Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

給水塔 塗装と部品製作➊

温かい気候待ちになってた給水塔足場塗装を行い、先に進めてます。

【生野駅給水塔】


◆足場塗装
塗装したのは予想最高気温10度、しかも乾燥注意報が出た日です。

筆で水洗いし乾燥させて30mmキューブ材に仮固定して準備完了、春の陽射しと白色で露出オーバーになってしまいました。

塗色に選んだのはコレ、給水塔土台より少し明るい同系色、TS-66呉海軍工廠色です。

スプレーを吹きました、複雑形状で様々の角度から吹かないと塗り残しが出るので、少し厚化粧になるのは仕方ありません。 色を塗ると建造物としての一体感が出てきます。

ウェザリング完了状態です、駅構内はアスファルト舗装などされてなく、作業靴でズカズカ歩く場所なので土汚れを意識したウェザリングです。 当初の設計ではここで給水塔土台に固定でしたが、工程変更して一旦ここでストップし他の給水塔部品加工を先に行います。


◆タンク本体塗装
タンク本体塗色は、本記事表紙写真生野駅設置のKATO給水タンクと同じダークグリーンに決めました、屋根茶系と相性が良さそうだからです。

10数年使用した掃除機接手部品を使うのでかなり汚れてます。 汚れ落としと表面梨地化して塗料食い付きを良くすると共にテカリ消しの目的で♯600サンドペーパーで磨きました。 その後水洗いし良く乾かします。 当初計画でなしだったタンク底を作る事にしました。

➊0.8t板紙にタンク底をガイドにケガキました。
➋ケガキ線のすぐ外側をハサミで切り出します。
➌中心に径3mmの穴空けポンチで送水管支持穴を空けます、屋根ベースに送水管取り付けるアイディア廃止、パイプ材使う必要がなくなります。
➍タンク内側にピタリ嵌るサイズなので瞬着固定しました。

塗るのはコレ、AS-17ダークグリーンです。 ダークグレイの土台と茶系の屋根、絵画センスが有れば仕上がりイメージできて良いのですが生憎と・・・で、出たとこ勝負です。

嫁さんが塗料溶剤匂いに超敏感なので、いつもの様に青空塗装ブースにセットしました。

サッと吹いて塗装完了、乾燥注意報発令中の野外で乾燥させます。

乾いた処で様子見、ウーム目立ち過ぎてはいけないタンク本体はこんな物、でも屋根の色が明る過ぎる様な、ウェザリングで調整としました。


◆送水管と給水口
この給水タンクには入口が一つ出口が二つあります。 水道水や地下水をポンプで加圧してタンク上部から注水する給水管と、タンク底からスポートへの送水管、そしてタンク前給水時に使う給水口です。 給水口には蛇口に相当するバルブと給水ホースが付属します。

当社ジャンクボックスAです、もう一箱あります。 未使用・使い掛け・使い終りを問わずランナーを保存してます、貴重な素材だからです。 例えば当初屋根土台タミヤセメントキャップハケ突起かに外径3mmパイプで製作予定だった送水管の素材に使います。

素性が解るアングルです、2組購入改造で生野駅跨線橋を製作したGMキットランナーが径と色が良いので送水管素材に選びました。

ランナー水平面の小さなバリを削り取りサンドペーパーで仕上げてから切り出しました。 長さはタンクに届けばOK、φ2.9mmになりました。

セットして見ました、馴染んでるので塗装不要かも、給水管と給水口部品製作してから決めます、塗装するにしてもニュートラルグレイですね。

次に給水口素材を探します。 ありました、ジオコレ駅前セットパーツのランナー、中山平駅舎の使用キットです、使うのは左上部です。

拡大すると水平面バリが良く解ります、このランナーはφ2.5mmです。 仕上げ後黄ラインでカットしタンク下部に挿入接着し、赤ラインでカットし給水ホースを付けます。 キモは赤ライン上部の突起、ここが給水バルブの想定でハンドル付けるのに都合が良いのです。

前写真で給水バルブ部突起横形状が荒れてるのとハンドル取付方向を逆にしたい理由ができ反対側を加工しました。 作業はLED照明付き拡大鏡ですが写真はボケるので実写、バリが取れてる様子が良く解ります。

仕上がり寸法はφ2.4mm、タンク本体に2.5mmドリルで穴を空け押し込む形になります。 塗装してからカット、取付の段取りです。 今回はここまで、目がショボショボします。


ではまた。

湖南電源 戦い済んで・・・

前回までで湖南電源検収試験の要改善項目全てを解決できました。

【小川を渡る急行】
結果から見れば大きな回り道をした訳ですが、何が起きてて何故こうなったか、設計者として理解し自分を納得させる為に考察しました。


6.電源製作のレビューと考察
6-1.安全性保証回路
新安全性保証回路完成後に実施したショート試験の結果をまとめます。

ショートしたらすぐ動作して欲しい安全性保証回路が中々動作しない。 動作するのはポリスイッチトリップ時と、ピークホールドコンパレータ方式パッチ回路搭載時だけでした。 動作時の共通項はラッチ回路オフトランジスタを一定時間以上オフし続ける事です。

