Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

半世紀前のTMS1967年3月号➋

TMS1968年3月号から巻頭グラフと製作記以外の記事紹介です。

【TMS1967年3月号表紙】


2.気になる広告
この号から気になる広告を4件拾ってみました。
2-1.TMS掲載記事募集
チョッと見た記憶がない広告が巻頭グラフの最後にありました。

『TMS執筆陣は読者出身のファンばかりです』の書き出しの原稿募集広告で、この時期TMSは掲載記事不足に悩んでいたのでしょうか?


2-2.マッハ模型
先月末に廃業したマッハ模型の広告です。

この号発売時は創業5年目、筆者は東京在住で遠い存在でした。 真鍮製キハ20のラッカー塗装を手押し殺虫剤噴霧器で行った経験があり、近くにあれば調色に苦労しなくて済んだのにと思った事を思い出しました。


創業60年での廃業、店主は2代目でしょうか?。 鉄道模型市場は多少大きくなっても完成品購入比率がグンと高まり、車両工作市場は衰退の一途、個人商店に等しい小資本で生き残るにはパイが小さかった様です。


2-3.KATO EF70
気になる広告3件目はKATO C50に続くNゲージ機関車EF70です。

初の発売電機としてEF61かEF70の選択肢があったと思います、コキ発売予告が載ってますし、20系ブルトレ発売予告もありその牽引機としてです。 EF61は直流電化区間の花形でしたが、派手な塗色と賑やかな屋上で見映えする事がEF70選択理由だったと思います。


完成品¥2,950は16番モデル約半額の価格設定です。 この時代からの物価上昇率は約7倍に対し現在価格がその半分弱に収まってるのは、メーカー努力もありますがNゲージが普及して販売数量が増え、金型等初期投資回収が容易になったのが大きな要因だと思います。


2-4.サンゴ模型店
最後は6/30更新同号➊で紹介したキハ05/キニ05の発売元です。

キハ05系エッジング窓抜き済の車体キット¥750、完成品も有り¥4,200と少し高目です。 キハ07とDD54準備中の予告があり、大手がやらない隙間を狙う自社製品ラインナップは現在NのM社と同じ戦略です。


3.新製品紹介
3-1.KATO EF70

広告主の製品でもユーザーの立場に立った辛口評価が定評だったTMSがEF70をどう評価してたのか興味を持ち記事を読みました。

『伝導式は両軸モーターから6軸中4軸を駆動、重量配分が良く今までの関水9mmゲージ動力車の中で最も好調な運転性能を示した』の好評価から始まります。 続いて『9mmゲージは16番とかなり違った構造を取る事が多いが、このEF70はそれが益々徹底してきた様である(中略)9mm独特の大胆かつ巧妙な設計に徹した所が多い』の記述があります。

文章だけ読むと感心して褒めてる様にも見えますが、論調には驚きと16番との違いに軽い反感を抱いてる響きがあります。 第一に挙げたのが両面電気メッキしたABS樹脂製床板、両軸モーターブラシを床板表裏に接触させ、リード線使わずに電源供給する方式です。

続いて『ライト用セレンは約8x8mm整流板を床板内側に当てて一端のみ接着し、その上面にライトのお尻がコイルスプリングで接触するだけである』とあります。 このEF70はHL点灯切替にダイオードでなくセレン整流器、HLはLEDでなく白熱球の時代の製品です。

16番F級電機で±各2輪の集電がRF70は各4輪になってるなど、構造上の特徴を淡々と解説してますが、『このサイズで良くここまでやった』とか『9mmゲージャーに広くお薦めする』的な記載は一切ありません。

一方でNスケールの弱点を『スカート幅は一応スケールにしてあるが実物と違い台車に付けてるのでカーブで首を振ってはみ出してしまう』とか『パンタは9mmの泣き所という感じが益々強いのである、屋上の碍子と高圧回路は大き過ぎるが仕方なかろう』の評価です。

KATOが工夫したHLカバー/導光兼用のウェイトも構造説明だけ、現在も継承されてる上/下回りパッチン止構造も『完成品を運転して楽しむのが9mmの本道だからこれで良いのかもしれないが、果たしてどんな物であろうか』と懐疑的、全体がこの論調で???でした。


