Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

Hyper-G湖南仕様改修⑪モグラ解剖

高負荷時損失増加と低負荷時出力波形ヒゲの原因は安全性保証回路にある、つまりモグラの居場所が特定できましたので解析と改善に進みます。

【米屋角の裏通り】
当社は『がおう☆』さんの湖南総合運転所と業務提携しており、委託業務は着々と進行してるのに受託業務の湖南電源改修が遅れており、申し訳ない状態になってます(滝汗)


◆安全性保証回路損失設計理論値
前回BAT43奥の手回路損失は設計理論値通りだったと計測データで確認できました。 今回は反対に先に設計理論値を整理し、計測データでどこが理論値通りでないか確認します。

【前号より転載】
厳密にはポリスイッチにも微小損失ありますが無視可能、下記3項が損失構成要素です。
➊ラッチ回路トランジスタ損失
エミッタ入力電圧とコレクタ出力電圧差が損失になります。
➋ショットキーダイオード挿入損失
ラッチ回路確実動作目的で追加したショットキーダイオード順電圧が損失になります。
➌電流検出金属皮膜抵抗損失
出力電流を電圧に変換する金属皮膜抵抗が損失になります。

まずトランジスタ損失からです、R92 150Ωでベース電流75mAの動作点を選択してます。 電源出力容量は1.2AですがHyper-G電源回路で約0.15A消費するので合計最大1.35Aです。 図赤点線の1.35A時の損失コレクタ・エミッタ間電圧は0.15Vで、これが最大値です。

ショットキーダイオードは電源内温度を40℃とすると、最大負荷の1.35Aで損失0.29V、負荷抵抗10.8Ωの実験条件では青点線0.27Vです。

抵抗損失は消費電流で計算できます。 最大負荷時と損失増加が発生した10.8Ω負荷時、そして出力波形ヒゲが顕在化した470Ω負荷時の安全性保証回路損失理論値は以上の通りです。 この値はデューティー100%時で、常点灯Max計測条件での平均値は1/4-1/5になります。 0.75Vのハズの10.8Ω負荷PWMオン時損失は12V⇒8.8Vと4倍以上の3.2Vでした。

こさてデータ計測に進みますが大切な事があります。 これまでの出力波形並びに電源ノイズは全てA/B CH出力マイナス基準、すなわち電源出力車両印加電圧で計測してきました。 しかし安全性保証回路損失確認には12V電源マイナス基準で計測しなければなりません。 12V電源マイナスとA/B CH出力マイナス間計測結果が抵抗損失になります。


◆安全性保証回路損失の計測
損失増加が発生した10.8Ω負荷と出力波形ヒゲが発生した470Ωの2条件で計測します。
➊トランジスタ損失の計測
トランジスタ損失は12V電源入力=エミッタとコレクタの電圧を比較して計測します。

10.8Ω負荷の計測結果です、TR91エミッタはACアダプタ出力直結なので12Vです、立ち上がりヒゲ位置にノイズが出てます。 ノイズ位置明確化の為の12V電源マイナス基準出力波形同時計測結果はピーク10.1Vでした、電源出力計測8.5Vより1.6V上昇してます。 抵抗損失理論値は0.38V、理論通りなら8.9Vのハズなのに1.2Vも違います、何処か変です。

入力電圧ノイズはオシロでないと解りませんが、電圧計測ならテスター、12.24Vでした。

負荷を470Ωに替えると出力波形ピークがほぼ12Vになるだけで電源ノイズは変化なし、電圧計測結果は12.25Vでわずかに高くなりました。

オシロプローブをコレクタに接続しました、理論値ではPWMオン時だけ0.1V低くなるハズです。 ところが全体に約1.5V低下しPWMオン時低下も0.3Vで明らかにトランジスタ損失が理論値より大きく異常です。

