Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

Wさんレイアウトで遊ぶ④踊る線形設計

本シリーズ前回でKATOユニトラックをTOMIXローカルホームに適合させる難問を解決しましたが、電気設計ベースの線形が中々決まりません。

【3年振りに全面結氷した諏訪湖】・・・ニュース画像より
近年暖冬ですが諏訪湖全面結氷のニュースが流れました、しかし13日14日と最高気温7-8度で氷が緩み御神渡出現は期待できそうにありません。 一方のコロナ、県内感染者は毎日2桁、諏訪の県警戒レベルは11日に3から4に引き上げられ、自粛自粛の毎日が続いてます。


6.踊る線形設計
6-1.コミュニケーションが上手く取れない!

線形設計が進まない理由はいくつかあります、まずはコミュニケーション問題です。 筆者息子はシステムエンジニアですが、親子で同じ電気分野技術者でも専門分野の会話は全く成立しません。 ましてや世代も職業分野も考え方も異なる、本名知ってるだけで逢った事もないWさんと筆者の間で打てば響く様なコミュニケーションの成立は望めません。

Wさんレイアウトのコンセプトは以上の通りで、着目すべきは実物通りの有効長、これなら三重連の堂々たる重量貨物列車になります、レイアウト長手方向は何と5m以上です。


Wさんはこの長大中央駅を線形設計ツール使わず、現品で線路配置検討してました、「現場」「現物」「現実」の三現主義は仕事の場面で重要でもレイアウト設計には当て嵌りません。 現物合わせ設計で図面がなく、全体イメージ把握が非常に困難な状況でした。

それに加え電気が苦手なWさんは電気設計に何が必要か、何を求められてるか理解できず、コミュニケーションを難しくしてました、筆者説明方法にも問題があったと思われます。


もう一つ、Wさんはある部分に集中すると他への目配りが苦手で、前回のユニトラックでTOMIXホーム使用の様な『後出しジャンケン』(ご本人にその意識も悪意もない!、だから余計困る)が何度も発生し、都度設計条件変更で線路配置設計やり直しになりました。


6-2.駅構内基台幅450mm
2度目の『それ早く言ってよ~』はTOMIXホーム対応線形提案送付時に発生しました。

Wさんコメントサラッと『機関庫入出庫線追加7線にしても中央駅基台幅450mmに入る』、『基台幅450mmなんて聞いてないよ~!』です。 Wさんは聞かれなかったから答えなかったなのでしょうね、多分(苦笑)

早速左方確認すると、機関庫入出庫線から基台端まで余裕込み40mmとしてこの状態、貨物ホームと上屋を置き、大規模駅にふさわしい駅舎建設スペースも確保できそうです。

ところが右方は基台幅450mm情報がなく、駅構内右上機関庫の言語情報に従い、機関庫入出庫線から左分岐で転車台への線形設計をしました。 この線路が450mm幅部分に掛かると駅舎建設スペースを圧迫します。


6-3.機関庫敷地と規模の伝達ミス
実は先にWさんから駅構内右上機関区スペースの情報届いてました。

【Wさんから届いた機関庫敷地図面】
これがその図面で、駅が実物有効長なら機関区だけで小型レイアウトサイズの広大な敷地が確保されてます。

確認しなかった筆者にも責任ありますが、右方に張り出しの情報でこんなかなと想像して線形設計し、Wさんも違うと言わないし、機関区スペース広大で行き止まりだから電気設計影響少ないと軽く考えてました。

【Wさんから届いた機関庫線形図面】
ところが筆者想像は全くハズレ、実際は奥基準で手前に張り出してたのです。 Wさんはこれ以上筆者の手を煩わす事に恐縮し『ここまでやっていただければ後は転車台とS字カーブで繋ぎ何とかします』と言いました。

3度目の『それ早く言ってよ~』です、しかも縦920mmに直径900mm16線扇形庫設置予定(これも後出し・・・笑)で、本線逃げ場がない条件で何とかできる訳ありません。 Wさんに機関区内線形設計サポートを申し出て、巨大扇形庫機関区線形設計を開始しました。


