Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

模型照明の電気講座④車両室内灯 前編

模型照明の電気講座今回は車両室内灯です。 本講座開始はKATOキハ52車両加工記事にoomoriさんからいただいたコメントへの返信がキッカケでした。

多分筆者返信にoomoriさんが疑問を感じ検証実験をしていただく結果になりました。 そして今度は、oomoriさんの検証実験に筆者が疑問を感じ検証する形になりました。 テープLED室内灯利用は点灯して本人が満足すれば良い世界ですが、照明技法として解説します。 oomoriさん、実験させた上にケチ付ける様で申し訳ありません。 


4.車両室内灯方式と明るさ
4-1. 室内灯の方式

①白熱球

【『模型照明の電気講座①』より転載】
現在白熱球室内灯使用者は少ないと思います。 新型車両に似合わないし、明るさもLEDに及びません、筆者は演色性の良さ優先でオハ35系/61系の旧客に採用してます。


②メーカー純正LED

【KATO LED室内灯クリア】
一番一般的な方式です、新型車両に似合い明るさもそこそこです。 ただし1灯式の為、明るさ均一性に問題があり、TOMIXは点いてるだけで実感がない性能です。


③テープLED
室内灯を均一により明るくする為、他社別売キットまたは自作でテープLEDを採用する方が多い様です、特に純正では満足できないTOMIX車ユーザーでしょうか(笑)


4-2. 室内灯に必要な整流回路
ストラクチャ照明は12V電源で常に一定条件動作ですが、室内灯は電圧が変化するだけでなく前後進で極性も反転します、白熱球は無極性ですがLEDには極性があります。

極性に係らず室内灯を点灯させるには整流回路が必要です。 自作LED室内灯用に推奨されている部品です。(この情報は「た625」さんから提供を受けました)

右レールプラス前進、図上方へ車両進行時は、赤矢印の様に電流が流れLEDが点灯します。 ダイオードブリッジは2個がON、2個が逆電圧でOFFしてます。

ディレクションスイッチ反転で図下向へ車両進行時は、ダイオードブリッジのON/OFFが逆転して電流が流れLEDを点灯させます。 どちらの場合も電流はダイオードを2回通過します、そしてダイオードブリッジには約1.5Vの電圧ロスがあります。

これから自作する方への筆者推奨品はこちらです、キハユニ26LED増設時に4本使用した低損失ショットキーダイオードのブリッジで電圧ロス0.9Vです。 通常品シリコンダイオードとの電圧ロス差0.6Vは常点灯域の広さに直接影響するので重要です。


4-3. 電源により異なる室内灯の明るさ特性
室内灯の明るさ特性は電源がPWM方式か通常方式かによって全く異なります。

大手2社上記パワーパックはPWM方式です、TOMIX12V、KATO15Vの違いだけです。

【これもPWM方式】
大手2社上記パワーパックは通常方式です、TOMIX12V、KATO14Vの違いだけです。
【お詫びと訂正2/7】KATOスタンダードSXはPWM方式とoomoriさんから指摘いただき、その通りなので訂正します。 スタンダードS後継と考えた筆者ミスでした。
【お詫びと訂正2019.02.20】TOMIX N-600もPWM方式とAntさんの指摘を受け、検証結果が信頼できるので訂正します。 メーカー製品仕様で判断した筆者ミスでした。



先に結論を書きます。
LED室内灯はPWM方式電源で使わないと実力を発揮しない。
では何故そうなるか解説します。


4-4. 通常方式電源の室内灯明るさ特性
説明図の前提条件として明るさを基準化します、12V時の純正LED室内灯を10、白熱球は1/3の3.3、テープLEDは3倍の30と仮定して説明を進めます。 通常方式電源は直流なので、電圧がLEDとダイオードブリッジの電圧ロスを越えないと明るく点灯しません。

①白熱球室内灯
明るさ計測してませんが、フィラメント抵抗一定と仮定するとゼロから12Vで3.3へ電力比例曲線になります。 電圧2倍で明るさ4倍の特性は筆者使用実感に合致します。


②LED室内灯
KATO LED室内灯クリア実験結果は2.0Vで発光目視確認、電圧比例の明るさ上昇は約4Vからでした、そこから12Vで10へ直線的に明るくなります、従って車両走行開始の微速域では点灯しません。 約4VはLEDとダイオードブリッジの電圧ロスです。


③テープLED室内灯
oomoriさん検証実験結果をこの図に書き加えてみます。

発光目視確認電圧は4.68Vでした、室内灯用ダイオードブリッジ電圧ロスを加えると約6.1Vになります。 テープLED仕様書未確認ですがLED3個の電圧ロスから電圧比例の明るさ上昇は常識的には10Vから、最低でも8.5Vからで、12Vで30へ急上昇します。


10Vか8.5Vかはあまり意味がありません、少なくとも6V以上まで全く点灯しない室内灯は実用にならず、テープLED室内灯は通常方式電源に向いてないが結論です。 


4-5. PWM方式電源の室内灯明るさ特性
PWM方式電源の場合について同じ図を使い解説します。 筆者所有KATOハイパーD(DXの旧モデル)とLED室内灯クリアで実験しました。

①わずか0.1Vで発光目視確認でき、電圧比例で明るさが上昇します。
②車両走行開始最低電圧1.5Vでは車内照明には少し不足ですが完全点灯します。
③低速走行に相当する3.0Vでは、1.5Vからワンランク上の明るさになります。
④中速走行に相当する7.0Vでは、3.0Vから更にワンランク上の明るさになります。

実験結果をまとめた図です、白熱球室内灯は通常電源と同じ、LED室内灯はゼロから12Vで10へ直線です。 テープLEDが手元にないので実験できませんが、理論上はゼロから12Vで30へ直線になります。 またこの図のモーター不感帯が常点灯域になります。


ここで大疑問、PWM方式電源使用時のoomoriさん検証実験発光目視確認電圧は1.88V、ダイオードブリッジ電圧ロスを加えて約3.3V以下で非点灯は理屈に合いません。

図に書き加えるとこんな感じでしょうか。 テープLED室内灯は12Vで30です、真っ直ぐゼロへ向かう筈なのに途中で道を外れ、3.3Vで明るさ0とoomoriさん検証実験結果は示しています。 何故そんな事が起こる???不思議です、解明しないとテープLEDが室内灯に向いているかどうか結論を出せません。 


ではまた。

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