに対し、緩急車TLはデッキ床下にテープ状導光シートを通し、妻面で上・後方と2回90度方向変換して出射されてます。 低い導光効率を補う為に消費電流が大きいと考えられます。

【『ワフ29500室内灯点灯化工作』より転載】
そう言えば思い出しました、ワフ29500TL光源は砲弾型LEDで車体中央部の筒に縦に実装されてました、つまり下⇒横⇒上⇒後ろと出射まで3回90度方向変換です。

【『ワフ29500室内灯点灯化工作』より転載】
ヨ5000に砲弾型LEDは無理、チップ横型LED2回90度方向変換と推定します、TLが明るいのは導光効率差だった様です。 ヨ5000/ワフ29500TL消費電流が同じと仮定すると、ヨ5000室内灯は75-35=40mAです、実際は方向転換が1回少ないヨ5000の方が少ない可能性があり50-60mAかもしれません。 LEDでこの電流は??白熱灯の可能性大です。


眼が現状では分解調査もままならず、回路部品解析は主題でないを言い訳にして、緩急車消費電流75mAとして先へ進めます。


3.常点灯消費電流計測
3-1.計測回路
電源電流容量検討には消費電流最大になる12Vだけ計測すれば良い?、それはその通りですが、過渡現象を含むと必ずしもそうとは言い切れません。 それがどんな意味か、特性理解を含め、1.5V常点灯消費電流計測から見ていきます。

12V消費電流はKATO Hyper Dを使い、本来12V PWMデューティー100%=12V DCで計測すべきところを14.5V PWMデューティー85-90%を使い10Ω抵抗電圧に変換して計測しました。 常点灯消費電流は本来の12V電源Hyper-Gで計測します。


3-2.PWMはLED車両照明を救う!?
タイトルに???となるでしょうね、復習を兼ねて以下解説をお読みください。

キハ52 1.5V常点灯です、12V計測結果は室内灯+HLで29.5mAでした。

1.5V消費電流計測結果は2.9mA、電圧12V⇒1.5V1/8で電流は1/10でした。 LED輝度は電流に比例するので明るさ1/10、12Vより2ランク暗くなってます。

次はテープLED室内灯オハフ33、12V計測結果は室内灯+TLで22.1mAでした。

1.5V計測結果は1.7mA、電圧12V⇒1.5V1/8で電流は1/13、12Vより2ランク+α暗くなってました。 これって結構スゴイ事なのです、直流電源使用時特性で解説します。

①モーター
モーターは電圧と電流が比例します。 低電圧側で走行しないのは慣性モーメントに打ち勝ってモーターが回転しないだけで、回転子コイルには電流が流れてます。
②LED
2.4Vで微点灯、3.0Vで完全点灯します、車両HL/TLがコレに相当します。
③LED+DB(ダイオードブリッジ)
3.6Vで微点灯、4.4Vで完全点灯します、純正LED室内灯がコレに相当します。
④テープLED+DB(ダイオードブリッジ)
8.4Vで微点灯、10.4Vで完全点灯します、自作テープLED室内灯がコレに相当します。 露太本線仕様は低損失ダイオード使用で7.6V微点灯、9.6V完全点灯です。


以上の様に直流駆動ではモーター回転開始前に点灯不能なLED車両照明を、PWMでモーター回転開始前に点灯させるのが常点灯です。 この図を見るとテープLED室内灯がPWM電源専用(DCでは超高速域しか点灯しない)だと良く解ります。


3-3.白熱灯はカメレオン!?
12Vで63mAのKATO室内灯を1.5Vで計測します。 電圧比例なら1/8で8mA、LEDの様に1/10-1/13なら白熱灯は5-6mA?、それが全く違うのです。

1.5V計測結果は13mA、うっすらと点灯してます。 白熱灯輝度は消費電流でなく電力に比例するので計算すると1/39、12Vより3ランク以上暗く常点灯実用外です。 この結果は白熱灯フィラメント抵抗値が電圧(実際は温度)により変化する事を意味します。

そこで常温非点灯で抵抗値計測すると15.3Ω、12Vの1/10未満です。 白熱灯は通電するとフィラメントが数千℃に赤熱して発光し抵抗値が増大します、つまり点灯の瞬間に10倍以上の突入電流が流れ、それが過渡現象として電源電流容量検討に関係します。 


なお、フィラメントが燃え尽き蒸発しないのは、管球内に不活性ガスで封じ込まれてるからで、白熱電球が寿命末期にピカッと光って玉切れするのは突入電流のなせる業です。
  
4.まとめ
N車両消費電流計測結果をまとめます。

最大電圧12V時の消費電流計測結果は上表の通りです。

白熱灯は温度により抵抗値が変化します。 点灯の瞬間に突入電流が流れるので、多数使用すると電源保護回路を動作させる可能性があります。


この計測結果を基に走行列車消費電流から電源仕様を検討します。


ではまた。

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