Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

電源電流容量について考える その2

前回の続き、市販電源電流容量不足原因になるその他の要因の技術解説とまとめです。


2-4.KATO電源はポイント切替独立
KATOポイント切替は短時間ソレノイド通電方式で、消費電流は以下の通りです。
通常ポイント:ソレノイド1個、約0.6A
片渡り線:  ソレノイド2個、約1.1A
両渡り線:  ソレノイド4個、約2.0A
通電時間1/15~1/20秒は保護回路動作に十分長い時間で、ポイント切替が走行系電流容量を圧迫しない様に双方独立のシングルタスク設計になってます。 従ってスタンダードSX 1.2AでLED室内灯2M12連、白熱灯室内灯2M9連の運転可能です。 『その1』で解説した様に10mA/両に輝度最適化テープLED室内灯なら3M15連でも1.08AでOKです。

【『KATOスタンダードSX露太本線スペシャル』より転載】
シングルタスク設計の証拠を示します。 スタンダードSXポイント切替端子でKATO両渡り線切替可能でした、消費電流は2.0Aです、もちろん保護回路は動作しません。


この実験は社外品12V/3Aアダプタですが、純正アダプタでも切替可能です、KATO電源は『ポイント切替端子は全ての自社ポイント切替可能な事』という至極当然な社内規格に基づいて設計されてると推定されるからです。 その根拠は・・・。

【KATO旧型0.5A電源、最大出力14.5V】
『ポイント切替電気講座』の際『がおう☆』さんに実験を依頼し、この電源でPecoポイント切替可能でした、それより消費電流が少ないKATO両渡り線も当然切替可能です。
KATO両渡り線:ソレノイド抵抗5.1Ω(4個並列)、切替最低必要電流1.5A
Pecoポイント:ソレノイド抵抗4.8Ω(1個)、切替最低必要電流2.5A


以上の実験データからKATO電源電流容量不足は、白熱灯室内灯使用長大編成を除き発生しないと考えます。 万一発生時にはハイパーDX 2Aがあります、高価ですが。


2-5.TOMIXはまとめていくら
拙ブログで度々指摘した様に、KATO電源は工業製品信頼性基準で設計されてますが、TOMIX電源は玩具信頼性基準で設計されてます、要点をまとめると。

【『TOMIXサイドコネクターポイント切替波形
絶対的な切替パワー不足・・・電気設計問題点
動作マージンが非常に小さく、サイドコネクター装着可能なポイントスイッチN-Wは別売ハイパーポイント電源を買わないと動作しない、ポイント切替コード延長時も同じ。

【『TOMIX電気設計の検証 その3』より転載】
不安定な切替力・・・機構設計問題点
大型で重いスライダーを回転モーメントが発生する離れた動作点操作の構造に加え、完全選択式スイッチ切替擦動抵抗により切替力が変化する、ゴミ・ホコリ影響も大きい。


電源電流容量についても玩具信頼性基準で設計されてます。 TOMIXポイント切替最低必要電流は1.1Aです、KATOの様に走行系と独立させない限り1.2A容量では運転できないのでコンデンサ切替方式を採用してます、それ以外手段がありません。 では走行系電源電流容量を圧迫するコンデンサ充電電流の影響はどうか検証します。

【当社N-1001-CL計測結果】・・・横軸50msec/目盛
ポイント切替電圧が内部回路ロスで10.8Vに落ちてます。 充電抵抗15Ωなのでポイント切替完了・充電開始時電流は0.72Aです、もし保護回路が瞬時応答なら1.3-0.72=0.58Aの走行系電流で保護回路が動作し赤PL点灯、リセット必要になります。


充電電流は1/100秒後0.62A、1/40秒後0.49A、1/20秒後0.34A、1/10秒後0.17Aと急速減少します。 筆者なら応答速度150msec、充電電流影響0.1A未満に設計するなんて考えながら、保護回路応答速度計測しないと正確な影響解らない事に気付きました。 あ~あ、そんな面倒なと思っても後の祭り、いい加減な情報を公開する訳にいきません。

