Hyper-G湖南仕様改修⑮サブCHヒゲ退治
前回PWM波形はシャープな方が良いという常識が覆りました。 低コスト2CH電源の餌に釣られ、結果的に1CH2台の方がはるかに楽でした。 でも自分で決めた事、解決策を探してウロウロするのも趣味の楽しみの内、こんな新しい学びもあると言い聞かせてます。
Hyper-G湖南仕様軽負荷時ヒゲ問題、スピードダウンコンデンサでメインCHは解決しましたが、伝送路が倍近いサブCHがどうなるか解りません。
◆サブCHの現状確認
マイナス側ポリスイッチ、プラス側出力TRからフィーダー線端間配線長は、メインCH約2.5mに対しサブCH約4.5mです。 スピードダウンコンデンサなしの現状を確認します。
PS GND=ポリスイッチ両端波形は、PWMオン時だけ0.35VでヒゲがなくメインCHと同じです。 メインCH出力TRエミッタは9.5V-13V、3.5Vのヒゲでしたが、サブCHは10.0V-13.0V、3Vと若干小さくなってます、伝送路が長いとノイズ回り込みが少ない様です。
2.5m⇒4.5mと長くなった負荷GNDヒゲは、メインCHの-3.8V-5V、8.8Vに対しサブCHは -4.0V-5.4V、9.4Vに0.6V大きくなってます。 距離が長ければノイズ量も増え、もっと酷い状態を予測しましたが、この程度ならスピードダウンコンデンサでOKかもしれません。
◆102Kスピードダウンコンデンサ効果確認
少し希望が出てきました、スピードダウンコンデンサ効果を確認します。
メインCHスピードダウンコンデンサ(左赤点線丸)に加え、サブCHスピードダウンコンデンサ(右赤点線丸)を取り付けました、出力TRユニット6Pソケット外しての作業です。
【メインCH 前号より転載】
メインCHは-3.8V-5V、8.8Vのヒゲがスピードダウンコンデンサ追加で-2.0V-1.6V、3.6Vに半分以下に改善しました。 サブCHの -4.0V-5.4V、9.4Vはどうなるでしょうか。
計測結果は-4.0V-3.4Vの7.4V、スピードダウンコンデンサ効果は認められますが、メインCH倍以上のヒゲが出てます、伝送路が長い影響が出てると考えられ、追加対策が必要です。
【メインCH 前号より転載】
メインCHスピードダウンコンデンサ計測の最大ヒゲ条件は、蒸機負荷最小安定発振調整の14.0Vでしたが、セットアップが面倒なのでほぼ同等だった470Ω負荷、最小安定発振でどうなるか計測します。 メインCHは13.9V、GNDノイズからは16V-17Vが予想されます。
計測結果は予想に反しメインCHより0.4V高い14.3Vでした。 目標15V以下に入っているのでOKですが、フィーダーからレール給電数m先では更に大きくなる可能性があります。
検収試験で発生し再現しなかった蒸機モーター唸り音は、安定発振前間欠発振領域のピーク20V前後のヒゲで発生してたのではないかと推定してます。 間欠発振時はPWM周波数が数分の1になり可聴周波数になるからです、いずれにしろヒゲはないに越した事ありません。
◆GNDの追加ヒゲ対策
スピードダウンコンデンサ容量を増やせばGNDヒゲは減りますがPWM立ち上がりが更に遅くなって常点灯性能が劣化するので実施できません。
サブCHのDR SW GND波形です、メインCHは安全性保証回路基板から20cm弱なので計測省略しましたが、サブCHは2.2mです。 スピードダウンコンデンサ追加後でも-3.5V-2.1V、5.6Vのヒゲが出てます、更に約2m先の負荷GNDで7.4Vに拡大してる訳です。 この場所のヒゲ減らせれば負荷GNDヒゲが減り出力波形ヒゲも減るハズと考えました。
サブCH DR SW GNDと上図サブCH回路系GND間にパスコン追加を検討します、回路系GNDはPWMオンオフ時に多少ノイズがある程度で大きなヒゲは出てません。 ただしこの位置のパスコンは回路的にポリスイッチと並列になるので大きな容量は無理です。
