Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

露太本線のコントロールパネルについて

拙ブログ説明文に「運転よりシナリー重視コンセプトで」と書きましたが、運転を軽視している訳ではありません。 路線長・最大編成数・同時運転列車数に対して、風景再現の比重を少し多くしただけです。 露太本線の電源設計に際して感じた事、及び最終仕様について紹介します。
1.現状調査で感じた事・解った事
①最高速度が早過ぎる
試験運転用に購入したKATOパイパーDで、キハ58M車を最高速にすると猛烈なスピードで走行しました、実測換算で約270km/hです。 昭和の風景再現を重視するレイアウトを、100km/hの車両が新幹線速度で走行するのは不自然です。
②換算速度と感覚速度は違う
そこで実測換算100km/hに調整して眺めると、60-70km/hのスピード感しかありません。 一方で、撮影した動画は100km/hのスピード感がありました。 どうやら、走行車両の感覚速度は列車との距離によって変化するようです。(常識でしたらご容赦!、鉄道模型浦島太郎の感想です) 疾走感を重視する使用者要望や大運転会など離れて見る使用条件を含めると、市販走行電源仕様が何故こうなっているのか理解できました。
③DCCは時代の流れ
カムバックして初めてDCCを知りました。複雑な線路配置での3列車以上運転や、モジュールを繋ぐ運転会などでは、画期的なシステムであり他に解はないと思いました。


2.露太本線の走行電源
露太本線は単線エンドレス1本で2列車同時運転しか想定していないので、DCCはオーバースペックだと感じました。 また、運転操作満足感の面でも疑問がありました、アナログにはアナログの良さと温もりがあります。 そして決定要因になったのがコレです。

20年前に御座敷運転用に製作した自作パワーユニットです、何の問題もなく動作してくれました。 B5サイズユニバーサル基板に、実感的運転可能な市販電源2台分の機能を盛り込んであります。(筆者は元電子回路設計技術者) 基本設計は12V駆動ですが、最高速度を下げ、ポイント操作時の影響除去の為、9V電源に変更して組み込みました。 走行専用別電源と書くと大仰ですが9V/2A、通販で¥1,000のACアダプターです。 

操作スイッチパネル類を新規製作したコントロールパネルです。 狭いスペースなので、小型縦型にしてあります。

コントロールパネル右端と左から2番目が走行コントローラです。 マスコンは3ポジションで加速度が異なり、最高速はポジション2は3の88%、1は76%にしてあります。 OFFは惰行モード、定速ではなく、ゆっくり速度が低下します。 中央が前後進切替スイッチ、右側がブレーキです。 当初ブレーキ操作が難しく停止位置目標で止めるのが非常に困難でした。 フルブレーキを瞬時停止から0.3-0.4秒で停止する仕様に変更したところ、操作性がかなり改善しました。(ご注意:筆者に市販電源改造をそそのかす意図は全くございません) 中央上のパネルは速度計をイメージしたデジタルマルチメータ(通販で¥1,000)です。 出力電圧を分圧し200mVフルスケール表示が、0-200km/hに見えるようにしてあります。 右上のDC/SLスイッチは、車両によりギア比が異なり、蒸機の速度差を補正表示する為に設置しました。 ポジション3の最高速度は、一般車両130km/h、蒸機100km/h、実測換算でそれぞれ170km/h、130km/hです。 実際の運転ではポジション1の最高速、速度計表示が実車に近く、実測換算1.3倍の範囲内で走行させています。

左右走行コントローラの間にポイント・信号機スイッチに挟まれているのがフィーダーセレクタです。 露太本線は各列車交換施設間の本線3、駅構内線6(生野3、中山平2、笠松1)、機関庫の10電気ブロックに分割されています。 本線区間は長いので複数フィーダー給電をしています。 パネル上のトグルスイッチで、本線ブロックは左右いずれか(2P)、他ブロックは左右または中立(3P)の選択を行い2列車の運転制御を行います。 このパネルは夜間運転用のバックライトを備えています。 しかし・・・、中山平をポイント切替フリーにしてなお、1人2列車運転は難しいです。 同方向運転で数周に1回待避は可能ですが、逆方向運転で列車交換となるとスイッチ操作に忙殺され、運転を楽しむ余裕はありません。 2人で各1列車運転が現実的な運用のようです。

左端が照明コントローラです。 手持ちの12V/6A電源をポイント・信号機切替、交通信号機・トンネル照明など常時点灯照明、夜間照明の3系統で使用しています。 照明を順次増設する都合上、アナログ5A電流計(これも通販で¥1,000)を設置しています。 夜間照明は大昔の16番パワーパック速度調整用レオスタットを用い、上部のエリア分割スイッチを介し給電しています。 レオスタット使用目的は輝度調整よりむしろ、突入電流防止による照明長寿命化です。 今回は電気の話だけになってしまいました。


