Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

摂津鉄道 小川のある風景

[2022.08.10付記]機芸出版社転載許諾済。
当社が風景製作の模範とする摂津鉄道について、雑誌著作権切れバックナンバーを取得し、『採石場』と『晩秋の蔵本村』について5月に紹介しましたが、まだ1冊残ってました。

【拙ブログ2021.05.05記事より転載】


◆摂津鉄道:小川のある風景
1968年3月号掲載のシリーズ最終回『小川のある風景』です。 『採石場』と『蔵本村』はレイアウトモデリングが初見でTMS定期購読中止後で間違いないですが、『小川のある風景』は定期購読中に見た記憶があり、水田にモミガラ焼き発煙装置がありました。

製作中の設計変更再掲載だったのか、筆者の記憶違いか定かでありませんが、関連バックナンバーで確認する必要はありません。 それに大先輩の作に失礼と思いますが、他セクションの素晴らしさに比べ、『小川のある風景』には風景上の疑問を数点感じてました。


➊疑問点その1:築堤と小川土手法面角度
実物は45度前後ですが作例はそれを大きく超えてます、記事中に55度の記載がありますが、写真で見る仕上がりは60度を上回り、実感を損なう要因になってると思います。
➋疑問点その2:踏切の道路角度
99%の踏切は道路とほぼ直角です、特に警報機も遮断機もない踏切は事故防止目的で見通し良くする為に踏切前後道幅を広げ直角に設置されてました、例外持ち込みは???です。
➌疑問点その3:犬走りの表現
線路両側のバラスト撒布してない路盤、犬走りが白く浮き上がってます、路盤バラスト有無による色彩差は小さく道路の様に整備されてません、築堤と合わせ実感を損なってます。

と言ってケチ付ける目的で紹介する訳ではありません。 他があまりにも素晴らしいので、ない物ねだりの筆者我儘とお考え下さい。

低い目線で見た地形造形はウットリさせられます。 一番低いのが川面、次に田畑ですが1枚1枚は水平でも川下に向け段々になってます、田畑より1段高く堤防土手と農道、更に1段高い築堤の線路と緩やかに踏切に登ってゆく農道、実に立体的で自然な地形造形です。

川面はプラ板で実感的に製作されでおり、流れの変化とプラ板継ぎ目隠し兼用で小さな堰の段差が作られてます。 この様な場所から農業用水取水するのも良くある風景でした。

線路敷設基準面について作者は本文中で以上の様に述べてます。 半世紀を経てベニヤ板がスタイロフォームに変わりましたが、ほとんどのレイアウトは線路直接敷設です、運転重視でシーナリーオマケならOKですし、趣味ですからそれを否定する気は毛頭ありません。


しかし『実感的風景のレイアウト』作りたいならこの通りです。 スタイロなら掘って池でも川でも作れる?、違います!、それでは他は現実に埋立地以外存在しないフラット平原、赤字部分の線路を浮かす事で地形どうすれば自然に見えるか考える事が重要なのです。

【建設中の露太本線】・・・過去記事より転載
摂津鉄道を真似た訳ではありませんが、当社従来線南基台と東基台半分は風景製作の為に50mm浮かせ、延伸線は従来線の反省に基づき全線で20-90mm浮かせた設計です。

線路を50mm浮かせてるからこそ、線路より低い流れの風景製作が可能になり、田畑は1枚1枚高さが異なり、平坦な道路はほとんどありません。

線路を浮かせてない西基台生野駅裏工場団地の水路は天板10mm厚コンパネを切除して製作するしかありませんでした。 この場所の両岸は木製土留め護岸でほぼ垂直です。

さて筆者のない物ねだりですが、築堤と堤防土手の傾斜が強過ぎに感じます。 この小川は村の子供達が小魚を掬ったり水遊びしたハズですが、これでは登り降りできません。 川面とほぼ同じ高さの水田や畑を10-15mm高くするだけでかなり改善できたハズです。

【有り得ない風景では?】
堤防上が農道並み道路なら鉄橋下通過できるのが自然ですが橋脚が通せんぼです。 堤防上の幅が狭く草の茂った踏み跡程度ならこの形もアリですが、この道幅なら鉄橋支間長くして跨がないと風景整合性が取れません。

すぐ先行き止り、この荷車何処へ行く?何処から来た?、通過不能な堤防上が他の農道と同じ幅、同じ地表面なんて現実には有り得ません。 ここは風景製作ミスだと感じてます。

またこの写真で見ると踏み固めた農道と保線区員が歩く犬走りが幅の違いだけに見えます。 犬走りはバラストに馴染んだ色で草が生え半ば覆われてる方が自然だと思います。

45度の堤防土手法面はこんな感じで、これなら子供達が登り降りできます。 な~んて偉そうな事書いてますが、スペース制約を逃れられず奥の方は急角度で誤魔化してます(汗)

最後は農道踏切角度、農道を黄色点線の様にし、直角に線路を渡るべきだったと思います。 結果として模範とする摂津鉄道のアラ探しの様になってしましたが、正直な感想です。


ではまた。

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