6-4.機関区内線形設計
駅構内正確性重視で既製レール、本線カント付き大半径カーブでフレキ採用も後出し情報でした。 右方巨大機関区と本線の位置/線形調整が難しく、駅端ポイントから直90度カーブで機関区逃げる線形は醜いだけでなくカント付けたら貨物列車が内側に転倒しそうです。

【不満だらけの1次線形案】
あーでもないこーでもない(コレが結構楽しい)と検討を重ね叩かれ台として送った1次案がコレ、筆者としては駅有効長優先の不満だらけの線形です。 本線右45度に310mm直線を入れ、少しでも線形整えると共に渡線設置の含みを持たせてます。 Wさんには『貴方のレイアウトなのだから遠慮せず目一杯こだわって希望伝えて欲しい』と申し添えました。

筆者不満点は以下4点、Wさんの意見を聞き優先順位を明確にした上で改善予定でした。
★A:駐機線有効長
16線中右上5線扇形庫設置不可、4線有効長短く大型蒸機駐機不可にして本線スペース稼いでます、右端からホーム端の1606mm伸ばせば改善可能ですがWさんの優先順位次第です。
★B:本線と転車台進入線距離
本来なら機関区詰所が並ぶ場所ですがボトルネック状に縊れ線形が美しくありません。
★C:転車台進入線線形
まず長過ぎで機関車3両余裕で停車できます、S字カーブも避けたいですし、S348/20度、S213の特殊加工レールが必要なのも気に入りません、要改善です。
★D:転車台進入線間距離
ここは給炭給水施設定位置です、KATO給炭台は線間距離49.5mmで両側給炭可能ですが、この線形案は中途半端な58mmになってます。


6-5.Wさん選択と最終設計
Wさんの回答メール待つ間に最大不満点Cの解決法を考えました。

【KATO製品紹介ページより】
KATO転車台関連レールにR381/10度2本組がありました、写真の上下レール逆にして転車台入口20度に接続すると線間距離49.5mmの平行になると解りました。 コレ使えば不満点CとDを同時に解決できそうです。

今度は目一杯こだわれとけしかけたので明快な回答でした。 Wさんがフルサイズ16線転車台に強いこだわりを持ってるのが解ります、転車台中心奥から455-460mmが絶対条件です。 そうと解ればWさんに無理させずスマートに解決策提示するのが筆者の役割です。

不満だらけの提案Cに比較し右方130mm延長で不満点A/C/Dを完全解決し、Bもかなり改善した線形案ができました。 でもBの本線と転車台進入線距離まだ部分的に狭いですし、右方から駅構内進入時の連続S字カーブが気になり、もう1案作成しました。

6-7番線間左右にR315/15度使いますが4本セット販売です、余りの2本使って構内右端6番ポイント定位/反位入れ替えると右方のカーブが滑らかに、本線と転車台進入線距離もほぼ一定になり線形が整います、線形とポイント定位/反位どちらを優先するかの選択です。


また左行1番線は補機2両3重連可能ですが、右行3番線は15度クロスで有効長制約され3重連不可が気になってました。 この駅端線形変更案に加え右行5番線にもS124Uを設置し3重連可能にする案を盛り込んでます。 これでWさんの結論聞いて電気設計のハズでした。

またやられました(笑)、これまで機関庫内線形案何度も見てるでしょ!と言いたい処ですが、Wさんの性格飲み込めてきたので、もう腹も立ちません、ハイハーイ了解です(爆)

【KATO転車台製品情報より】
せっかく見つけたR381/10度使う解決策は無駄、線間距離33mm実現には転車台10度隣接線路から赤丸関接線路使うしかありません。

最終案転車台中心は奥から465mmになり要求仕様クリア、右端からホーム端は提案D/Eの1736mmより短い1674mmになり、機関区敷地拡張しなくて済みそうです。

左方最終線形です、こちら側に片渡線設置になりました。 筆者提案の貨物側線と野積線は非採用になりました、TOMIXホーム対応線形設計活かせませでしたがWさんの決定です。


必要情報後出しに振り回された線形設計サポートでしたが、ユニトラックユーザーに様々な線形設計テクニックを提供できたと前向きに考えてます。 十分楽しく遊ばせてもらいましたし、何よりWさんに大変喜んでいただけたのが良かったです。 さて後は電気設計サポート、必要情報念入りに聞き出して背負い投げ食わない様に進めます。 


ではまた。

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