Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

FさんのHyper-G製作サポート記②

本件は開発者/情報発信者責任としてのお知らせなので、隔日スピード優先更新です。

【Fさんから届いた基板】
1月19日に基板到着、さあ異常現象の解析開始です。


5.非通電試験異常の怪
まずは非通電試験の電源-GND間19.3kΩ謎の解明からです。

開封一番テスター繋いだらアレーッ21.6kΩ、19.3kΩでなく正常値です。

【旧テスター確認】・・・21.77kΩ表示です。
更に旧テスターで計測、21.77kΩで正常値です、問題が消えてしまいました。 Fさんのテスター電圧計とオープン・ショート正常で抵抗値だけ10%誤差何てあり得る?、悩むより確認、33kΩ抵抗計測をお願いしました、27-28kΩ表示ならテスターが原因です。

【33kΩ計測結果】・・・Fさん提供
送られてきた計測結果がこちら、あんなに悩んだのに一体何だったのだろうと狐につままれた様な気分でした。 非通電試験正常なので通電試験に進みました。 この非通電試験異常については後で推論を書きます。


6.通電試験
6-1.矩形波発振回路
12V/3Aアダプタを接続し通電試験を開始しました。

矩形波発振回路出力オペアンプ⑦ピン電圧はFさん計測結果とほぼ同じ6.16Vでした。 周波数が違っても波形が鈍ってもデューティー50%ならテスター計測結果は6V強、波形確認するまで完全に正常とは言い切れません。

周波数約20KHzの綺麗な矩形波が出力されてました、大丈夫、完全正常動作です。


6-2.三角波発生回路
さて問題の異常と判断した三角波発生回路です。

三角波発生回路出力オペアンプ①ピン電圧はこれもFさん計測結果とほぼ同じ4.7Vでした。 どんな波形かドキドキしながらオシロスコープ画面を見ると・・・。

予想に反し三角波発生回路は正常動作でした、つまりFさんは間違いなく部品実装し回路完成させてます。 ただしこれまで見た三角波Lレベル最低値1.2Vを大きく下回る0.85Vでこれが4.73Vの正体でした。 この時点でオペアンプバラツキが想定以上に大きく、Fさんは下限品に当たったのではないかと考えました。

三角波Lレベル付近を拡大すると飽和電圧に近く歪み始めてます。 この程度なら操作感に影響ありませんが、更に歪むと常点灯調整に悪影響が出ます。 Fさん基板は崖っぷち動作のマージン不足、三角波Lレベルを上昇させる平行移動改善が必要と考えました。 ここまでの解析結果と現状判断をFさんに報告し改造許可を頂戴しました。


7.三角波レベルシフト改善
7-1.予備実験
三角波発生回路は③ピン基準電圧を基に動作するので、基準電圧を高くすれば全体に平行移動できます。 ③ピンは電源/GNDと33kΩで接続され電源電圧50%になってます。


そこで③ピン電源接続33kΩ並列に200kΩ(100kΩ2本直列)追加の予備実験をしました、計算上③ピンが電源電圧53.8%、0.46V上昇です。 ところがLレベル約6V、Hレベル電源側飽和電圧で歪み、三角波は基準電圧に敏感に反応すると解りました。


7-2.現実的な改善策
予備実験の様に③ピン電源側抵抗値を下げると電圧上昇しますが、GND側抵抗を上げても電圧上昇します、その方法で改善する事にしました。

オペアンプ③ピンとGND(④ピン)接続抵抗はこの位置に縦付けです。
GND側半田を吸い取り、抵抗リード線を抜きました。
そこに出力回路用470Ω1/2Wを差して半田付け、双方抵抗リー打線を半田付けし余分をカットしました。 33kΩ⇒33.47kΩへの変更です。・
基準電圧変化わずか0.04V、これで改善されるなら大きな意味を持ってます。 これまでオペアンプ個体差に留意しても、抵抗許容差による三角波発生回路基準電圧変動要因に配慮してなかったからです、Fさん基板より更に低くなる可能性があります。

470Ω追加でFさん基板三角波Lレベルは、0.85Vから1.15Vへ0.3Vシフトしました。

三角波Lレベル付近の歪みも解消し、これなら問題ありません。

テスター計測結果も5.06Vで5Vを越え正常範囲に収まりました。 これでFさん基板三角波はOKです。 確認の為に非通電電源-GND間抵抗値計測すると22kΩでなく5.3kΩ!、(スミマセン写真撮影忘れました)A/B CHトランジスタ2SC1815の少なくとも一方破損してないとこんな現象起きません。


8.トランジスタ破損確認と19.3kΩ謎の推論
8-1.トランジスタ破損確認と交換
トランジスタ破損確認には速度調整VR付けてVcomp供給の必要がありますが、筆者担当は異常現象解析で部品はFさんの手元にあります。 「自分の手で作り上げる」Fさんの希望には反しますが、発見した以上放置できません。

そこで在庫VRにワニ口クリップリード線半田付けの簡易速度調整VRを作り確認、B CHは正常動作しましたがA CHの2SC1815が破損してたので交換しました。

電源-GND間抵抗値再計測し21.8kΩの正常値になりました。 当初の21.6kΩからの変化は追加した470Ωの影響にしては大きいですが誤差範囲です。

トランジスタ交換と正常動作をFさんへ報告したデータを参考掲載します。 PWM出力電圧1.26V常点灯域です。

Hyper-G独特のエッジの立った出力が得られてました。


8-2.非通電試験異常の筆者推論
今回解析で全く触ってないA CHトランジスタが破損してた事実から導き出した筆者推論は『A CHトランジスタ2SC1815 軟破壊仮説』です。 軟破壊はオープンでもショートでもない、微少なリーク電流が流れ正常動作しない不良モードです。


初期不良は非常に可能性低いですが、ハンドリング時の静電気、半田付け時の異常加熱、その他様々な要因で起こる事があり、半導体は壊し易い(正しく扱えば壊れません)部品です。 以下が筆者仮説です、正しいかどうか自信はありません。

トランジスタ軟破壊は計測法により様々な顔を見せる不良モードで、オシロスコープなら簡単に非動作判断できますが、テスターでは難しいと思います。[続く]


ではまた。

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