Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

半世紀前のTMS 1968年12月号①

[2022.08.10付記]機芸出版社転載許諾済。
掲載広告の雑感だけで2回も飯を食わせて貰った本文紹介、工夫なしタイトリングです。

5年の時の流れを端的に表してるのが、表紙画像がNレイアウトである事です。 1963年以前は16番レイアウトかハンドメイド16番車両でした。

巻頭に写真集広告が載ってます。 鉄道車両ファンには2人種存在し、多数派は時代を問わず車両その物が好き、でなければ蒸機模型がこれほど売れる訳ありません。 筆者は働く姿を見た車両にしか興味のないマイノリティで、鉄道草創期蒸機には興味がありません。


◆作品グラフから
最初は巻頭の作品グラフからです。

タンクロコ3両の製作記ですが、このロコ達は優れた蒸機自作を志す作者がそれぞれ別の技術習得を目的とした習作、つまり練習台で何とも遠大な計画と言うしかありません。

南薩鉄道5号はエッジングリベット表現と蒸機製作で最も精度を求められるシリンダーブロック回りの製作技術習得が目的のモデルです。 これはこれで当時のスケールモデル平均値を十分クリアしてると思います。

2両目国鉄230型はパイピング技術マスターを主目的とし、薄板張り合わせ技法でバルブギアを製作したモデルです。

最後の国鉄1800型はリベット打ち出しと小径ドリル穴開け習熟を目的にしたモデルです。 Nが勢力拡大しつつあったこの時代でも車両製作が鉄道模型楽しみの大きな柱だったと解ります。 Nスケールでは欲しい未発売蒸機の100%自作はまず無理ではないでしょうか。

作品グラフ2番手は木曽森林鉄道ボールドウィンで、現在も静態保存されてます。 軌間9mmで1/87スケールならHOnですが、1/80をやや下回るの表現で1/83-84と推定されます。

キャブ一杯に収納されたモーターが選択スケールの要因だと思われます。 注目すべきはレール、9mm軌間でもN用またはN用加工でなく枕木間隔が広いナロー専用レールです。

能勢電鉄と言われても馴染みがなく調べると阪急グループ、兵庫県の地鉄と解りました。 ウィキペディアによるとポールカー60型は能勢電鉄自社開発最後の形式で、以降は全て阪急譲渡車両になった様です。 スハ44車体キットを流用したモデル化です。

内部構造はこんな具合でポール集電可能になってます。 解説に『棒型モーターを使用した床下伝動』とありますが、床板一部切欠きモーター落し込みを床下伝動と呼んでました。

その目的はサイドビューにモーターを見せずスッキリさせる事で、現在NのEC/DCは100%床下伝動と言えます。


◆レイアウト紹介
この号の表紙を飾ったNレイアウト新八里九里観光鉄道の紹介記事です。

『新』の命名は『旧』がある訳で、最初は16番レイアウトでした。

オリジナル16番レイアウト八里九里観光鉄道はTMS147号で紹介されており、特集シリーズレイアウトサロンに再録されてます。 147号から246号で8年余の時間が流れてます。

16番時代は複線エンドレスにリバース線を組合せヤードを追加した線路配置で、サイズは1600x2790mmでした、Nにスケール換算すると853x1488mmになります。

新八里九里観光鉄道サイズは910x1650mmで一回り大きなサイズ、それでもキャスター付きベッド下収納ですから、Nが如何にレイアウト向きか良く解ります。 作者は複線エンドレスはそのままに、リバースを諦めヤードを縮小し、折り畳みエンドレス長距離運転と直線区間ホームを優先してます、前作不満点を改善した線路配置案だと思われます。

【新八里九里観光鉄道全景】
線路敷設の項に国産R300とR270及び5番ポイント(KATO)、イタリア製R192(Peco)の記載があり、当時のKATO製レールはポイント5番、複線間隔30mmだった様です。 1971年に弟のNゲージ購入時には道床付きレールがなく、合板に固定した経験があります。

調べるとNレールシステムは後発のTOMIXが先行しており、KATOユニトラック発売は1980年でした。 ユニトラック移行時に4番ポイント設計都合で複線間隔30mm⇒33mmの変更(改悪)するしかなかった様です。

筆者経験によると合板直接敷設走行反響音は酷く、ここに示された1mm厚紙スペーサー効果は2mmコルクマットより相当小さく、路盤設置高架部を除き反響面積が広い平坦区間ではかなり賑やかだったと思います。

現在は時代設定だけでなく地方設定できるほど豊富な車種が入手可能ですが、この当時は選択肢が少なく、将来は国鉄型に統一したい希望を持つ作者も米国型車両に頼る状況でした。 この3年後にはKATOからキハ20系、C11、C62とブルトレが出てましたから、国鉄型車両が充実し始める直前だったと言えます。

レイアウト特化のNとは言え制作環境が現在ほど整っておらず、ストラクチャは一部自作、他は西ドイツ製(メルクリン?)中心に設置されてます、『西ドイツ』も死語ですね。 写真に多数写ってる架線柱全て自作とは思えず、これも外国製品だと思われます。

当然トンネルポータルの様な小物も販売されておらず自作するしかありません。 作りたい物を作る製作法に知恵を絞るのは、今も昔も変わらぬレイアウト製作者の性の様です。


ではまた。

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