Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

ポイント切替電気講座⑦KATO その1

前回投稿記事でTOMIXを批判しました、どんな会社なのか?、設計・製造・品質保証を全て外注に丸投げしているのでは?、という疑念を確認する為、調べて見ました。

するとかつては海外委託生産をしてた様ですが、現在はほぼ栃木の本社工場で国内生産、母体が玩具メーカーとは言え、企画から製品化まで一貫して行う『もの作りニッポン』の企業と知り再度ビックリしました。 《企画、設計、生産、管理、販売、サービスに至るまで一貫したシステムで、日本製の高い精度を保った製品を仕上げています》なんて良く言えますね、設計責任者の見解を聞きたい、製造業出身者として恥ずかしいです。


さて、KATO推奨回路設計ですが、先行事例公開情報がほとんどありません。 筆者自身がKATOユーザーなので、露太本線使用実績に基づいたデータ収集から始めます。


1.紺屋の白袴

【『露太本線の良く解るポイント切替電気講座⑤』より転載】
先に白状します、実はこの測定した時『アチャーッ』って思いました、KATOパイパーDはストラクチャ製作、電子工作用電源でポイント切替出力を始めて計りました。 走行用は9V入力自作電源、常点灯撮影用にTOMIX N-1001-CLを使ってます。 良く調べもせずN用制御電圧は12Vと信じて疑いませんでした、思い込みって恐ろしいです。

従来線走行系以外の電気設計は上図になっています、純正13.95Vを12V駆動、KATOポイントソレノイドを設計電流の86%で使っていたと気付き愕然としました。

塗料侵入による切替不良と判断し数ヶ所交換しましたが、切替パワー不足も関係していた様です。 「電気は得意」な筆者が「電気でミス」、正に紺屋の白袴です(汗)


2.ポイントスイッチON時間計測
KATOポイントは電気的信頼性が高く、サーモスタット入りで安全性も良好、ソレノイド電流を抑え、廉価版1Aパワーパックでポイントマシン駆動可能設計になっています。 ではTOMIXで3倍以上バラツキがあったポイントスイッチON時間はどうでしょうか?。

従来線基台下に潜り込み、写真左上に見えているポイントスイッチからコネクタを外し、矢印部絶縁テープを外してポイント配線にプローブを接続しました。 比較的使用頻度が低い生野機関支区の機関庫ポイントです。(前回記事使用TOMIXスイッチは新品)

10回計測した結果は63msec-70msecと非常に安定していました。


そしてここで2回目の『アチャーッ』、ポイント切替電圧10Vです。 ポイントスイッチ入力12Vは当然確認してます、大電流が流れるポイント切替時は電流計や配線抵抗で2Vも低下する事が、デジタルストレージオシロで始めて確認できました(滝汗)

せっかくプローブを繋いだので意地悪試験をしてみました。 ポイントスイッチレバーを非常にゆっくり操作しパチンと切り替えました、結果は約20%長い84msecでした。 KATOのメカ設計技術力は、TOMIXより相当高い事が解りました。


3.従来線の設計検証
機関庫ポイントは電源から近い場所にあります。 レイアウト半周先のポイントスイッチは大丈夫か?、大容量配線を使ったとは言え距離は約4m、非常に気になりました。

中山平駅連動ポイントと笠松信号所両渡り線ポイントスイッチは、反対側に腕木式信号機スイッチと共に縦付けしてあります。 確認測定した電圧は12.32V、OKでした。

縦付けでコネクタが下に出ており基台下へ潜り込む必要はありません。 右が両渡り線、左が連動ポイントスイッチで、中山平駅本線ポイント2個を同時切替しています。

中山平駅ポイントは非選択設定し、普段はスプリングポイントで使用しています。 ほぼ動画撮影用切替スイッチなので自己責任で並列接続しました。 従ってソレノイド抵抗値は半分10.2Ωになり、電流は2倍、配線抵抗の影響も2倍になります。