【過去記事より転載】
つまり両CH設置のTR93/TR94はポリスイッチトリップ時だけ本来の役割を果たしますが、パルス幅が狭い場合はパルス期間だけTR92をオフする事ができても、TR91のTofにより再度オンして動作してませんでした。

【駅出口付近の点景】
この形式のラッチ回路を狭いパルスでオフするのは難しいと思い知らされました。 諸悪の根源Toffは一体どのくらいか? 3本のプローブで/外部トリガーしないと難しい計測ですが、犯人の顔見たくて計測しました。

マニュアルトリガーで30回ほどトライし捕まえました。 TR92がオフしてからTR91がオフするまで30μsecでした。 3万分の1秒ですから一瞬ですが、回路動作的には結構長い時間、PWM周期が40-50μsecなので数μsecの常点灯パルスで動作するハズありません。


ラッチ回路(TR91コレクタ)オフした後にTR92ベースが0.6Vまで上昇してます、再度オンしかねない電圧です。 これはラッチ回路オフと同時にパッチ回路コンパレータもオフし、ラッチ回路オフする仕事を止めてしまうからで、実動作OKでも波形はまだ不安定です。

【過去記事より転載】
現在の安全性保証回路は3代目、ピークホールドコンパレータ方式パッチ回路付きは3.5代目です。 初めてラッチ回路使った初代は全く動作せず、ラッチ回路オフに22msec、3代目の700倍の時間が掛かってました。

【過去記事より転載】
電源ラインノイズ除去に設置したアルミ電解コンデンサ充電がラッチ回路オフを妨げてたのが原因で、ショットキーダイオード追加の2代目になりました。 損失増加覚悟で金属皮膜抵抗を採用し、ショート時にTR93/TR94が確実にオンする様に改修しました。

【過去記事より転載】
2代目ラッチ回路応答時間は0.4msecに改善され、中高電圧で動作する様になりましたが不安定、結局金属皮膜抵抗をポリスイッチに戻し改善、2.5代目になりました。 ショート期間のみラッチ回路オフTRオンする金属皮膜抵抗より、トリップして一定時間状態保持するポリスイッチが良かった理由が、今にして正しく理解できました、遅いですが・・・。

【跨線橋を潜って 昼】
この2.5代目を『gaou』さんへ送品して検収試験落第返送、Hyper-G高速動作が原因のヒゲ問題も発覚し大いに悩まされした、電源製作で一番凹み逃げ出したい気分の時期でした。 ヒゲ対策と損失低減、安全性保証回路動作確実性向上を目的に3代目に移行しました。

【過去記事より転載】
2代目から2.5代目への性能改善検討過程で電圧比較ピークホールド方式構想がありましたが、設計全面変更の踏ん切りが付かず見送りました。 この構想が今回のパッチ回路になった訳で、それでヨシとするしかありません。 やっと長いトンネル抜けられました。


6-2.1CH Hyper-Gは?
2CH欲張り安全性保証回路追加したから泥沼に嵌ったと考えてましたが違う様です。 湖南電源は走行出力だけ、Hyper-Gは全回路まとめて1.3Aポリスイッチなので動作点は低い可能性ありますが、1V以下では動作しないと思います、常点灯域評価の記憶がありません。

【跨線橋を潜って 夜】
つまり、安全性保証回路追加が泥沼でなく、慣れないラッチ回路使いこなしの泥沼で、3代目でポリスイッチ1個のHyper-Gと同等になったと考えるのが正しい理解だと思います。 Hyper-Gは出力トランジスタ焼損する事はありませんし、ショート検出と保護回路動作感度はN-1001-CLとほぼ同等(少し劣る)なので、自作電源性能としては十分だと思います。


6-3.好奇心満足目的の追加試験
パッチ回路追加で目標仕様達成したのでこのまま送品すべきです。 ポリスイッチトリップ時しか動作しないTR93/TR94は不要ですが外しません、二重安全回路で外すメリットないからです。 でもどうしても確認したい事があります。 パッチ回路付ければ損失になってるショットキーダイオードを外せないかです、約0.2Vですが確実な効果があります。

このバカデカイ部品のリード線をワニ口ジャンパーで接続するだけで簡単に試験できます。 電源ラインアルミ電解コンデンサ放電時間は部品変更で1/20になってますし、コンパレータ電圧か下がりオフするまでピークホールド回路は動作し続けるから不要と考えた訳です。 結果は惨敗、蒸機常点灯上限電圧0.6Vで動作せず、2倍の1.2Vでも動作しませんでした。

試験結果は期待に反しましたが、無駄なステップではなかった証明になっただけでヨシとします。 となるともう一つ試験したくなりました。

現状湖南電源はラッチ回路オフと同時にコンパレータオフですが、電源変えるとラッチ回路オフ後も一定時間コンパレータオンしてダメ押しします。 ラッチ回路オフ時過渡応答にはバタつきがあり、この変更で安全性保証回路動作安定性が上がればやるべきだからです。

