Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

KATOスタンダードSX露太本線スペシャル

KATOスタンダードSX性能評価番外編、oomoriさんオファーの実験結果です。

【前号より転載】
①はコラボレーション企画でなかったら多分自分でやってたと思います。
②はスタンダードSX唯一の要改善点で、N用非純正12Vアダプタ使用者に最も顕著に影響を与えるので、面白いテーマです。
③はKATOがTOMIXの様な出鱈目しないと信頼して省略しましたが確認は必要ですね。

【『KATOスタンダードSXの性能評価 その2』より転載】
廉価品への特注ボリューム使用は考えにくいので、通常B特性ボリュームに部品外付けでノンリニアな制御特性を作り出してるのは間違いなく、その解明が鍵になりそうです。


1.基板分解調査
暑さボケか本性か、ここでもチョンボやらかしました(滝汗)

基板裏面に固定ネジはなく、ホルダーステーがケースから出てるだけです。
(最初の撮影写真は出来が悪く改造終了後に再撮影した写真を掲載しました)

ディレクションスイッチは6Pで、基板裏の赤丸が端子、黄丸が機構的固定足の様です、とするとかなり大型のガッチリしたスイッチです。

ツマミ穴止めネジ外してと当りを付けて探したがありません。 構造推理は電気屋の苦手科目、『そんな所に電解コン置いたらケースに干渉するよ』なんて同じ設計チーム機械屋さんに言われ、35年前すでに彼らの頭の中は3D CADと感心した事があります。 それを言ったら『見えない電気見えるアンタ達の方が不思議な人種だよ』と返されました。


余談はさて置き困りました、基板部品面を見ないと回路解析が進みません、圧入式もあるかと強目の力で引き抜きを試みましたがビクともしません。 という次第で基板分解調査を断念して先に進めました、実験室環境悪化前の時間との勝負でした、ところが・・・。

記事作成用写真撮影でアレーッ、一番ありそな場所にちゃんとありました(遅) 予想を越えた小径ネジが隠れてました、しかし熱暑の中今更やり直す気力も体力もありません、面目ありませんが本筋ではない内部調査は中止しました、oomoriさんご了解ください。


2.速度調整特性改善
2-1.データ収集

oomoriさん要求仕様は上記の通りです。 基板分解調査断念したからできませんでは面目丸潰れ、見える計れる場所のデータから設計内容を割り出す手法を取りました。

まず、速度調整ボリューム中央端子と左端子間のツマミ位置による抵抗値変化を計測しました、目盛0で1.6Ω、5で797Ω、10で815Ωでした。 中央端子と右端子間は目盛が逆転するだけで同じ結果でした。 ここで何となく姿が見えてきました。

次に12Vアダプタを接続し、速度調整ボリューム中央端子のツマミ両端0と10、不感帯両端0.5と8.6の電圧を計測しました、両側の遊びを詰める基礎データ収集です。


ここから先は説明不能です、理論と経験によるカンピューターも駆使、推理し仮説立案、ならばこうなるハズと実験で検証する、そんなステップです。 能書き並べるより結果が重要、完成した速度制御特性改善『露太本線スペシャル』は以下の特性です。


2-2.12Vアダプタ使用時
オリジナルスタンダードSX非純正12Vアダプタ使用時は、走行開始2V前提で目盛3~8.6、速度調整有効範囲56%と狭く、使い勝手に問題がありました。

『露太本線スペシャル』は速度調整有効範囲74%、全体をB特性に近付けて自然な操作感を狙いました。 一度曲げた鉄棒を真っ直ぐ伸ばすのは難しい道理で、完全でなくともほぼ目標達成しました、これに伴い最大出力デューティー1.3%/0.15Vを捨てました。


2-3.16Vアダプタ使用時
オリジナルスタンダードSX非純正16Vアダプタ使用時は、純正13.5Vと17Vの設計範囲内なので12Vアダプタほど顕著ではありません。 目盛2~8.7、速度調整有効範囲67%確保されてますが、自然な操作感にはやや問題があると思います。

『露太本線スペシャル』は速度調整有効範囲76%になりました。 ほぼB特性で目盛5の出力電圧2V上昇とも、出力電圧4V-8V目盛1ステップ前倒しとも言えます。 12V仕様と同じく制御特性を優先し、最大出力デューティー1.4%/0.22Vを捨てました。


2-4.改造内容
最初にお断りします、これはoomoriさん依頼に基づく筆者実施の改造です。 メーカー保証対象外になり、製品固体差により同じ結果になるとは限りません。 情報開示しますが推奨はしません、改造実施される場合は自己責任でお願いします。

速度調整ボリューム右端子、高電圧側に直列抵抗を追加して1.3-1.4ステップある遊びを詰めます。 収集データから560Ω~1kΩが適当と判断し、最初に1kΩで特性評価したところ、良好な特性で最大出力デューティー比が許容内だったので一発で決めました。


[註]1kΩを下げるに従い最大出力デューティー比が上昇すると同時に目盛7以上の制御特性はオリジナルに近付きます。 最大デューティー比は抵抗有無の出力電圧比で簡単に計測可能です、100%になる抵抗値が設計マージンを吐き出したポイントです。

oomoriさん納入品なので安全性と見栄えを兼ね熱収縮チューブで保護しました。 1kΩ追加影響は目盛0付近では圧縮され無視できるという筆者仮説は計測で確認できました。 さてここから目盛5で最大出力の約50%、B特性へ近付ける操作感改善の改造です。

理屈は省きます、速度調整ボリューム左端子、低電圧側とGND間に並列抵抗を追加して制御特性を変化させます。 最初に当て推量で33kΩを入れたら特性変化不足、ならばと33kΩ並列で16.5kΩにすると目盛5で出力7.8VとB特性超えてC特性側まで振れました。 最終的に10kΩ2本直列20kΩに決定し熱収縮チューブで保護して半田付けしました。


2-5.筆者見解
デューティー100%にこだわり0.15V惜しむより使い易い制御特性を優先すべきと筆者は考えます。 スタンダードSXを非純正12V(純正13.5V)アダプタで使用し、この改造を加えた最大出力11.44Vは、純正12VアダプタTOMIX制御機器群同条件最大出力約11.2Vより高いので、実用上の問題はないと思います。


多分KATOには「PWM電源はデューティー100%出力可能な事」という社内品質規格なり設計基準があり、守らないと設計審査をパスしない設計者が選んだ道だと推察します。 規格・基準はユーザー利益を守る為に存在すると考えますがいかがでしょうか?


3.ポイント切替性能確認
ポイント切替性能評価を省略したのは問題ないと確信していたからです。 昨年ポイント切替電気講座で『がおう☆』さんに依頼した実験でスタンダードSXの前の前、KATO1Aパワーパック[0.5Aでした7/25訂正]でソレノイド抵抗4.8ΩPecoポイント切替可能と知っていたからです。


『KATO製全てのパワーパックは全てのポイント切替可能な事』という規格/基準で設計されているのは間違いありません、ユーザーの事考えれば廉価品でも両渡り線切替可能は当然です。 最高級機でさえポイント切替満足にできないTOMIXと全く異なります。

【KATO両渡り線ソレノイド4個一括切替波形】
12V/3Aアダプタでは20/20回問題なく切替可能でした、純正13.5Vアダプタも問題ないと思います。 ただし非純正12Vアダプタで電流容量が少ない(例えば1.5A)場合は両渡り線切替ができないかもしれません、それは非純正品使用者の責任です。


ではまた。

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