恐る恐る計測しました。 5回計測してON時間は63msec-70msecと生野駅機関庫ポイント同様に安定してました、長い配線でも電圧10.4V、ヤレヤレホッと一息です。


続いて両渡り線の計測を行うと5回中2回ON時間約80msec、様子が違います。 改めて10回計測すると、6回は63msec-70msecでしたが3回は80msec-86msec、1回は逆に短く43msecとスイッチON時間が2倍バラツキました、何が違うのでしょうか?。

これが6/10回の標準的計測結果、ON時間67msec、電圧9.8Vです。 両渡り線はスイッチバック用なので、前の2ヶ所に比べ操作回数が格段に多く、機械的ヘタリや接点摩耗の経年劣化によるON時間バラツキが発生していると考えられます。

そしてこれが1回だけ発生した計測結果、ON時間43msec、電圧9.6Vです。 アレッ、9.8Vと9.6Vは何か変、何で連動ポイントより電圧低いの?、もしかして・・・。

確認する為ソレノイド抵抗値を計ると5.1Ω、予感的中、KATO両渡り線はポイント配線は1本でもソレノイド4個入りです。 すると切替電流2.74A、ON時間バラツキは操作回数x接点電流4倍による経年劣化と推定できます。 劣化して『2倍もバラついた』と考えるべきか『2倍に収まっている』と考えるべきか難しいところです。


ここで重要なのはKATOパワーパックポイント切替出力で両渡り線を切替できるのか?、製品カタログに注記はありません。 切替できなければ、KATOよお前もか!です。

手持ちのKATOハイパーDポイント切替出力に部品リード線を半田付けし、ポイント切替スイッチ電源線を外して接続しました。 これで両渡り線切替電圧波形を計測します。

結果はこの通り、ON時間64msec、電圧10.2Vで切替できました。 波形はハイパーDの電流制限回路により、ON直後の12.6Vが2Aに電流制限されて10.2V、つまり5.1Ωx2A(V=IR、オームの法則、ここだけ数式です)になった様子を表しています。

それでは廉価版1A仕様のスタンダードSで切替できるのでしょうか?、現品が手元にないので確認できませんが、切替できると考えています。 有力な傍証があります。

【傍証1】
生産中止になった0.5A仕様旧モデルです。 このパワーパック最大出力電圧14.4VでPecoポイントマシンPL-10コンデンサ切替が10/10動作します。 Peco実績データ収集の為『がおう☆さん』にお願いした実験結果です。 4.8Ωで動くなら5.1Ωも動く筈です。


【傍証2】
高信頼性設計のKATOは、性能評価試験結果で動作保証できない場合、ユーザーサービスとクレーム防止観点から必ず『両渡り線ポイント切替には・・・』と注記する筈です、それがないのは動作保証できると考えられます。 スタンダードSで両渡り線ポイント切替した読者がいらっしゃいましたら、当ブログへ結果コメントを頂戴できれば幸いです。


4.従来線ポイント切替の改修予定
当講座を開講したお陰で、筆者自身の勘違いミスと、ポイントマシン動作電圧が電源電圧から2V低下している事実を発見できました。 追加確認を行った上でポイント切替電源を12Vから分離し、15Vもしくは16V/3A電源を新設して置き換える事を決めました。


おいおい、KATOコンデンサポイント切替推奨回路はどうした?、と言われそうですが、転んでもタダでは起きない、筆者の失敗が貴重な設計データになりました。(続く)


★こぼればなし・・・PVポイントって良く解らん
ブログアクセス数とPVポイントはアルゴリズムの違いでリンクしないと理解してます、大体OUTの2倍で推移してきました。 7月下旬からPVが急降下、ブログアクセスは変化ないのにと思いながら何かと忙しく放置してきました。 気になって「村長さん」に質問したところ「ブログパーツがSSL化対応になってない」との事、9/1貼り変えました。


★お断り
本日、明日と法事により留守にします、頂戴したコメントの開示と回答は9/4夜以降になりますので、予めご了承ください。


ではまた。

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