Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

Hyper-G湖南仕様改修⑫予期せぬ出来事

前回安全性保証回路各部損失の計測を行い、理論値と大きく異なる結果でした。 また抵抗電流検出を廃止し0.47Ωショートを決定しました。

【築堤を往く貨物列車】
今回はその後の進展です。 理論がなければ設計はできない、しかし現実は予期せぬ事が起こり理論通りとは限らない、物作りは難しいです。 Hyper-G湖南仕様改修記事はサッパリ人気ありませんが、何が起きて何をしたらどうなったかの記録を残す目的で書いてます。


◆前回計測結果と予期せぬ出来事
まず前回計測結果をレビューします。

安全性保証回路損失計測結果は想定外で何が起きてるかサッパリ解らん状態でした。 トランジスタ損失は理論値10倍以上、ズレでなく何か根本的間違いがある様です。 ダイオード損失は理論値通りで優等生、ポリスイッチ損失が微小で無視可能と判断しました。


抵抗損失も挙動不審、安全性保証基板内計測損失が理論値1.7倍、フィーダー線までの2.5m伝送路で6Vp-pのノイズ発生し、立ち上がりヒゲ原因の可能性があり、更に12V電源GND基準計測で出力が1V近く上昇する不可解さ、損失とノイズ軽減の為に廃止を決定しました。

さあこれでヒゲ問題解決と期待しましたが、結果は470Ω負荷も蒸機負荷も改善するが不十分の空振りでした。 ついでに10.8Ω負荷計測したら予期せぬ結果でした、0.47Ωショートすれば12V電源GNDと負荷マイナスは間にポリスイッチとディレクションスイッチが入り2.5m配線接続の同じGNDです。 理屈に合わない現象解明手掛かり採取目的の計測です。

【『Hyper-G湖南仕様改修⑩』より転載】
前回計測では出力トランジスタエミッタまでに12Vが1.9V低下し10.1V、PWMオン時は更に1.3V低下して8.8V、コレクタはBAT43奥の手回路損失が加わり0.3V低下し8.5Vでした。 この状態からの変更点は損失に無関係な電源パスコン追加と0.47Ωショートだけです。

ところが1.9V低下してたエミッタは1/4近い0.5V低下、PWMオン時1.3V低下してた損失は0.9V、0.47Ωショートで抵抗損失なくしたらトランジスタ損失が1.8Vも減少したのです。 しかも10.8Ω負荷瞬時電流は0.81Aから0.95Aに増加しており、到底説明できません。


◆予期せぬ出来事の背景考察
オリンピックも回路動作も結果が全てですが、何故こんな事が起きたのか解析し、納得できる答を見つけて置かないと気持ちが悪く、何処でまたドブに嵌るか解りません。

【『Hyper-G湖南仕様改修⑪』より転載】
そこで非常に気になってたのが金属皮膜抵抗で浮かせたGND波形、理論値0.38Vなのに実測値1.7倍の0.65Vは電流換算で1.38A相当です。 0.7Vでトランジスタが完全オンしてラッチ回路オフしPL赤表示しますが、0.65Vは中途半端なオン状態でオフではありません。

つまり0.47Ωで浮かせたGND電圧0.65VでTR93は不完全オンとオフの繰り返し、TR92は不完全オフとオンの繰り返し、ラッチ回路がオフしようとしてオフできない状態です。 その結果、TR91の平均ベース電流が減少し損失が増大します。 0.47Ωジャンパー線外して検証可能ですが専門的過ぎるし、もう0.47Ωショートと決めたので意味がなく止めました。


◆安全性保証回路損失再計測
0.47Ωショートでトランジスタ損失が大きく減少したので、新条件で再計測と再評価が必要です、同じ10.8Ω負荷、常点灯Max調整で計測します。

これからも回路変更可能性が高いので、日付バージョン管理にします。 再計測する安全性保証回路は0.47Ωショートした上記になります。

TR91エミッタ=ACアダプタ出力のテスター計測電圧は12.24Vで変化なし、PWMオン時にノイズが出て0.15V凹んでるのはACアダプターも負荷が重い時に出力電圧が低下するからです。 10.8Ω負荷端計測PWM波高値10.3Vが10.9Vに上昇した事に注目、オシロプローブGNDを2.5m配線とポリスイッチが入った12V電源GNDに繋ぎ変えただけの変化です。

コレクタ波形観察と電圧計測してホッとしました。 でもテスター計測平均値値12.21Vでわずか0.03V低下ですが、PWMオン時凹みが黄丸0.4Vになっており、増加した0.25Vが負荷電流0.95Aによるトランジスタ損失増加です。 理論値の倍近い値です。 

前回計測結果はトランジスタ非正常動作で信頼が置けないので、無視可能と判断した2.7Aポリスイッチ損失を計測しました。 コレクタから0.04V低下の12.17V、抵抗値換算すると0.13Ωで小さいですが、最大負荷時損失は0.18Vで無視可能と言えない微妙な値です。

ポリスイッチ後のショットキーダイオード損失は0.25V、出力は11.92Vです、この計測平均電流は0.31Aばのでデータシートで確認します。

データシート0.31A負荷の順電圧=損失は0.24V、計測値0.25VでOKです、最大負荷時損失は理論値0.29Vに収まりそうです。

2.7Aポリスイッチ損失抵抗換算値と1.3Aポリスイッチが同等と仮定すると、安全性保証回路基板の電源出力GNDはPWMオン時だけ0.11-1.12V凸になるハズです。 実際の計測値は3倍近い0.3Vで、0.47Ω損失と合わせ0.65Vになりラッチ回路動作異常を起こした前回計測結果と整合します。 損失があるポリスイッチと金属皮膜抵抗0.47Ωの併用は無理でした。

ここでオシロプローブを10.8Ω負荷GNDに繋ぎ替えます。 安全性保証回路測定点とは2.5m配線で接続され経由部品はディレクションスイッチだけです。 PWMオンオフ時に盛大なヒゲが発生し、損失は0.25V増加して0.55Vになりました、これが測定点による波高値差0.6Vの正体です。 ようやく全貌が見えてきました、電源各部の損失をまとめます。

計測結果を基にACアダプター出力が電源各部損失により、最終的にPWM波高値10.3Vになるかまとめました、計測結果損失と実測値の0.11V差異は誤差範囲と言う事で(汗) 出力電圧波高値10.5V以上必要と考えており、改善可能性については以下の通りです。
➊ショットキーダイオードと1.3Aポリスイッチは改善の余地なし。
➋配線損失も3A容量線を使用しており改善は望めない。
➌BAT43追加で0.1V⇒0.3Vに増加した出力トランジスタ損失は常点灯優先で変更不能
2.7AポリスイッチはACアダプター過電流保護に機能委託し削除可能。
ラッチ回路トランジスタ損失は理論値2倍で改善の余地あり。

【『TOMIX電気設計の検証 その6 使えます15V!』より転載】
出力電圧波高値10.5V以上の背景は二つあります。 市販電源N-1001-CLの同等負荷時出力電圧が10.5Vでこれを越えて置きたいのが一つ、KATOはACアダプター電圧上げて損失カバーしてます。 もう一つはノッチ5最高速出力電圧の高負荷時の飽和防止、速度計と出力電圧上昇を一致させる事です。 次回安全性保証回路損失低減検討へ進みます。


ではまた。

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