Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

Wさんレイアウトで遊ぶ②線路配置設計

前回記事公開前にWさんと連絡を取り、駅構内線形についても助言して欲しいと依頼されました。 電気設計のお手伝いだけでなく線路配置も、先月公開した『駅をレイアウトする』シリーズの実証実験になりました。

【木造校舎の中学校】
Wさんから機関区があり、本線渡線は検討中で未定と連絡がありました。 機関区規模は大小様々、扇形庫有無や線数問い合わせてますが、本記事作成時点で回答を得てません。


3.Wさん中央駅構内線路配置検討
Wさん中央駅線形を道床付きユニトラックで実現する方法検討です。

【前号より転載】
複線本線が複線分岐する駅構内線形は珍しいですが魅力的です。 実地踏査した訳ではありませんが、国鉄幹線同士分岐駅、例えば米原(東海/北陸)、長岡(上越/信越)、岩沼(東北/常磐)に存在したと思われます。


3-1.基本線形の検討その1
複線本線を駅構内線6線へ、『スペース効率良く』と『国鉄駅らしい線形』を両立させてどの様に展開するかを以下の条件で検討しました。

ユニトラック使用なので当然の前提条件です。
複線間隔33mm基準ですがオーバースケールなので4-5番線間は若干狭くてもOKです。
ホーム設置の3-4番線間、5-6番線間は66mmを絶対条件とします。
6線端を揃えないと基準寸法62mm整数倍レールを挟んで有効長調整ができません。
実際の駅もそうですしレイアウトでも使い勝手が良くなります、線数が多い駅では外側番線有効長が短くなる傾向があります。
機関庫/引込線等設置可能にするにはポイント置換可能カーブ組込みが必要です。

線路配置設計法は62mm間隔ラインを基準に1/10サイズ線路データを配置する方法です。 1-4番線はユニトラッ教科書通りで、6番ポイント/R718をS64/15度を介し15度クロスに接続すると1-3番線、3-4番線が66mm間隔になり右端がピタリ揃います。 2番線は1・3番線から4番ポイント3個で中央複線間隔33mmに敷設可能で、これも右端がピタリ揃います。

さて3番線クロスの左側ですが、右行本線が3番線でポイント定位とすると教科書的にはこの様に4-5番線方向6番ポイントを分岐させ駅端複線間隔が66mmになります。 渡線設置にも複線曲線移行にも困る線形です。

KATOから複線間隔33mm⇒66mm変換レール出てますが長さ310mmもあり、片側2両分有効長を犠牲にするのは個人レイアウトでは非現実的です。 スペース効率優先で半径66mm差90度カーブで徐々に広げる方法もありますが、見苦しい線形で渡線設置も不可能です。

諸条件から線形上の犠牲を払ってでも駅端複線間隔は33mmにするべきと考え、R481と4番ポイントS字配置で解決する道を選びました。 ポイント定位5番線と反位3番線のどちらを本線とするかはWさんの選択です。 3番線本線でポイント定位にこだわるならフレキ使うしかないと思います。 またクロス接続4番ポイント先に5・6番線分岐6番ポイントを接続しクロスX15Lに*マーク追加してます、ここには仕掛けがあります。

【S60道床切り欠きレール】
4番ポイント分岐側一方に道床干渉回避S60レールが必要ですが、クロスレール4番ポイント側道床を同形状に切欠加工すればS60使わなくて済みます。 この加工追加で5・6番線有効長を片側58mm伸ばす事が可能なので、条件⑤実現の為にやらない手はないと思います。

【2回分岐で駅構内レールが広がる】
また6番線は本線から2回分岐した30度ラインにしてます。 条件⑤クリアにはコレが必須で実際の駅構内にも良く見られる線形です、当社生野駅にも採用してます。 実物が8番ポイント2回分岐で15度なのに対し、模型の世界では倍の30度ですが線形としては同じです。

6番線は4番線の99mm上、条件②で98/97mmもOKです。 条件⑥でR481x2を使い6番ポイントと端数レールS29で接続すると4-6番線間が98mm、6番線直線移行部が1-4番線より2mm突出する位置に敷設可能と解りました、2mm突出はS64を使い右端を合わせ込みます。


