半世紀前のTMS 1966年11月号
この号からは下記記事を既に紹介しており、残り記事の紹介です。
◆線路の立体交差
◆エコーヒルライン
【TMS 1966年11月号表紙】
表紙写真はエコーヒルラインです。 高校生が三代目レイアウトとして屋根裏部屋に製作した米国スタイルの鉄道でした。 記事中に出てきた米国型蒸機の牽く列車なら似合うのですが、断崖絶壁岩山の素掘りトンネルから出てきたのは、何故かキハ02です。
1.作品グラフ&製作記から
1-1. キユ25
表紙の下に『キユ25の作り方』と書いてあります。 この記事はTMSが真鍮板工作初心者の為に、基本から懇切丁寧に2号に渡り詳細解説しており、執筆者は編集部片野氏です。
その題材として選ばれたのが実車が4両しかなかったキユ25で、不規則な側面窓配列と正面が適度に丸みを帯びたキハ58系がら選ばれた様です。
車体製作も駆動系もオーソドックスな当時の標準技法で製作されており、通常の工作記では『TMS誌上に公開された記事を参考に』と軽く流してる部分を、詳細解説してます。
市販パーツを極力活用し、少しでも易しくと言うよりは、『これなら自分にもできるかもしれない』と思わせる事を主眼に置いた、初めての金属車両製作記事になってます。
製作記は前編のこの号だけで8ページ費やしており、金属車両製作の教科書にしようというTMSの意思が伝わってきます。
パーツリストが掲載されてます、カワイ製が多く、天賞堂や鉄道模型社製も使ってます。 各種真鍮素材をカワイが販売してたと解ります。
キユ25は国鉄線を走りましたが郵政省所有車両でした、運転士を除く乗務員も郵政省職員で、運輸省管轄下の国鉄と所属組合が異なり、キユ25は新製時から冷房付きでした。 同じ公務員なのに何で作業環境に差があるのだと、国鉄職員から苦情が出てました。
Nの金属車両製作をする人はまず居ないと思いますが、16番やHOn2 1/2には参考情報になるので、ザッと紹介します。
正に手取り足取りで、0.3t真鍮板製車体の屋根曲げ部を、ヤスリを研いだ刃先で曲げ易い様に薄く削る技法があるとは知りませんでした。
窓抜き下穴位置にも指定があります。
抜いた窓のヤスリ仕上げ注意点やバリの処理まで解説されてます。 屋根曲げラインに近い窓穴は、曲げ加工時の歪み防止の為、後加工します。
正面妻板は木型を作り叩き出し整形が一般技法だったと思いますが、ここでは木型を使わず、原寸図面に合わせて整形する方法です。
正面妻板が完成しました。 この後18工程まで工程毎写真付きの詳細な解説が続きます。
1-2. 明治の豪華客車
明治期に米国から輸入された豪華客車のモデル化です。
木造ダブルルーフの3軸ボギー客車で、全長は20m弱です。
展望車、寝台車、食堂車、一等車、二等車の5両編成で、本文の製作記は割愛します。
2.9600製作記
9600自作蒸機の製作記です。
作者は度々TMS誌上に自作車輛を発表してたK氏です。 当時出来の良い9600が天賞堂から発売されてましたが、高価であり、自作にこだわったのは、作る事が好きなのか、経済的事由なのか解りませんが、『私の9600』のタイトルに気持ちが表れてる様です。
手堅い工作で秀作と言える出来栄えで、通常なら作品グラフ巻頭を飾ってもおかしくないのですが、何故か製作記だけです。
13mmゲージャーなら自作もアリですが16番、天賞堂製と比較される運命にあります、負けない自信があるから自作するのでしょうね。
通常の蒸機モデルは棒型モーターを使い、お尻がキャブ内に飛び出して横から見えます。 それを嫌うとテンダーにモーターを搭載し、キャブとテンダー間にジョイントが見えてしまいます。 この作例ではモーターを改造してキャブ内に収めてます。 どの様な改造したか興味がありますが、記事中に記載がありませんでした。
この当時9600はまだ数百両が現役でしたが、入換機を別にしてほとんどがデフ装着してました。 しかしモデル化された9600のデフ付きは見た記憶がありません。 9600にデフを装着すると『大正生まれの老兵』の美しさがスポイルされると誰もが考えてた証です。
ではまた。





