ではまた。

露太本線中山平散歩後編

中山平散歩の続きです。

製材所から踏切を渡ると、笠松信号所へ通じる上り坂にかかります。 ジオコレ貨物ホームセットの農業倉庫をここに配置しました。 お隣は当時すでに急激に減少していたわらぶき農家です。 トミックス製を購入しましたが予想通りのツルテカ、古ぼけて手入れも行き届かない様子にしたかったので、かなり手を加えました。 ケバ立ち草が生えた屋根、ヒビ割れ汚れた壁や建具、臼や洗い張り板を置き、郵便受け・プロパンボンベ・縁側隅の新聞束など小物を配置しました。 庭に花と柿の木を植え、生垣を加えてようやく周囲の風景に溶け込んでくれました。

街灯もない農道なので、夜になると建物から漏れ出る灯り以外ない真っ暗な道になります。 障子が空いた状態で室内が見えるので、畳を敷き壁に箪笥状の物を置きました。

中山平駅前から南側の様子です。 駐在所の隣から、KATOの大衆食堂、ジオコレの病院とよろずやが並んでいます。 ジオコレの生け垣はフォーリッジを貼り付けてリアリティ向上を図りました。

夜景はこんな感じです。 病院門燈と消防団詰所は光ファイバー点灯ですが、拡散させても照明効果はほとんどありません、灯りがあるべきところが光っているだけの状態です。

中山平南側は駅舎側ホーム終端部付近で屋並みが途絶え、よろずや前でS字状に曲がって線路脇へ沿い、先へ伸びています。


前編で紹介した郵便局手前空地カメラ台から撮影した動画をアップしました。
Nゲージレイアウト国鉄露太本線06「中山平の列車交換」


【動画のシナリオ】
夕暮れ時、中山平駅で下り貨物列車が対向列車を待っています。
遠くのカーブから上り普通列車が夕陽をあびて現れ、速度を落とし中山平駅へ到着します。
短い客扱い時間にタブレット授受を行い、普通列車は発車します。
その少し後、出発信号機が変わり、貨物列車は発車し遠くのカーブへ消えて行きます。


ではまた。

露太本線中山平散歩

新年明けましておめでとうございます。 今年も露太本線を紹介しながら、感じた事などを綴って参りますので、よろしくお願い致します。 最初に、半世紀前の国鉄ローカル駅の思い出を少々。 土埃が立つ未舗装路を歩き、小さな駅の待合室で列車を待っていると、色々な音が聞こえました。 初夏の夜は対向ホーム裏の水田からカエルの大合唱が、夏は蝉の鳴き声が幾重にも重なって聞こえ、一層周囲の静かさを際立たせていました。 駅務室からチンチンと鉄道電話が鳴る音、「○○レ閉塞」などと隣駅と連絡を取り合う職員の声、ガッシャンと閉塞機から通票を取り出す音、梃子小屋からガタンというポイント・信号機の操作音も伝わってきました。 やがて改札掛が現れて「只今から何時何分発上り△△行きの改札を行います」と待合室に声を掛け、数人の乗客が改札口へ向かいました。 この様なローカル駅はその後、貨物扱い停止・集中制御化を経て無人化され、現在ではポイントを撤去され、対向ホーム跡が草に埋れている駅も少なくありません。 中山平は旧国鉄ローカル駅の、当時の雰囲気再現がテーマです。

時間が止まった様にのんびりした昼下がりの中山平駅前、北側線路沿いの風景です。 小さな駅ですが駅前周辺にポツポツと建物が並んでいます。 ジオコレ中心に好みに合うストラクチャを選択しています。 ウェザリングと遮光・照明組み込み、せいぜい小物追加程度です。 建設ストラクチャ数が膨大なので、個々の品質アップより集団としての雰囲気醸成優先と言い訳けしています。 タクシー会社は国際交通というネーミングのアンバランスさが面白く、そのまま使いました。 当時の未舗装路の様に、微妙に曲がり、傾斜し、雨が降れば水溜まりができる凸凹感を狙っています。

貨物エリアの先、中山平郵便局手前に売地の空地があります。 ここは駅進入通過列車撮影用のカメラ台設置場所になっています。 固定式レイアウトで実感的な低視線画像を撮影するには、予めカメラ設置位置、画角、風景を確認して建設を進めなければなりません。 天井高が低い露太本線では特に重要なポイントで、これもその工夫の一つです。

郵便局・床屋・民家の夕景です、照明光の色、強弱を意図的に変えています。

通りの突き当りはジオコレの製材所です。 フォークリフトを配置したいと通販で入手したところ、大型ダンプ並みのサイズにビックリしました。 ダメ元覚悟で分解していじりまわしたら、離れれば何とか見られる物ができました。

ビフォア・アフターです。 レイアウト建設開始時の可能な限り市販品利用で自作回避の方針から、不器用なりにやれば何とかなるを経て、自作でオリジナルは面白いかも?への転機になった工作でした。

夜景はこんな感じ、事務所、倉庫、渡し屋根の作業場に照明を組み込んであります。


ではまた。