5番線は6番線66mm下、4番線32mm上に固定で、4番線進入カーブR718なので5番線もR718でないと線形整いません。 6番ポイント側と5番線側直線長は自動的に決まり、作図結果で5番線側はS29端数レール使えますが、6番ポイント側は43mm、この線形でここだけはどうしても加工レールが必要で、S29とセットのS45.5を2.5mm短縮して使用します。 

条件⑤で各番線/ホーム有効長を揃え、例えば6両でも特定列車7両固定編成を走らせたいは良くある話で、1・2番線分岐を駅端6番ポイント側に寄せ186mmホームエンドで1番線ホームを長くするオプションです。 3-4番線にもR718対応186mmホームエンド設置可能です。


筆者は本線/ホーム有効長差が大きいゆとりの国鉄スタイルが好みですが、何を重視するかは製作者が決める事なので、線路配置の可能性提示の為に付記しました。


3-2.基本線形の検討その2
線路配置自由度を広げるには、あらゆる基本形可能性の検討が必要です。

6番ポイント直線側は4番ポイント+S60と同じ長さで置換可能です、5・6番線分岐ポイントを4番に置き換えて検討しました。 R481x2では6番線側に20mm特殊レールが必要で置換メリットが何もありません。

しかしR481とR718使うと6番ポイントと同じ位置から6番線直線が始まります。 数学的に当然で、R481+S29+R718S字カーブを180度回転させた線形だからです。 ここにR718使えると新たな可能性が生まれます。


3-3.左方線形の提案
ここまで左右反転形右方に機関区設置前提で6番線進入カーブにR481/R718を組み込みポイント置換可能にする基本線形を検討してきましたが、左方に引込線等設置計画がなければ無用の長物です、ユニトラックにはR348/R381の30度の既成レールがあります。

双方検討の結果、R348/30度使えば既成レールで綺麗につながり、直線が長くS64右端調整必要がないと解り、これをWさんへの提案線形にします。 2番線Y字ポイントは国鉄駅演出の筆者好みで、1番線有効長優先線形も可能です。 KATO近郊型ホーム248mmを直線部分に配置します、1番線と3/4番線は186mmホームエンドでホーム有効長延長が可能です。

1番線左端6番ポイント右のS248使いもう一つ国鉄駅線形演出、貨物側線と野積み線です、高さ調整必要ですが26mm幅ローカルホームを置けます。 側線外側に貨物ホームと上屋設置で左方がぐっと充実します。


3番線対称で補機連結S124U位置作図時に、X15L中央まで340mmあり補機2両の3重連が1番線で可能と気付きました。 Wさんへアイディアとして提案予定ですが、本線有効長が十分ないと重量貨物になりませんね。


3-4.右方線形の提案
次に基本線形検討の結果が問われる機関庫設置の右方線形です。 基本は左方の左右反転、ポイント2個で機関区線形の検討です。

R481を4番ポイント2個に置き換えて6線から複線に移行する構内敷地を利用する形で機関区案を作図しました、右方本線に渡線を追加しました、左行終着折返し列車用です、両渡線は更に62mm伸びます。 KATO木造機関庫利用でS186x2の縦列駐車案にしてます、このスペースでは扇形庫の大機関区は難しそうです。


3-5.右方大機関区の提案
当社は在籍車両数少ないランキング上位(笑)ですが、平均的な方がレイアウト機関区設置する場合は扇形庫にズラッと並べたいのが人情です。 大機関区にするにはどうするか、スペース不足に加え入出庫線なしで6番線折り返し大機関区は国鉄駅らしくありません。

そこで再度左方に戻りR718を6番ポイントに置き換え6番線外側51mmに機関区入出庫線設置の線形を考えました。 KATOの給水給炭ストラクチャは49.5mm線間設置可能ですので6-7番線間設置も選択可能です。

最後に入出庫線追加した右方です。 転車台と扇形庫は奥まった場所にあったという経験則に基づいた配置例です、KATO転車台は10度間隔なのでR348/20度レールを作成し、転車台進入線2本にしてみました。 後はWさんにスペース条件でアレンジしてもらいます。


これでWさん駅構内線形の悩みは多分解消、15度クロス使った特殊線形ですがユニトラックユーザー線路配置設計の参考になるし、『駅をレイアウトする』公開者責任を果たしたと思いました。 後はギャップ・フィーダー設置、制御法アドバイスで一件落着と考えたのですが、全く想定外のどんでん返しが待ち構えてました、それは次回のお楽しみに。


ではまた。

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