Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

Hyper-G湖南仕様改修②奥の手使います

Hyper-G湖南仕様蒸機常点灯性能は検収試験結果が再現しませんでしたが、調整範囲がピンポイントで実用性能NGと判明しました。

【『湖南電源⑬物作りって難しい・・・』より転載】
蒸機常点灯性能OKと判断したこの実験は、ユニジョイナー経年劣化による従来線電圧低下で、上図0.4V(車両近傍)の電源出力電圧は推定0.7Vで実際は走行開始電圧でした。 TOMIX N-1000-CLに劣る蒸機常点灯性能は到底許容できず改善しなければなりません。

【『Hyper-G湖南仕様改修①アララ再現しない』より転載】
市販電源問題点改善設計が蒸機常点灯性能を悪くしてる皮肉な結果で、良さを活かしかつ問題解決するには最小安定発振時パルス幅を狭くする以外方法がなくなりました。


★検収試験モーター唸り音の考察
検収試験で発生し再現しなかったモーター唸り音、現場確認しないと真相究明できませんが、全く解らんでは話にならないので一番ありそうなシナリオで考察します。

PWM電源出力ゼロから約20kHzで安定発振し約0.5Vの出力を得る過程に、Vcompが三角波の先端部分で間欠的に発振するエリアがあります。 上図がHyper-G湖南仕様の間欠発振状態で、安定発振時横軸2msec/目盛りに50パルス発生しますが歯抜けになってます。


歯抜けの仕方はランダムで、このデータは数msec~10msec弱毎に数発のパルスが発生しており、その周期は100Hz~300Hzになります。 コアレスモーターが間欠発振パルスに反応すると検収試験動画に録音された様な唸り音になります。 当社実験ではこの波形でも唸り音発生しませんでした。 眼は悪いですが耳は聞こえますので間違いないと思います。

【『PWM電源後方HLチラツキ 番外編③』より転載】
では何故唸り音発生有無の違いがあったのか?、ここからは推論ですが給電経路影響による波形変化ではないかと思います。 N-1001-CLに低損失逆起電力保護ダイオードを追加したDD51実験計測データですが、電源出力と車両近傍レールでこれだけ変化してます。


プラス側/マイナス側どちらが支配的か解りませんが、給電経路影響波形変化で間欠発振にコアレスモーターが反応したと考えられます。 とすれば最小安定発振時パルス幅を狭くする蒸機常点灯性能改善策を実施すれば、モーター唸り音問題も解決すると考えてます。


★最小安定発振時パルス幅を狭くする『奥の手』
実は自社用電源に採用予定の奥の手があります。 Hyper-G設計情報収集で読み漁ったスイッチング電源研究論文に『Toffを更に短縮するには●●●が有効と言われている』という伝聞形式記述があり実験結果はありませんでしたが、試したら非常に効果があったのです。

【駅前横丁の映画館】
その方法の先行実施例見た事ありませんし、筆者は電源は専門外で一般的電気知識を持つだけの門外漢です。 Hyper-G湖南仕様性能改善策として今回効果を、次回構成と動作解釈を公開しますが、推奨しませんし結果責任も負えません。 筆者自己責任採用回路ですので、電源プロの方から突っ込まれても回答ができません、そのお積りでお読みください。

実際に蒸機と湖南仕様電源を使った実験は面倒で破損リスクもあるので、実験装置組み換えを行います。 HLは0.5Vで1mAと想定し、470Ω抵抗をダミー負荷として接続しました。

手持ちHyper-G基板を使って実験します、安全性保証回路は外してあり、オシロスコーププローブ接続端子を半田付けしてあります。

Hyper-G出力回路です、コンパレータ出力でオン/オフするTR01と、出力トランジスタTR02コレクタにオシロスコーププローブ接続端子を設けてます、ここで復習を少々。

コンパレータはVcompと三角波の電圧を比較し、Vcomp変化に合わせデューティー比が変化するパルスを出力してTR01をオン/オフします。 TR01がTR02をオン/オフしてPWM波を発生しますが、TR01オフよりTR02オフはToffだけ遅れます。 Toff最小になる様にTR01/TR02はベース電流を絞ってオーバードライブを避ける動作点に設定してます。

最小安定発振電圧は0.6Vに上昇、その時のTR01/TR02コレクタ波形です。 前回より横軸を倍に伸ばし2目盛り1μsecです。 赤波形でTR01がオフしてもTR02はオフせず2μsec後にようやくオフしてます。 以前計測した時はこんな酷くなかったと何が違うか考えました 

以前の計測はもっと重い負荷だったと470Ωを19.5Ωに交換しました、消費電流24倍です。 最小安定発振電圧は0.5Vに下がりToffは1.1μsecに短くなり以前の結果と同じです。 蒸機HLのみ点灯する軽負荷はHyper-Gにとって苦手な動作条件と解りました。 470Ω負荷に戻し最小安定発振電圧0.6Vに再設定し『奥の手』追加します、1部品追加するだけです。


★『奥の手』の効果
奥の手はToffを大幅に短くする回路手段です、今回はその効果を具体的に開示します。

奥の手追加でToffは2μsecから0.5μsecに劇的に減少、出力電圧は0.6Vから1/3以下の0.18Vになりました、蒸機常点灯可能な出力電圧波形です。

その状態で出力電圧0.5Vに調整した時の波形です、Toffは0.5μsecで変化ありません。 こうなると実際に蒸機で常点灯評価したくなります。

早速奥の手の効果検証しました、ピンポイントでなく常点灯調整範囲の余裕があります。 蒸機負荷の最小安定発振状態でTOMIX N-1000-CLよりかなり明るく点灯してます。

その時の電源出力電圧は93mV、0.093Vです。 N-1000-CLより低電圧で明るく点灯するのは波形がシャープでピーク電圧が高いからです。

これがその電源出力波形、今度は横軸1目盛り1μsecです、蒸機負荷に変わってもToff 0.5μsecは変わりません、黄点線四角部のモーター逆起電力がパルス出力を相殺し出力電圧を下げてます。 またこの波形なら牽引客車のテープLED室内灯を点灯可能です。

【『Hyper-G湖南仕様改修①アララ再現しない』より転載】
改善前常点灯波形と比較すると、パルス幅で差が歴然とします。 次回『奥の手』として何をしたのか公開します。


ではまた。

×

非ログインユーザーとして返信する