電圧計測結果は10.53V、1.71V低下は理論値損失の10倍以上です。

470Ω負荷の電圧計測結果は12.24V、理論値0.03Vの1/4-1/5で正常です。 高負荷時のトランジスタ損失増加の原因解析と対策が必要です。


➋ダイオード損失の計測
オシロプローブをトランジスタコレクタからダイオード出力に付け替えます。 2.7Aポリスイッチとダイオード損失合算値の計測になります。

入力よりわずかに低下しノイズも変化なし、損失は小さそうです。

電圧計測結果は10.48Vで損失0.05V、テスター計測は平均値なので理論値0.27Vの1/4-1/5とダイオード損失は理論値通りで無罪放免、ポリスイッチ損失が無視可能と確認できました。 470Ω負荷計測は省略しました。


➌抵抗損失の計測
前回軽負荷時出力電圧ヒゲが電源パスコンで解決せず、ヒゲが原因で電源ノイズが結果と解った時点で、安全性保証回路に追加した0.47Ω金属皮膜抵抗が怪しいと考えてました。

電源出力計測でオシロGND端子接続した負荷抵抗マイナスにプローブを、オシロGND端子を12V電源マイナスへ接続変更して計測です。 両者の間にはポリスイッチと0.47Ω金属皮膜抵抗、ディレクションスイッチと電源出力線を含めて約2.5mの配線があります。


10.8Ω負荷の波形はPWM立ち上がり時に3-4Vのオーバーシュート、立ち下がり時に3Vのアンダーシュートが発生してました。 また理論値0.38VのPWMオン時電圧上昇=抵抗損失は約2倍の0.8Vになってます。

470Ω負荷は電流が少なくPWMオン時電圧上昇は微小、立ち上がり時に±3Vのヒゲが発生してます。 この6Vp-pヒゲが出力電圧18Vピークヒゲの正体ではないかと推定されます。

横軸を50倍に拡大してヒゲを観察すると10-30MHz成分が含まれてます。 安全性保証回路基板のポリスイッチと0.47Ωを介した電源出力マイナスに同様なヒゲがあれば、ヒゲ成分に有効なパスコンで改善可能ですが、そう簡単に行かないのが超高周波帯域なのです。

論より証拠、回路図上は同じ場所、2.5m配線で離れた安全性保証回路基板にオシロプローブ繋ぎ替えるとオーバーシュート/アンダーシュートがない、PWMオン時理論値0.38Vを越える0.65Vは気になりますが、ヒゲの全くない波形になりました。 何故だか解説します。

市販電源も金属皮膜抵抗電流検出方式ですが、立ち上がりが鈍い出力段デバイス使用でヒゲは発生しません。 Hyper-Gは常点灯性能向上の為にfT100MHzの高速スイッチングトランジスタを採用しました。 金属皮膜抵抗でPWMオンオフ時にGNDが振られ、その過渡応答と10MHz以上でインダクタンス(コイル)になる配線の作用でヒゲが発生してるのです。


換言すればPWMの数十KHzの世界と異なり千倍の数十MHzの世界では、パターンや配線はコイル、それ等が近接すればコンデンサと回路図に現れない要素を含め動作が決まります。 パスコン対策不能ならGND振らす原因の金属皮膜抵抗外す選択しかありません。 出力トランジスタ保護をポリスイッチに頼る事になりますが、損失低下にはプラスに働きます。

ポリスイッチ追加箇所を黒い瞬着でモールドしたの早計でした、金属皮膜抵抗外すの厄介なので表裏をジャンパー線2本でショートします。


◆0.47Ωショート時の特性確認
金属皮膜抵抗0.47Ωショートで軽負荷時ヒゲの変化を確認します。

大きな改善を期待したのですが残念、電源ノイズは減りましたが、ヒゲはパスコン追加時の17Vピークから1V下がり16Vになっただけです。

【『Hyper-G湖南仕様改修⑨』より転載】
実際の蒸機常点灯ではどうなるでしょうか?、前回計測ではピーク22Vも出てました、ここから電源パスコンを追加し0.47Ωをショートしてます。

18Vまで下がりましたがまだ不十分です。 0.47ΩでGNDが振られる事がヒゲを拡大させてますが、それだけではないと解りました。 ではジャンパー線外して0.47Ω元に戻す?、いえいえそのままにします、意外な事が解ったからです、少々時間を下さい・


ではまた。

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