【当社N-1001-CL計測結果】・・・横軸50msec/目盛
計測実験と画像作成に数時間、読めば10秒(愚痴です)結果が出ました。 電源出力と赤PL端子双方の出力ショート時応答特性です。 矢印コブ部ショート後45msecでラッチ回路が動作してます。 あ~あやっぱり設計センス悪い!、150msecにするの簡単だし45msecと部品ダメージ大きく変わらないと思いますけどね、TOMIXさん。

【コンデンサ充電で電流容量30%消費】
計測結果からサイドコネクターでポイント切替する場合は充電電流0.37Aにより電流容量1.2Aが0.83Aに減少する事が解りました、保護回路は0.93Aで動作します。 しかしまあ今に始まった事ではないですが、TOMIX電気設計の拙さには驚かされっぱなしです。
[註]1.0A定格のN-600は0.63Aに減少します。


3.電流容量不足が発生するケース
3-1.純正7連セット
これで電流容量不足で保護回路動作したら詐欺です。

純正白熱灯室内灯装着で0.75A、セーフ(N-600はアウト)です。 最大速度運転機会が多い新幹線は1M8連が限度です。 9V前後で運転する在来線車両は消費電流3/4になりますが、速度調整ダイヤルMaxで保護回路が動作するのは、やはり拙いと思います。


3-2.トワイライトExp.は何両まで?
両社から発売されてますがTOMIX限定EF81+10両セットで検証します。

北海道内DD51重連牽引は電源車入れて客車4両まで、これじゃ全くサマになりません、純正LED室内灯を使って8両で上限の830mA、10両は880mAの危険ゾーンです。


一方セットEF81単機牽引はLED室内灯なら問題ありませんが、白熱灯室内灯は870mAで危険ゾーン、客車1両減らさなくてはセーフになりません。


3-3.重連や2Mは無理?
では重連や2Mの長編成は無理なのか考えてみました、すると。

KATO製12連は798mAで運転可能です、TOMIXは920mAでアウト8連Maxです、純正LED室内灯消費電流がKATO-14mA、TOMIX-25mAと違うのでこんな事が起こります。


3-4.『その1』検討編成の検証と容量不足対応策
本シリーズその1で検討した編成がとうなるか見ましょう。

共に電流容量不足でポイント切替時に保護回路が動作します。 回避手段はポイント切替専用電源を別に用意するしかありません。 でも筆者ならTOMIX電源は買いません。

異形状コネクタの電気接続は無理って言う方にはお薦めできませんがKATOスタンダードSXのポイント切替端子を使います、何故ならメリットが多くあるからです。
ポイント切替出力電圧が高く短時間ソレノイド通電方式なので、切替パワーが上昇し切替信頼性が格段に向上する。
TOMIX電源で使えないTOMIXポイントスイッチN-W(両渡り線・連動用)がハイパーポイント電源なしで直接駆動できる。


機構設計問題を抱えるTOMIXポイント切替に、KATO電源ポイント切替出力が最適なんて皮肉な話ですが本当です。 レールや車両メーカーに係らず使える万能電源スタンダードSXに筆者が太鼓判押した理由です。


4.まとめ
結論1:
N用電源電流容量はLED室内灯を使用すれば1.2Aで十分である。 3M15連対応可能なる事、及び電流容量余裕拡大の為、輝度最適化テープLED室内灯採用を推奨します。
結論2:
TOMIX電源サイドコネクターポイント切替使用時は、電流容量1.2Aが0.83Aに減少し容量不足問題が発生し易くなる。 TCS端子接続機器使用時は、更に電流容量が減少する。


★アララどうしたの?
例の件は無視を決め込みましたが異変が起きました。

【3月23日10:30 レイアウト製作注目記事ランキング】・・・これでもなお不自然
3日72時間なんて当り前、4日目だって1位独走だったとある某ブログ更新が3位、拙更新が1位になってました。 拙関連更新に多数コメント頂戴しましたし、鉄道模型NゲージManicさんが本件関連更新で注目集められた様です。 当然管理人さんの目にも触れてるハズで、自粛されたのかな?(爆)


ではまた。

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