パッチ回路電源線接続をショトキーダイオード先に変更しました。 ショート試験結果は0.40Vで動作せず、0.45Vで5/5動作で変更前と同じです。

Toffを計測すると30μsecで同じ、ラッチ回路オフ後TR92ベース電圧上昇が消えてます。 回路系アルミ電解コンデンサ充電でパッチ回路コンパレータがオンし続けてるからです。 高安定度のこの回路採用します。 この試験は筆者将来計画の基礎データになります、その話はまた別途、今は出荷準備して送品し『gzou』さんとの約束を果たすのが優先です。


ではまた。

湖南電源 出た!逆転サヨナラHR

やりましたやりました、ついに最後まで残った安全性保証回路動作を100%満足する形で解決し、湖南電源完成送品の目途が立ちました。

【小川を渡る急行】


5-4.パッチ回路の改修
前回詳細な波形観察により、過電流検出パルス幅が狭いとラッチ回路を一旦オフしても長いToffで再度オンし保護回路が動作してない実態が解りました。 長期間悩まされ続けてきた現象の犯人に突然出逢った様に感じました。 犯人が解れば解決法も見えてきます。

回路系GNDは正常時0.4V以下、ショート時0.8Vと明確な差があります。 0.8Vの時間不足で保護回路動作しないなら長くすれば良い、回路系GND最高電圧を保持するピークホールド回路追加すればどうかと考えました、とは言えここまで連戦連敗で自信はありません。

赤点線部がピークホールド回路、回路系GNDピーク電圧をショットキーダイオードを通してコンデンサに充電し、回路系GND電圧が下がってもピーク電圧を保持し、コンパレータをオンし続ける動作をします。 並列100kΩは保護回路動作に十分長く、リセット操作感的に短い時間で充電を抜く放電抵抗で、コンパレータ端子抵抗数MΩで問題なければ不要です。

【映画館裏の空地】
ショートした最初のパルスでは充電電流が大きく回路系GND0.8Vの場合0.5V程度しか充電されませんが、パルス毎に充電電流が減ると共に順電圧が低下し、最終的に約0.7Vまで充電されます。 その動作からチャージポンプと呼ばれてます。 比較電圧が現状0.58Vでは感度が悪いので、ショットキーダイオード順電圧損失に合わせで基準電圧を下げます。

1N4148をショットキーダイオードに替える方法もありますが、正常動作時の誤動作が怖いので33kΩを100kΩに変更し約0.05V下げるに留めます。 ピークホールド回路追加するとジョイント通過時ノイズ等1万分の1秒で保護回路が動作してしまう可能性があるからです。

0.58Vが0.51Vに下がりました、可能なら0.45V程度にしたかったのですがヨシとします。

赤字部分が変更及び追加回路、コンデンサ並列抵抗は必要性確認後コンデンサに裏付け予定でしたが、最終的に不要で追加は4部品で済みました。


5-5.改修回路の評価
蒸機常点灯上限電圧0.58Vに調整して試験開始、この電圧での確実動作が目標だからです。 結果は百発百中で保護回路が動作しました。

前回と同じ試験をしました。 電圧出力状態/負荷3条件ショート試験では、負荷に係らず0.45Vで5/5動作、グレーゾーンはありません。 ショートさせて常点灯電圧上昇させる試験も0.45Vで動作し、ようやく狙った性能クリアできました。 しかし結果良ければ全てヨシと言う訳には行きません、動作マージンや動作しない0.45V未満の確認が必要です。

まずは蒸機常点灯上限電圧0.58Vの出力(2V/目盛)と回路系GND(0.2V/目盛)の確認からで、負荷10.8Ωで回路系GND0.34Vは変化なしです。

この時のピークホールド電圧を計測しました。 0.25Vでしたのでショットキーダイオード挿入損失が0.09Vでピークホールドしてると解ります。 そしてショート時はこの電圧が0.51Vを超え保護回路が動作してます。

次に保護回路非動作の常点灯0.40Vに調整して計測、出力パルス幅が少し狭くなります。 回路系GND電圧は0.34Vで変化なし、ただしピークの平坦部分がなくなり尖ってます。

0.40V時のピークホールド電圧は、回路系GND波形の違いを反映し0.21Vで、0.58V時より0.04V下がってます。 この小さな差が保護回路動作/非動作を分ける鍵になってます。

0.40VでショートするとPWM出力が約2Vに下がり、ピークホールド電圧は0.21Vから0.47Vに上昇します。 コンパレータ基準電圧0.51Vより低いので保護回路は動作してません。

【田舎町の夕方ラッシュ】・・・車が増えた昭和40年代後半の風景です。
以上でピークホールドコンパレータ方式パッチ回路は設計意図通りに動作すると確認できました。 基準電圧を0.40-0.45Vに下げれば更に低い0.3V前後での動作も可能ですが、実施しません。 常点灯調整時に必ず動作する現状の保護回路感度で十分と考えるからです。


久し振りに気分爽快!、ずっと心の重りになってた暗雲が晴れました。 これで遅ればせながら『gaou』さんとの約束を果たし『露太本線スペシャル電源』をお届けできます。 自社用は各CHに1.3Aポリスイッチでオシマイ、世界にたった一つの電源になりそうです。


ではまた。