Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

露太本線の良く解るポイント切替電気講座④

今回筆者が【警鐘】を鳴らした最大の理由は安全性問題です。 失敗は表面に出てこないので、火事は起きてなくても、発煙程度はあって不思議ではなく、ポイントを昇天させた方はかなり居るのではないかと推定しています。


前回信頼性設計で解説した技法を使えば、アルミ電解コンデンサの信頼性は大幅に向上しヘビーユーザーでない限りレイアウト寿命を上回ると思います。 しかし、それでも部品は壊れます、安全性設計は最後の砦、生命保険の様な物とお考えください。


第五章:安全性設計
5-1.電解コンデンサの寿命が尽きた時

最初にショッキングな情報、アルミ電解コンデンサは寿命が尽きるとショートします。

【KATO電源ハイパーD ACアダプターシール】
これは電源回路やアナログ回路設計技術者の常識です。 従ってACアダプターは出力のアルミ電解コンデンサがショートしても絶対に『異臭』『発煙』『発火』しない様に設計されています。 そうしないと世界各国の安全規格を取得できず販売もできません。

安全性設計をしないコンデンサポイント切替回路のアルミ電解コンデンサ寿命が尽きて、ショートした時どうなるでしょうか?
①おかしいな壊れたかな?とパチパチやって充電側で止める確率は50%です。
②電磁石Aソレノイドに電流が流れ続け発熱します。

③この時点では目で見ても解りません、ソレノイドは更に加熱します。
④ソレノイド巻線間の絶縁層が熱破戒ショートすると抵抗が下がり電流が増えます。
⑤焦げ臭い匂いがした時にはポイントは昇天、煙が出るかもしれません。
⑥電源容量が大きいと最悪発火の可能性もゼロではありません。


【参考情報】KATOポイントはサーモスタット付き
『親爺ぃさん』がブログで実験しています。 KATOは誤使用や想定外使用時の最悪事態を避ける為、ポイント内にサーモスタットを入れています。 TOMIXは?、TOMIX腕木式信号機は?、道床なしPecoは?、ない前提で考えるべきです。 またサーモスタットを作動させる実験はソレノイドにダメージを与えるのでお止めください。


5-2.大規模レイアウトほど安全性設計が重要
ポイント数8個の小型レイアウトと32個の大規模レイアウト、安全性リスク(故障率)は何倍違うと思いますか?。 ポイント数4倍だから4倍は不正解です、安全性と信頼性は表裏一体の関係です、具体的に説明するので電卓をご用意ください。

コンデンサポイント切替採用レイアウトで設置5年経過後の各ポイント信頼性を99.5%と仮定します、故障率0.5%です。


①電卓に0.995と入力しX=を3回繰り返してください、答えは0.961、これがポイント8個レイアウトの信頼性、故障率3.9%です。(2の3乗は8)
②更にX=を3回繰り返してください、答えは0.726、これがポイント32個レイアウトの信頼性、故障率27.4%です。(2の6乗は32)
4倍ではなく7倍になっています。 前回信頼性設計で部品選定や用法で信頼性が5-10倍異なると説明しました、以下に信頼性が低い場合の故障率試算結果を示します。


①信頼性99%の場合:ポイント8個故障率7.7%、ポイント32個故障率47.7%
②信頼性97%の場合:ポイント8個故障率21.6%、ポイント32個故障率85.8%
③信頼性95%の場合:ポイント8個故障率33.7%、ポイント32個故障率96.2%
システム全体の信頼性は構成要素個々の信頼性の掛け算になります。 


寿命が尽きるとショートするアルミ電解コンデンサポイント切替の安全性向上には、信頼性向上が必要不可欠であり、大規模レイアウトほどその重要性が高まります。


5-3.最低限やっていただきたい事
万一の場合に備え最低限やっていただきたい安全性設計です。

筆者が25年前息子と遊ぶ為に「仕様を決め」「設計し」「製作した」現在露太本線従来線で使用している2ch走行電源です。 ブレーキ操作性向上と速度計追加の修正で順調に動いています。 赤丸出力部を拡大します。

市販走行用電源には過電流保護回路が内蔵されており脱線ショート事故を起こしても電源が壊れる事はありません。 自作電源なので当初青丸部ヒューズホルダーに1Aヒューズを差して使用しました。 線路敷設と試運転段階で次々と切れ在庫の10本はアッと言う間に底を尽き、こりゃたまらんと基板裏に直付けしたのが赤丸ポリスイッチです。

上記電源に設置したポリスイッチ特性図を示しました。 定格電流0.65A、蒸機重連運転でも余裕がある仕様を選びました。 定格電流の2倍で「トリップ」、文字通りブッ飛んで高抵抗値になり回路を遮断します。 電流値が下がれば0Ωに復帰する自動復帰型保護素子で、図の様なヒステリシス特性を持っています。

ポリスイッチを電源に挿入すれば最悪の事態を防げます。 ポイント昇天を防ぐかは微妙ですが発煙発火は確実に防げます。 筆者推奨秋月電子通商掲載品は以下の通りです。 KATO、Pecoの測定データがないので念の為2品種例示しました。
①ポリスイッチRXEF110・・・より安全です。
・商品コード:P-01356

・仕様:1.1A トリップ電流 2.2A 耐圧 60V
・価格:30円/個

②ポリスイッチRUEF135・・・万一通常切替で①がトリップする場合。
・商品コード:P-00771

・仕様:1.35A トリップ電流 2.7A 耐圧 30V
・価格:30円/個

【訂正】KATO、Peco推奨品を含め8月23日投稿記事に改めて掲載します。


★用法1・・・ポイント電源出力に1個挿入
これで安全性が保たれます。 ただしポリスイッチが作動した時、全ポイントが動かなくなります。 故障ポイント特定にはテスターでショートしているアルミ電解コンデンサを探し、交換する必要があります。
★用法2・・・各ポイントに1個挿入
安全性は用法1と同じ、動かなくなったのが故障ポイント、特定が容易です。
★用法1.5・・・モジュールに1個挿入
用法2の応用としてモジュール毎に1個挿入する用法も可能です。 故障ポイント特定はモジュール内だけで済みます。


★重要なご注意
トグルスイッチ1個で渡り線など2個のポイントを連動制御する場合は、必ず用法2を採用してください、通常切替電流でポリスイッチが作動し(あるいはしかかり)、切替確実性を損ないます。 それを避ける為の大容量ポリスイッチでは安全性を確保できません。


ではまた。

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