サブCHのDR SW GNDと回路系GND、同じ上ケース速度計GND間に103Zを追加しました。 本来はパスコンリード線を短くしたいのですが、最近点がココなので仕方ありません。 103Zパスコン追加でポリスイッチトリップ後安全性保証回路動作まで0.03秒になります。
DR SW GNDパスコン追加後の470Ω負荷最小安定発振出力は0.16Vで変化なし、14.3Vピークヒゲは消え、最高値12.8Vの波形になりました。
ついでに常点灯Max波形確認すると、メインCH同等の最大出力1.86V、立ち上がり時最大値12.6VでメインCHより綺麗な波形です。
◆メインCHパスコン追加
一旦OKとしたメインCHですが、サブCHがDR SW GNDパスコンでほぼ完全にヒゲ退治できたとなるとメインCHにも適用したくなります、両CH回路を同じにする意味もあります。
で、メインCHにも103Zリード線にショート防止ビニール被せてDR SW GNDと速度計GND間にパスコン追加しました。
パスコン追加したDR SW GND波形です、スピードダウンコンデンサ追加時は計測省略したのでパスコン単独効果検証できませんが、立ち上がりヒゲは完全に消滅してます。
プローブを負荷GNDに繋ぎ替え-2.0V-1.6Vだった立ち上がりヒゲがどうなったか確認しましたが、逆に0.3V増加してました。 伝送路ヒゲ計測条件は負荷10.8Ω、出力ヒゲが問題になるのは軽負荷470Ωで1対1対応でないにしても出力ヒゲ増えたのには疑問が残ります。
でも出力波形計測してホッと一息、13.9Vだったヒゲピークは13.2Vに改善しパスコン効果が確認できました、伝送路が長いサブCHが良いのは気になりますが、絶対値はOKです。
常点灯Nax調整は若干増えて13.5Vのヒゲピーク、コレも絶対値としては問題なしです。
◆蒸機駆動波形確認
手こずったヒゲ退治が終わりました、最後に蒸機負荷で常点灯と走行開始時のヒゲを含めた駆動波形と常点灯調整範囲を確認します。
DR SW GNDパスコン追加前ピーク14.0Vだった蒸機負荷ヒゲが、どうなるか確認しました。 最小安定発振出力は0.1V弱、ヒゲピーク値は12.7Vに改善しており二重丸です。
出力0.25Vではパルス幅が約0.4μsecから2.5倍の約1μsecに広くなり、スピードダウンコンデンサ効果で立ち上がりは鈍ってますが、PWM H時がフラットな矩形波になり、ヒゲピークも12.7Vで変化ありません。
出力0.5Vではパルス幅が0.25Vの倍約2μsecに広がるだけでヒゲピーク値は同じです。
更に蒸機常点灯上限に近い0.61Vでは電圧上昇分だけパルス幅が広がって約2.4μsecになるだけの同傾向で、ヒゲピーク値は同じです。
実際のD51 HL常点灯はこんな具合です。 0.10Vでも下限値クリア、0.25Vで実用域に入りますが、ここに調整するとノッチオンして先に速度計上昇してから走行開始します。 速度計精度確保した実用域は0.5-0.6V、Hyper-G開発目標十分な常点灯輝度が得られました。
常点灯調整操作性確認です。 常点灯調整ボリューム目盛4.0/4.7/5.6/6.0が計測4条件でした、調整幅が十分あり使い易いと思います。
常点灯計測のついでにこれまで一度も見た事がない微速前進時駆動波形を計測しました、0.7V強からムズムズし走行開始します。 その瞬間にストレージし、記憶した0.87Vを別に撮影しました。 走行開始しても駆動波形傾向は同じですが、モーター回転開始で負荷が変化する様で、常点灯時の出力電圧対パルス幅に対してパルス幅が広くなってます。
これで出荷検査、再送品と行きたい処ですが、また課題が見つかりました。 湖南電源は中々楽させてくれません、最後の生みの苦しみです。
ではまた。