Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

FさんのHyper-G製作サポート記①

生野機関庫改修続編更新予定でしたが、Hyper-G製作に関して読者の皆様に早くお知らせすべき内容がありますので、そちらを優先します。

【Hyper-G製作情報のまとめ】2018.08,28更新
試行錯誤と紆余曲折の末に完成したHyper-G製作情報をこの記事にまとめ、以降製作された方のご指摘やご意見に基づき、より作り易く解り易く改訂してきました。

しかしPWM電源を半田ゴテとテスターで作り上げるのは、電子工作経験がないと容易とは言えず、末尾で開発者(扇動者?)責任として個別サポート対応すると書きました。 これまで数名の方から依頼があり、いずれもメールやり取りで対応しました。 現在も有効ですが、これ以上視力低下すると看板降ろす事を考える必要がありそうです。


1.プロローグ
『Hyper-G製作サポート希望』コメントが久し振りに届いたのは1月3日でした、夜記載メアドに受諾と状況問い合わせすると、翌日早朝に返信がありました。 これまでの方はHNでしたが今回はご本名の様子、仮名Fさんとします。

【Fさん相談内容】・・・後で赤丸計測結果が大きな意味を持ちました。
2週間悩んだ末のサポート依頼でした。 一番最初のテスター確認から異常、しかも通常オープン/ショートでは有り得ない値、矩形波出力電圧も非動作なら電源かGND、発振すれば6V付近なのに4.73Vと中途半端、こりゃ未経験の厄介な状況だと感じました。

【『AさんのHyper-G製作記』より転載】
お話を伺うと電子工作経験はないが「面白そうだやってみよう」と挑戦された様で、正に筆者想定顧客のAさん、この様な方に製作していただけるなら開発者冥利に尽きます。 本腰入れてサポートしようと思いました。


2.専門家のワナに嵌った筆者
しかし「テスター動作確認法で指示された33kΩ抵抗の位置が解らない」等、どうも話が噛み合いません。 頂戴したメールを読み返し【2019.02.23追記の部品配置図】に目が止まりました、何だっけ?、Fさんスミマセン全く覚えてませんでした(滝汗)

【Hyper-G部品配置図】
これがHyper-Gオリジナルの部品配置図、『AさんのHyper-G製作記』を含め2回製作してます。 テスター動作確認法もこのレイアウト前提で解説してます。

【湖南総合運転所納入用高機能電源基板】・・・3度目の製作
高性能電源を高機能電源へグレードアップする際、作り易い様にトランジスタ足前加工を廃止し部品面配線可能なU字ジャンパーに仕様変更しました。 併せて抵抗縦付けと部品斜め付けも廃止しスッキリした配置に改良しました。

【2019.02.23追記の改良版部品配置図】
それを高性能電源基板にフィードバックし、抵抗6本縦付けの改良版部品配置図を追記しました、Fさん製作部品配置です。 メール読みながら双方比較しアーッと叫びました、オリジナルと改良版で矩形波発振回路と三角波発生回路が入れ替わってます。

オペアンプは2回路入りで①②③ピンと⑦⑥⑤ピンの2組、部品配置都合優先で無意識にした事で、「そんなの常識!」は電気が苦手な方に通用しません。 テスター動作確認は①⇔⑦、②⇔⑥、③⇔⑤と読み替える必要があり、それをどこにも説明してません。

【またまたお詫びの露太本線です】
今回の個別サポートまでオペアンプ入替に全く気付いてませんでした。 Fさんから説明不足を教えていただいた1月7日、第10版として追記訂正しました。


3.深まる謎
オペアンプ入替条件で。Fさんテスター試験結果を見直しました。

非通電試験異常は謎のまま、でも矩形波発振回路異常では意味がないと思った三角波計測結果が実は逆、つまり矩形波発振回路は正常動作してると解りました。 三角波4.73Vは何らかの異常があり、その異常は非通電試験結果異常と関係があると推定しました。


◆補足説明① 非通電試験:電源-GND間計測の意味
Hyper-Gは抵抗が100本単位販売である事から使用品種を極限まで減らし、同時にオシロスコープなしテスターで動作確認できる様に工夫した設計をしてます。

電源-GND間のオペアンプ基準電圧(1/2電源電圧)③/⑤ピンと、パイロットランプ表示切替トランジスタベースを結ぶ抵抗6本全てを33kΩに設計しました。 抵抗足12本及び基板上下電源/GND接続が正常なら、66kΩ3本並列で1/3の22kΩです。 またA/B/C3点と電源及びGND間も全て22kΩになり、半田付け不良個所発見を容易にしてます。

【代表的不良モードとテスター計測値】
どこか1ライン半田付け不良なら33kΩ、2ラインなら66kΩ、A/B/Cの何処かが電源/GNDショートなら16.5kΩ、複数個所ショートなら更に低い特定値を示し、19.3kΩの中途半端な値は判断が難しいのです。


◆補足説明② 通電試験:三角波発生回路出力電圧の意味
次に三角波発生回路出力が5-6Vなら何故正常なのか補足します。

【Hyper-G矩形波/三角波設計データ】
矩形波は電源/GND両側オペアンプ飽和電圧を除いた約1Vから約11V までデューティー50%で発振しており、テスター計測電圧は電源電圧の半分6V強になります。 Fさん製作基板6.17Vは矩形波発振回路が正常動作してる事を示してます。


一方三角波発生回路は矩形波を入力とし、コンデンサ充放電で三角波を生成(積分回路)し、設計時は1.8Vから9.1V、テスター計測電圧は約5.7Vでした。 その後、高機能電源設計でオペアンプ個体差による三角波バラツキに気付き検証しました。

オペアンプ差し替えると三角波Lレベルが大きく変化する事が解りましたが、Lレベル1V以上なら飽和電圧による三角波歪みが発生せず、ゼロ調整で吸収可能と判断しました。 そのテスター計測電圧換算が5V以上であり、4.73Vは低過ぎて異常と考えました。


一方、上限は速度調整VR最大でデューティー100%12V出力を得る条件で決まっており、そのテスター計測電圧換算が6V以下です。 三角波出力が7Vでも歪は発生しませんが、最大出力電圧が12Vに届かない不具合が発生します。(下振れより実害は少ないです)


4.答えが出ない原因解析
Fさんと共にメールやりとりで原因解析を続けました。 Fさんは完成品入手だけでなく自分で作り上げる事を重視されており、筆者代作では意味がなかったからです。 

【Fさん製作基板部品面】・・・Fさん提供
Fさんが製作基板表裏の高解像度画像を送ってくれました。 目が悪い筆者でも10倍程度に拡大すれば細部確認可能で、部品違いや差し間違いはないと解りました。

【Fさん製作基板パターン面】・・・Fさん提供
パターン面も綺麗に半田付けされており問題なさそうです。 念の為に指定位置導通確認や抵抗値測定をお願いしましたが全て正常でした。 次に異常現象発生仮説を立て、部品外し計測もお願いしましたが空振りばかり、1月15日には手詰まり状態になりました。


そこで非通電試験異常と三角波発生回路異常の原因解析の為に、製作基板送付を筆者から提案しました。 送付先個人情報開示になりますが、それまでのやりとりでFさんは信頼できる方と解ってました。 Fさんから発送連絡があったのは1月18日でした。


[続く]次回1/29予定。


ではまた。

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