3-2.京急デハ500
もう一つの製品紹介は1951年登場、1986年まで活躍した京急デハ500、2扉セミクロスシートの特急用に使用された車両の16番モデルです。

発売元は16番大手ではないピノチオ模型、記事によると前々年に筆者馴染みの東急5000系通称『青ガエル』を発売したとあります。

『現在発売されてる各社電車と同等の水準』と合格点評価し、側面窓保護棒をプレスでなく別部品にした事を褒めてます。 最後は『数少ない私鉄車輛モデルとして喜ばれるだろう』と締めくくられてます。


2製品紹介記事の違いからTMSは当時のNを次世代の主役と考えてなかった様です。 黎明期Nの車両品質が低かった事もありますが、鉄道模型の楽しみの主役は車両製作とTMSが考え、その楽しみが殆どないNを『普及するかどうか解らない鬼っ子』と見てた様です。


4.その他の記事
4-1.ED15とタンカー列車
この号は通算255号、タンカーは137号/143号掲載製作記、ED15は182号掲載エッジング板加工製作記に従って製作されたタンカー列車です。

銀色に輝くタキ2000を含めた5両のボギータンカーと最後尾にキット改造のヨ3500を従えた編成です。 牽引機をED16に替えれば昭和40年代の南武線/青梅線の雰囲気です。

ED15は全く馴染みがなく調べたら大正時代末に登場、筆者小学生時代に廃車になってたので無理もありません、国鉄(鉄道省)初の本線用電機で後に続くED16/EF13/EF53等の大型電機の基本となった形式です。

解説の様に粉末アルミナ運搬専用車で、貨車分類では企業所有の私有貨車だと思います。

タキ3000は当時の国鉄線を走るタンカー代表格で、その大部分が私有貨車でした。 混載貨物列車は発着駅毎編成なので、2-5両のタムやこの時代に登場した台枠なし中央タンク径を車両限界一杯まで拡大したタキ43000と手を繋いでる姿を見かけました。 当社にはタキ3000、タキ43000各1両が在籍し、混載貨物列車で2両ユニットで運用してます。


4-2.客車を楽しむ
TMS編集部中尾氏執筆のシリーズです・

タイトル『客車を楽しむ』の楽しむのは室内製作を楽しむの意味です。 最初はナハネ10、窓越しに見える室内が賑やかな夜間寝台使用時でのモデル化を選択してます。

第5図が実車から落した図面、仕切板が天井まであり室内照明均質さを出せないので、仕切板を窓上でカットし4個/両の白熱球を設置してます。

照明の都合で仕切板が窓上までなので3段式の上段を省略してます。 素材は厚紙と工作木材で、組立性の問題で仕切板と中段寝台はボディ側に接着固定されてます。 当時ナハ10やオハ35に使えるプラ製シートが安価に市販されており、筆者も2両分所有してました。

ボディ接着前に床板に並べて様子見してる状態です。 4個の室内灯は2ブロック毎仕切板の真上に位置して輝度均質化を図ってます。

16番で自作するしかなかった寝台車室内パーツが、現在のNは標準仕様です、この号から55年のNゲージ進化には驚くばかりです。


4-3.ひかりに続く車両たち
不定期連載シリーズ『ひかりに続く車両たち』3回目です。

上段167系は、153系ベースの修学旅行用電車155系、増備車159系の後継165系ベースの修学旅行用ですが、新幹線の団体割引運賃開始で活躍機会はわずかでした。 中段ED93は試作機、中間台車のある6軸ED機、ましてや試作機は全く解りません。


下段はクモハ103、旧型国電73系までクモハは当り前でしたが、新型国鉄電車80系以降先頭車はクハの時代が101系まで長く続きました。 中央線/京浜東北線103系投入時に、4M3T基本編成+クモハ103含むMMTで10連化されました。 103系MMT2ユニット6連のハイキング号が高尾-相模湖間に休日運転されており、何度か利用した事があります。


ではまた。

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